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祝発売! 「グランド・セフト・オートV」ファーストインプレッション
突っ走るマイケル、追うフランクリン、キレっぱなしのトレバーの明日はどっちだ!?
(2013/10/10 00:00)
ついに「グランド・セフト・オートV(GTAV)」が日本でも発売された。体験レポートで語ったとおり、本作はファンの期待を超える作品になっている。多くの海外ゲームファンが待ち望んだ日がついにやってきたのである。今回は特にストーリーにフォーカスして語っていきたい。
何度も繰り返し紹介してきたように「GTAV」の主人公は1人ではない。マイケル、フランクリン、トレバーという個性豊かな3人の主人公が登場する。1人でもまさに主役級の活躍をする彼らだが、彼らが1つのグループとなり、共に行動し始めた時に果たして何が起こるのか。この3人の主人公達が織りなす濃厚なストーリーは、「GTAV」最大級の注目ポイントと言っても過言ではない。
「GTAV」のマイケルは“悠々自適の人物”というこれまでのシリーズの常識を覆す人物である。見方によれば、犯罪から足を洗って財産を持っているというのは、これまでの主人公の“エンディング後の姿”とも言える。こんな人物が再び過激な犯罪に手を染めていくところに面白さがある。
フランクリンはこれまでの主人公と同じような“持たざる者”である。そんな彼がマイケルという“先輩”を持つという展開もこれまでなかった。いきなりプロの強盗チームに放り込まれた“ルーキー”である彼はどんな道を歩んでいくのだろうか
そしてトレバーだ。彼が本当に他の主人公に合流できるかも注目ポイントだ。彼の破滅的な行動は、いつでも警官に蜂の巣にされて終わるようにしか見えないのに、そのたびに彼は生きて帰ってきてしまう。トレバーは、ストーリーそのものすら破壊しかねないキャラクターだ。3人のキャラクターがどのようなストーリーを織りなしていくのか、注目して欲しい。
アホな友、チンケな雇い主……。最悪な環境の中でフランクリンが出した答えは“犯罪”
「わかってねえな、俺達は泥棒じゃねえ」とフランクリンの友達のラマーは言う。しかし、フランクリンに言わせれば、泥棒でしかない上に、詐欺だ。フランクリンはラマーと共に雇い主シミオンに言われるまま車やバイクをかっぱらっている。シミオンは購入者がとても買えそうにない高級外車を売りつけ、少しでも支払いが滞ったらその車を強引に回収するという詐欺商売を行なっているのだ。
「GTAV」はこのフランクリンの車泥棒(グランド・セフト・オート)から始まる。最初のミッションでは、プレーヤーはフランクリンとしてスーパーカーを盗んでロスサントスを走り回ることになる。プレーヤーにとってスーパーカーで街を流すというのはなかなか愉しい体験だが、フランクリンにとっては「ケチな仕事」でしかない。フランクリンは何かデカいことをやりたいと思っている。しかしそのチャンスを見つけられずにいる。
フランクリンの初期ミッションではスラム地域の犯罪模様が描かれる。貧困層の住人がストリートギャングを気取り、拳銃片手に争い続けるというロスサントスの貧困地帯の“日常”がそこにはある。フランクリンが住んでいる地域は、ラマーの飼い犬を“散歩”させる時にたっぷり見ることができる。ボロボロの家が連なる、歩いているだけで気が滅入ってくるような地域だ。
フランクリンはムショから出てきたオッサンギャングの助っ人にラマーと共にかり出されることもある。その時は、結局取引にだまされて、敵対ギャングとドンパチを繰り広げ、さらに警官にまで追われてしまう。こんな日常を繰り返していく中で、ラマーはすっかりストリートギャング気取りでいきがっているが、フランクリンは違う。「こんな環境から俺は絶対脱出してやる!」とフランクリンが強く思っていることをプレーヤーは知るのである。
ラマーのバカっぽい感じや、差別主義者丸出しのシミオン、ホモネタにマジギレするオッサンギャングや、ひたすら他人に下品な言葉をかける敵対ギャング達……フランクリンの周りのキャラクターは、“最下層”と呼ぶにふさわしい、ガラの悪い連中として皮肉と悪意を持って描き出されている。確かにかなり誇張されている感じではあるが、独特のリアリティを感じさせるのも確かなのだ。貧困が生む、アメリカが抱える闇を感じさせる描写なのである。
だからこそプレーヤーは、フランクリンの「絶対、絶対成り上がってやる!」という意識に共感できる。「GTA」シリーズが繰り返し描いてきた、犯罪すら辞さないむき出しの上昇志向をフランクリンは持っている。これまでのファンにとって、最も感情移入できる主人公だと言えるだろう。