ニュース

藤井聡太棋士「初心者を導いてくれるソフトです」 ゲームスタジオ、Switch用「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」記者発表会を開催

2020年3月5日 発売予定

価格:4,500円(税別)

 ゲームスタジオは12月23日、同社が2020年3月5日に発売するゲームソフト「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」に関する記者発表会を開催した。

 藤井棋士といえば、史上5人目かつ史上最年少記録を更新した中学生プロ棋士として2016年10月にデビューし、大きな話題となった。藤井棋士はさらにデビュー戦から歴代最多連勝記録となる29連勝を達成し、まさに「藤井聡太」現象ともいえる、熱狂的なブームを巻き起こした。将棋にあまり興味がないという人でも、藤井聡太の名前はきっときいたことがあるだろう。藤井棋士は、連勝ストップ後も勝ち数を重ね、2018年2月1日に五段に昇段(プロ棋士は基本的に四段からスタート)、同2月17日には六段に、そして同5月18日には七段に昇格。2018年度の勝率は0.849と、歴代3位の記録を達成。タイトル戦こそまだ挑戦できていないが、近いうちにタイトルを取ることが期待されている、“日本将棋界の宝”とでもいうべき存在だ。

 今回発売される「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」(以下、将トレ)は、その名の通り、藤井棋士が内容の監修および音声、映像の収録、オリジナルの詰将棋問題の作成など、大きく関わった将棋ソフトである。これまで、「谷川浩司の将棋指南」や「最強 羽生将棋」などプロ棋士の名前を冠したゲームソフトはいくつも出ているが、まだタイトルをとっていないプロ棋士の名前を冠したゲームソフトが出ることも前代未聞だ。藤井棋士がいかにすごい棋士かということを、改めて思い知らされることとなった。

 記者発表会では、任天堂取締役やゲームスタジオ代表取締役、日本将棋連盟会長といった、そうそうたる面々の中、将トレの監修をおこなった藤井棋士が登壇したことで、多くのテレビクルーが参加し、芸能人と見まごうようなカコミ取材までおこなわれた。なお、発表会後、藤井棋士に単独インタビューすることができたので、そのインタビューについては別の記事としてまとめる予定だ。

将棋を知らない層や初心者向けの将棋ソフトが不足している

 発表会ではまず、株式会社ゲームスタジオ代表取締役の福田尚宏氏が登壇し、将トレを開発した経緯を説明した。福田氏は、「中級者以上をターゲットにした将棋ソフトは多いが、将棋を知らない層や初心者向けの将棋ソフトが不足している」ことを指摘し、そこをターゲットにした将棋ソフトを開発することにしたという。初心者向けにするのであれば、サポート役をつとめるガイドが必要になる。そのガイドは、将棋ファンのみならず、全国的に有名な藤井棋士にお願いする以外にはないと考え、日本将棋連盟に打診したところ、快諾をいただき、開発に着手することになったという。

 確かに、現状の将棋ソフト界隈では、「Ponanza」などに代表されるプロ棋士と互角以上の棋力を持つソフトに脚光が集まっており、これから将棋を覚えたいという人に適した将棋ソフトはあまり存在しない。将棋ソフトの棋力は、ここ数年で飛躍的に向上した。2010年くらいまでは、プロ棋士の方が将棋ソフトよりも棋力が上だったが、2013年におこなわれた第2回将棋電王戦で将棋ソフトが3勝、プロ棋士が1勝という結果になり、2016年以降は将棋ソフトの棋力がトッププロにも負けないレベルに達している。

 その象徴が、2017年4月と5月に開催された第2期電王戦での、佐藤天彦名人vsPonanzaである。佐藤名人と言えば、各タイトルホルダーの中でも一目おかれる存在であり、今最も将棋が強い人間といっても過言でない。しかし、そんな佐藤天彦名人が2戦続けてPonanzaに負けたのだ。将棋ソフトの急激な進化を重く受け止めている日本将棋連盟は、2005年10月に所属するすべての棋士と女流棋士に対して、「公の場で許可なく将棋ソフトと対局することを禁ずる」と発表している。

株式会社ゲームスタジオ代表取締役の福田尚宏氏
将棋ソフトの状況について。「中級者以上をターゲットにした将棋ソフトは多いが、将棋を知らない層や初心者向けの将棋ソフトが不足している」
どの将棋ソフトよりも「気軽に興味を持てて、中級者になるまで親切に導いてくれる」将棋入門ソフトを目指した
そのために、将棋ファンだけでなく幅広く老若男女に認知されており、やさしいイメージがある藤井棋士を起用した
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」の基本コンセプトは、中級者未満をターゲットにし、中級者以上になるように育てることである
キャッチコピーは、「キミをみちびくやさしい本格派」である

将棋が強くなりたい方のためのフォローアップ機能が充実

 次に、開発ディレクターの栗田優輔氏が将トレの特徴について解説した。将トレには、「細やかに調整されたAI」、「初心者のための入口:ストーリー」、「ミスから学べるフォローアップ機能」、「将棋をカスタマイズ」、「藤井聡太オリジナル詰め将棋問題」の5つの特徴がある。

 初心者にとって特に嬉しいのが、最初の3つの特徴であろう。従来の将棋ソフトでは、強さの調整段階が少なく、例えば、AIを初級者レベルすると弱すぎるが、その次の中級者レベルだと今度は全然勝てなくて面白くないといったことになりがちだ。しかし、将トレのAIは、単にAIの強さを売りにするのではなく、各段級位にふさわしい強さを追求したもので、上は四段、下は20級までと幅広い。これなら初心者から一歩一歩強い相手と戦えるので、そうした心配はない。

 2つめの特徴の「ストーリー」は、藤井棋士が“聡太先生”として登場し、一緒にストーリーを進めることで、将棋の基本から戦法、定跡までを学べるモードだ。麻雀ソフトなどでも、こうした初心者向けのコンテンツが用意されていることがあるが、将棋ソフトでは珍しい。無味乾燥に駒の動かし方や定跡などを習うのではなく、ストーリー仕立てで順番に学習していくことができるので、子どもでも飽きずに続けられる。栗田氏によれば、将棋の経験が全くない人でもストーリーをすべてクリアすれば、10級くらいの実力になると想定しているとのことだ。

 3つめの特徴の「ミスから学べるフォローアップ機能」は、レーティング戦での対局中に指し手をミスした場合、対局後AIが自動的に解析をおこない、どの時点でミスしたのかを検出、その場面の問題が自動的に生成され、ミスを繰り返さないための復習問題として利用できるという機能だ。将棋は、丹念に積み上げてきた有利な盤面が、たった1手のミスによって形勢逆転することがよくあるゲームだ。つまり、いかにミスをしないかということが、将棋の強さに直結するのだ。

 藤井棋士は、序盤から中盤、終盤にかけて、非常にミスが少ないことで有名である。例え、不利な盤面においても、粘り強く最善手を指し続けていけば、相手がミスをして一気に有利になることがある。藤井棋士の29連勝の中でも、そうした大逆転をして勝った対局がいくつもある。このフォローアップ機能を活用することで、今後同じような盤面でのミスを減らすことに繋がる。レーティング戦での対局とフォローアップ、棋譜検討のサイクル、これはビジネスなどでいわれるPDCAサイクルと似たようなものであり、このサイクルを繰り返すことで、棋力が確実に上がっていくのだ。さらに、聡太レッスンという名前で、さまざまな局面でどう指せばいいのかという問題が多数用意されており、それをクリアしていくことでも、将棋の実力がついていく。

 4つめの特徴が「将棋をカスタマイズ」できる機能だ。盤や駒、駒台の材質、色、模様、背景色やBGMを自由にカスタマイズでき、その組合せは8,700万通り以上にもなる。現実の将棋では、なかなかこうしたカスタマイズは難しい。デジタルゲームならではの利点であろう。会場には、実際に動作を試せる試用機が用意されていたが、ニンテンドーSwitchの画面サイズは、将棋盤を表示させてタッチ操作で遊ぶのにちょうどよいサイズだと感じた。以前、ニンテンドーDS版の将棋ソフトで遊んだことがあるが、画面が小さく、ペンでのタッチはなかなか難しかったのと比較するとかなり遊びやすくなっている。

 5つ目の特徴が、このゲーム最大の特徴といってもよいが、詰将棋解答選手権で5連覇を達成している藤井棋士が作成したオリジナルの詰将棋問題が収録されていることだ。藤井棋士は、詰将棋の名手としても知られており、その解答速度は他の選手を圧倒する。将棋が強くなるために詰将棋が重要であることは、以前からいわれており、初心者向けから上級者向けまで、数多くの詰将棋本が売られている。

 藤井棋士の強さの秘密の一つに、この詰将棋の圧倒的な強さが挙げられるだろう。さらに藤井棋士が非凡なのは、詰将棋を解くのが得意なだけでなく、詰将棋を作ることにおいても非常に評価が高いのだ。一般に、詰将棋を解く才能と、詰め将棋を作る才能は別とされており、解くのが得意な人は解く専門、作るのが得意な人は作成専門となるのだが、藤井棋士は、野球に例えれば、4番を打つスラッガーでありながらエースピッチャーでもあるのだ。

 藤井棋士は通常、23手とか手数が多く、解くのがプロ棋士でも難しいような詰将棋を作成することが多いが、このゲームでは、初心者向けというターゲットに合うように、5手詰から11手詰までの比較的手数が少ない詰将棋を12問作成してもらったという。また、発売後のアップデートで、詰将棋の問題が追加される予定とのことなので、長く楽しめるだろう。もちろん、藤井棋士が作成した詰将棋以外にも、数多くの詰将棋問題が用意されている。詰将棋は、必ず王手の連続で詰ませなくてはいけないというルールがある。また、こちらの手番からなので、詰ませるまでの手数は奇数となる。一番簡単なのが1手詰、次が3手詰となるが、将トレには1手詰の簡単な問題も多数入っているので、「詰将棋なんて全然わからない」という人でも、気軽に手を出せることが魅力だ。

ソフトについて解説をおこなった、開発ディレクターの栗田優輔氏
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」の主な特徴は「細やかに調整されたAI」、「初心者のための入口:ストーリー」、「ミスから学べるフォローアップ機能」、「将棋をカスタマイズ」、「藤井聡太オリジナル詰め将棋問題」の5つだ
1つめの特徴の「細やかに調整されたAI」は、単純にAIの強さを売りにするのではなく、各段級位にふさわしい強さを追求したもので、上は四段、下は20級までと幅広い
20級~5級までは初心者らしい打ち筋になるように調整をおこなっており、人間の初心者がよく指すような手を指してくる。4級以上は、有段者も納得できるようなチューニングをおこなっている
2つめの特徴が「ストーリー」であり、藤井棋士が聡太先生として登場し、一緒にストーリーを進めることで、将棋の基本から戦法、定跡までを学べる。もちろん、ストーリーを全てクリアする必要はなく、途中までのスキップも可能だ
ストーリーモードの画面の様子。聡太先生がにこやかに教えてくれる
3つめの特徴が「ミスから学べるフォローアップ機能」であり、レーティング戦での対局中に指し手をミスした場合、対局後その場面の問題が自動的に生成され、ミスを繰り返さないための復習問題として利用できる
レーティング戦では、棋風分析や棋譜検討、ミスした場面の自動問題生成が可能。そのサイクルを繰り返すことで、棋力が向上する
4つめの特徴が「将棋をカスタマイズ」できる機能だ。盤や駒、駒台の材質、色、模様、背景色やBGMを自由にカスタマイズでき、その組合せは8,700万通り以上になる
カスタマイズ機能の実際の画面。駒や盤、駒台を拡大してじっくり見ることができる
5つめの特徴が「藤井聡太オリジナル詰将棋問題」であり、詰将棋の達人である藤井棋士が「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」のために考案した詰将棋の問題が12問収録されており、今後のアップデートでさらに追加配信される予定だ
ゲーム全体概要。初心者のための入口としてストーリーがあり、棋力育成サイクルとして、レーティング戦や自動問題生成機能がある

任天堂の本部長や日本将棋連盟会長の佐藤康光氏も登壇

 続いて、任天堂株式会社取締役上席執行役員営業本部長兼業務本部長の柴田聡氏が登壇し、スピーチをおこなった。柴田氏はまず、ニンテンドーSwitchの売上げが全世界で非常に好調であり、多くのユーザーを持つ多様なプラットフォームだと語り、その中で、将棋ファン、藤井棋士のファン、これから将棋が強くなりたいと思っているジュニアからシニアの方まで、一人でも多くニンテンドーSwitchで、このソフトで遊んでいただきたいと語った。

 また、柴田氏自身も将棋好きとのことで、実際に将トレで遊んでみた感想を次のように語った。「将トレは、段階を経て少しずつ定跡を覚えて、強くなっていくことが自分で実感できるソフトになっています。一ファンとして、このソフトが発売されるのを心待ちにしております。また、任天堂は、実は将棋盤や将棋の駒も販売をしており、将棋とは縁の深い会社です。」

 ご存じの方も多いだろうが、任天堂はもともとトランプや花札、将棋盤などのアナログゲームの製造販売からスタートした会社であり、現在でもトランプや花札、将棋盤、碁盤、麻雀などの販売をおこなっている。司会の方が関係者から借りたという、昭和38年に任天堂が販売した将棋盤を披露していた。

任天堂株式会社取締役上席執行役員営業本部長兼業務本部長の柴田聡氏
司会の方が掲げている将棋盤は、昭和38年に任天堂が販売していたものだ

 さらに、日本将棋連盟会長の佐藤康光氏が登壇し、コメントを寄せた。佐藤康光氏といえば、名人2期を含むタイトル通算13期(歴代7位)、永世棋聖の称号を保持するトップ棋士であり、2017年2月から日本将棋連盟会長を務めている。日本将棋連盟会長が直々に出席するということからも、日本将棋連盟が藤井棋士およびこの将トレに大きな期待をかけていることがわかる。

 佐藤会長は、藤井七段がプロ棋士になって3年が過ぎたが、この間、将棋ファン層が様変わりし、従来からの自分でも将棋を指すファンだけでなく、“見る将”という、将棋のルールは良く知らないが、藤井棋士などのひいきの棋士の将棋を楽しむファンの方が大変増えたとコメントした。しかし、日本将棋連盟としては、そういった方々にも、見るだけでなく、将棋を楽しんでいただくことが課題だと考えており、今回、日本将棋連盟公認、また藤井聡太七段の監修という形で、将トレが出ることに大変期待していると語った。また、佐藤会長も、実際に少しゲームをプレイしたとのことで、「対局のみならず、聡太レッスンを受けた。私もプロ棋士だが、藤井七段に『よくできました』、『素晴らしい』と褒められると、何か強くなった気がする。」と語り、報道陣を沸かせた。

日本将棋連盟会長の佐藤康光氏

藤井棋士が壇上でソフトに込めた想いを語る

 最後に、将トレの監修を務めた藤井棋士が登場し、司会者からの質問に答える形で、将トレとの関わりや、ソフトに込めた想いを語った。その内容は以下の通りだ。

――監修についての率直な感想を教えてください。

藤井棋士: 自分がゲームソフトの監修を務めるというのは、全く想像もしていなかったことで驚きもありましたが、こうして将棋の楽しさを伝えられるようなソフトの開発に携わることができたことを嬉しく思っています。

――ゲーム用の音声の収録や撮影も全く初めての経験だったそうですが、いかがでしたか?

藤井棋士: 今回、本当に色々新しい経験をさせていただいて、音声の収録もその一つでしたが、こうして収録した素材が実際のゲームに使われているのをみて、嬉しく感じました。

――棋士の目からみて、このゲームソフトのすごいところは何ですか?

藤井棋士: まずは、対局用のAIの強さが非常に丁寧に調整されていて、どのような棋力の方でも楽しんで対局することができるというのが、まず大きな特色ではないかなと思っています。また、盤や駒、対局中のエフェクトも非常にリアルで、盤や駒のカスタマイズができることが、面白いなと感じました。

――昨今、コンピューターソフトそれからAIを活用して活躍される方が増えてますが、藤井七段にとって、コンピューターやAIはどのような存在ですか?

藤井棋士: そうですね。自分自身普段から、将棋の勉強にAIを取り入れてまして、将棋が強くなるために非常に有用なツールではないかなと感じています。今回のソフトも、ユーザーの方を導いてくれるような存在になっていると思います。

――詰将棋解答選手権5連覇中の藤井七段ですが、このゲームソフト用に詰将棋の問題を作成されています。特に若い世代に向けてという気持ちもあったかと思うんですが、この詰将棋に込めた想いを教えてください。

藤井棋士: 今回、詰将棋の作成を何問か担当させていただきまして、手数が5手から11手ということで、初心者の方にはなかなか難問かもしれませんが、挑戦して棋力アップに繋げてもらえればと思っています。

――この「藤井聡太の将棋トレーニング」の発売を通じて、藤井七段が伝えたいこと、期待することを教えてください。

藤井棋士: 本当に将棋を全く知らない方であっても、将棋のルール、基礎から、楽しみながら学べる内容になっていますので、ゲームソフトを通じて、さまざまな方に将棋の魅力を知っていただけたらと思っています。

【藤井聡太棋士】
監修をおこなった藤井聡太七段
フォトセッションでは扇子を持ってポーズをとった
将棋盤を前にした藤井聡太七段。17歳とは思えない貫禄である

 発表会終了後、試用機を触ったり、栗田ディレクターや開発者に尋ねたところ、いくつか細かな仕様を知ることができた。まず、AIエンジンは定評がある「激指」をベースにして、級段位に応じた自然な手を指すようにチューニングをおこなっている。

 聡太レッスンの問題(詰将棋や次の一手など)は当初から1,000問あり、さらに問題作成機能で増えていく。棋譜は100局分保存できるが、セーブスロットが4つあるので、それを全て使えば、事実上400局分を保存できるとのことだ。また、棋譜のお気に入り登録もできるので、初めて初段相手に勝ったとか、そういう記念の棋譜をとっておくこともできる。

 将トレは、あくまでコンピューター相手に対戦をおこない、棋力を上げるためのソフトであり、オンライン対戦などはサポートしていないが、単なる将棋盤として使い、人間同士で指すことはできる。その際、向かい合わせモードを選ぶと、王手などのエフェクトがそれぞれの対戦者から見えるように表示される。また、将棋ソフトで問題となるのが、コンピューターの思考時間だ。昔のコンシューマ機の将棋ソフトだと、最強レベルにすると1手指すのに何分もかかることがあったが、将トレは段位レベルでも思考時間が数秒と短く、人間がイライラするようなことはない。栗田氏によれば、開発メンバーの中には全く将棋を知らない人もいたが、将トレと対局することで、4級レベルまで上がったメンバーや、初段のAIに勝てるようになったメンバーもいたとのことだ。

 筆者は、将棋は駒の動かし方が分かる程度で、戦型も定跡も知らないのだが、小学生の息子は将棋好きで現在2級である(もっと強い子はいくらでもいるが)、息子と対局すると飛車角を落としてもらっても勝てないので、息子とは将棋をやりたくないのだが、将トレが発売されたら、密かに練習して棋力を上げて息子に挑戦してみたいと考えている。

この発表会で使われた将棋盤は、実際の棋戦で使われた由緒あるものだという
左から、栗田氏、福田氏、藤井棋士、佐藤会長、柴田氏
藤井棋士が書いた色紙も飾られていた
実機での画面。いわゆる評価値もグラフで表示され、どの場面でミスがあったかなどが一目で分かる
対局設定画面。強さが20段階以上にきめ細かく設定でき、得意な戦法も選べるなど、至れり尽くせりだ