「ハースストーン」新拡張版「博士のメカメカ大作戦」レビュー
ハースストーン 博士のメカメカ大作戦
テーマは「サイエンス」! マッドサイエンティスト気分で“キテレツ”な調合が可能に
- ジャンル:
- デジタルカードゲーム
- 発売元:
- Blizzard Entertainment
- 開発元:
- Blizzard Entertainment
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 基本無料(アイテム課金)
- サービス開始日:
- 2018年8月8日
2018年8月13日 07:00
Blizzard Entertainmentは、PC/モバイル向けデジタルカードゲーム「ハースストーン」の新拡張パック「博士のメカメカ大作戦」を8月8日に配信した。
「博士のメカメカ大作戦」は、9名のヒーローそれぞれに10枚の計90枚と、全クラスで使用できる中立カード45枚の、合わせて135種類の新カードと、1人プレイ用のアドベンチャー「パズル研究所」とで構成されている。
今回のテーマは「サイエンス(科学)」。クラスごとに、1つの研究室を作り、メイジは天文学、シャーマンは気象学、ウォーロックは魂の研究など、9つの分野の科学を扱う。主任はみな“レジェンド”な科学者で、それぞれの分野の理想を体現しており、マッドサイエンス気分で“キテレツ”なカードが調合できる。
さらに全9クラスには、“研究成果”として新たな「レジェンド呪文」が登場。さらに、新たなキーワードとして、メカ同士を合体させて強化フォームにできる「超電磁」や、10マナクリスタルある時に使うと超強力な効果を持つという「オメガ」系カードが追加されている。
今回、新拡張パックを事前に開けて楽しめるイベントが東京と大阪で初めて開催され、1日でも早く新たなカードを入れたデッキを楽しみたい筆者は、配信日を一日千秋の思いで待っていた。早速、新しい拡張でどんな遊び方できるのか、新たに追加された新要素がデッキにどんな変化をもたらしてくれるのかを試してみた。
【博士のメカメカ大作戦】
ネザーストームの稲妻鳴り響く浮遊島――そこに世界最高水準の秘密施設「ブーム研究所」がある。そこを拠点に展開する「メカメカ大作戦」は、悪名高きドクター・ブームの発案によるものだ。ドクター・ブームはかつてエリア52の研究者だったが、その後独立し、メカの設計、そしてカタストロフ的高速分解という分野で頭角を現わした。
ドクター・ブームはその分野の第一人者であるが、今こそ新たなる挑戦に乗り出す時だと決意したのだ。さあ「メカメカ大作戦」に参加しよう。この学際的研究プロジェクトは、(何かしらの形で)世界を永久に変えることになるだろう!彼のチームは目下、詳細を詰めている最中なんだ……。
新キーワード「超電磁」と「オメガ」系カード
超電磁は超強力!
この拡張パックで新たなキーワードとして追加された「超電磁」。これはメカミニオン同士を合体させて強化できるという新要素だ。
バフ効果のある既存カードには、ローグの「冷血」や、ドルイドの2マナカード「野生の力」など、攻撃力や体力をアップできるカードが存在するが、「超電磁」はメカミニオンに攻撃力や体力、さらに「挑発」や「猛毒」などの「能力」を加えられるようになるというものだ。
合体の仕方は、合体させたいメカミニオンの左に超電磁を持つミニオンを置くだけ。右に置けば、単体としても出すことができる。
例えば、中立の2マナで1/5のメカミニオン「素体フレームロボ」の左に、超電磁を持つパラディンの1マナメカミニオン「グロウトロン」を置けば、合体して2/6のカードに強化できる。さらに、そのメカミニオンに、4マナのパラディンのベーシック・呪文カード「王の祝福」を加えれば、6/10のスタッツを持つメカミニオンに変身する。ただ、ここまでだとパワーアップはするが、今までのバフカードと同じだ。「超電磁」では、ここに、3マナの中立カード「ブロンズ・ゲートキーパー」を合わせると、体力と攻撃力が、それぞれ+1/+5となりスタッツが7/15になるだけでなく「挑発」まで加わることになる。つまり、7/15のスタッツと、挑発を持つ強力なメカミニオンが作れるわけだ。
はじめ盤面に置かれた時には、低いスタッツのカードでも、超電磁を持つミニオンと合体させることで、一気に強いミニオンへと変化させることができるため、油断できない。
メイジでオンライン対戦を実施
さっそく新カードを使用したデッキで対戦を実施した。筆者が使用したヒーローはメイジ。メイジは低コストでデッキが組めるため、初心者でも使いやすいヒーローだ。今回、メイジの新カードとして追加された2マナの「研究プロジェクト」、使用するターン時に呪文ダメージ+2を得られるエレメンタルカード「星界からの使者」、4マナの「予想外の結果」などを入れて組んだデッキを使って、ランク戦を戦ってみた。
今回対戦中に、良く見かけたのは、超電磁を多用する「ハンター」だ。一例を挙げると、中立の1マナメカミニオン「メカンガルー」と、他の様々な超電磁のカードを合体させて強化していくというもの。3マナの「クモ爆弾」と合体させて、3/3で断末魔、「コメカンガルー1体召喚する」と「ランダムな敵のミニオン1体を破壊する」という2つが発動するカードとなったり、他にも、猛毒を持つ2マナ2/2のメカミニオン「ヴェノマイザー」と合体させて強化し、3/3で猛毒を持ったメカミニオンに変身する、といった具合だ。
さらに、2マナの「花火師」は、「味方のメカ1体に+1/+1を付与する。そのメカが断末魔を持つ場合それを発動する。」という雄叫びを持っていて、前述の強化されたカードとともに使い、+1/+1(攻撃力/体力)と断末魔を持つカードになり一気に盤面を制圧されたりもした。特に、ハンターはヒーローパワーだけでも+2の打点が出るため、あっという間に勝負が決まってしまうこともあった。
メイジの注目カードを紹介
・「星界からの使者」
2マナのエレメンタルカードで、雄叫びが「このターン、自分が使用する呪文は呪文ダメージ+2を得る。」。1マナの「魔力の矢」だと、3ダメージ+2で5ダメージを与えられるほか、1マナの「シューティング・スター」や、2マナの「フロストボルト」、3マナの「シンダーストーム」などと使用すれば、一気に盤面を制圧できたり、ヘルスが削れたりできそうだ。低マナなので、序盤で使いやすい。
・「宇宙異常体」
4マナのエレメンタルカード。「星界からの使者」や、呪文ダメージが+2となるため、「ファイアーボール」だと8ダメージを与えることができる。1マナの「魔力の矢」や「シューティング・スター」、2マナの「フロストボルト」などの低マナ呪文カードと使用しやすい。
「特殊勝利」カード「メックトゥーン」
対戦中、クエストプリーストと当たる機会が多く、その中でも負けてしまった際に、「どうして負けてしまったのか、何が起こったのか」と思う対戦があり、調べたところ「特殊勝利」カードの存在を知った。「特殊勝利」カードとは、パラディンのレジェンドカード「断罪のウーサー・エボンブレード」のように、ある条件を満たすと敵に勝利できるカードだ。
今回、まず、どのような状況になったのかを説明したい。まず、手札には5マナ4/6の「無謀な実験者」、6マナの断末魔を持つ「棺桶クラッシャー」、コスト4の中立のレア・ミニオンカード「涜れし爆弾」2枚、中立のレジェンドメカミニオンで断末魔を持つ、10マナの「メックトゥーン」が準備されていた。
10マナで、デッキのカードが全てなくなった状態で、「無謀な実験者」を盤面におくと「自分の手札から使用する断末魔を持つミニオンのコストが3減るが、ターン終了時に死亡してしまう。」という効果があるため、この時点で手札にあるミニオンはすべてコストが3減った状態になる。そのため、6マナの「棺桶クラッシャー」のコストが3、「涜れし爆弾」は通常4マナ必要なところ、1マナになるため、「涜れし爆弾」が2枚分、出せることになる。断末魔が「味方のミニオンすべてに5ダメージを与える」なので、2枚出すことで10ダメージを与えることになり、ミニオンが一掃される。最後に「無謀な実験者」の効果で、断末魔を持つ「メックトゥーン」が召喚され、こちらも「涜れし爆弾」の効果で死亡してしまう。すると、盤面にも、デッキにも、手札にもカードがなくなった状態となり、「メックトゥーン」の断末魔が発動し、ヒーローが破壊される。
前回のシャーマンのレジェンドミニオン「シャダウォック」に対峙した時と同じような感覚で、手も足も出ないでただ呆然と成り行きを見ているだけだった。さっそく、「メックトゥーン」を軸にしたデッキも出始めている。強力なデッキがまた流行りそうな雰囲気だ。
メイジで対戦してみて、呪文カードをアップグレードするエレメンタルカード2枚が入ったことで、中立のレジェンド・ミニオンカード「ブラッドメイジ・サルノス」とともに、呪文ダメージパワーアップさせることができ、既存の「焦らすカラス」や、今回追加された「予想外の結果」でミニオンを繰り出しながら、盤面をとり、10マナのエピックカード「パイロブラスト」で10ダメージをたたき込むことで勝ち筋が見えてきたように思う。マリガンで「マナワーム」が引ければ、呪文を重ねつつ早い時点で盤面を取ることができた。
レジェンド「ドクター・ブーム」が復活!
そしてなんと言っても、注目なのはウォリアーのレジェンドカードとして復活した「ドクター・ブーム」だ。「ドクター・ブーム」は、過去にリリースされた拡張パック「ゴブリンvsノーム」に収録されていた、中立のレジェンドミニオンで、「ハースストーン」を象徴するカードとして知られている。お供に雄叫び「1/1」のブームロボを連れて盤面に登場する、かなり強力なカードで、スタッツも7/7と場に出るだけでもやっかいだった。今回、そのドクター・ブームが「狂気の天才ドクター・ブーム」として帰ってきた。
今回、ウォリアーのレジェンドミニオンとして登場する「狂気の天才ドクター・ブーム」は、7マナで「装甲7」を得ることができる。雄叫びはこの対戦中自分のメカはすべて、急襲を得る」、そして、パワーアップするヒーローパワーが、「3ダメージを与える」や「甲殻を7獲得する」、「1/1『マイクロロボ」を3体召喚する」など、毎ターンランダムで変化する。
「博士のメカメカ大作戦」はビギナー対策も万全! たった1枚でデッキが組める
今回初の試みとして、レジェンドカード「ワンダフル・ウィズバン」が追加された。「ワンダフル・ウィズバン」は、このカード1枚のみでデッキが組めるというユニークなカードだ。各ヒーロー2種ずつ合計18デッキのうち、ランダムで1デッキが選択され、そのデッキを使用して戦うことになる。
デッキは、「ハースストーン」の開発陣がデザインしたもので、スタンダードに対応したすべてのカードセットからバランス良くデッキが組まれ、最新のトレンドも取り入れられ、しっかり戦える。おそらく上級者がプレイすれば、「ワンダフル・ウィズバン」だけでレジェンドランクを目指すことも可能なはずだ。カードにしてわずか1枚、魔素にして1,600だけでフレンドとの対戦からランク戦まで楽しめるのはありがたい話だ。現役ユーザーより、ビギナーにとってメリットの大きいカードだ。
初心者向けに、通常のデッキの作成方法を紹介していこう。
(1)まず、「新しいデッキ」を選ぶ。
(2)次に、ヒーロー9名から1名、ヒーローを選択する。
(3)デッキレシピが表示され、その中から選択してデッキを作っていく。
デッキレシピを選ぶと、自分が持っているカードがデッキに表示される。デッキは全30枚で構成されているので、デッキレシピに採用されているカードを持っていない場合には、クラフトして作成したり、別のカードで代用して、デッキを完成させる。自分好みのデッキを作成する場合には、カスタムデッキを選択して、30枚全て自分で選択することもできる。
【通常のデッキの作成方法】
「ウィズバン」の場合、どのヒーローを選択しても、「ウィズバン」カードを1枚入れることで、このカード1枚のみのデッキとなる。
筆者も「ウィズバン」を使って対戦を実施してみたが、自分の普段使用していないヒーローだったり、同じヒーローでも、自分が持っていないレジェンドカードが入っていたりするので、いろいろな楽しみ方ができる、と感じた。はじめたばかりの頃は入手することが難しいレジェンドカードをたっぷり使って対戦ができるのは初心者にとってはありがたい話だ。一方、すでに「ハースストーン」を楽しんでいる人も、いろんなデッキレシピに挑戦できるため、腕を磨くチャンスになりそうだ。もし、パックを開けたときに入っていれば、是非1度試していただきたい。
1人用コンテンツ「パズル研究所」は8月21日よりプレイ可能に
「博士のメカメカ大作戦」の無料の1人用コンテンツ「パズル研究所」は、8月21日に開放が予定されている。モードは「リーサル」と「盤面クリア」、「ミラー」、「サバイバル」の4種類、合計100以上の手ごわいパズルが用意されていて、最後には「ドクター・ブーム」と戦うことになる。全てクリアするとカード裏面デザイン「メカメカ大作戦」を獲得できる。
リーサル:現在のターンで敵ヒーローを倒す。
「リーサル」の目的は、手持ちのカードを自由に使用して、対戦相手を1ターンで無力化することだ。
ミラー:盤面の上下が完全に一致する状態を作り出す。
「ミラー」では、完璧に上下対称な状態の盤面を作ることが課せられる。ミニオンの位置、体力、攻撃力までも、完全に一致させなければならない。
盤面クリア:戦場のミニオンを全滅される。
盤面から全てのミニオンを排除することが目的となる。どのようにミニオンたちを消し去るかをより深く理解することができる。
サバイバル:次のターンまで生き延びられるよう回復する。
「サバイバル」では、実験台が自身の体力を回復させ、次ターンの対戦相手による猛攻を耐えぬく必要がある。
今回の拡張版は、モチーフとなっている「サイエンス」の世界観が、各ヒーローのカードに反映されていて、よくできていると思う。遊んでみて感じたのは、新たなキーワードとして登場した「超電磁」が思っていた以上に使い勝手が良かったことだ。「獰猛なヒナ」のように、使うたびに選択するという方法と比べ、置くだけで思い通りに強化できること。また、体力や攻撃力だけでなく「挑発」や「生命奪取」などの能力を強化できたり、単体でも出せたりするので、今後、メカミニオンを多く持つヒーローは、柔軟に使えそうだ。あっという間に強力になるので、相手に使用される時のためにしっかり対策したいと思う。
強いて惜しかった点を挙げるとすれば、筆者の引きの弱さで、欲しかったウォリアーのカードが手に入らなかったことくらいだ。少し同じカードが偏って出てきたのが残念だったが、ランク戦を戦ってコインを稼いで手に入れられるように頑張りたい。これからカードゲームを始めたいと思っている初心者の人にも、チュートリアルが用意されているため、手軽に始められると思う。カードのデザインや、カードを盤面に置いた際のセリフ、エフェクトにも注目して、是非遊んでみてほしい。
©2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.