マイクロソフト、「Alan Wake」先行体験&インタビュー
光と闇、現実と悪夢が交錯するアクションサイコスリラー


4月15日収録


 マイクロソフト株式会社は4月15日、東京・代田橋オフィスにてXbox 360「Alan Wake」の先行体験会を開催した。「Alan Wake」は5月27日に発売予定のアクションアドベンチャー。7,140円の通常版の他、特典を同梱した限定版「Alan Wake リミテッド エディション」を9,999本限定で同時発売する。こちらの価格は8,190円。

 体験会には本作を開発した米Remedy Entertainmentのマネージング ディレクターMatias Myllyrinne氏が出席し、デモンストレーションと質疑応答に応じてくれた。本稿では体験できたゲーム序盤の展開とプレイ感、Myllyrinne氏のコメントを紹介していきたい。

 「Alan Wake」では現実か架空世界かわからない世界をさまよう感覚、じわじわと足を上ってくるかのような恐怖と、闇の存在に操られた者達とのバトルを体験できる。深い物語性と恐怖、そしてアクション性を持った魅力的な作品である。

 本作は日本語字幕、日本語音声の他に、英語音声、英語字幕も収録されている。Xbox 360本体の設定を日本語から英語に切り替えると、英語音声、英語字幕に切り替えることができるという。




■ 作品世界に取り込まれたのか? 失踪した妻を捜し、アランは闇の中へ進む

作品の魅力を語る米Remedy Entertainmentのマネージング ディレクターMatias Myllyrinne氏。
主人公アラン ウェイク。スランプ中のベストセラー作家で、作品世界とも悪夢ともつかない世界に飲み込まれていく
美しいアメリカ北西部の自然と古びたコテージ。ここでアランの妻アリスは謎の失踪をしてしまう

 「Alan Wake」は主人公である作家アラン・ウェイクがスランプに陥った心を休めるために訪れた湖の畔にある小さな町で、妻の失踪をきっかけに「闇の存在」ともいうべき邪悪な意志との戦いに巻き込まれていく。アランの行く先々には次の作品として書くはずだった小説「ディパーチャー」のページが落ちており、そこに書かれている通りに事件が起きていく。

 これは現実なのか、それとも自らの小説世界に取り込まれたのか、はたまた醒めない悪夢の世界なのか。アランが感じている焦燥がプレーヤーの心も浸食していく。突然映るテレビモニターに「妻はいるはずだ、妻を見つけるためにも作品を書かなくては」と必死にタイプライターを叩くアランの姿が映ったり、2重3重にプレーヤーの“認識”を混乱させる仕掛けが面白い。

 「Alan Wake」は海外TVドラマシリーズを意識しており、ストーリーは「エピソード」という単位に区切られている。今回はエピソード1全部と、エピソード4の一部分を体験することができた。エピソード1はアランの“ナイトメア(悪夢)”からはじまる。夢の中でアランは妻の元へ急ぎ車を走らせているのだが、道に飛び出してきた男を轢いてしまう。しかし次の瞬間男は消え失せ、さらに斧を持ってアランを追いかけてくる。

 夢だからこその理不尽さだが、男は自らを「アランの小説の登場人物」と名乗り、作り手であるアランに復讐しようとする。このとき、アランに救いの手が現われる。それはまばゆいばかりの光の存在で、その存在が渡してくれた「懐中電灯」と「拳銃」でアランは闇の存在に立ち向かっていく。この悪夢は“チュートリアル”となっていて、プレーヤーとアランはここで闇の存在と戦う技術を身につけていくのだ。

 闇の存在に取り憑かれた人々は、身体の周りを黒い靄が覆っている。アランは前方に常に懐中電灯を構えており、取り憑かれた人物に光を当てると、身体の表面が光に焼かれたかのようになる。ここでLT(左トリガー)を引くと懐中電灯は強い光を発し、闇に覆われた人は顔を覆って苦しみ出す。一定時間光を当てると爆発したかのように闇がはじけ飛ぶ。“闇のバリア”を消し去った敵にRT(右トリガー)で銃弾をたたき込むと、敵にダメージを与えられ、倒された敵は消滅してしまう。

 LTでの懐中電灯のライト攻撃はバッテリーを消費してしまい、浴びせ続けるとバッテリーが切れてしまう。バッテリーはLTを離すと徐々に回復するが、予備のバッテリーを持っている場合は連続して光を浴びせられる。敵に囲まれた場合はバッテリーの回復を待つよりもストックを消費してピンチを逃れる方が安全だ。このバッテリーの駆け引きもゲームの重要なポイントだ。

 発煙筒や閃光手榴弾など強力な光を発する武器はそれだけで敵を消滅させてしまう。これらはRBで投げることができる。RBボタンを押し続けることで発煙筒を手に持つことができ、近付く敵をまとめて倒すことも可能だ。武器の切り換えは十字キー。アランは敵の攻撃を喰らうとダメージを受けるが、電灯の下など光のある場所で体力が回復できる。サーチライトを動かし敵に浴びせかけるなど、オブジェクトを利用した攻撃もできる。

 戦い方を学んだところでアランは目覚める。車を載せる小さなフェリーでたどり着いたところはアメリカ北西部にある小さな町「ブライトフォールズ」。お祭りを2週間後に控えているものの、いまは落ち着いた静かな町だ。アランは妻のアリスと共にスランプで沈んだ心を休めるためにこの街へ来た。彼はベストセラー作家だが、スランプに陥りもう2年も新作が書けなくなっていたのだ。有名人である彼に出会いはしゃぐ人達にうんざりするアラン。予約していた町から外れたコテージにアリスと向かう。

 美しい風景と落ち着いた雰囲気、たっぷり休めそうだと思ったとき、アリスが彼を呼ぶ。アリスは彼にタイプライターを見せる。「ここなら落ち着いて創作できるでしょう?」。作品を書けない苛立ちで、アランは妻にきつく当たってしまう。家から出ていらいらを紛らわす彼に妻の悲鳴が聞こえる。アリスは闇を極度に恐れるところがあった、家に戻ったアランは窓枠が割られ、揺れる湖面を見る。妻が湖に落ちてしまった!? アランはためらわず湖面に向かってダイブする。


チュートリアルを挟んだオープニングシーン。スランプで疲れた頭と心を休めるために訪れた町で、アランは「闇の存在」が待ち受ける世界をさまようことになる
光と銃を組み合わせ、闇の存在が操る敵と戦う。右は信号弾を発射する銃。強力な光は闇の存在を撃退する

闇の存在は生き物だけでなく、無機物を操って襲いかかってくることも

 と、次の瞬間アランは自分が車の中にいるのを自覚する。あれからどうなったかの記憶がないが、妻を捜し求めているのだけは覚えている。車は道をズレ林の中に突っ込んで止まっていて、衝突のショックでアランも頭から血を流している。車は完全に動かず、少し離れたところにドライブインが見える。アランは光に向かって歩き出す。と、アランは足下に紙の切れ端があるのを発見する。「ディパーチャー:アラン ウェイク著」、ディパーチャーとは次にアランが書こうと思っていたタイトルだ。

 アランは道をたどりながらいくつもの紙面を発見する。それは「闇の存在」に襲われる主人公を描いた小説で、その通りの状況に自分が立たされているのを知る。夢なのか、小説の世界なのか、現実なのかわからないまま、アランは闇を徘徊する。そして彼の行く手を阻むように、闇の存在に操られた人間達が彼を襲ってくる。アランは懐中電灯で敵をひるませ、手に持つ銃で敵を撃退しながら進む。

 材木場でパズルを解いたり、姿を消して高速で襲いかかってくる新しい能力を持った敵と戦って、ガソリンスタンドにたどり着く。そこで保安官と出会うことになるが、とても起こったことを話せない。事故にあったことだけを説明するのだが、保安官はアランに衝撃の事実を告げる。アランがいたはずの、妻が失踪したコテージは存在しないのだ。確かにコテージがあった場所の湖面をアランが呆然と見つめて、エピソード1は終了する。

 この後、エピソード4の1シーンを体験できた。アランの原稿を出版者に売り込むバリーと共に、農場に何故か設置されているロックコンサートのステージで四方から襲いかかってくる闇の存在に操られる人々と戦うのだ。バリーはライトをステージ上で浴びせかけ援護してくれる。アランはライトとショットガン、閃光手榴弾に発煙筒というフル装備で立ち向かう。この場面は戦闘要素が全面に出ており、襲いかかる敵をなぎ倒す戦いを体験できた。流れるBGMもバリバリのロックで怖い状況ながらも、明るいノリが楽しかった。

 今回体験できたのはここまでだが、じわじわと締め付けられるような恐怖感と、現実が崩壊していく不安、闇の中を進む心細さなど、ホラーゲームとしての面白さを持っていると感じた。それとともに、場面によってはたっぷり戦える。いくつもの武器と、プレイテクニックを駆使して絶望的な状況を打破していく、アクションゲームの楽しさも持っていると感じた。とにかくストーリーの先が気になる、早くしっかりとプレイしたいと強く思った。

 本作の魅力の中でも特にグラフィックスの美しさは強調したい。美しく静かなブライトフォールズの町、何かが潜んでいそうなコテージ、闇に不気味に沈む夜の森、深い霧とそこから現われる闇の存在。リアルと非現実が交錯していく世界と、闇と光のコントラスト。また闇の存在は住人を操るだけでなく、竜巻のように無機物なども動かしてアランを襲う。リアルなグラフィックスだからこそ非現実な状況が一層怖くなる。この独得の世界観は、ぜひ体験してもらいたい。


静かで美しい町が悪夢の世界へ。バリーは味方として、そしてコメディーリリーフとしても活躍する

光と闇、自然の表現が美しいグラフィックス。リアルと幻想が交錯する作品世界を絶妙に表現している



■ ダウンロードコンテンツも制作中、ナイトメアモードでは人物達の裏舞台も明らかに

Myllyrinne氏はビジネス業務の責任者だが、ゲームに関する質問にも細かく回答してくれた

 体験プレイの後、Matias Myllyrinne氏に話を聞くことができた。「Alan Wake」は2004年から技術研究を始め、2005年から開発を開始、完成に実に5年もかかっている。最も苦労したところはやはりゲームデザインだ。ストーリーテリングとゲーム性の融合。ゲームの間にストーリーがあるのではなく、ゲームプレイの中にいかにきちんとストーリーを盛り込み、プレーヤーをのめり込ませるかに苦心したという。

 もう1つ突き詰めたのが「光を使った戦い」だ。銃だけでなく、アランの持つライトが重要な役割を果たす。またサーチライトを使ったり、閃光手榴弾など光を効果的に使った戦いを盛り込んだ。また、2009年のE3で発表したバージョンから取り入れたのが「自由の女神効果」と呼ばれるアクティブカメラだ。

 敵が近寄ったときカメラが引いて敵の位置をプレーヤーに知らせたり、発煙筒を使ったときに効果範囲までカメラの範囲が広がったり、敵の攻撃をギリギリで交わすときカメラがぐるりと回り込んだりする。敵と自分、アクションの面白さを強調するカメラ演出を加えたとMyllyrinne氏は語る。

 ゲームのクリアまでのプレイ時間は10~15時間だという。探索するプレーヤーと早解きを目指すプレーヤーのプレイ時間は変わる。小説のページ他、コレクション要素はたくさんある。小説のページは100ページあり、戦闘も状況により変化する。また、難易度は「ノーマル」、「ハード」、「ナイトメア」が用意されていて、ナイトメアでしか手に入らない特別なページがあり、特別なページには「実は彼女は彼とつきあっていた」というような、より世界を詳細に知ることができる情報が書かれている。

 ゲーム性においては、「きついけれど楽しめる」というバランスを目指して作られている。ゲーム内にはプレーヤーのバランスを判定するギミックが盛り込まれており、ミスを繰り返すプレーヤーに対してはゲームをやさしく、うまいプレーヤーに対しては厳しくなるように自動的に難易度が切り替わる。難しい状況を切り抜けていく楽しさを体験できるようにバランスを調整しているという。

 「Alan Wake」は音楽への思い入れも強い。Petri Alanko氏というフィンランドの著名な作曲家を起用しており、オーケストラによる演奏の曲も収録されている。収録じかんは4時間にも及ぶ。また、曲の中には歌詞のある歌も登場するが、ここにはライターがこだわっており、神話のフレーズや、アランがこれから出会う状況を予言したようなものも入っている。“ロック”にもこだわっており、レストランに元ロッカーの老人が登場したりする。Myllyrinne氏のTシャツにもロッカー達へのリスペクトが書かれている。

 また、「Alan Wake」はすでにダウンロードコンテンツの配信も確定しており、年内に2本の配信が決まっているという。内容については明らかにしなかったものの、「Alan Wake」の世界をさらに広げるような要素を予定し、概念的には“「Alan Wake」と「Alan Wake 2」”を繋げるようなスペシャル版といえるコンテンツを考えているという。「Alan Wake 2」をもう作っているのか、という質問にはMyllyrinne氏は「作品をプレイした人が望めば」とだけ答えた。

 開発に5年をかけた作品だけに、「Alan Wake」という1つのゲームで終わらせたくない、という思いも強い。現在はPC版など他機種への展開は考えていないという。また「Alan Wake」ではマルチプレイ要素がないが、アラン ウェイクの“語り手”という部分をピックアップし、今作ではストーリーテリングにゲーム性をフォーカスしたため、マルチプレイ・協力プレイを入れなかったとのことだ。

 最後にMyllyrinne氏は日本のゲームファンに向けて、「私たちはこの作品を本当に楽しんで作りました。ゲームプレーヤーの皆さんにも楽しんでもらいたいと思います。長い期間をかけたこの作品をお届けできることが本当にうれしいと思っていますし、皆様から暖かくおもてなしいただき、うれしく思っています。ありがとうございました」と語った。


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(2010年 4月 16日)

[Reported by 勝田哲也]