PS3/Xbox 360ゲームレビュー

グランド・セフト・オートV

3人のキャラクターを切り替えることで“厚み”を実現させたゲームシステム

3人のキャラクターを切り替えることで“厚み”を実現させたゲームシステム

中盤からは3人でのミッションが多くなる
ボードに計画を貼り付けてプランを選択する
海底調査のために、潜水艇を奪う。準備のためのミッションも楽しい
切り替えた瞬間いざこざ。トレバーはプレーヤーにとっても油断できない

 3人の主人公が揃ってからは3人でミッションに当たることが多くなる。「GTAV」では3人のキャラクターをスイッチできるところが楽しい。スイッチの仕方は十字キーの下を押しながら右アナログスティックで選択することで切り替えられる。お互いをカバーしたり、前衛と後衛で役割をわけたりする。

 味方がピンチだったり有効な位置にいる場合は切り替えウィンドウが点滅する。この時キャラクターを切り替えることで有利に戦える。また味方の1人が攻撃されている時に敵の後ろに回り込むのも有効だった。「GTAV」では早い段階からグレネードランチャーやロケットランチャーを持てる。それぞれが重武装できるので、かなりの火力だ。この火力を活用することで、これまでの作品と比べて戦闘の難易度は下がっていると感じた。

 3人はそれぞれ特殊能力を持っており、ゲージが続く限り使用できる。マイケルは使用中敵の速度が遅くなる「スローモーション」が使える。フランクリンは運転時に使用できる「スローモーション」で、曲がりきれない急カーブなどで有効だ。トレバーは「激怒」というスキルで、使用中は敵へのダメージが2倍、受けるダメージは半分になる。トレバーのミッションでは序盤から1人で暴走族の集団と撃ち合ったり、敵のアジトに乗り込んだりするので、特殊スキルはとても頼もしかった。

 体験レポートで紹介した強盗ミッションは3人の連携がフルに活かされる場所だ。トレバーが潜水艇に乗り、フランクリンがヘリでそれをつり上げるといったように複数の乗り物を駆使する事も少なくない。複数の乗り物が協力するのは特撮番組のようで面白かった。強盗ミッションは筆者が想像したほど多くなかったが、調査、立案、プラン選択、仲間の選択と手順を踏むのが楽しかった。

 強盗ミッションは2つのプランが提示され、それぞれの準備ミッションも発生する。「GTAV」ではミッションのやり直しができるのだが、リプレイモードでは選択した以外のミッションはプレイできないのだ。このため強盗ミッションの他のプランでのゲーム展開を見るには直前のセーブデータを使うか、ニューゲームを選び直すしかない。メンバーによっても展開が変わってくるので強盗ミッションのリプレイはもう少し使いやすくして欲しいと感じた。

 3人の主人公はいつもは別々な場所でそれぞれの生き方をしている。キャラクターをスイッチするとカメラが上空からのものに代わり、衛星写真のような所までズームアウトしてから、スイッチしたキャラクターの視点へと変わる。この時直前まで“何か”をしていた演出が楽しい。フランクリンは「もうお互い会わない方が良い」といった感じの思わせぶりのセリフをいったり、マイケルがカフェで自嘲しながら独白をしていたりする。

 このキャラクタースイッチでもトレバーの狂気は絶好調だ。牛小屋や公園、高級リゾート地や死体がそこらにあるところで、ブリーフ1枚で寝ていたり、ゴミ箱をあさっていたりする。ストリートミュージシャンやジムで身体を鍛えている人にいきなり喧嘩をふっかけて、プレーヤーは否応なしに戦わなくてはいけない羽目にも陥る。何があったか誰かを拷問していたり、本当にやりたい放題のキャラクターで、スタッフがいかにトレバーを愛しているか伝わってくる。……かなり歪んだ愛情だとも思うが。

【キャラクタースイッチが生むゲーム性】
トレバーが操縦するヘリからマイケルがロープでビルへ潜入。フランクリンは援護を担当する
マイケルがヘリに、トレバーは潜水艇で海底調査。フランクリンはヘリの銃座に座る
マイケルが撃った飛行機をトレバーが追跡
トレバーが拷問で得た情報で、マイケルがターゲットを消す
切り替える度にぎょっとさせられるトレバー
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(勝田哲也)