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eスポーツのムーブメントを拡大してIOC加盟を目指す

国際eスポーツ連盟事務局長レオポルド・チャン氏が講演

9月13日 開催

会場:幕張メッセ

 「東京ゲームショウ2019」が開催されている幕張メッセの9ホールには、日本eスポーツ連合(以下、JeSU)のeスポーツ関連セッション・イベントを行なうための「e-Sports X RED STAGE」、「e-Sports X BLUE STAGE」が設けられている。

 そのe-Sports X RED STAGEにて、国際eスポーツ連盟(以下、IESF)の事務局長を務めるレオポルド・チャン氏による「グローバルeスポーツムーブメント:オフィシャルスポーツとしての可能性」と題した講演が開催された。

国際eスポーツ連盟事務局長 レオポルド・チャン氏

 IESFは2008年に設立。2019年7月現在で56か国が加盟している。IESFのビジョンと使命は、eスポーツを真のスポーツとして認知させること。そのためには4つの柱が重要だと語るチャン氏。1つめは加盟する国の数を増やすこと、2つめはeスポーツの標準化を図ること、3つめはトレーニングを通じて人材を育成すること、4つめは世界中のeスポーツイベントを組織することだ。

 ではeスポーツを真のスポーツとして認知させるには何が必要なのか。チャン氏はまず「持続可能であること」をポイントとして挙げる。「スポーツは社会に対して還元し、社会とコミュニケーションを取っている分野。そのためには選手を大切に育成し、才能を花開かせ、生活の保障もして後進の指導にも力を注ぐという土台作りが大事だ。選手を大切にする、生活を保障する、後進の指導を強化するということは産業の面から見ても大事。喫緊の課題として取り上げるべきだ。そのためには官民の連携が重要だ。民間からの支援と理解は進んでいる。選手を生涯に渡ってサポートする土台作りのため、国の支援が必要となる」(チャン氏)。

 具体的には、IESFがスポーツ団体として国際スポーツ連盟機構(以下、GAISF)に認められることが重要となる。GAISFには国際サッカー連盟(FIFA)、国際バスケットボール連盟(FIBA)など、スポーツとして認知されている国際団体すべてが所属している。このメンバーに入ることが第1の条件だ。

 またオリンピックを考えたとき、夏のゲームとして認められるには40か国、冬のゲームとしては25か国の加盟が必要となる。今現在IESFでは、31か国でその国における国際的なスポーツとして認められており、あと1歩の所だ。

 また国際オリンピック委員会(IOC)には「ELG(Esports and Gaming Liaison Group)」が設けられ、話し合いが開催された。これは「オリンピックの正式競技として認められる貴重な会議」と強調するチャン氏。またJeSUがELGのメンバーに入ったことについて「世界的に見ても、日本という国がeスポーツに対して多大な貢献ができる可能性を秘めていると期待されている」とも。

 そして今後eスポーツが発展するためには、民間による支援だけでなく、国レベルでのサポートが必要とチェン氏は強調する。そのために現在5か年計画でプロジェクトが進められており、今年はその2年目に当たる。

 プロジェクトとしてまず挙げられるのは、グローバルスポーツR&Dセンターの開設だ。これはすでに韓国・釜山にできており、その施設の中にある「国際的eスポーツレフリーアカデミー」でレフリーを育成するほか、「国際eスポーツアカデミックリサーチセンター」では資金的な支援や広報活動、情報提供をするための環境作りをしている。「eスポーツトレーニングセンター」もあり、選手1人1人が同じ条件のもとで練習できるほか、コーチも学べる施設となっている。ちなみにグローバルスポーツR&Dセンターは選手だけでなく一般にも開放されている。

 eスポーツでプロの世界を目指す場合は、大会でいい成績を残していくことも大事だが、政府のサポートが必要だとチャン氏は再び強調。「eスポーツが長期にわたり健全なスポーツとして認知されていくには、民間、公的機関の連携が必要。そのための対話の機会が増えて欲しい」とチャン氏。

 そしてチャン氏は現在、eスポーツの規格作りがものすごいスピードで進んでいる状況であると語る。「やらなければならないことがたくさんあり、そのスピードについていくのが精いっぱい。しかし今はムーブメントを作り、その大きなうねりが国際機関に認められることが大事。これについては対話しながら着実に進めていく」と強調。

 「今後はJeSUとIESFが共同で進めていく。将来のためにやることはたくさんあり、それを着実に進めることが大事。そのためには皆さんの興味や関心、正しい理解が必要だと思う。今後も注目していただきたい」と語り、講演を終えた。