「D×2 真・女神転生リベレーション」レビュー

D×2 真・女神転生リベレーション

東京を舞台にデビルダウンローダーたちの戦いを描く、「メガテン」シリーズ完全新作!

ジャンル:
  • RPG
発売元:
  • セガゲームス
開発元:
  • セガゲームス
プラットフォーム:
  • Android
  • iPhone/iPod touch
価格:
基本プレイ無料(アイテム課金あり)
発売日:
2018年1月22日

 1月22日に世界中の“メガテニスト”待望のアプリゲーム「D×2 真・女神転生リベレーション」が配信された。配信から僅か数日で100万ダウンロードを突破するという好調な勢いを見せている。

 本作を初めて見たのは2017年の東京ゲームショウ。公開されたPVを見たときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。3Dで動く悪魔、プレスターンバトル、3Dダンジョン、そして悪魔との交渉。1分程のPVの中にまさに「メガテン」の要素が全て詰っていた。筆者は「メガテン」シリーズの大ファン――俗にいう“メガテニスト”であり、その新作がスマホでプレイできると知った時には歓喜して狂喜乱舞したものだ。

 初めに「真・女神転生」シリーズをあまり知らない読者に少し説明をすると「真・女神転生」は1992年にスーパーファミコンで発売されたアトラスのRPGで、現代の東京を舞台にしたダークな世界観が持ち味の作品。どうダークなのかを例に挙げると、“主人公が買い物に出かけている間に母親が自宅で殺されている”、“核で東京が崩壊”、“その後大洪水で東京が水没”など、シリーズを通してとにかく救いようがない世界観なのだ。核や大洪水は無いものの、本作もそんな「メガテン」らしいエッセンスは健在で安心(?)した。

 今回「D×2 真・女神転生リベレーション」(以下D2メガテン)をプレイし、ファン故に贔屓目な視点と、ファンだからこその厳しい視点を織り交ぜつつ、感想や筆者のプレイスタイルを紹介していきたいと思う。これまで「真・女神転生」シリーズに触ってこなかった人もスマホで手軽にプレイできるので、この機会に是非ともプレイして“悪魔使い”になって頂きたい。

プレイ感はそのまま! スマホ向けに生まれ変わった「メガテン」

 まずは、本作の世界観に軽く触れていこう。「真・女神転生」シリーズに触れてきたファンにはおなじみ、「D2メガテン」の舞台も現代の東京である。主人公は悪魔を使役できる「デビルダウンローダー」としての適正を見出される。そして、世界を守る組織「リベレイターズ」の一員となり、「ヴェニタス」と呼ばれる超越存在を信奉する組織「アコライツ」と戦うことになる。アコライツもデビルダウンローダーの所属する組織で、悪魔召喚師同士の戦いが展開していくのだ。

 ここからゲームをプレイした感想を語っていこう。スマホアプリということもあり、従来のフィールドを移動して進めるRPGスタイルではなく、インターミッションからクエストを選んで進めていくバトルに重点に置いた作りになっている。

 バトルシステムは「真・女神転生3」から導入され、今ではアトラス作品の定番ともなっている「プレスターンバトル」。このシステムの面白い点は、相手の弱点を突くと味方の行動回数が増えるという爽快なバトルシステム。弱点を連続で突けば、何度もこちらが行動できるのだ。しかしルールは敵も同じで、敵に弱点を突かれ続けてしまうとずっと一方的に叩かれてしまうという、「メガテン」独特の緊張感のある戦いが本作でも楽しめて感動した。正直、プレイする前は開発がアトラスではないことと、スマホアプリになって「メガテン」の持ち味が損なわれるんじゃないかと少し不安に思っていたのだが、過去作を踏襲してプレイ感はそのままに、良い意味での簡略化が施されて遊びやすくなっていた。

 そして、これも言わずにはいられないのが、本作は「真・女神転生3」以来久しぶりの悪魔が3Dで表現されているのである。悪魔絵師・金子一馬氏(シリーズの悪魔デザイン)の描いた魅力的な悪魔たちが現在の技術で3D化。筆者はチュートリアルで、悪魔の姿や動きを見ただけでテンションがマックスになった。

 テンションが上がる要素は他にも沢山あって、ちょっとマニアックな話になるのだが言わせてもらいたい。クエスト選択画面がまさに「真・女神転生」シリーズのワールドマップの雰囲気そのままなのだ。BGMもどこか憂鬱な雰囲気を醸し出していて、うまく伝えられないのがもどかしいが、まぎれもなく「メガテン」サウンドなのだ。増子 司氏や目黒将司氏のサウンドを継承していて、耳からも「メガテン」を感じられる。

 そしてロード画面。ロード画面に表示される可愛気のないでっぷりした体型のジャックフロストを見たときはニヤリとした。これは初代「真・女神転生」に出てきたときのドット絵。語尾に“ホー”を付けていない頃のマスコットでも何でもない、ただただクソ生意気だった時代のジャックフロストなのだ。スーパーファミコンの頃のドット絵を持ってくる辺り、BGMの事といい制作のリスペクトがヒシヒシと伝わってくる。

あるアプリをダウンロードしたことから物語は始まる。主人公は男女の好きなほうを選択できる
1つのミスが戦況を一変させる。そんな緊張感がたまらないプレスターンバトルが今作でも楽しめる
金子一馬氏の描く悪魔がそのまま3Dになって動く姿を見たら、ファンなら興奮せざるをえない

 本作では主人公以外にもリベレイターズに所属する仲間がおり、キャラクターをチェンジして戦うことができる。キャラクターごとに固有のスキルを持っているので、戦況に応じてキャラクターを使い分けるのも重要。例えば最初に仲間になるガンマニアの女子高生「テンプラドラゴン」は一定確率で悪魔の状態異常を回復できるスキルがあり、ピンチの状況を挽回するチャンスが生まれるのだ。

 筆者がよく使っている仲間は、リベレイターズ東京支部の支部長であり、動画サイト「メガチューブ」の人気配信者「メガキン」だ。このキャラクターのスキルは本作でとても役立つスキルを持っている。「真・女神転生」といえば悪魔との交渉をして「仲魔」にする「交渉」は欠かせない重要な要素だ。今回も同じくらい、いや、今まで以上に重要な要素になっている。

 過去作と違い、今作では悪魔との会話をプレーヤーが好きな時に行なうことが出来ないのである。これには筆者も驚きだった。「D2メガテン」では確率で会話ができるという仕様になっていて、これにより仲魔にしたい悪魔が出現してもほとんどの場合が話しかけることすらできないのだ。そこで活躍するのが先ほど紹介したメガキンだ。彼は悪魔との交渉の発生率を上げるスキルを持っているのだ。これによって悪魔との会話ができる機会が増え仲魔不足を解消できる。このように、仲間になるキャラクターにはゲームを有利に進めることのできるスキルを持っているので、新しい仲間が加入した際にはスキルチェックは欠かせない。

 悪魔との交渉をしていて思ったのだが、今作の悪魔は人としての礼を持ち合わせているように感じる。悪魔なのに人としての礼という表現もどうかと思うが、本当に道徳的なのだ。仲魔になるか迷っているときに欲しがっている物を渡せば確実に仲魔になってくれる。

 これまでのシリーズでは、こいつら本当に血も涙もない悪魔だなと何度も思わされた。これは過去作で実際にあった筆者のエピソードなのだが、悪魔会話で、魔石をくれたら仲魔になってやると言われ、要求通り魔石を渡したときだ。まだ足りないからもっとよこせと言う。渡しても渡してもそれでもまだ足りないというこのやり取りを4、5回ほどやったときだ、悪魔の言ったセリフが“やっぱり気が変わった。アイテムをやるから仲魔になるのは勘弁”と言い、魔石を1つよこして去って行ったのだ。こちらが5、6個渡したうちの1つをよこして、さも自分の懐からアイテムを出した的な空気で帰って行きやがったのだ。これこそがまさに悪魔。それに比べると今回は話がわかるやつらで仲魔にしやすくて最高だ。

個性的な仲間が多数登場。キャラクターデザイン的には同社の「ペルソナ」や「デビルサバイバー」に近い印象を受けた
悪魔との交渉は、会話で気分をよくさせたり物をあげて仲魔に引き入れるのだ

魅惑の高ランク悪魔。その入手への道は険しい……

 本作でもシリーズおなじみの「悪魔合体」は健在で新しい悪魔を手に入れたら合体させてさらに強い悪魔にするという流れは変わらない。悪魔合体は毎度おなじみ邪教の館――ではなく、偽神教会という場所で行なうことができる。邪教の館の怪しい爺さんから金髪のイケメンお兄さんに変更されており、少し寂しいものを感じる。

 そんな「メガテン」シリーズの代名詞ともいえる悪魔合体システムが、今作では劇的に進化を遂げていた。それはなんと、作りたいお目当ての悪魔から逆引きで合体に必要な素材の悪魔が一目でわかるようになっているのだ。これは本当に素晴らしい。お目当ての悪魔をヒントも無しに作るというのは、かなり骨の折れる作業だったのだ。それがこんなにも簡単になって本当に良いんですか!? と言いたくなる。

 悪魔には星1~5までのレアリティが存在する。筆者は素材となる悪魔を集めて、現状合体で作れる最大レアリティの星4の悪魔「ケルベロス」を作ろうとした。合体には素材悪魔の他に「マグネタイト」というポイントが必要になるのだが、それが星4の悪魔を作る際にはケタ違いな量が必要だった。星3の悪魔を作ったときは最大でも6,000程度だったものが、星4となると300,000以上も払わなければならない。最初見たときは、“30,000か少し高いな”などと思ったが、よくよく見たら少し高いどころの話ではない。

 マグネタイトは戦闘の戦利品やログインボーナスなどで手に入る。配信日から寝るとき以外は常に「D2メガテン」をプレイしており、おそらく50時間くらいは遊んでいる筆者だが、マグネタイトは130,000程度しか貯まっていない。事前登録ボーナスをもらっているのを含めてこの量だというと、300,000まで貯めるのはまだまだ時間がかかりそうだ。悪魔合体のレシピは簡単にわかれど、手に入れるのは簡単ではなかった。

合体リストから、お目当ての悪魔を選べば必要素材がわかるという親切さ
初代の「真・女神転生」で印象的なケルベロス。早く作りたいのだが……
マグネタイトを貯めるなら、3Dダンジョンのアウラゲートの探索で集めるのが1番だ

 悪魔合体の話もそうなのだが、高ランクの悪魔を手に入れるにはかなりの根気が必要だ。アプリゲーに付き物のガチャ要素はもちろん本作にもあるのだが、これもまた中々に当てるのは難しい。とはいえ、ゲームスタート時にガチャでお目当ての悪魔を当ててスタートダッシュを切る方がテンション的にも楽しいに決まっている。筆者も「メガテン」ファンとして、やはりお気に入りの星5の悪魔「シヴァ」を最初から欲しかったのだが、ガチャを回せど回せど出るのは星3の悪魔ばかり……。

 欲しい悪魔を手に入れるのは一筋縄ではいかない。しかし合体に必要なマグネタイトは毎日一定数もらうことができ、現在ではまだ実装はされていないが、ゆくゆくは星5を含む全ての悪魔が合体で作れるようになるとのことなので、長い目で見れば必ず欲しい悪魔が手に入れることも可能というわけだ。そう考えると従来のアプリゲームよりも良心的な気がしなくもない。

ようやく出た星4の悪魔「オンギョウキ」。もちろん現在でもパーティのエースだ
バトルの戦利品の他にも、マグネタイトはアジト(拠点)の金庫に時間経過で貯まっていくので忘れずに入手しよう

難易度の高さ、仲魔が強くなる喜びは、まさに「メガテン」!

 ストーリーを進め、3章の後半あたりまで来ると敵がかなり手強くなってきて、手詰まりの状態に陥った。進めないのならしかたがないと、レベル上げを兼ねて前の章をプレイすることにした。各章にはノーマル・ハード・マニアックと3段階の難易度がありノーマルをクリアするとハードが開放され、更にクリアするとマニアックといった具合にどんどん難易度の高いクエストに挑戦できるようになるのだ。

 筆者はストーリーを進めたい一心でプレイしていたので、やり込み的な高難易度など全くプレイしていなかった。ハードはノーマルの時とは比べ物にならない難易度の上がり方で、1章ながらに中々歯ごたえがあった。ハードモードを進めていると、レべリングクエストというステージに目が留まりプレイしてみる。レベリングクエストはその名前から予想はつくと思うが、経験値がたくさんもらえるレベル上げにうってつけのクエストだ。

 1章のレベリングクエストで出現する敵は、ほぼ全ての属性が弱点である最弱悪魔「スライム」オンリーだった。ここでは2チーム編成で出撃でき、控えのキャラや悪魔もレベルがあげられてお得なのである。高難易度でいくらレベルが上がろうが所詮はスライム。戦闘スピードを倍速にしてオート戦闘でサクッと片付けると、リザルト画面で驚愕! ほぼ全ての仲魔のレベルが上がっているではないか! これに調子づいて、レべリングクエストにひたすら篭ってレベル上げを行なった。

 段々とレベルの上がりが悪くなってきた辺りでレべリングを終え、詰まっていた3章のクエストに再び挑む。レベルアップの効果は絶大で、先ほどの苦戦が嘘のように苦戦することなくクリアできた。とりあえずストーリーを進めて敵が強いと感じたなら、前の章に戻り高難易度のレベリングクエストでのレベル上げがおすすめだ。主人公の固有スキル「デビルトレーナー」を習得させればさらに取得経験値がアップするので、レべリングする際は必ず覚えさせよう。

レべリングクエストは1章の難易度マニアックが簡単かつ経験値も大量にもらえるのでおすすめ

 今のところ無課金を貫いてプレイをしている。なので、いろんな悪魔を合体で作ってパーティを強化している。現状、現実的に考えて星4の悪魔を合体で作るのは中々難しいので、合体で作りやすい星3の中から使ってみておすすめの悪魔を紹介しよう。

 今でも我がパーティで一線級の活躍しているのが「ホルス」だ。ホルスの強みは「速」のパラメーターの高さ。本作はパーティの全員の速さの総合値が高いほうから先攻となる。「メガテン」は先攻が圧倒的に有利になっており、仮に敵からの先攻の場合、開幕で弱点を連続で突かれてしまうと、自分のターンが回ってきた時にはすでにパーティが壊滅状態なんてことも普通にある。ホルスを入れておけば大概の場合敵に先制を取られることがないので安全に戦える。それに加えて回復魔法のディアラマを持っているので回復役としても優秀だ。

 2体目は「ビャッコ」。電撃系魔法の威力をアップさせるスキル「電撃ブースター」を覚えているので、電撃魔法がかなり強力。物理攻撃力も高いのでMPが無い時でも活躍できる。そして3体目は「ドミニオン」。魔法攻撃力に特化しており、全体魔法のマハジオンガで敵を圧倒できる。そして最後は「マーメイド」。氷と風の2属性の魔法を持っているめずらしいタイプの悪魔だ。2つの属性を所持しているので、敵の弱点に合わせて臨機応変に戦うことができる。全体回復も持っているので、ホルスと一緒に組めば回復に困る心配もなくなる。

 この他にも星3でも強い悪魔はたくさんいる。レベルを最大まで成長させると「転生」ができるようになり、レアリティを上げることも可能。どんなにレアリティが低い悪魔も転生を重ねることで最大の星6までランクアップできる。レアリティを上げることでレベルの上限値の限界突破もされるので、仮に星1の悪魔を最強の悪魔にすることだってできるのだ。レアリティを上げる「転生」や強力なスキルを覚えさせる「継承」など、どんな悪魔でも限界にとらわれず、自由度の高い育成ができるのが本作で最も面白い部分だと思う。

 筆者はあまりアプリゲームというものをプレイしないのだが、本作は「メガテン」ということもあってかかなりハマった。「メガテン」補正が無くても、安っぽさのない高グラフィックスの映像や、課金でガチャを回さなくてもパーティを強化できるシステムなど、プレーヤーを引き込む要素がふんだんにある。

 筆者としては大満足な出来である「D2メガテン」だが、ここはちょっと……と思ったところが無いわけではない。やはり悪魔の入手関連になってしまうが、レアリティ星3までは合体に使うマグネタイトが十分に足りるのだが、星4になると30段飛ばしぐらいな勢いで必要なマグネタイトの量が莫大になるので、(筆者は問題ないが)普通の社会人にはなかなか厳しいものがある。

 この辺が多少でも緩和されればさらに敷居が下がって遊びやすくなるだろうと思う。セガゲームスは、悪魔の合体時に必要なマグネタイトの必要量緩和を検討しているということだから、待ちたいところだ。また、2月13日の14時59分まで、「マグネタイト大量獲得ミッション」などが実施されている。こういったミッションで稼いでいくのも良いだろう。

 あと、これは「メガテン」ファンとしての希望だが、やはり「メガテン」といえば主人公の選択肢で「ロウ」、「ニュートラル」、「カオス」の3つにルート分岐をするところもウリである。本作の選択肢はどれを選んでも特に物語上大きな変化はないので、今後のアップデートでさらに「メガテン」感を増してくれることを密かに期待している。

 現状、実装されていない悪魔もまだまだいるので、個人的にはこれからも長くプレイしていくつもりだ。また機会があればプレイレポートなども書いていきたい次第である。そして最後に……現状、4章の16話がどうしてもクリアできないので、強力な悪魔を持っている人は筆者とフレンド登録をして戦いを助けていただきたい! お願いします!!

手軽に合体で作れて強いと筆者が思ったのはこの4体。ホルスは転生をさせていまだに使っている
これが筆者の現状のパーティだ。もしフレンド登録をしてやってもいいよという方がいたら、コンゴトモヨロシク