先行体験

かつてのゲームセンターの興奮が詰まった珠玉のコレクション! 「カプコン ファイティング コレクション2」先行体験レポート

カプコンの名作タイトルが現代風に遊びやすくなって蘇る!!

【カプコン ファイティング コレクション2】

5月16日 発売予定

価格:
パッケージ版 5,489円(税込)
ダウンロード版 4,990円(税込)

 カプコンは、プレイステーション 4/Xbox One/Nintendo Switch/PC用対戦格闘ゲーム「カプコン ファイティング コレクション2」を5月16日に発売する。

 「カプコン ファイティング コレクション2」は、「カプコン ファイティング コレクション」、「MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics」に次ぐカプコンの格闘ゲームを中心としたコレクションタイトル。前作に当たる「カプコン ファイティング コレクション」は、「ヴァンパイア」シリーズをはじめとした90年代が中心のラインナップであったが、今作は「CAPCOM VS SNK」や「燃えろ!ジャスティス学園」などの2000年代のタイトルが中心となっており、計8タイトルの名作を収録している。今作ももちろん全タイトルでオンライン対戦が可能だ。

 当時プレイしている人には刺さること間違いなしの今作を、今回先行プレイで触ることができた。試遊できたのは「Capcom vs. SNK 2:Millionaire Fighting 2001(以下、CAPCOM VS SNK 2)」、「Street Fighter Zero 3 UPPER」、「燃えろ!ジャスティス学園」の3タイトル。各タイトルの紹介と、遊びやすさに手が加えられた本作ならではの要素をお届けしよう。

【『カプコン ファイティング コレクション2』 アナウンストレーラー】
【収録タイトル】

・「Capcom vs. SNK Millennium Fight 2000 PRO」(2000年)
・「Capcom vs. SNK 2: Millionaire Fighting 2001」(2001年)
・「Capcom Fighting Jam」(2004年)
・「Street Fighter Zero 3 UPPER」(2001年)
・「パワーストーン」(1999年)
・「パワーストーン2」(2000年)
・「燃えろ!ジャスティス学園」(2000年)
・「Star Gladiator 2: Nightmare of Bilstein」(1998年)


歴史的コラボ作品から、ややマイナータイトルまで取りそろえたアーケードゲーマー感涙の1本


「Capcom vs. SNK 2: Millionaire Fighting 2001」

 最初に紹介していくのは、格闘ゲームブームの時代に熾烈な争いを繰り広げていた2大メーカー、カプコンとSNKが手を組んだ夢のクロスオーバー作品「Capcom vs. SNK 2: Millionaire Fighting 2001」。本作は2000年にアーケードで稼働した「Capcom vs. SNK Millennium Fight 2000 PRO」の続編である。

 今の時代では、他社のキャラクターが登場するいわゆるコラボというものがそれほど珍しくもなくなったが、当時は「Street Fighter Zero」に「ファイナルファイト」のガイとソドムが参戦しただけでも驚いた時代だ。それがまさか、アーケードシーンではライバル関係にあったカプコンとSNKがコラボし、それぞれの人気キャラクター同士が拳を交えるという誰もが想像しなかった展開にすべての格ゲーマーを震撼させた。

 そんな1作目の「CAPCOM VS. SNK」から1年後、新キャラクターや新システムの追加、対戦バランスの調整でさらなる進化を遂げたのが「Capcom vs SNK 2」である。

 前作「CAPCOM VS. SNK」はモリガンやナコルルを除き、キャラクターのほとんどが「ストリートファイター」と「THE KING OF FIGHTERS」からの参戦となっていた。

 続編の「Capcom vs SNK 2」では作品の幅が広がり、カプコンサイドは「ファイナルファイト2」から「マキ」、「私立ジャスティス学園」から「恭介」などが。SNKサイドは「餓狼 MARK OF THE WOLFS」から「ロック・ハワード」、「幕末浪漫第二幕 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~」から「高嶺 響」など、かなり新鮮味のあるキャラクターたちが新たに参戦した。

カプコン、SNKの両サイドから、人気&マイナーキャラが新たに参戦した

 ゲームシステムも前作から大きく進化している。本シリーズには「レシオ」と呼ばれるキャラクターの強さを表す数値が存在し、レシオの合計値が4になるようにチームメンバーを選んでいく。

 前作ではキャラクターごとにレシオが固定されており、レシオが1に設定されているキャラクターは絶対的に性能が低いキャラとなっている。レシオ1にお気に入りのキャラがいたプレーヤーは少々残念な気持ちになっていた。

 しかし「Capcom vs SNK 2」では「フリーレシオシステム」を採用し、選択したキャラクターに自由にレシオを振り分けることができるようになった。1人のキャラクターにレシオを4つぎ込んで1キャラで戦うことや、レシオ2+1+1の3人チームを組むなど、自由度の高いキャラ選択が可能となった。

レシオを振り分けて最大3キャラでチームが組める

 各メーカー(タイトル)のゲームシステムで戦うことができる「グルーヴシステム」も本作の醍醐味。

 カプコンサイドとSNKサイドでそれぞれ3種類のグルーヴが用意されており、グルーヴによって操作システムがガラリと異なる。

 例を挙げるとカプコン系のグルーヴは前2回入力でダッシュ(ステップ)、SNK側は同様の操作でラン(走り)になり、他にも空中ガードや小ジャンプ、「ストリートファイターIII」のブロッキングや「サムライスピリッツ」の怒りゲージなど、様々な性能で対戦を楽しめるのが非常に面白い。

全6種類のグルーヴから選択が可能。両メーカーのゲームシステムを上手く落とし込んだシステムである

 今回久しぶりに本作をプレイしたが、キャラクターセレクト画面に並ぶ48キャラクターの錚々たる顔ぶれは今見てもテンションが上がる。

 筆者はカプコン格闘ゲームの中では「サイバーボッツ」と並んで5本の指に入るほど「ジャスティス学園」シリーズが大好きで、本作では恭介が使えたのはとても嬉しかった。

 元が3D格闘ゲームのキャラながら再現度が高く、スーパーコンボの「ファイナルシンフォニーRemix」では、同じ太陽学園のバツとひなたと一緒に合体技を繰り出すのだが、初めて見たときに感動したのを今でも覚えている。

両メーカーの人気キャラクターがこれほど集結してワクワクしない訳がない
「ジャスティス学園」のキャラクターが初の2D化。主人公のバツではなく恭介というチョイスも渋い
個人的神作「サイバーボッツ」は前作「カプコン ファイティング コレクション」に収録されているので、こちらもぜひ遊んでもらいたい

 カプコンとSNKのキャラで自分だけの夢のオールスターチームを組んで遊べるというのは本作ならでは。アーケード版では使用できなかった「殺意の波動に目覚めたリュウ」、「ツキノヨルニオロチノチニクルフイオリ」、「神人豪鬼」、「ゴッドルガール」も使用可能となっており、まさに完全版ともいえる内容になっている。

 アーケード版では前転キャンセルで発動した技に無敵が付与されてしまうというバグが発見されたためゲームバランスが大きく変わってしまったが、本作では修正されたバージョンにも切り替えることが可能になっており、メーカーが意図していたバランスで純粋に楽しむことができるのは嬉しいところだ。


「Street Fighter Zero 3 UPPER」

 続いては「Street Fighter Zero 3 UPPER」を紹介していこう。

 本作はタイトルの通り「Zero 3」のアッパーバージョンで、無印のアーケード版ではいなかった「ストリートファイターII」の人気キャラクター「ガイル」、「フェイロン」、「T・ホーク」、「ディージェイ」が追加されているのが特徴。

アーケード版の最終バージョンだけあり、無印版と比べてキャラクターが大幅に増えている
「ストリートファイターII」の人気キャラが復活したのも熱かった

 前作には無かった「イズムシステム」が導入されており、選択したイズムによってキャラクターの通常技や必殺技などが変化するという面白いシステムだ。

 「スーパーストリートファイターII X」をベースにした「X-ISM」。「Street Fighter Zero 2」をベースにした「Z-ISM」。スーパーコンボの代わりにオリジナルコンボが使用できる「V-ISM」の3つから選択できる。

 難易度は高いがオリジナルコンボがかなり強力で、上級者同士の対戦ではV-ISM一択という空気もあったが、当時ライトに遊んでいた筆者は、バランスのZ-ISMと火力のX-ISMでよくプレイしていた。

「イズム」によってまるで別ゲーのように操作感がガラリと変わるのが当時は衝撃を受けた

 ゲームバランスが良いとはいえないが、「ZERO」シリーズ3作目ともあってプレイアブルキャラクター数の充実さや、システム周りの洗練さは文句無し。

 無印版稼働から2年後に稼働したバージョンアップ版ということもあり、正直ゲームセンターではそれほど注目されておらずあまり対戦の機会が無いタイトルだったので、オンライン対戦ができるのが今から楽しみである。


「燃えろ!ジャスティス学園」

 最後に紹介するタイトルは「燃えろ!ジャスティス学園」。アーケードでは「ジャスティス学園」シリーズの2作目にあたる。少年漫画のような熱いノリと世界観、そしてギャグ漫画のようなネタ全開なキャラクターたちが活躍するかなり濃い作風のゲームである。

暑苦しいほど熱血なノリが本作の魅力
肩に世紀末的なアーマーを付けている国語教師。何故か波動拳や昇竜拳的な必殺技を習得している
常に海水パンツ姿で生活をしている水泳部。個性の強いキャラクターが揃っている

 先でも少し触れたが、本作は当時のカプコンの格闘ゲームではめずらしい3D対戦格闘ゲームで、3人のキャラクターでチームを組んで戦うシステムとなっている。

 本作の特徴は、なんといっても直感操作でキャラクターを気持ち良く動かせられる点だ。「ストリートファイター」シリーズのような目押しなどは一切いらず、弱攻撃→強攻撃→方向キー入れ強攻撃→必殺技といったような熱血コンボを流れるように繰り出すことができるのだ。

ボタンを連続で押すだけで攻撃が繋がり、スマートにコンボを叩き込めるのが非常に気持ちいい

 相手を上空に打ち上げて、「VS」シリーズさながらのハイジャンプで空中コンボを叩き込むエアバーストなど、爽快なコンボが簡単にできるのが最大の魅力で、プレイしていて“俺って格ゲー上手いんじゃね?”という気持ちにさせてくれる。

一見難しい事をしていそうな空中コンボもとても簡単

 キャラクター3人によるチームゲーながら、相手チーム全員を倒すまで戦うのではなく、2ラウンド先取で勝敗が決まるオーソドックスなルール。負けたキャラも次のラウンドでまた使うこともできる「Capcom Fighting Jam」と同じスタイルである。

 では、チーム戦の意味はどこにあるかというと、本作にはチームメンバーとの強力な合体技「愛と友情のツープラトン」や「正義と勇気のスリープラトン」が存在する。相手に大ダメージを与えたり、体力回復や大技を繰り出すのに必要な根性ゲージを回復させるなど、メンバーによって様々な効果が発動する。合体技の効果でメンバーを選ぶか、純粋にキャラの強さ(使いやすさ)で選ぶか、そういった部分も本作の魅力である。

ラウンド終了時にメンバーをチェンジして戦うことができる
合体技はカッコいいものからシュールなものまで様々
今作からは相手のツープラトンを止める「ツープラトン返し」が追加され、攻防に深みが増した

 “格闘ゲームは対人戦がすべて”となりがちだが、本シリーズは1人プレイ用のストーリーモードも熱い。しかも、ストーリーはただの一本道ではなく、対戦で特定の条件を満たすとルートが分岐してストーリー展開が変化するという力の入れ具合。裏で仲間たちの友情を破壊し、教師らを手駒にして日本制圧を目論む暗黒生徒会との戦いはぜひ見てもらいたい。

チームメンバーが固定されているストーリーモードと、メンバーを自由に編成できるフリーモードの2種類が楽しめる
アーケードの格闘ゲームには珍しい、しっかりとしたストーリーが用意されている
ルート分岐でその後の展開や使用できるキャラクターが変化するなど、1つのストーリーを何度も遊べる仕様となっている


ワンボタン必殺技、充実のトレーニングモード、クイックセーブ機能など遊びやすさが現代的に進化!

 本作は過去のタイトルにオンライン対戦機能を付けただけではなく、さまざまな部分がユーザーフレンドリーな設計となって遊びやすくなっている。

 まず、格闘ゲーム初心者が一番最初にぶち当たる壁、それが必殺技コマンド。始めたての頃は複雑なコマンドを入力するだけでも四苦八苦するのに、ましてや相手が飛んだのを見て瞬時に対空技や、コンボの締めでスーパーコンボを決めるなど、対戦になるまで仕上げるのは正直かなりの練習が必要だ。

 これを見ただけで敬遠してしまう人も少なくないと思うが、本作はそんな人も安心してもらいたい。「ストリートファイター6(以下、スト6)」で初心者が格ゲー勢と互角に戦える「モダンシステム」を生み出したカプコンらしく、本作でもそのモダンのノウハウが十二分に活かされている。モダンでお馴染みの「ワンボタン必殺技」機能が本作にも実装されており、好きなボタンに必殺技や超必殺技を設定することができる。

 「スト6」のモダンよりも優れている点があり、モダン操作は前入力+必殺技で昇龍拳、下入力+SA(超必殺技)ボタンでSA3など、簡易入力ながら方向キーとボタンの組み合わせで任意の必殺技が出せる設計なので、慣れるまで出す技を間違えるということも結構起こったりする。しかし本作の場合は完全にボタン1つで出すことが可能だ。

 それも「必殺技」、「超必殺技」のようなざっくりとした括りでなく、全キャラクターの全必殺技を細かく選んで設定できるというとんでもない仕様になっている。なので、格闘ゲーム経験者でも、対空技だけはワンボタンに設定をするといったように、「スト6」ではできなかったモダンとクラシックのハイブリッドのような遊び方もできるのだ。

すべての必殺技をワンボタン設定できるのはかなり親切な設計
複雑なコマンドの必殺技もサクッと繰り出せる
「スト6」のモダンと大きく違う点は、ボタンを押した瞬間に即座に必殺技が出るのではなく、手動で入力する際と同じ挙動(真空波動コマンドならカクカク屈伸した後)をしてから技が発動する

 ワンボタン必殺技で初心者でも遊びやすいという空気になった直後に、また敬遠したくなるようなことに触れていって恐縮なのだが、格闘ゲームが上達するにはコンボの精度を上げたり、自キャラや相手キャラの技性能を確認するためにトレーニングモードは必須である。練習いらずでワンボタンで必殺技が出せる話をしていて、下の根も乾かぬうちに練習の話である。

 そんな格ゲーにとって重要なトレーニングモードだが、当時のアーケード版にトレーニングモードなど無いのはもちろんのこと、コンシューマ版であっても昔のゲームはそれほど機能は充実していなかった。

 しかし本作のトレーニングモードは現代の格闘ゲームに近いメニューの充実さで、相手となるダミーの設定は当たり前で、攻撃データの表示やキーディスプレイの表示、さらにヒットボックスの表示やオンライン対戦時の練習用にあえて遅延を付けることまでもできるのだ。

 当時アーケードでCPU相手に練習していた身としては至れり尽くせりの設計。快適過ぎて正直一日中トレーニングモードに籠っていられるほどだ。

充実のトレーニング機能。特にヒットボックス表示がかなり便利で、相手の攻撃判定などが一目で分かる

 地味に便利な機能と思えたのはクイックセーブ機能。これはどの場面でも好きなタイミングでセーブすることが可能。

 一見それほど使い道もなさそうに思えるが、ソロプレイでストーリーを見たいプレーヤーにとっては結構活躍しそうで、最後のボス戦まで行った状態をセーブしておけば、最初からプレイをしなくても使用キャラクターを変えてボスだけ倒せば楽にエンディングを見ることができる。

 特に「燃えろ!ジャスティス学園」はストーリーが分岐する設計のため、分岐ポイントでセーブを作っておけば手間が掛からずに両方のルートを見ることができる。ストーリーを追っているプレーヤーにはぜひ活用してもらいたい。

セーブとロード機能を活用すれば、ストーリーのために周回プレイする際などにかなり役に立つ

 収録タイトルの中から今回は名作3タイトルをプレイし、今プレイしても古臭さを感じず色褪せない楽しさを再確認することができた。

 今回遊んだタイトル以外にも、宇宙を舞台に武器で戦う3D格闘ゲームの「Star Gladiator 2:Nightmare of Bilstein」や、4人によるバトルロワイヤルが熱い「パワーストーン2」など、名作タイトルが他にも多数収録されている。

 当時夢中になっていた人はもちろん、「スト6」から格闘ゲームの面白さを知った人もぜひプレイしてもらいたい1本である。