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「コードギアス『血染めのユフィ』」放送16周年!! 衝撃的な展開を振り返る
同脚本の大河内氏による「水星の魔女」2期も期待
2023年3月22日 00:00
- 【「コードギアス 反逆のルルーシュ」STAGE22「血染め の ユフィ」】
- 2007年3月22日 放送
本日2023年3月22日で、TVアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」STAGE22「血染め の ユフィ」が2007年に放送されてから16周年を迎える。
「血染め の ユフィ」は、1月にもTwitterでトレンド入りを果たすなど直近でも話題になったエピソード。というのも、「コードギアス 反逆のルルーシュ」と「機動戦士ガンダム 水星も魔女」で脚本を務める大河内一楼によるシナリオに共通点を見出したファンが、双方のある種の“悲しみ”を感じ、それを投稿したためである。本当に悲しんでいるかはともかくとして、どちらも人気作の衝撃的な内容であることには変わりはなく、話題となった。
ネタバレを避けたうえで共通点として挙げられるのは、主人公やそれに近しい人物へ降りかかる「救い」に近い希望とその直後に訪れる絶望だ。加えて、そのまま次の話まで間が空くといった“衝撃的なシーンを見た後にしばらくお預けをくらうファンの構図”も共通している。
そこで本稿では、STAGE22「血染め の ユフィ」で起きたこと、脚本を務める大河内一楼氏がこれまで関わってきた作品などについて紹介する。
なお、「コードギアス 反逆のルルーシュ」と「機動戦士ガンダム 水星も魔女」に関する若干のネタバレを含んでいるため、「まだ見てない!」という方は視聴してから本稿を読んでいただきたい。
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界観
まず初めに、16年まえの作品である「コードギアス 反逆のルルーシュ」を見たことがないという方向けに世界観紹介から入る。簡単に紹介すると、本作はロボット、学園、恋愛、超常的な力といった様々な要素を併せ持ったヒューマンドラマ作品。もちろん本作のロボット「ナイトメアフレーム(KMF)」同士によるスピードあふれる戦闘描写も必見だ。筆者は量産機感あふれるサザーランドと無頼、月下が好きなので、ヒューマンドラマに興味がなくとも、おなじ量産機好きにお勧めしたい作品となっている。
舞台となるのは、現実と似ているものの超常的な力「ギアス」や新資源「サクラダイト」が存在する世界。今回の主題でTVアニメ第1期となる「コードギアス 反逆のルルーシュ」では主に、植民地政策によって世界の1/3を支配する超大国「神聖ブリタニア帝国」に地下資源「サクラダイト」を巡る戦争に負けたことで支配され「エリア11」と呼ばれるようになった日本が舞台となる。
「イレブン」と呼ばれ被支配階級となった日本人が住む「ゲットー」と、支配階級のブリタニア人が多く住む「トウキョウ租界」では生活環境も大幅に異なり、「イレブン(日本人)」の中には“戦争に負けていない”として、自治独立を獲得しようとテロ活動を行なう人々もいた。中には「トウキョウ租界」にある私立学校「アッシュフォード学園」に通いながらもテロリストとして活動する人物も登場する。
物語の主役のひとりとなるのは、元ブリタニア皇子であるルルーシュ・ランペルージ(本名:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア)。日本とブリタニアの戦争勃発前に“人質”として日本へ妹のナナリーと共に送られて以降、日本で暮らしている。“自分と妹を売り払った”として父であるブリタニア皇帝のシャルル・ジ・ブリタニアへの復讐と、ナナリーが安全に暮らせる世界を作りたいと願っていた。そんな彼が、“魔女”C.C.と出会い他者を支配する力「ギアス」を得たことで反逆の物語が始まる。
ルルーシュは次第に力の使い方を理解し、学園生活を送りながらも自称:正義の味方「ゼロ」としてテロ組織「黒の騎士団」を結成。ブリタニアも無視できない勢力へと成長していく。そんな中起こった出来事を描くのがSTAGE22「血染め の ユフィ」だ。下記の動画では、そんな「コードギアス」の世界観を確認できる。
STAGE22「血染め の ユフィ」での“希望”と“絶望”
STAGE22(第22話)「血染め の ユフィ」では、前述したように「救い」に近い希望とその直後に訪れる絶望が描かれる。ここからはネタバレを多分に含むので注意していただきたい。
「血染め の ユフィ」でキーとなるのは、登場人物は神聖ブリタニア帝国第3皇女ユーフェミア・リ・ブリタニア、彼女の騎士・枢木スザク、ルルーシュの3人。ユーフェミアもスザクもルルーシュと幼い頃から友人であり、「ゼロ」となってブリタニアに反旗を翻した後も、ルルーシュは気にかけていた。
第19話ではルルーシュがユーフェミアを正体を明かし、互いに幼い頃を懐かしむ様子を見せた。第20話では本来敵同士のはずの「ゼロ」としてのルルーシュとスザクが共同で戦ったりなど次第に物語が明るい方向へと向かっていたように思う。
極めつけに第21話では、学園祭が開催され、明るい学園生活の様子が描かれた。しかし、学園祭ではユーフェミアが突然イレブンもブリタニア人も平等に生活できる「行政特区日本」の設立を発表。“幼い頃”に戻れると考えたユーフェミアは、「黒の騎士団」へも参加を呼びかけた。「行政特区日本」が完成した暁には「黒の騎士団」の存在意義がなくなり目的が達成できなくなるとして、ルルーシュは否定的な態度を見せた。その後の物語が第22話「血染め の ユフィ」だ。
第22話では、「行政特区日本」開設記念式典が開催。式典には「黒の騎士団」を会場の周囲に配してから、ルルーシュも「ゼロ」として参加。ユーフェミアと2人で密談をすることに。その際にルルーシュは、皇族としての地位を捨て去り「ただのユフィ」となることを選んだユーフェミアから覚悟を感じ、2人は和解を果した。
前述した通り「血染め の ユフィ」では“希望”として、先の互いの和解や歩み寄りが描写されたものの、直後にルルーシュの「ギアス」が暴走し、ユーフェミアに「日本人を殺せ」と命じてしまう。ユーフェミアは最初こそ抵抗したものの、最後には命令通り式典にて日本人の虐殺を命令。自ら率先して日本人を撃ってからは会場を警備していたブリタニア軍も虐殺を開始。会場に集まった日本人を皆殺しにしてしまうという悲惨なシーンが描かれた。
ルルーシュに悪気は一切なく、単なる世間話をしていた際に「ギアス」が暴走してしまうという“事故”であり、誰も悪くないという事実が絶望的で、さらに胸を締め付けてくる。その後の23話では、スザクの目の前で暴走してしまったユーフェミアを、ルルーシュが自らの手で撃つ場面も映された。憎しみを滾らせ復讐を誓うスザクと、虐殺によって一斉にイレブンが蜂起し「トウキョウ租界」を目指して進軍を開始する場面で23話は幕を閉じた。なお、第1期ラストとなる第24・25話は4カ月後の7月に放送されたため、リアルタイムでお預けを食らっていたファンも多い模様だ。
特にユーフェミアの今際の際に展開されたスザクとユーフェミアの会話と、その合間に挟まれるイレブンの怒りの声や虐殺を引き起こした元凶である「ゼロ」を英雄視する声によって、各登場人物それぞれの視点で“悲しみ”が描かれており、当時幼かった筆者の記憶に強烈に刻み付けられている。特に筆者は本作が初めてハマったアニメであり、そのせいでこういったシナリオが特に好きになってしまった。次項からは大河内氏の手掛けてきた作品について触れていく。
なお、「コードギアス 反逆のルルーシュ」シリーズは第1期・第2期とあり、全50話が再編集/新規カット追加で映画化されている為、まだ本作を見ておらず気になった人はそちらからの方が入りやすいだろう。
「機動戦士ガンダム 水星の魔女」などでも脚本を務める大河内一楼氏への期待
大河内一楼氏が脚本を手掛けた有名な作品としては本作「コードギアス」シリーズが挙げられるが、他にも「革命機ヴァルヴレイヴ」や「ギルティクラウン」、「甲鉄城のカバネリ」や「機動戦士ガンダム 水星の魔女」も挙げられる。
「革命機ヴァルヴレイヴ」や「ギルティクラウン」は、ロボット、学園、恋愛、超常的な力が登場しており、彼の日常的な学生生活と不穏な雰囲気を併せ持つシナリオがうまくシンクロしている。「革命機ヴァルヴレイヴ」と「ギルティクラウン」は賛否が分かれている作品ではあるが、筆者はどちらも好きだ。前述した要素が絡み合った上で、明るさと暗さの緩急が多く用意されているシナリオなので、もし気になった方は是非視聴していただきたい。特に「ギルティクラウン」の祭と集の関係性は心が苦しくなるものの、見ていて気持ち良くなってしまう。おすすめだ。
また、何度か触れているが、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」も同氏による脚本で物語が描かれている。1月の第1期ラストから3カ月近く空いてから始まる第2期だが、ラストシーンのミオリネの心底怖がっている表情を見るに第2期にも期待が持てそうだ。公開されたあらすじでもスレッタとミオリネの物理的な距離がすでに離れていて期待大である。要は“カワイソウはカワイイ”のだ。
前項でも述べたが、筆者は初めてハマったアニメが「コードギアス 反逆のルルーシュ」なので、若干こじらせている気はするものの、“悲しみ”溢れる作品が好なのだ。なので、大河内氏には責任を取って是非今後もこういった緩急のあるカワイソウなシナリオを描いていただきたい。
血染めのユフィ、トレンド入り。嬉しいなー。いや、全然嬉しい話じゃなくて哀しい話なんですけど。見てくれて、つぶやいてくれて、みなさんありがとうございます!https://t.co/qc2BDZJXiq
— 🦝大河内🧐一楼🍅 (@ichirou_o)March 5, 2022
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