Take-Two、異色のミリタリーFPS「Spec Ops: The Line」をプレイアブル出展

「GTAV」は出展見送り。シューティングRPG「Borderlands 2」やFiraxis版「XCOM」などが公開


6月5日~7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 Take-Two Interactiveは、今年も2K Gamesのタイトルをメインに出展していた。期待されたRockstar Gamesの最新作「Grand Theft Auto V」は出展されず、またE3直前に発売延期が発表となった2K Gamesの大型タイトル「Bioshock Infinite」の出展も行なわれなかったため、役者不足の印象は否めなかったが、Take-Twoらしい濃いめのラインナップでE3の来場者にアピールしていた。本稿では、日本でも8月30日に発売が決定している「Spec Ops: The Line」を筆頭に、Gearboxの人気シューティングRPG最新作「Borderlands 2」、そして子会社Firaxis Gamesが開発している「XCOM: Enemy Unknown」を紹介しよう。



■ 砂嵐に呑み込まれた近未来のドバイを舞台にした異色のミリタリーFPS「Spec Ops: The Line」

「Spec Ops: The Line」出展コーナー
CO-OPモードでは乱戦が起きやすいデザインになっている

 2010年の発表から2年。ようやく日本発売も決定した「Spec Ops: The Line(スペックオプス:ザ・ライン)」だが、昨年11月に取材した時点ではマルチプレイはモード一切謎に包まれていた。E3 2012では、CO-OPモードを体験することができ、マルチプレイモードの概要が明らかになった。

 「Spec Ops: The Line」モードは、DLC形式での配信を予定しており、4本の配信を予定。価格は無料。今回のそのうちの1本をプレイすることができた。プレーヤーはデルタフォースの一員として、ドバイのとある施設の奥にいるという33部隊の部隊長を援軍が到着する前に倒すというもの。昨年11月にレポートしたシングルプレイキャンペーンのように、重いモラルを問われることもなく、サクサク遊ぶことができる。プレーヤーに戦場での正義を問い続ける「Spec Ops: The Line」における息抜き的なモードと考えていいようだ。

 スタイルとしては「Army of Two」のようにバディを組んで死角を補い合いながら施設の奥へ奥へと進んでいく。1人が倒されてもう1人が助けに行くことで復活が可能で、ビギナーでも遊びやすい。

 印象的だったのは、このゲームのウリにもなっている砂嵐がプレイ中に到来し、画面内を覆い尽くしてしまうことだ。視界がまったく遮られてしまい、一時的に休戦状態となってしまう。もちろん、これを好機として進んでもいい。こうした独自のギミックはCO-OPモードの各所に盛り込んでいるという。

 「Spec Ops: The Line」では、マルチプレイはCO-OP以外にも、デスマッチやゾーンベースの陣取り合戦など3タイプの対戦モードを収録しているという。煌びやかなドバイを、砂嵐で覆い、反乱軍の拠点として描いた「Spec Ops: The Line」。ある意味、舞台設定の勝利とも言えそうだが、「Call of Duty」スタイルの王道路線以外を望んでいるFPSファンにお勧めしたいタイトルだ。

【「Spec Ops: The Line」キャンペーンSS】

【「Spec Ops: The Line」キャンペーンSS】



■ あの大人気カートゥーンFPS&RPGがパワーアップして帰って来た! 「Borderlands 2」

「Borderlands 2」出展コーナー
「Borderlands 2」プロデューサーのMatt Charles氏
グラフィックスはUnreal Engine 3.0の最新バージョンによってさらに美しくなっている

 昨年「Duke Nukem Forever」で世間を騒がせた(!?)Gearbox Softwareの代表作といえば「Borderlands(ボーダーランズ)」だ。こちらも難産で開発に何年も掛かったタイトルだが、カートゥーンレンダリングのグラフィックスと、ほぼ無限のバリエーションを備えた武器を探し出すというトレジャーハンティング要素、そしてストーリードリブンのRPG要素が高い評価を受け、大ヒットを記録した。

 日本では、日本語版がXbox 360のみで先行発売されたり、のちにリリースされた「ボーダーランズGOTYエディション」がXbox360版の発売が中止されるなど、ゲーム以外の部分でのトラブルが相次ぎまともなビジネスにならなかった模様だが、それだけにシリーズ最新作である「Borderlands 2」はしっかり日本のゲームファンにもアピールしていきたい考えのようだ。海外では2012年9月のリリースが予定されており、日本でも9月21日の発売を予定している。

 「Borderlands」は、FPSスタイルで展開される「Diablo」と考えるとわかりやすい。1人でも楽しめるし、仲間がいればもっと楽しい。クエストクリアを目指しながら、実は強力なレアアイテムのドロップを目指している。武器には2つとして同じものはないと言えるぐらいのバリエーションがあり、追加効果も実に多彩。自分だけのオリジナルキャラクターとストーリーを楽しむことができる。

 今回は、CO-OPでミッションにチャレンジできたほか、プロデューサーのMatt Charles氏に作品の魅力を聞くことができた。CO-OPは、正直なところ、語ることは多くない。最新版のUnreal Engine 3.0によるよりパワーアップしたカートゥーングラフィックス、より強化されたキャラクター性、そしてレアアイテムが出るかどうかワクワクするアイテムドロップ要素。近年まれに見る“手堅いFPS”だからだ。唯一、グラフィックスに相当の癖があるため、日本のユーザーはここがネックかも知れないが、ここが受け入れられさえすれば、このゲームは絶対におもしろい。

 Charles氏によれば、本作でもっとも力を入れているのはストーリーだという。ゲームとしてのベースの部分には自信を持っているということで、よりゲームを長く、深く楽しんで貰うためにストーリーの充実を図ったという。ちなみにゲームモードは、今回も最大4人までのCO-OPモード1本のみと、非常に割り切ったつくりとなっている。

 前作は1700万通りほどの武器のバリエーションがあったというが、今作でも同じかそれを上回るほどのバリエーションを用意するつもりだという。現在、いくつかわからないのは、すべて武器の仕様を作り直しているためで、さらに現在鋭意、種類やフレーバーを追加しているという。

 武器の種類については総数は不明ということだが、弾速が非常に速かったり、リロードする価値のない使い捨ての武器などを用意しているという。ユニークな武器としては、トリガーを引けば引くほど狙いが正確になるというものもあるという。この発想の自由さが人気の秘密なのは間違いない。ちなみにレア武器の入手方法は、「Borderlands」におけるボスモンスター「BADASS」を倒すことで、これまで通り、ザコ敵がいきなりレアアイテムをドロップすることもあるよいう。

 先述したようにゲームモードは、1~4人で楽しめるキャンペーンのみとなるが、ドロップアイテムの所有権について口論になった場合に使えるというデュエル機能がある。これは双方が合意することで1対1のPvPが楽しめる機能で、街中でもどこでも、2人のみが入れるバリアが張られ、その中でバトルを行なうことができる。この勝ち負けによって何かの強制力やデスペナルティが発生するわけではないということだが、「じゃあ勝った方が取るということで」という現実世界の裁定方法をゲーム内でできるのは嬉しいところだ。

 ゲームの完成度はすでに非常に高く、安心して遊ぶことができた。冒頭でも触れたように、前作は日本市場では残念な結果に終わっているが、それだけに今作が正常な形で発売されることを望みたい。

【「Borderlands 2」デュエルモード】
突如スタートしたデュエル。わすか10秒ほどで片が付いた。ペナルティはないということなので、獲得したレアアイテムの効果を試すのに使えそうな機能だ

【「Borderlands 2」スクリーンショット】


【XCOM: Enemy Unknown】
Take-Twoの子会社Firaxis Gamesが開発しているストラテジースタイルの「XCOM: Enemy Unknown」。1999年にリリースされた「X-COM: UFO Defence」をモチーフにしているというが、2K Marinが開発しているFPS版「XCOM」とは別のゲームとなる。Firaxis版はオリジナルと同じストラテジーゲームで、一種のリバイバル的な作品となっている。すべてのキャラクターは個性と独自の能力を持ち、「ファイアーエムブレム」シリーズのように1度死ぬと生き返らないという。欧米では10月9日発売予定で、日本での発売は未定

(C) 2012 Take-Two Interactive Software, Inc.

(2012年 6月 9日)

[Reported by 中村聖司]