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Unity、PlayStation VR2の「視線トラッキング機能」活用でレンダリング高速化が実現可能に【CEDEC2022】
フォビエートレンダリングの効果を検証。PSVR2対応機能を公開
2022年8月24日 16:21
- 【CEDEC2022】
- 開催期間:8月23日~25日
本日8月23日より開発者向けカンファレンス「CEDEC2022」がオンラインにて開幕となった。本稿では、ユニティ・テクノロジーズジャパンのコンソール・サポート・エンジニア、江端優介氏によるセッション「Unity上でのPlayStation VR2向け次世代ゲーム開発」について紹介する。
本セッションでは、2023年初頭に発売予定のプレイステーション 5向けVRシステム「PlayStation VR2」におけるゲーム開発エンジン「Unity」でのゲーム開発について語られた。
なお、本セッションは「GDC 2022」で行なわれた「Building next-gen games for PlayStation VR2」を再編集した日本語版の講演となっている。また、公演時間の都合上、オリジナルの講演で行なわれた内容の一部は資料のみの提示となっている。
「PlayStation VR2」の機能
セッションの初めに、江端優介氏によるすでに公開されている「PlayStation VR2」の機能が実施された。
「PlayStation VR2」は2つの2000×2040の有機ELディスプレイや視線トラッキング、ヘッドセットからのフィードバック、コントローラー「PlayStation VR2 Sense コントローラー」などが提示された。
それら機能によってUnity上でどのようなパフォーマンスが可能かが解説された。
「PlayStation VR2」向けUnityグラフィックス
最初に「PlayStation VR2」向けUnityグラフィックスに江端優介氏は触れ、ゲーム開発する上でのUnityに期待できること、これまでUnityで開発する際に使用した既存の知識がどれくらい役に立つのかを解説した。
まず、「PlayStation VR2」でサポートされている「ユニバーサルレンダーパイプ」、「HDレンダーパイプライン」、「カスタムレンダーパイプライン」について語られた。
「ユニバーサルレンダーパイプ」ではVRプロジェクトに最適な開発が期待でき、「HDレンダーパイプライン」ではよりクオリティの高いグラフィックが実現可能なものの、より大きなチームとテクニカルアーティストが必要となるとのこと。
「カスタムレンダーパイプライン」では独自のシステム構築が可能。
「PlayStation VR2」でUnityグラフィックスのサポート機能
続いて、Unityで利用可能なグラフィック機能が紹介された。VRならではのシングルパスレンダリングによるCPU使用率の削減やミラービューモードによるTVに出力する映像を設定などが紹介された。
その他、解像度のスケールの変更やリフレッシュレートへの選択をゲームの内容によって開発することができるとのこと。またVRモードのオン/オフを切り替えるゲーム開発も可能と江端優介氏は語る。
「プレイステーション 5」と「PlayStation VR2」による次世代レンダリング
Unityではプレイステーション 5に対応したグラフィックコードの開発を行なっている。これをUnityでは「次世代グラフィックス・コンテキスト」と呼称し、今後通常のプレイステーション 5向けタイトルでも利用できる予定とのこと。
「次世代グラフィックス・コンテキスト」では複雑さを軽減すること目標に、コードの最適化や4Kパフォーマンスなどを実現。CPU、GPUの高速化、軽減化などのパフォーマンスの結果も公開された。
「PlayStation VR2」に対応したフォビエートレンダリング
江端優介氏は、次に「PlayStation VR2」に対応した技術「フォビエートレンダリング」について解説した。
「フォビエートレンダリング」ではユーザーのフォーカスしている箇所の画質を優先することで、GPUパフォーマンスを向上させる技術。GPUのパフォーマンスの改善を実現し、より開発しやすい環境を実現できる。
「PlayStation VR2」には視線トラッキング機能が搭載されており、フォビエートレンダリングと視線トラッキングを合わせることで、プロトタイプハードウェアから取得した初期のパフォーマンス結果よりも最大3.6倍の高速化を実現しているという。
視線トラッキング機能による入力方法
「PlayStation VR2」に搭載される視線トラッキング機能について、江端優介氏はこれまでハイエンドモデルのVRシステムなどにしかなかった機能が「PlayStation VR2」では標準機能となりユーザーの新しい体験ができると語り、それを利用した入力情報を公開した。
視線のフォーカスによるオブジェクトの選択や注視したオブジェの拡大表示などの例が公開。これらはInput SystemもしくはUnity Inputどちらかも利用が可能となっている。
また視線トラッキング機能によって視点の位置や瞳孔のサイズ、まばたきの状態なども知ることができる。これらの情報を用いてゲームに利用することもできることを江端優介氏は語る。
また、「PlayStation VR2 Sense コントローラー」の入力機能もUnityでは利用できる。ボタン操作に加え、ジャスチャー機能も利用可能。
さらに「PlayStation VR2 Senseテクノロジー」によってヘッドセット、コントローラーからのフィードバックができる。
江端優介氏は「PlayStation VR2」の機能とゲーム開発者に重大な開発機能が利用できるよう開発に取り組んでいると語る。
「PlayStation VR2」のスペックとUnityの開発機能による革新的なゲーム体験やVR体験に期待が高まる。