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LenovoのゲーミングPC参入の狙いを聞く

ラインナップを松竹梅で拡充へ。夏頃に新モデルを投入予定

ラインナップを松竹梅で拡充へ。夏頃に新モデルを投入予定

「バイオハザード6」とタイアップ展開。発表会ではプロデューサーの平林良章氏が自らプレイした

――次はErazerブランドの展開について伺います。Erazerブランドの展開は、欧州と中国に続いて日本が3番目ということでしたが、ご存じのとおり日本はコンシューマーゲームが強い市場です。そこにゲーミングPCで切り込んでいくというのは、どういう判断からでしょうか?

藤井氏:LenovoにゲーミングPCがありませんでしたので、Lenovoの製品を使っていただいたユーザー様が、ゲーミングPCを買おうと思った時に他社の製品を買うという選択をせざるを得ないのが問題でした。それを選択できるという、当たり前の環境を整えたかったというのがスタートです。ですから、これを月に何千台も売るぞという意気込みで出したわけではなく、あくまでラインナップに加えてユーザー様のニーズに答えられるようにしたいというのが1番です。

 また今回、「バイオハザード6」でカプコンさんとタイアップさせていただきましたが、ゲーミングPCで大きな発表会を開くことで、ゲーム市場自体を活性化させたいということをカプコンさんとお話しさせていただきました。ある意味、メーカーが手と手を取り合って、各社がゲームに注力して盛り上げていかないと、国内ではどんどんPCゲームがなくなってしまうような危機感を持って、あえてそういった取り組みをしたいと思っています。

――今後はどういう展開を考えていますか?

藤井氏:現状は1機種を出しただけですので、まずラインナップを拡充したいと思っています。デスクトップであれば、松竹梅といった感じでラインナップを増やしたいところです。その中で、このPCであれば「バイオハザード6」が遊べる、といった説明で1モデルごとに色付けをして、ゲームを全くやったことがない方にどんどんリーチしていきたいと考えています。

――Lenovoのロイヤルユーザーから新たなPCゲームのプレーヤーを開拓する、というイメージなのですね。

藤井氏:そういう意味で言いますと、この下のモデルを計画しています。筐体が一回り小さく、似たようなデザインのものを夏頃に出そうと計画しています。例えば水冷ユニットを載せなかったり、CPUやビデオカードも一段安いものにしたりして、トータルのバランスが取れて、なおかつ安い金額のものを出そうと考えています。こういったモデルは新規のユーザー様向けのものです。「Erazer X700」はLenovoを今まで使っていただいていた方でゲーミングPCが欲しい方、さらに上のハイスペックのモデルは今1番いいものを欲しい方に、という3パターンくらいに分けて提案したいと思っています。

――上のモデルはどのくらいのスペックになるイメージでしょうか?

藤井氏:まだ決めかねてはいますが、「Erazer X700」はストレージがHDDでしたので、SSDでRaidを組めるようなものを考えています。ビデオカードはその時1番いいものですね。Radeonシリーズも選択肢に入ってきます。電源も1,000Wを超えるものを選んで、ハイスペックなものを検討しています。

――「バイオハザード6」などのゲーム推奨PCとしての展開は、日本でもショップブランドではよく行なわれています。この辺りへの展開はいかがですか?

藤井氏:今回なぜカプコンさんだったのかというのは、「バイオハザード6」の発売のタイミングとマッチしたというのが大きくあります。カプコンさんと話をしたところ、「ショップブランド系で認証を取りたいというところはあるけれど、Lenovoのような名の通ったPCメーカーにタイアップを求められることはこれまでなかったので、ぜひ一緒にやりたい」というお返事をいただき、コラボをさせていただきました。ですのでオンラインゲームなど他のタイトルでも、このモデルでこのゲームは遊べますよといった形でうまく色付けができれば、今後も推進していきたいです。

――この先も大型のMMORPGが登場予定だったりと、新作はまだまだありますよね。

藤井氏:そういったところとも話はしたいと思っています。ただ、1つのモデルであれもこれもできますという形にならないようにはしようと考えています。1つのゲームで、この筐体であれば遊べるという形で、ユーザー様にわかりやすく伝えられればと思っています。

――松竹梅のモデルに加えて、中身をカスタマイズするという手もありえると思いますが、その辺りの取り組みはいかがですか?

藤井氏:弊社にもカスタマイズのインフラがないわけではないのですが、国内で短納期で製造して、それを展開するというまでの体制は、このモデルに関しては取れていません。事前に我々の方でリサーチしたものを3モデルほど製品化するというのが、現状できる手かなと思っています。できればCTO(custom-to-order)もやりたいのですが、ボリューム次第ですね。どのモデルにオーダーが入るかわからないという中で対応しなければいけないとなると、部材のストックなどを考慮して、現状のビジネス規模では難しいところです。

――ノートPCの今後のラインナップはいかがでしょうか?

藤井氏:Yシリーズの後継が、おそらく夏前に発表できると思いますので、そちらをご期待ください。あとErazerブランドにもノートPCがあります。Yシリーズでゲームの認証を取って、売り上げを作ってという中で、Erazerブランドを日本向けにカスタマイズしたものを展開することも検討の余地があると思っています。ゲームをどこでも遊びたいというニーズがかなり大きくなってきていると聞いていますので、ノートPCもゲーミング市場にとってキーになっていることは弊社でも十分理解しています。

新参者と言いながらも、この夏に向けての展開を期待させた藤井氏

――では最後に、読者様に向けてのメッセージをお願いします。

藤井氏:なにぶん我々は新参者で、「LenovoがゲーミングPCを出せるの?」という声も多くいただいています。一発屋や賑やかしで終わらないように、製品も拡充したいと思っています。今回はブランドを浸透させるため汎用的な構成を選択しました。これからはローエンド、ハイエンドもご提供し、ユーザー様のニーズに合ったものを幅広く展開していきますのでご期待ください。

――これは独り言になりますが……LenovoさんでゲーミングPCというなら、ThinkPadでゲーミングPCが欲しいですね。

藤井氏:ThinkPadブランドの魔力みたいなものはあるので、それを使えたらいいですね(笑)。ここは我々もかなり議論しているところです。ThinkPadは日本開発ですが、Lenovoは中国で成長してきた会社なので、Lenovoのオリジナリティを出す製品で世界を席巻していきたいという気持ちがあります。我々もいいとこ取りができればいいと考えているところで、日本と中国の両方を見られる立場にいる我々が、ThinkPadのいいところを中国にフィードバックし、日本仕様をどんどん盛り込めるようにしていきたいと思います。Lenovoブランドもようやく世界基準の製品が出せるようになったので、一歩一歩、着実に出していきたいと思います。

――いろいろ期待しております。ありがとうございました。

(石田賀津男)