先行体験

「マーベル vs カプコン ファイティングコレクション」先行体験レポート。モダン操作も新たに搭載! 過去の名作たちを楽しめる

【MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics】

2024年 発売予定

価格:
パッケージ版 6,589円(税込)
ダウンロード版 5,990円(税込)

 カプコンは、プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC用対戦格闘ゲーム「MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics」を2024年に発売する。

 本作はマーベル・コミックで知られる人気ヒーローたちと、カプコンの「ストリートファイター」のキャラクターがクロスオーバーした格闘ゲーム「MARVEL vs. CAPCOM」シリーズをはじめとした計7タイトルを収録した作品。

 「ウルヴァリン」を筆頭とした「X-MEN」シリーズの格闘ゲーム「X-Men:Children of the Atom」、マーベル・コミックのヒーローたちを題材にする「Marvel Super Heroes」といった作品に加え、ベルトフロア・アクションゲーム「The Punisher」を現行のコンシューマーゲーム機でプレイすることができる。もちろん、プレイステーション 5でもプレイ可能だ。

 今回はカプコンがメディア向けに実施した先行体験会に参加し、ひと足早く過去の名作たちを体験してきたので、早速試遊レポートをお届けしていく。本稿では「Marvel Vs. Capcom 2: New Age of Heroes」「X-Men Vs. Street Fighter」「X-Men:Children of the Atom」の3作品を取り扱う。

【『MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics』アナウンストレーラー】

懐かしさに浸れるカプコンの名作格ゲーがまた楽しめる。シリーズの進化を噛み締められるコレクションに

 いきなり個人的な思い出話で恐縮だが、筆者は幼少期のころ母親に連れて行ってもらった、場所すら思い出せない商店街のゲームコーナーで、アーケード筐体版の「MARVEL VS. CAPCOM」をプレイした記憶がぼんやり残っている(恐らく1作目)。それは確か小学校に上がる前だった気がするが、この手で筐体にお金を入れて、後ろのベンチからそっと見守る母親を前に、ガチャガチャと忙しくプレイしていたのを今でも覚えている。決まって選んでいたキャラクターは「スパイダーマン」に登場するヴィラン、ヴェノムであった。

 それ以来、当時は名前もよく分からなかった「MARVEL vs. CAPCOM」を、“黒くて悪いスパイダーマンが使える格ゲー”といった程度の認識に意図せず留まり、中学校に上がる頃までは全くもってゲームの存在を忘却していたのである。どんなゲームなのかを知識として知ったのは、中学時代に友人宅でたまたま遊んだプレイステーション 3の「MARVEL VS. CAPCOM 2: New Age of Heroes」ダウンロード版を遊んだときだった。

 その歳にもなると、カプコンの「ストリートファイター」、「バイオハザード」、「ロックマン」シリーズには触れていたし、2008年頃に公開された映画「アイアンマン」の公開時期とその話題性も重なって、「MARVEL vs. CAPCOM」がクロスオーバー作品として如何に衝撃的なものであったかを数年越しに思い知る。今回試遊させてもらった際、あの頃の生き生きとしたヴェノムを再び目にすることができた筆者は、いわゆる“懐か死”するような心持ちにあった。

 さて、些末な懐古エピソードはさておき、本作「MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics」に収録されているのは、「MARVEL vs. CAPCOM」シリーズ1作目と2作目となっている。また、それらシリーズの前身とでも言うべき「X-Men Vs. Street Fighter」、「Marvel Super Heroes Vs. Street Fighter」をはじめ、「X-Men:Children of the Atom」や「Marvel Super Heroes」、ベルトフロア・アクションゲーム「The Punisher」も収録されているので、時代の遍歴を辿りながら楽しむことができる。

 また、格闘ゲームタイトルはオンライン対戦が可能で、カジュアルマッチ、ランクマッチ、カスタムマッチが搭載されている。「The Punisher」はオンライン共闘と観戦が可能だ。そのほか、ギャラリーやサウンド、ハイスコアチャレンジといったコンテンツもある。

 試遊会の中では、手始めに「MARVEL VS. CAPCOM 2: New Age of Heroes」をプレイした。本作は、控えキャラクター2体を含めての「3on3」なチームバトルが醍醐味となっている。総勢56名のプレイアブルキャラクターの中から3人一組でチームを編成し、状況に応じて操作キャラクターを交代したり、控えパートナーからのアシストだったりと、キャラクターの組み合わせ次第で多彩な戦略を実現可能。さらに、敵を打ち上げて連続攻撃を叩き込める要素「エリアルレイヴ」を皮切りに、各種攻撃アプローチを満遍なく駆使して爽快な空中コンボを繋げられる。

 続いて紹介する「X-Men Vs. Street Fighter」は、シリーズの礎を築いたとも言えるクロスオーバー作品の原型だ。「2on2」のチームバトル方式を採用し、後のシリーズでもそうした流れが受け継がれるようになってきた。

 「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズに比べれば「X-MEN」と「ストリートファイター」のローカルなクロスオーバーではあるものの、ウルヴァリンとリュウが肩を並べて同時に必殺技を繰り出す演出は、国を飛び越えたクロスオーバー作品らしいお祭り感がある。

 今作をプレイしたのは初めてだったが、上述した「MARVEL VS. CAPCOM 2: New Age of Heroes」よりもシンプルな立ち回り方になりやすい。パートナー交代でコンボを繋げる攻め姿勢の格闘ゲームというよりは、相性の悪さや体力の減り具合を顧みて、交代による戦局の仕切り直しが可能な立ち回り重視の格闘ゲームといったところだ。

 ゲームが稼働した時期は1996年9月であり、緻密なドットパターンでキャラクターイラストを表現する技巧に、今見ても美しさを感じ取れる。中でも洗練されてほとんど完成形と言えるのは先ほどの「MARVEL VS. CAPCOM 2: New Age of Heroes」の方だろうが、こういったビジュアル部分が進化していく様子にもぜひ注目してもらいたい。

 最後に触れた「X-Men:Children of the Atom」は、そのタイトルから察せられる通り「X-MEN」を題材にした格闘ゲームだ。「ストリートファイターII」で形になったスタンダードな格闘ゲームの基本システムを踏襲し、「X-MEN」の世界観におけるミュータントの戦いとして落とし込んでいる。

 こちらも今回初めてプレイするに至ったタイトルであったが、高所まで瞬間的に飛び上がれる「スーパージャンプ」、ゲージを消費して自己強化の「Xパワー」と強力な必殺技が繰り出せる「ハイパーX」を使い分けるシステムなど、独自の毛色を持ちつつも、後に続くシリーズの土台になったのを感じられた。パートナー交代のシステムもなく、オーソドックスに1vs1の読み合いベースな対戦がシンプルで奥深い。

 稼働時期は1994年12月と、アーケード版「ストリートファイターII」が登場したおよそ3年後の時期となる。当時リアルタイムに本作をプレイしていたプレイヤーたちは、30年に及ぶ長い時を経てどのような気持ちを抱くのだろうか。

どのタイトルもワンボタン必殺技やトレーニングモードで現代の格闘ゲーマーたちに触りやすくなった

 本作では「ストリートファイター6」が新規プレイヤー参入のハードルを大きく下げる主要因になり得た「モダン操作」も新たに取り入れている。

 「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズは、格闘ゲームの中でもコンボゲーと呼ばれるジャンル。今までライトユーザーにとって、ただでさえ複雑なコマンド入力を前提としてきた格闘ゲームにコンボの概念が強まり、そこに最大で2、3人分のキャラクター操作を覚えなくてはならないのは中々に骨が折れるところ。

 それは、モダン操作によって新規の格闘ゲーマーたちが勃興している昨今から見ても、マーベルのスーパーヒーローと、カプコンの人気キャラが織りなすキャッチーさに、実際のゲームプレイハードルが追いついていないと言える。ゆえに、1つのボタンとレバー入力の組み合わせだけで手軽に必殺技が繰り出せる操作方法は、本シリーズを多くのプレイヤーに触ってもらえる十分な機会だ。

 収録されているいずれのタイトルで、各種攻撃ボタンがコントローラーに割りあてられた通常の操作タイプ、トリガーボタンに必殺技をあてたモダンな操作タイプ、キーコンフィグ的にキャラクターが持つ個別の必殺技をボタンごとに設定できるカスタム操作など、ゲームを遊ぶプレイヤーが自分の環境に合わせて適時変更できる。

 学生時代、上手くその場に相応しい技を繰り出せず、パンチ&キックと時折レバガチャで発動できたヴェノムの必殺技も、試遊会の中ではボタンとレバー入力の方向を意識するだけで難なく出せてしまえた。ここまでプレイハードルが下がれば、あとは立ち回り方やコンボ、相性の良いパートナーを研究すれば良い。「出したい技が上手く出せないから……」と、今まで「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズを遠ざけてきたユーザーたちにとっても、比較的取っ付きやすくなったはずである。

 ほかにもキーの入力表示やヒットボックス、ダメージ数表示などが見やすい「トレーニングモード」、アーケード版で稼働していた時期に筐体に据え付けられていた、当時の操作説明書きが記されるインストラクションカードや、アーケード版当時の雰囲気を再現する画面フィルター機能なども備わっている。

 かつてプレイしていたユーザーには昔懐かしく、ハードルの高さを感じて中々触れられなかったユーザーには遊びやすくなった。筆者はここ数年、格闘ゲーム自体をあまり遊んでいなかったのだが、今回の試遊で久しぶりに格闘ゲームが持つ読み合う面白さを体感できた。いわゆる“昇竜拳コマンド”の出せないプレイヤーではないが、ワンボタン必殺技の登場で、操作ミスをそこまで気にしなくて良いのはやはり大きい。正直、久しぶりに格闘ゲームデビューを飾ろうかと、アーケードコントローラーをポチる寸前でもある。

 収録されているタイトルはいずれもオンラインプレイに対応しているし、昔とは異なって今なら自宅でいつでも対戦できる時代だ。格闘ゲームの大衆化が進みゆく時代の最中、カプコンとマーベルが練り上げた格闘ゲームの名作たちを、再び手に取るまたとない機会ではないだろうか。