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E3で衝撃デビューを遂げたPS4「Horizon Zero Dawn」ついに日本上陸!
「Fallout」でも「モンハン」でもない、謎めいた“ポストポストアポカリプス”ゲーム
(2015/9/20 00:00)
PlayStation VRで盛り上がるPS4だが、ノンVR系のAAAタイトルも見逃せないタイトルが目白押しだ。そのうちのひとつ「Horizon Zero Dawn」は、SCEワールドワイドスタジオが擁する有力デベロッパーのひとつGuerrilla Gamesが手がける最新作だ。代表作「KILLZONE」シリーズで培ってきた開発ノウハウを注ぎ込み、満を持して新規IPに乗り出す。今回、東京ゲームショウに合わせてGuerrilla Gamesの開発者インタビューが実施されたので、開発の進捗も踏まえ、ゲームの魅力をお伝えしたい。
舞台設定は「KILLZONE」シリーズと同様に未来。とはいえ近未来では無く、人類が滅んでから数千年が経過した超未来。プロデューサーのMark Norris氏はこれを“ポストポストアポカリプス”という独特の表現で説明し、“人類崩壊後のさらに後”を舞台にしていることを強調した。
ポストアポカリプスというと、「Fallout」や「The Last of Us」的な風景を想像してしまうが、それらのタイトルはいずれも生活の土台を、過去の文明の遺物に依存しているが、「Horizon Zero Dawn」は過去の文明との繋がりは完全に1度途切れており、自然に守られながら原始時代的な生活を行なう少女ALOYを主人公に物語は進行していく。
本作のもっとも強烈なアクセントとなっているのはALOYの敵となる“マシーン”たちだ。大自然には、まるで原始時代のように、大小の恐竜たちが闊歩しているが、それらはすべて“機械化”されている。ロボットの恐竜たちだ。Guerrilla Gamesではこれを“マシーン”と呼んでおり、何故、自然動物たちが機械化されているのか、どこからどのような理由でやってきたのかはすべて謎で、それを解き明かすのが本作の目的となる。
ゲームの基本的な枠組みは、「Skyrim」や「Witcher 3」のような大自然を舞台にしたオープンワールドになっていて、「目の前に広がる風景はすべて実際に行くことができ、行くべき価値のある要素を盛り込んでいる」と、オープンワールドのゲームでは必ず聞くセリフが繰り返されていた。つまり、Guerrilla Gamesが「KILLZONE」の次にやりたかったゲームとはオープンワールドだったわけだ。そのオープンワールドの世界観の上に、「KILLZONE」で培ってきたダイナミックなバトルを組み込むというのだからおもしろくならないわけがない。
今回のプレゼンでは、E3とほぼ同等のデモが実施されたが、バージョンは格段に進化しており、グラフィックスはさらに美しくなり、より手触りが感じられる内容になっていた。グラフィックスはまだ調整中ということだが、1080pの30fpsで動作していた。
E3からのもっとも大きな変化は、UIが表示されていたことだ。同社では発表以降、UIをどうするかについて議論を重ねてきたという、MMORPGのようにあらゆる情報をゴテゴテに載せるべきなのか、それとも「Dead Space」のようにグラフィックス上にUIをシームレスに埋め込み、洗練されたUIシステムを採用すべきなのか。
Guerrilla Gamesが最終的に選択したのは、“必要最小限だけ見せる”というものだ。たとえば、画面上部に表示されているのがコンパス。「Skyrim」のそれと似た使い勝手で、クエストが発生する方角や次の目的地を知ることができる。そのすぐ下にあるのが、ステルスアクションとして欠かせないステルスインジケーター。この表示により、敵に対してALOYがどの程度隠れられているのかがわかる。
右上にあるのが経験値バー。MAXまで行けばレベルアップする。左下がヘルスバー、こちらはゲームに馴染むように単なるバーではなくビジュアル化されており、最初は美しいオレンジ色だが、ダメージを受けると徐々に赤くなっていく。最後に右下に表示されているのが武器画面で、現在選択している武器が表示され、中央に呼び出すことにより武器や矢の切り替えができる。本作のUIは以上ですべてとなる。
Norris氏が基本説明を終えると、ALOYが崖を滑り降り、デモがスタートした。手に携えた武器は正確性がウリの弓“プレシジョンボウ”で、3種類の矢を所持している。目の前には一定周期で索敵活動に勤しむ斥候ロボットがいて、視界に入らないように草陰に隠れ、やりすごしたところで後ろから近づき、斥候の脇腹にナイフを突き立てて倒した。
マシーンを倒すと、「Skyrim」のようにアイテムをルートできる。ただし、肉や皮ではなく、メタルスクラップやフレームオイルといったマシーンを構成するパーツの一部が回収できる。これらパーツを組み合わせて新たな武器や防具を作ったり、街で売ったり交換することができる。ちなみに、「Horizon Zero Dawn」は、「Skyrim」にあるようなバックパックの重量制限はなく、いかにも重そうで巨大なパーツをいくつも持ち歩くことができる。また、クラフティングもその場で瞬時に可能で、素材さえあれば、戦闘の最中ですらサクッと作れるなど、いわゆるRPG的な要素はかなり簡略化されているという印象を受けた。
その分「Horizon Zero Dawn」が徹底的にこだわっているのはアクションだ。デモでは、攻撃すると驚いて逃走する草食系(?)のマシーンを相手に、罠を掛け一網打尽にするシーンが実演された。特殊な矢を使って逃げ道を防ぐように罠を張り巡らせ、最後に爆発性の弓矢を岩場に撃ち込みんで、トラップエリアに誘い込み、10匹程度のマシーンを一気になぎ倒していた。
これら群れて生息するマシーンには、αと呼ばれるレアマシーンが存在し、通常種よりも強力になっている。そうした強力な個体に対しては、「Bioshock」におけるビッグダディのように、戦う前に周到に罠を張り巡らせて戦うのがセオリーとなる。
その後、見上げるほど巨大なマシーンも登場した。高さは10メートルほど、アニメーションは271、ポリゴン数は53万、ビジュアルエフェクトは5,000以上、そしてルートできるパーツは71種類にも及ぶという。まさにレイドボスといった存在感だ。
この巨大マシーンは、突進のような攻撃を避けるだけで精一杯で、弓矢だけではどうにもならなそうだが、こうした巨大かつ強力なマシーンに対しても、頭を使うことで十分に立ち向かうことができるという。マシーンには大小関わらず、必ず弱点が存在し、それはアーマーの影に、筋肉のような形で表面に現われている。今回登場した巨大なマシーンは、足の裏が弱点になっていて、そこに攻撃をたたき込むことで効率的にダメージを与えられる。
巨大ボスとの戦いは、一目散に逃げたり、横っ飛びで交わしたり、弱点を突いたりなどなど、まさに「モンスターハンター」的なスリリングなバトルが展開される。このような緊張感のあるバトルを見せられると、MMORPGのレイドバトルや、「モンハン」のように複数人で協力して戦いたくなる。デモ終了後、マルチプレイ要素について質問すると、Norris氏は「その気持ちは非常によく分かる。世界中で同じ質問をされているから、共通の希望なのは理解しているが、それだけに『そうではない』と答えてガッカリさせるのが辛い」と残念そうに答えてくれた。
マルチプレイ体験をカットしてまで伝えたいものとはなんなのかというと「シングルプレイ専用なのは理由がある。『Witcher』がゲラルドの物語であるように、このゲームでもALOYの物語を伝えたいと思っている。プレーヤーには“ほかの誰か”になってほしくなく、ALOYとの強い絆を感じて欲しいと考えている」と答えてくれた。つまり、このゲームの主題は、モンスターハントやアイテムギャザリングではなく、ストーリーテリングだというわけだ。ALOYはハンターとして描かれるが、マシーンをハントして終わりではなく、彼女がマシーンをハントする理由は、世界の謎を解くため、というわけである。
Norris氏はさらに話を続けた。「もうひとつの理由は、この世界は、非常に危険なものとして表現したい。そのためにはマシーンは、常に火力、サイズ、そして数が人間より多くあるべきであり、他の誰かが入ってくることで、危険な感じや緊張感が減ってしまうことを避けたかった。ただ、何らかの形でのマルチプレイは考えている。詳細はまだお伝えできないが」と、何らかの形でフレンドと共に楽しめる仕様を盛り込む考えを明らかにしてくれた。
このゲームには、ストーリーの基点となる複数の部族が存在し、文明度の異なる様々な人間たちがALOYを待ち構えているという。Norris氏は「Horizon」という言葉をタイトルに使った理由として、「“地平線”という言葉は、必ずしも手に入れられるとは限らないものに手を伸ばしているという印象があって、容易には掴めないが、そこには約束や希望がある。ゲーム化に際して60のアイデアが検討され、これが我々が選んだもの。そしてこれが開発が一番難しいと考えられていたものだ」と語り、ゲームにストーリーテリングを求める多くのゲームファンにとって待望のゲームになることを約束してくれた。
今回のプレゼンで、「Horizon Zero Dawn」は、「The Last of Us」や「アンチャーテッド」シリーズに勝るとも劣らない革新的で、ストーリー性の高い、良質なアクションゲームになるという確信に近い手応えを持った。発売時期は2016年を予定。来年のE3が楽しみだ。