ゲーミングPC「G-GEAR GA7J-E180T/MH1」レビュー

G-GEAR GA7J-E180T/MH1

話題の「モンスターハンター:ワールド」はどれだけ快適に動く? 新レビュープログラムがスタート!

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • TSUKUMO
開発元:
  • TSUKUMO
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
157,223円(税別)
発売日:
2018年8月10日

【はじめに】

 いつもGAME Watchをご覧頂きありがとうございます。GAME Watchでは、定期的にゲーミングPCのレビューをお届けしていますが、ゲーマーにより役立つ情報をお届けしたいという想いから、新たなレビュープログラムをスタートさせることにしました。

 新プログラムで重視するのはベンチマークのスコアではなく、ゲームのフレームレートです。ゲームファンが新しいPCを買うときに知りたい情報は、皆さんがPC購入のモチベーションになった魅力的な新タイトルが、どれだけ快適に動くかだと思います。新プログラムでは、PCレビューの基本だったベンチマークプログラムを全廃し、代わりに最新タイトルのフレームレートテストを導入します。まだはじめたばかりなので、ノウハウ不足から十分な検証とは言えないかもしれませんが、徐々にブラッシュアップし、真の意味でゲームファンにとって役に立つ、購入の参考になるゲーミングPCレビューを目指していくつもりです。

 また、PCゲームはグラフィックスオプションを調整して、スペックに応じた設定でプレイできるところも魅力です。ただ、どこをどういじればいいかわからないという人もいると思います。そこで、新プログラムでは、単にフレームレートを計測するだけでなく、“快適にプレイできる設定”もガイドします。現時点では、フルHD/120Hz、4K/60Hzを基準に、これを満たすための設定を検証し、レクチャーします。

 これらの検証結果を踏まえ、最終的にレビューを行なうPCが、最新タイトルでどれぐらい快適に動くのか、あるいは快適に動かすためにはどういう設定にすればいいのかを皆さんに提示し、その内容をGAME Watchとして認定します。これが新たなレビュープログラムです。ぜひゲームファンは、新たなレビュープログラムにご注目いただき、快適なPCゲームライフに役立てていただければと思います。

GAME Watch編集部 中村聖司

 新レビュープログラム第1回目となる今回は、TSUKUMOから発売される「G-GEAR GA7J-E180T/MH1」を検証してみた。「G-GEAR GA7J-E180T/MH1」は、CPUにCore-i7-8700、GPUにNVIDIA GeForce GTX 1080とハイエンドながら157,223円(税別)という手の届く価格にまとめたお手頃価格のゲーミングPC。このPCで8月10日にリリースされたばかりの「モンスターハンター:ワールド」を、PC版ならではの美しいグラフィックスを最高設定で堪能しつつ、快適なプレイができるかどうかを検証してみたい。

 “はじめに”の繰り返しとなるが、“快適なプレイ”と言ってもプレーヤーによってその判断は様々だ。そこでGAME Watch編集部では、独自の基準を設定している。解像度別に2種類用意していて、1つはフルHD/120fps以上、もう1つは4K/60fps以上だ。

 近年は、ハイリフレッシュレートのゲーミングモニターが手の届きやすい価格になり、ぬるぬるした環境でプレイをしている人も増えている。フレームレートが高いほど動きのカクつきがへり、より滑らかなアニメーションとなるため、特にアクションやFPSではリフレッシュレートを重視する人が多いだろう。そのためフルHD環境での快適さの基準はリフレッシュレート120Hz以上とした。

 もう1つはグラフィックスだ。ハイリフレッシュレートのモニターと同様に、4K出力に対応したモニターやTVの価格も下がってきた。そういった4Kユーザーにとっては、4K環境で如何に快適に遊べるかも気になるところだろう。4KはフルHD環境と比較して単純計算で4倍の負荷が掛かるためフレームレートはグッと下がってしまう。そこで4Kでは60fpsをもう1つの快適さの基準としている。

まずはスペックをチェック。Core i7-8700、GTX 1080のハイパワーをコスパよく格納

 PCのレビューに入る前にまずはスペックを見てみよう。本機はCPUに第8世代インテルCore i7-8700、GPUにはNVIDIA GeForce GTX 1080を採用している。メモリは16GB、ストレージには525GBのSSDを搭載しており、ゲームを遊ぶために必要な要素を満たしつつ、コストパフォーマンスの良い価格にまとめ上げたという印象を受ける。

【G-GEAR GA7J-E180T/MH1】
CPU:Core i7-8700
CPUクーラー:インテル 純正CPUクーラー(空冷)
GPU:NVIDIA GeForce GTX 1080(ZOTAC GeForce GTX 1080 Mini)
チップセット:インテル H370 Express
マザーボード:ASUS PRIME H370-A(ATX)
メインメモリ:DDR4 16GB PC4-21300(8GB×2、最大64GB)
ストレージ:525GB SSD
光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ
電源:700W 80PLUS BRONZE対応
OS:Windows 10 Home 64bit
G-GEAR GA7J-E180T/MH1購入ページ

ブラックのミドルタワーケースの前面には、USB3.0ポートが2つ。その間にマイクとヘッドホンの入出力端子が並んでいる
ケースの内部。ミドルケースでスペースに余裕があるので拡張性は高い
背面。GeForce GTX 1080にはHDMIポートが1つ、DisplayPortが3つある。今回はDisplayPortで接続した

「モンスターハンター:ワールド」のフレームレート測定テストについて

 コンソール版の「MHW」は、PS4 Pro、Xbox One Xでプレイすると「フレームレート優先」、「解像度優先」、「グラフィック優先モード」の3種類のグラフィックスオプションが選択できるが、PC版ではグラフィックスの設定が「最高」、「高」、「中」、「低」の4段階あり、さらにそれぞれについて詳細なカスタマイズが可能になっている。フレームレートも「30」、「60」、「上限なし」の3段階から選択が可能だ。グラフィックス設定の具体的な内容は以下のようになっている。

【グラフィックス設定】

設定項目最高
イメージクオリティ可変(解像度優先)可変(解像度優先)
テクスチャ品質51210241024FULL
アンビエントオクルージョンOFF
ボリューム描画品質OFF可変最高
影品質
アンチエイリアスOFFTAATAATAA
LODバイアス可変可変
LODレベル上限上限なし上限なし上限なし上限なし
植生の揺れ効果OFFONONON
サブサーフェイススキャッタリングOFFONONON
スクリーンスペースリフレクションOFFONONON
異方性フィルタリング品質
水面反射OFFONONON
SHDiffuse品質
ダイナミックレンジ32bit32bit32bit32bit
Z-PrepassONONONON
ドライバ、クライアントバージョン情報
OSWindows 10 Home(1803)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 398.82
「モンスターハンター:ワールド」ver.1.00相当(PS4.1.06相当、モンスターハンター:ワールド(Steam版)はバージョン情報が公開されておらず、パッチはまだ提供されていないので仮として1.00と記載した

 「低」と「中・高」ではテクスチャの解像度が倍違っている。「最高」では数値は明言されておらず「FULL」という表示になっているが、少なくとも1,024よりは大きなものが使われているのだろう。実際のプレイでも、モンスターの皮膚表現などには明らかな差があった。

 また、負荷に大きな影響を与える「ボリューム描画品質」がそれぞれの段階で違っている。「低」では植生の揺れがなかったり、アンチエイリアスがOFFのためドットのギザギザが目立ったりと、せっかくの美しいグラフィックスが十分堪能できるとは言いかねる。できれば「中」以上、可能ならば「最高」設定でプレイしたい。そんな前提を踏まえた上でテスト結果を検証してみたい。

 今回は、fpsを測りつつゲームをプレイして、負荷の高かった3つのシチュエーションをテスト用に選んだ。1つめはスタート時のムービー「運命の遭遇」。主人公を含む5期団調査団が新大陸へと向かう途中、古龍ゾラ・マグダラオスと遭遇するという、オープニングのカットシーンだ。

 船の中を大勢のハンターが行き来する序盤から、荒れ狂う大海原に現れる巨大なモンスターと、本作のプロローグに相応しいリッチな内容であり、かつ今作のカギを握る古龍との初邂逅という重要シーンでもあるためここを選択した。

 2番目は、「大蟻塚の荒地」のフィールド探索。「MHW」にはクエスト以外に、自由にフィールドを探索できるモードがあり、メインストーリーの中で常に新しいエリアを探索することになる。そんな誰しもが体験する探索の中でも、「大蟻塚の荒地」は、コンパクトな空間の中に複数の大型モンスターが闊歩しており、「MHW」の特徴である縄張り争いにも頻繁に遭遇する。さらにエリアの南側は湿地帯になっていて、水面の表現や光の反射など、負荷がかかりやすい要素が多いことからこのエリアを選択した。

 3つめは、同じく「大蟻塚の荒地」に出没する大型モンスター「リオレイア」との戦い。大型のモンスターとの戦いは「MHW」最大の醍醐味であり、そのシチュエーションで快適にプレイできるかどうかは非常に重要な要素となるため、「モンスターハンター」を代表するモンスターの1匹であるリオレイアに相手をしてもらった。

 使用したモニターは、モニターはBenQの240Hz/フルHD(1,920×1.080)ゲーミングモニター「XL2546」と、LGの4K(3,840×2,160)/60Hzの55型OLEDTV「OLED55B6P」。フルHDについては、240fpsまで計測できる環境を整えたが、4Kは60Hzが上限となっているためそれ以上の数字が計測できていない点はご了承頂きたい。

 スコアの計測にはFrapsを使用。カットシーンは最初から最後までの2分45秒。フィールド探索はキャンプ(11)からキャンプ(1)までのルートを通る3分間。リオレイア戦は戦況がこまめに変わることから1分間の計測で、すべて計5回ずつテストした平均を記載している。小数点第2以下は四捨五入した。

【カットシーン「運命の遭遇」】
【大蟻塚の荒地】
【リオレイア戦】

フルHD/240Hzで検証。カットシーンではすべての設定で平均100以上のfpsを記録

 まずフルHD/240Hz環境での検証結果を紹介したい。測定に使ったのはGalleryから見ることができるカットシーン「運命の遭遇」。キャラクター選択が終了した直後から、船が遭難してゾラ・マグダラオスの上に降り立つまでで、長さは2分45秒。カットシーンでは、全ての設定で平均フレームレートが100以上を記録した。前半は100以上をずっと維持しているが、中盤以降には、ゾラ・マグダラオスが海中から現れるシーンや巨体に引っかかった船が墜落していくシーンなど、かなりフレームレートが落ちる場面があり、それが平均値を落とす原因になっていた。

 「大蟻塚の荒地」ではエリア11から東南へと下がりエリア10、9を経由して南側中央にあるエリア4の広い湿地を通った後、エリア1の拠点前を通って拠点の北側にある水辺を目指すというルートを使った。途中、絡んでくるモンスターは倒し、ハチミツなどいくつかのアイテムを採取したりと、できるだけリアルなプレイに近い動きを心掛けた。測定時間は3分間。毎回違う大型モンスターが捕食にきていたり、時間によって太陽が出ていたり、月が出ていたりと光の様子も変化するため、様々なシチュエーションの平均を取ることができたと思っている。

 エリア4にある大湿地は紫色の花が咲き乱れる美しい場所だが、ルート全体を通してここが最も負荷の高い場所だった。この水辺には、リオレイア、ボルボロス、ククルヤック、ジュラトドスら大型モンスターが頻繁に現れる。だが捕食したり縄張り争いをしている時も、それを見ているだけなら気になるほどのフレームレートの低下は見られなかった。240fpsまでは出なかったが、それでもこれだけフレームレートが高いと、ガライーバのぬるぬるした動きにも一層のぬめり感が感じられた。

 リオレイア戦は、フリークエスト「女王は荒地にて燃ゆる」を受託して、戦闘が開始してから1分間のバトルを計測した。途中リオレイアが逃げてしまったり、こちらが死にかけて隠れたりした場合のデータは使わず、なるべくバトル中のデータだけで計測できるようにした。

 リオレイア戦でも、「高」、「中」、「低」の3つでは平均フレームレートは100台を維持し、特に「低」設定では平均でも170と高い値を記録した。戦闘中にほかのモンスターが乱入してきたり、地形効果でリオレイアが流砂に落下していったりと、戦闘中には予想外の出来事も多数発生するが、画面全体が動くようなダイナミックな演出でもフレームレートの低下は限定的だった。

 昔のゲームでは巨大モンスターが出てくると、それだけでどんどんフレームレートが下がっていったものだが、今回データを見ていただければわかるように、フィールド探索とリオレイア戦ではスコアに大きな差がなく、「最高」では最高fpsで上回っている。あれだけ激しい戦闘を行ないながら、ほとんどフレームレートに影響していないのは驚きだ。マシンパワーのおかげもあるだろうが、ゲーム自体の最適化やフレームレートを落とさない見えない工夫も相当貢献しているのだろう。

 今回全ての設定で、平均fpsは60を超えており、どの設定でも間違いなく快適なプレイが可能であるため、より美しいグラフィックスが楽しめる「最高」設定をおすすめしたい。そして編集部基準である120Hzは「高」設定以下ならすべて達成した。「高」や「中」のグラフィックスは「最高」に比べると光の描写やマテリアルの質感などがややマットになるが、そのマットさはある種アニメっぽくもあり、日本人ならこちらの画像の方が好きという人もいるのではないかと思った。「最高」のグラフィックスにこだわりがなければ「高」でぜひぬるぬる感を味わって欲しい。

4K/60Hzで検証。「低」なら60fpsでぬるぬるプレイが可能

 4K環境でも、フルHDとだいたい同じような傾向が出たが、やはり負荷が高くなる分フレームレートは低下した。「最高」設定では、フル解像度のテクスチャや空気の揺らぎまで感じるリッチな表現によって、感動的に美しい画面でプレイすることができる。だが、フィールド探索やリオレイア戦では、平均フレームレートが25.5fpsまで落ちてしまっており、「MHW」4K最高設定の重さを身をもって実感した次第だ。

 のんびり観光がてら、景色を楽しみつつスクリーンショットも撮影したりといったプレイなら「最高」設定で問題ないので、4K環境があるなら絶対に「最高」のグラフィックスを体験して欲しい。ただ、仲間と強敵と戦ったり、快適さを求めて4Kで60fpsを目指すなら「低」設定がおすすめだ。

 最近はハイエンドPCのマシンパワーを実感するほど重いゲームが少なくなった中、「MHW」はここ最近筆者が触ったのゲームの中でもかなり重い部類に入る。それだけグラフィックスに力が入っているということで、それはフィールドを少し探索すればわかる。細かい部分までリアルに作り込まれており、歩き回ると様々な発見がある。だがそれだけに、生半可な環境では4Kでサクサク遊ぶのは難しいだろう。今回テストした「GA7J-E180T/MH1」は、現行のゲーミングPCとしてはハイエンド帯に位置するが、そのマシンパワーがあって初めて4Kでのプレイが可能になっている。

 なお、今回テストで使用したOLEDTVはリフレッシュレートの上限が60Hzなので、「低」設定ではその上限に達している。もっと高いリフレッシュレートが出せる4Kモニターであれば、もう一段の高スコアを出す可能性がある。グラフィックスを重視するなら、平均フレームレート36.4の「高」設定が筆者のおすすめだ。

グラフィックス重視でもフレームレート重視でも「MHW」を快適にプレイできるマシンと認定

 本レビューでは、グラフィックスとフレームレートにこだわって検証したが、高速なローディングもPC版の魅力だ。今回はSSDにインストールしているため、ゲームスタートから流通エリアが表示されるまでのローディング時間を計測してみたが、4K、フルHD環境ともだいたい20秒前後に納まっていた。本PCは525GBのSSDを搭載しているが、さらにローディング時間を短くしたいなら、将来的にM.2 SSDに換装してさらに高速化を目指すという手もある。こういったカスタマイズ性の高さもPCならではだ。

 コンソール版でも4Kの解像度や60fpsのフレームレートでのプレイが可能だが、4Kと60fpsを同時に実現したり、60fps以上のフレームレートでプレイできるのはPC版だけだ。今回試した「G-GEAR GA7J-E180T/MH1」では、最初に示したGAME Watch編集部の快適さ基準を、フルHD/240Hz環境で「高」設定、4K/60Hz環境で「低」設定で満たすことができた。PC版と同時にPCの購入も考えているなら、ぜひ本機を候補に入れて欲しい。

GAME Watchは「G-GEAR GA7J-E180T/MH1」について以下の項目を認定します

・「モンスターハンター:ワールド」がフルHD/240Hz環境で平均74.5fps、最高90fps以上で動作すること(フィールド探索、最高設定)
・「モンスターハンター:ワールド」が4K/60Hz環境で平均25.5fps、最高30fps以上で動作すること(フィールド探索、最高設定)
・「モンスターハンター:ワールド」を快適にプレイする設定は、フルHD/120Hz環境なら「高」、4K/60Hz環境なら「低」

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