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SCEI、プレイステーション 4の冷却設計について公開
豊富な図解と数値で、騒音などについても言及
(2014/1/16 20:22)
ソニー・コンピュータエンタテインメントは1月16日、リード エグジビション ジャパン主催による展示会「第43回 インターネプコン ジャパン -エレクトロニクス 製造・実装技術展-」の「設計・開発 特別セミナー」において、プレイステーション 4の冷却設計についての講演を行なった。
発表を担当したのは鳳 康宏氏で、プレイステーション 2から開発に関わり、PSX、プレイステーション 3などの開発を手がけ、現在は据え置き機のメカ設計チームを統括している。
プレゼンテーションは、第1世代のPS2の設計から始まり、PS3、PS4の冷却に関する設計思想、さらには製造風景の写真なども公開された。鳳氏によれば、設計するときに単純な熱効率だけでなく、大量生産性、組立てやすいかどうかといったこと、材料が入手しやすいかも重要な要素のひとつだという。シュリンクするときもヒートパイプの本数を減らしたり、ヒートシンクの成型しやすくするといった工夫も行なわれている。また、クーラーなどで開発された技術などをうまく参考にしながら、空気の動きを作り出していく。
PS3の初期型において電源を内蔵した理由としては、電源を分離すると電源にファンをつける必要があり、埃のことを考えると「ファンをつける勇気はない(鳳氏談)」と言うことから、電源を内蔵するようにしているという。
PS4の冷却システムについては、PS3を踏襲しながら機内エアフローを最適化している。フロントとサイドの溝の上下から吸気し、排気はリア側に集中。リアは排気とコネクタ類しか配置されていない。また細かいところでは、ファンを台形にすることでノイズの低減を実現したり、ファンのモーターにはPS3では単相モーターが使われていたが、高価な部材だが三相モーターを使用することで電磁ノイズを低減するなど様々な工夫がされている。
ファンの制御についてはハードとソフトの両面から管理されており、PS4では新たに排気温度センサーを搭載し、APUの温度と排気の温度の両方の値からより厳しい方の値を採用し、ファン制御を行なう方式を採用している。
数値的に見ると、PS4の使用空気1リットルあたりの熱輸送量は、PS3の初期型程度と言うことで、APUの性能などから考えると優秀な値となっている。騒音値で言えば、ゲームプレイ時はPS3の初期モデルを下回り、PS3の現在のモデルと同等、メニュー画面で言えばPS3 の現在のモデル以下となっている。