EAJ、WIN「バトルフィールド:バッドカンパニー2」βテストレポートこれぞまさしく「BF」の醍醐味! 大迫力のバトルフィールドを存分に楽しめ!


【バトルフィールド:バッドカンパニー2】

発売日:2009年3月11日
プラットフォーム:PC、プレイステーション 3、Xbox 360
CEROレーティング:D(17歳以上対象)



 エレクトロニック・アーツ株式会社は、3月11日に発売を予定している新作FPS「バトルフィールド:バッドカンパニー2(BFBC2)」のWindows PC版によるβテストおよびXbox 360用のデモ版の配信を1月28日より開始した。内容的には両者はほぼ同じもので、PC向けのβ版は、北米・欧州・アジア地域での予約特典、あるいは募集ユーザーの中から抽選という形で提供されており、Xbox 360用デモ版はXbox LIVEを通じてダウンロード配信されている。プレイできるマップは「Port Valdez」だ。

 いちPCゲームファンとして何より嬉しいのは、PCから始まった「BF」シリーズの最新作が、ついにPCに帰って来たということだ。前作「BFBC」はついにPC版がリリースされず、最後にPCでリリースされた「Battlefield 2142」の発売が2006年10月のことなので、実に3年半ぶりということになる。

 しかも、今回の「BFBC2」はPC版だけの特徴も提供されている。コンシューマーゲーム機(CS)版を上回る最大32人による対戦ができ、なおかつユーザー自身がゲームサーバーを立てることができる。そしてもちろん高詳細なグラフィックスも楽しめる。単に発売されるだけでなく、明確なメリットも用意されているわけだ。

 本稿は「BFBC2」PC用β版の内容を元に、そのゲーム内容をお伝えする。プレイステーション 3版やXbox 360版でプレイしようと考えているユーザーの方にもぜにご一読いただきたい。というのは、PCのβ版は色々と大判ぶるまいの仕様となっており、CS用デモ版には収録されていない武器や特殊装備などのアンロック要素がふんだんに含まれており、それらの情報はPS3/Xbox 360版のユーザーにとっても参考になるからだ。



■ PC版「バトルフィールド:バッドカンパニー2」とはなにか?

PC向けβ版、CS向けデモ版でプレイできる「Port Valdez」
「M-COMM」という通信装置を破壊することで、攻撃側は次の戦線に進むことができる
破壊システムにより、激戦区域では建物がどんどん崩壊していく

 まず「BFBC2」の基本的な特徴からご紹介していこう。本作は2008年6月にPS3/Xbox 360向けに発売された「バトルフィールド:バッドカンパニー(BFBC)」の続編。「BFBC」は、シリーズ初のストーリー重視のシングルプレイキャンペーンモードを備え、CS向けにコンパクトな対戦ルールを搭載して、シリーズの新たなスタンダードとなった作品だ。

 本作「BFBC2」はその特徴をよく受け継いでいる。デモ版/β版に収録された対戦モードのゲームルールは「ラッシュ」と呼ばれるもので、「BFBC」で初めて実装されたルールだ。参加プレーヤーは攻守2チームに所属して、4段階ほどある防衛線が破られるか、それとも攻撃側の復活チケットが枯渇するかが勝敗の条件となっている。広大な戦場がウリである「BF1942」以来のコンクエストルールに比べ、常に戦場が限定される反面、必ずそこが主戦場になるという仕組みだ。

 こうしてよりクイックでスピーディな戦いが楽しめる「ラッシュ」ルールは、「BFBC」より搭載された破壊システムとの相性が良い。本作では建物や植物など、あらゆるオブジェクトが爆発や砲撃の影響で破壊されていく。これが従来の「コンクエスト」ルール(PS3/Xbox 360「BF1943」の代表的な対戦モード)では、終盤、焼け野原で戦い続けることになり大味な展開になるところ、「ラッシュ」では、局面が進めば新たな戦闘地域で仕切りなおしとなるので、常に引き締まった戦いが楽しめるというわけだ。

 こういったゲーム性により、「BFBC」シリーズの対戦モードは、プレーヤー数12名程度の少人数でも十分に激しい戦いが可能で、より大人数では息つくヒマもなくFPSアクションを堪能できるものになっている。その代わり、前作「BFBC」においては、戦場の規模感という点において、PC版ユーザーの満足できるものではなかった点も指摘できる。バトルフィールドというには狭すぎて、「BF」らしさが失われていたのだ。開発元のDICEもそのあたりがわかっていて、だから「BFBC」はCS専用のタイトルにしたのだろう。

 しかし本作「BFBC2」は、デモ版にあるマップ「Port Valdez」を見てもわかるとおり、戦場の規模感において大きな成長を遂げた。単純に戦場の面積が広がっただけではなく、より地形的な変化のあるマップ構成がとられ、1ラウンドに要するプレイ時間も多少長くなった。また、それにあわせて、攻守と移動に活躍する新たな乗り物が加えられている。各種の1人用ビークルから複数人で操縦できる攻撃ヘリまで、ほとんど「BF2」並みの品揃えだ。

 こうして遊びがいのある要素を備えた「BFBC2」のCS版では、最大24人での対戦がサポートされている。これでも十分に早く激しい戦いが展開するのだが、PC版ではさらに多く32人での対戦をサポート。人数が多い分、ただでさえ激しい戦いがさらに過激に展開するということで、PC版のゲーム性はより刺激的だ。


このマップでは、戦車、装甲車、ヘリなど、全5種類の乗り物を活用して戦うことができる。熟練した戦車乗りや攻撃ヘリは凶悪なほどに強い。工兵でしっかり撃退しよう
ド派手な破壊システムが本作の素晴らしいところ。立てこもる敵を壁ごと吹っ飛すのは痛快だ
やはり基本となるのは歩兵同士の戦闘。ちなみにPC版ではCS版より戦場区域が広がっており、このマップでは道路の脇にある丘の上でも戦うことができる。攻め側にとって良い橋頭堡となる地点なので、ここを中心に激戦に展開しやすい



■ 階級を上げ、各種装備をアンロックして成長していくシステム
 4つのプレーヤークラスにさらなるバリエーションをもたらすゲーム性

アンロック可能な武器の一覧。PCβ版で使用可能なのはこの半数弱
階級、またはクラス毎に得たポイントによって、各種装備がアンロックされていく
獲得したポイントは戦闘終了後に確認できる。各種のメダルを獲得すれば高ポイントを狙えるので、多様な形で活躍できるようがんばろう

 冒頭でもお伝えしたように、一部のユーザーに提供されているPC向けのβ版は大盤振る舞いの仕様だ。使用できるマップは現在デモ版と同じ「Port Valdez」1種類だが、デモ版に存在する様々な制限が大幅に撤廃されており、より多くのゲーム要素をひと足先に楽しめるようになっている。

 まず、戦闘中の活躍によって得られるポイントで階級を上げるというシステム。PCβ版には階級の制限がなく、やればやるだけ高い階級になることができる。また、獲得ポイントにともなって獲得できる装備類。デモ版では4つあるプレーヤークラスにそれぞれ主武器が1個づつと、全クラス共通の特殊装備が1種のみがアンロック可能だが、PCβ版では製品に搭載される全武器のおよそ半分がアンロック可能だ。

 これによりPCβ版は、継続的なプレイがもたらすプレイ内容の変化と成長の要素をかなりのレベルまで楽しめるものになっている。とはいえ最初は大変だ。マウスという強力なエイミング装置が使えるPC版は、武器の攻撃力がかなり減殺されており、CS版で5、6発当てれば倒せる武器でも、PC版では10発は当てないと倒せないという、初心者泣かせの仕様になっている。しかも、多くの武器がCS版より精度が低くなっており、正確に当てるのは至難の業だ。もっとも、PC版、PS3版、Xbox 360版は、それぞれプラットフォームをまたいでの対戦はできないため、すべてのユーザーは同一条件で戦うことになる。PC版のみ銃撃を当てやすいため、倒しにくい仕様になっているというだけだ。

 こうして、例えば本作に4つあるクラスのひとつ、「アサルト兵」でプレイしていると、初期武器である「AEK-971」ライフルがあまりにも貧弱で、活躍することがなかなか難しい。銃撃の精度が低く、当たらない上に攻撃力も低いので、上位武器を持つ相手にかなりの確率で撃ち負けるのだ。ひとまずまともに戦えるようになるのは、より精度と攻撃力の高い「XM8」ライフルをアンロックしてからだ。それまで、少なくとも5~10ラウンドは痛い目を見る必要がある。

 しかし、その後はだいぶ楽にランクを上げられるようになる。1ラウンド戦って得られるポイントは、全く活躍できずに終わった場合で500ポイントくらいで、やることなすこと全てがうまくいって活躍しまくった場合は5,000ポイントを超えることもある。そうなると2ラウンドも戦えば次のランクに上がり、アンロック条件を達成してすぐに新しい武器を手に入れられるのだ。こうして近接戦闘用の格好いいオートショットガンを手に入れて、さらなる活躍をすればもう、このゲームのとりこになっているはずである。

 ある程度ランクを上げて、各クラスで使用武器が選べるようになってくると、本作の真の姿がようやく見えてくる。ひとつ、PC版の特徴として挙げておきたいのは、戦闘ペースの速さだ。これには、やはりマウスというエイミング装置の存在が大きく関わっている。CS版に比べて全体的にプレーヤーの射撃精度が向上しているため、とにかく長生きするのが難しいのだ。倒す、倒されるという展開が猛ペースで進むため、PC版の「復活チケット」の数は、CS版に対しておよそ3割り増しくらいになっている。

 特に、狙ったところにちゃんと弾が飛んで、頭にヒットすれば一撃で敵を倒せるというスナイパーライフルは、PC版において凶悪な武器のひとつとなっている。また、攻撃型ヘリコプターのコパイロットが操作する機首下部の30mm機関砲にいたっては、感覚的に言うとCS版の3倍くらいの脅威度がある。なにしろ狙ったところに確実に着弾する上、バラ撒いた弾がかすっただけで敵を倒せるのだ。目に見える敵を片っ端から狙撃していたら、10秒で5人殺した、ということも珍しくない。

 こういったPC版の激しさになれてくるにしたがって、プレーヤーのランクが上がり、様々な特殊装備も手に入れることになる。各プレーヤーに3つずつ用意されている特殊装備のスロットには、移動速度を速める装備、所持弾薬数を増やす装備など各クラス共通のものや、アサルト兵専用の特殊グレネード弾、スナイパー専用の12倍ズームスコープ、エンジニア専用のサプレッサーなど、プレイスタイルを強化してくれるものが各種用意されている。

 これにより、同じクラスでも武器や特殊装備の選択により違った戦い方が展開できるため、クラス数がたったの4つでも変化に富むプレイを楽しめるという仕組みになっているわけだ。これをかなりの程度まで遊べてしまうPCβ版はまさしく大盤振る舞いの仕様で、いかにDICEがPC版に力を入れているかがわかるというものだ。


獲得した装備は出撃時に選択することができる。状況に合わせて必要な能力を身に着ければ、より効果的に戦うことができる。ラウンド終了後にアンロックの進捗チェックもしておけば、俄然やる気も増すはずだ
メダルを獲得するためには、ゲーム中に用意されている様々な条件をクリアする必要がある。1番簡単なのはアシストメダル。とにかく見える敵にダメージを与え続けていれば、メダル獲得で100ポイント加算だ
同じクラスでも装備の組み合わせによって戦い方が全く違うこともある。たとえば、「偵察兵」の初期装備はスナイパーライフルだが、変わりにショットガンを装備すれば、敵地に潜入して「M-COMM」を爆破するといった、特殊部隊チックな戦い方が効果的に実行できる



■ 気になるサーバーシステムの仕組み。日本国内のサーバー設置は現在のところ不透明

CS版より8人多い32人対戦ということで、分隊数は最大で8つになっている
サーバーブラウザ。日本からネットワーク的に近いのはロサンゼルス、シドニーあたりのサーバーだ。国内のサーバーはまだない模様

 このようにPC版の「BFBC2」は、32人対戦をサポートすることからわかるとおり、全プラットフォームの中で最上位のバージョンと位置づけられる仕様になっている。グラフィックスのクオリティも高く、ハイスペックなゲーミングPCを使えばCS以上のディテール感が得られ、現時点の全PCゲームの中でもトップクラスの映像を楽しめる。

 その代わり動作は相当重い部類に属し、グラフィックスを最高クオリティの設定にすると、筆者の環境であるCore 2 Duo 3.8GHz、GeForce GTX 285という装備でもなんとか秒間30フレームを維持できるかどうかという程度だ。これはヘビー級PCゲームとして有名な「Crysis」に匹敵する重さで、現行の標準的なPCではグラフィックスのオプションを相当下げないと満足なフレームレートを得られないかもしれない。

 もうひとつ、PC版で気になるのがサーバーの扱いだ。CS版ではエレクトロニック・アーツの用意するサーバーに自動的に参加する仕組みとなっているが、PC版ではユーザーがサーバーを管理し、各種設定を調整することも可能となっている。調整可能な項目は、「味方撃ち(FF)の有り/無し」、「ミニマップの有り/無し」、「乗り物の外部視点の有り/無し」など8項目が現時点で確認できている。また、戦績が蓄積されるランクサーバーをユーザー管理することもできるようだ。

 ただし、このサーバーの方式がクセモノだ。一般的なPCゲームでは、ゲームプログラムにサーバー専用モジュールが一緒に組み込まれていて、ユーザーが自分のPCでサーバープログラムを実行できるようになっているが、本作では「EAが、各地域でホスティングしているゲームサーバーをその地域のユーザーがレンタルする」という、一風変わった方式になっているのだ。

 このため、日本国内でユーザーサーバーを得るためには、EAが日本国内に「BFBC2」用のサーバーを大量にホスティングする必要が生じる。しかし、筆者が確認した範囲では、現時点で日本国内にユーザーレンタル用のサーバーが設置される予定はたっていないようだ。このままの状況であれば、製品発売後も、日本のプレーヤーは海外のサーバーでプレイすることになるかもしれない。

 確かに海外のサーバーでも、ロサンゼルスやシドニーのサーバーはPingが100~120ほどで(光ファイバー回線を利用している場合)、プレイに支障をきたすほどではない。だが日本国内にサーバーが存在するとしないとでは、単にネットワーク遅延の問題で差がつくだけではなく、国内のプレーヤーコミュニティが必要な遊び場を確保できるかどうかという根本的な点で違いが生じるため、ぜひエレクトロニック・アーツには国内にゲームサーバーを用意して欲しいところだ。この際、ユーザーサーバーをレンタルしたいなどと贅沢は言わないので、せめて国内の公式サーバーだけでも十分な数を用意してくれればと思う。

【スクリーンショット】

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(2010年 2月 15日)

[Reported by 佐藤カフジ ]