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「FFXIV」10周年を祝う花火大会、大勢のゲストを迎え、千葉幕張で開催

吉田氏、祖堅氏のこだわりが生み出した大阪公演との大きな違いとは!?

【ファイナルファンタジーXIV 10th ANNIVERSARY FIREWORKS & MUSIC】

11月3日開催

会場:千葉県立幕張海浜公園幕張の浜

 ファイナルファンタジーXIV 10th ANNIVERSARY FIREWORKS & MUSIC 実行委員会は11月3日、「ファイナルファンタジーXIV」の10周年を記念したライブイベント「ファイナルファンタジーXIV 10th ANNIVERSARY FIREWORKS & MUSIC」の関東公演を、千葉県立幕張海浜公園幕張の浜で開催した。

会場の千葉県立幕張海浜公園幕張の浜は人で埋まっていた

 「ファイナルファンタジーXIV 10th ANNIVERSARY FIREWORKS & MUSIC」は「FFXIV」の楽曲と花火、ドローンを組み合わせたエンターテイメントイベント。今回は解放感抜群の浜辺での開催。ここ数日の暖かさに加え、快晴で遠くに富士山も見える絶好の花火日和となった。

 大阪公演では、東花園ラグビー場で生駒をバックにしたショーだったが、今回は遠くに都市の街の灯りが見える東京湾の海辺での開催となった。

 今回の花火は海上に停泊した3隻の船から打ちあがる。配信は、定点カメラ、いろいろな角度から見ることができるスイッチングカメラに、それぞれゲストのコメンタリーがあるなしという4つの配信のうち好きなものを見ることができる。少し風があるせいで煙が流れていき、夜空に花火の光がよく映えていた。

 関東公演の特別配信では、MCのeスポーツキャスターの柴田将平氏、「FFXIV」プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏とサウンドディレクター祖堅正慶氏に加え、ゲストとして声優の南條愛乃さんと、おかずクラブのゆいPさんが配信に参加した。

左から柴田将平氏、南條愛乃さん、ゆいPさん、吉田氏、祖堅氏

 また、タレントのにしむらベイベーさんが客席レポーターとして、新潟から車で来たというカップルや、女性3人の固定パーティ仲間での参加した方からコメントを取っていた。

にしむらベイベーさん

 セットリストは大阪会場と同じだが、実は音楽的には大きな変更があった。ゲーム音楽では基本的にループできるように作っている。前回の大阪会場でのレポートにもあるが、花火の尺と合わせるために途中でフェードアウトするような曲もあった。

 祖堅氏はそれが気になったようで、大阪公演の際、演奏中に気になった部分をメモしておき、すべて修正して今回のイベントに挑んだのだそうだ。もちろん、音楽は花火のタイミングと連動しているため、音楽だけをいじれば済むという話ではない。そのため、会議の中で恐る恐る提案してみたところ、花火師の方からも快諾をもらい、特に終わりの部分をこのイベント用に新たに書き起こした。

 それは、実際に聞いてみると顕著で、花火と音楽が終わるタイミングがぴったりで、余韻を残しつつもきれいに次の曲に切り替わるようになっていた。関係者のあくなきクオリティへの追及の結実だといえるだろう。


【セットリスト】
01.Answers
02.プレリュード ~再誕の煌めき~
03.希望の都
04.天より降りし力
05.過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~
06.究極幻想
07.Dragonsong
08.英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
09.Band: ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~
10.鬨の声
11.紅の夜明け ~クガネ:昼~
12.龍の尾 ~神龍討滅戦~
13.月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~
14.Shadowbringers
15.Tomorrow and Tomorrow
16.Band: To the Edge
17.Flow
18.Band: Close in the Distance
19.Endwalker
20.そして世界へ

 南條さんは自身のラジオ番組のオープニングに使用していたこともあり「希望の都」が一番のお気に入り。さらに「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」は、以前目覚まし用のサウンドとして使っていたのそうだ。

 ゆいPさんは「新生エオルゼア」ではアルフィノが苦手だったが、「蒼天のイシュガルド」で大きく成長した姿に感銘を受けたこともあり思い出深い曲として「Dragonsong」をあげた。

オープニングはドローンがゲーム内のムービーを再現する「Answer」と「プレリュード ~再誕の煌めき~」でスタート

 冒頭はドローンを使った演出で魅せる「Answer」。海上にドローンの光が反射して幻想的な雰囲気。親の声より聴いた「プレリュード ~再誕の煌めき~」。音楽にあわせて、ぴったりのタイミングで打ち上げられる花火に吉田氏も祖堅氏も、「打ち上げるタイミングも炸裂するタイミングも音楽に合っているから、おそらく火薬の量で調節しているんですよね」、「なんでこんなにタイミングあうんだろう。すごいな」と何度も感嘆の声を漏らしていた。

スイッチングカメラの配信では、上空に浮かぶドローンからの映像など、ここでしか見ることができない角度で花火を楽しむことができた

 船から打ち上げられる花火は大阪会場よりも近かったようで、こんなに間近で見たことがないと、こちらも感動を口にしていた。南條さんも「すごすぎて、口を開けすぎて口の中がかピカピになってきました」と感想を述べていた。

 海岸沿いの花火については「海沿いでみんなで花火を見てるのってエオルゼアみたいですよね」と祖堅氏。吉田氏も「紅蓮祭感あるよね」と同意していた。

「FFXIV」浜辺で見る花火といえば、コスタ・デル・ソルで見る「紅蓮祭」の花火

 音楽は、祖堅氏の言葉通り、花火に合わせて短く編集されていたり、一部にオーケストラ音源を使っていたりと、多くの曲がこのイベント専用に編曲されていた。「音楽をエディットしている時には、家の狭いところで花火を想像しながら作業していくわけです。すごいむなしい作業ですよ」という祖堅氏に、吉田氏は「成果でたじゃない」と励ましていた。

 最後を飾る「そして世界へ」は、レベル15になって初めて飛空艇に乗るときにかかるBGM。その曲を聞きながら、「やっぱこの曲だよな」と祖堅氏。「10年以上前かな。この曲を飛空艇が飛び出すシーンにはめて、小さいモニターの前で大人が7、8人並んで、でこのメロディが流れたら、思わず全員涙ぐんでました」と「新生エオルゼア」開発時の思い出を語った。

「Band: ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~」は極彩色の花火が次々に打ちあがるにぎやかな演出

 「そして世界へ」は、序盤を抜けたときに「ばーんとFFらしさを出していく」(吉田氏)ことを目的としたシーンで使われており、青空に向かって冒険者が旅立っていく象徴的なシーンだ。吉田氏は「社内アルファの時当時の和田洋一社長がこのシーンを見て、このゲームは大丈夫だと思ったと言っていた。こんなにファイナルファンタジーしているファイナルファンタジーはないと言ったくらい、あそこまでで行けると思った。あれは俺も手ごたえがあったよ」と当時の思い出を語った。

「鬨の声」では、「紅蓮のリベレーター」のテーマカラーである赤が際立っていた

 さらに祖堅氏が「ぶっちゃけ10年続くとは思ってなかったな」というと、吉田氏は「MMOなんだからまずは10年で」と思っていたと返答。祖堅氏も、「10年間くらいは持つような設計でサウンドの仕様を作ってはいたが、そこまで使うことはないだろうと思っていたら、もう足りなくなっちゃった。今大騒ぎですよ」と10年続いたことを感慨深く語った。

 イベントがすべて終了した後には、ゲストそれぞれが感想を語った。「ヒカセンとして始まった私のエオルゼアライフですが、数えきれないほどの思い出があります。これからも自分自身の冒険も、きっと出番があるといいなという今後の冒険も一緒に楽しみましょう」と南條さん。

 「2020年のコロナ禍でいろいろ大変だった時に、このゲームに助けられました。大学の先輩だったリメイクさんをこの世界に引きずりこみました。今では私よりインしているくらいですよ」とゆいPさんも仲間を増やしつつエオルゼアライフを楽しんでいるのがわかった。

 吉田氏は、「この10年祖堅たちと「FFXIV」をやってきて、地道に頑張っていると基本的にはいいことがあるなと思いました。色々とやってみたいことはありますが、まずは「7.0」。一歩ずつ確実に皆さんに楽しんでもらえるようなものをチームと一緒に作っていこうと思います」と感想を述べた。

 祖堅氏は、「花火師さんに大拍手ですよ。結構変えちゃったんですよね、お尻だけじゃなくて真ん中も変えちゃったり。だいぶ迷惑かけちゃったんですが、これだけの内容にしてくれて、感謝しています。これだけの光の戦士さんたちにきていただいて、これからも頑張って作っていかなきゃいかんぞ」と感想を口にしつつ、「関西もすごい熱かったんですが、関東も熱いですね。地平線までヒカセンで埋まっているのがやばいフェスみたい。次は1月に東京ドームが待っているんですが、それの準備をやってもやっても終わらないんです」と弱音とも期待感とも取れるコメントを残していた。

 花火といえば夏のイメージだが、湿気があり煙がこもりやすい夏よりも、空気が乾燥し始める秋から冬は、花火が最も綺麗に見える季節だ。今回も、オープンな海上という場所に加えて、絶好の気候が心に残るイベントを盛り上げてくれた。

 今回は動員だけで言うと2019年のファンフェスよりも多かったそうだが、大阪公演の反省を生かして飲食ブースが多く設けられており、前回のような問題も起きずより満足度の高いイベントになったようだ。

 それぞれの曲の持つイメージや、その曲が使われた印象的なシーンをほうふつとさせる花火との連携はどの曲も素敵だったが、筆者は特に色だけではなく、月や彼岸花をイメージした形にまでこだわった花火が印象的だった「月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~」が気に入った。

 10年の大団円を花火で締めくったばかりだが、もうあと2カ月後には、今回の数倍の人数が押し寄せる「ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2024 in 東京」が控えている。「黄金のレガシー」を来年夏に控え、まだまだしばらくは快進撃が続きそうだ。

フィナーレの「そして世界へ」