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「Civ:BE」拡張パック「Rising Tide」では大海原を開拓できる!

広がる戦略性、刷新された外交要素についてゲームデザイナーに直撃

6月16日~18日開催

会場:Los Angeles Convention Center

本作が大きくフィーチャーされていた2K Gamesのブース

 今秋発売予定の「Civilization: Beyond Earth - Rising Tide」のゲーム情報が、このE3で明らかになった。

 本作は、昨年秋に発売された文明建設シムシリーズ最新作「Civilization: Beyond Earth(以下『Civ:BE』)」の拡張パックだ。未知の惑星に進出した人類の新たな文明史を描く壮大なターンベースシミュレーションゲームに、大幅なゲームプレイ上の改善と拡張を加えるものだ。

 本作最大のポイントは、「Rising Tide(湧き上がる潮流)」というタイトルが示す通り、「海」が開拓の対象となることだ。具体的には、海洋タイルに都市を建設できるようになるほか、海上・海中にあるアーティファクトを探索するという楽しみも増える。これに合わせて海洋ユニットの大幅な追加も行なわれる。

 それに加えて本作では外交要素が完全に刷新されたことも大きなポイントだ。ベース作品の「Civilization V」の仕様を引きずっていた「Civ:BE」の外交を1から見直し、様々な外交オプションが追加。和戦両面での関係構築に幅広い戦略性が生まれているという。

 本稿では、本作のゲームデザインを担当したFiraxis GamesのリードデザイナーWill Miller氏と、同じくリードデザイナーのDavid McDonough氏へのインタビューを通じ、本作の姿を明らかにしていこう。

本作で建設可能となった海上都市
新文明アル・ファラー。冷凍睡眠の恩恵を受けずに宇宙船で世代を重ね、独自の文化を築いている

移動する海洋都市、成長する指導者。軍事、外交上の新たな戦略性を提供!

リードデザイナーWill Miller氏(左)、David McDonough氏(右)。2人一緒に本作のゲームデザインを担当している

──この拡張パックでは、前作のどのような点を改良しようと考えたのでしょうか?

David McDonough氏:ベースとなった「Civ:BE」はシリーズで初めてSFの世界となったことで、非常に多くのポテンシャルがありました。「Rising Tide」では、基本の要素は生かしつつ、そこでやりきれなかったことを中心に、単にゲームを改良するのではなく、全く新しい体験を加えることを重視して開発しています。それにより、SFの文明ゲームとしてさらに魅力的な内容になりました。

──今作では海洋を活かしたプレイがフィーチャーされていますが、その心は?

Will Miller氏:海を開拓の対象とするアイディアそのものは、かなり昔から持っていました。しかし、地球上の歴史をテーマとする従来の「Civ」シリーズでは、世界背景的にどうしても実現することができないでいました。しかし「Civ:BE」のSF世界なら、違和感なくこの要素を取り入れることができます。

 例えば、本作の海上都市は、マップ上を動くことができるんです。それによる新たな戦略、プレイスタイルが成立しますし、また、海洋で見つかる新たな資源、アーティファクト、新たな海洋生物、それに対抗する海軍など、素晴らしい要素を多数取り入れることができ、本作のゲーム性にぴったりとフィットさせることができました。

──都市が移動すると言いましたね?

移動する海洋都市が新たな戦略オプションを提供すると語るMcDonough氏

David McDonough氏:そうです。地上の都市とはメカニズムが異なる点があります。例えば、地上の都市は文化圏を拡張することで領土を大きく広げることができますが、海上都市は都市に隣り合うタイルしか領土に含むことができません。そのかわり、都市を移動させることで、異なる土地を獲得できるようになっているのです。海を横断させれば、別大陸のプレーヤーの領土を侵食することもできます。

 あるいは、海上都市を戦争の道具に使うこともできます。相手の文明近くに都市を移動させ、周囲を海軍ユニットで固めて攻めこむことで、優位に戦争を展開できます。海上都市にはこれまでにない様々な戦略的活用法があるんです。とても楽しいですよ。

──移動はどのくらいのスピードですか?

David McDonough氏:すごく遅いです。移動にはある種の生産が必要で、移動に必要なパワーを得るため数ターンが必要となります。そのための生産コストは都市が大きくなるほど高くなるため、優先的に生産力を高めて移動を速くするか、それともその生産力で軍事ユニットを作ったほうが良い場合もありますし、面白いトレードオフになっています。

──生産を通じて移動するなら、それを金銭で購入(緊急生産)することで高速移動も可能ですか?

David McDonough氏:可能ですが、非常に高価なので、相当お金持ちの文明でもすぐに破産してしまうでしょうね(笑)。ですから、基本的には生産力を高めるほうが良い戦略となります。

──いわば移動要塞としての活用も可能であると。

David McDonough氏:その通りです。地上の都市と同じく、都市による爆撃能力を持っている上、非常に頑丈すから、同行する海軍の仕事もやりやすくなります。ただし移動が非常に遅いので、先を読んだ長期的な戦略が必要になるでしょう。おおむね、1タイルの移動に5~6ターンはかかりますからね。

──外交要素の刷新も目玉のひとつとなっていますが、特にどのあたりが変わったのでしょうか?

David McDonough氏:完全に新しくなっています。ベースの「Civ:BE」には、「Civ5」から引き継いだシステムを搭載していましたが、それを完全に取り去り、全く新しいシステムを導入しました。

 新しい外交システムでは3つの大要素があります。ひとつは、文明の指導者の個性をプレーヤー自身が育てられる、ということです。指導者には最大で4つのトレイト(特性)を加えることができ、それによって様々なボーナスを得ることができます。また、ライバル文明のリーダーのトレイトを見ることで、その文明が何を重視しているかを見透かすことも可能です。

 2つ目の要素は、AIの思考、AIがプレーヤーをどう思うか、という部分です。プレーヤーの行なった行動、なぜその行動を行なったかによって、AIのプレーヤーに対する態度が様々に変化していきます。それによってAIのふるまいはぐっと人間のプレーヤーに近いものになりました。

 3つ目の要素は、外交取引によって非常に強力な条約を結ぶことができるようになったことです。以前は外交で扱えなかった様々な文明のパワーを、取引材料にすることができます。これについては交易に関するトレイトも影響を及ぼすため、指導者のトレイトシステムと、外交取引の戦略は密接に関わってくることになります。

 これらの要素のさらなる詳細についてはまだ話すことができませんが、非常にシンプルでありながら効果的であることは間違いありません。詳しくは近いうちに明らかにしていこうと考えています。

Miller氏は本作のAIの出来栄えに自信を見せていた

──AIは前作に比べて大幅に進化したと見ていいですか?

Will Miller氏:その通りです。私達は常に、新しいゲーム要素も含め、人間がプレイするようにAIが振る舞えるよう力を注いでいます。その点で特に「Civ: BE」が発売された後の蓄積に大きなものがありました。

──「Civ4: Beyond the Sword」のような傑作に仕上がることを期待しています。最後に、シリーズのファンにメッセージをお願いします。

David McDonough氏:ファンの皆さんに感謝しています。新しい拡張パック「Rising Tide」では、これまで以上の楽しさと危険、面白さを体験していただけるはずです。

Will Miller氏:「Rising Tide」は本当に面白い自信作です。私達はいつでも皆さんが実際に遊んでどう思ったか、そのご意見をお聞きしたいと思っています。ぜひ、ご感想を日本の2Kスタッフに伝えてください。

──ありがとうございました。

海洋プレイの拡張により、沿岸都市の重要性も高まった。新たな海軍ユニット、海洋生物がどのような能力を持つかも楽しみだ

(佐藤カフジ)