ニュース

カプコン、社内eスポーツ大会「カプコン カンパニー カップ2019」開催!

辻本春弘社長「eスポーツはいろんな方が同じステージで楽しめる夢のスポーツ」

7月12日開催

 カプコンは7月12日、eスポーツへの取り組みに関する説明会および社内eスポーツ大会「カプコン カンパニー カップ2019」を開催した。

 カプコンは、日本でeスポーツが盛んになる以前からeスポーツ事業にいち早く乗り出しているメーカーだ。その歴史は古く、1992年に国技館で開催された「ストリートファイターII」の全国大会を皮切りに、2014年からは年間を通して行なわれる大規模な大会群「CAPCOM Pro Tour」を展開するなど、積極的な活動をグローバル規模で行なっている。

 今回の説明会はメディア関係者を対象に行なわれ、カプコンによるeスポーツへの取り組みや今後の戦略などが語られた。

 初めに、常務執行役員で経営戦略室長の荒木重則氏が登壇し、「ストリートファイターV AE」における2018年の実績と2019年の取り組みについて解説を行なった。

常務執行役員 経営戦略室長 荒木重則氏

 2018年の実績について荒木氏は、新人の発掘を目的とした地域大会「ルーキーズキャラバン」を一例として取り上げた。ルーキーズキャラバンの出身者から、東京ゲームショウ2018の大会でトップ8に残った選手、テレビに出演してリーグ優勝を果たした選手が誕生し、この取り組みで大きな成果を残した事をアピールした。

ルーキーズキャラバンなど、2018年の取り組みを紹介

 次に2019年の取り組みとして、次のプロリーグではトッププロ選手をキャプテンに据え、「プロ」と「アマチュア」を含むチーム戦リーグを開催し、年末の総決算であるカプコンカップと併催する事を発表した。アマチュア選手の発掘には、昨年からの「ルーキーズキャラバン」に引き続き、全国のゲームセンターで行なわれる「アーケードリーグ」と、学生を対象にした「学生リーグ」を新たに追加するという。

 カプコンが地方で大会を開催する事で、東京に来ることが難しい学生や仕事が忙しい大人にも平等にチャンスが与えられる点がポイントとなる。これにより、アマチュア選手にも世界の道を用意していく考えだ。

 続いて、「ストリートファイター」シリーズのプロモーションプロデューサーである綾野智章氏が登壇。eスポーツの活動を通して見えてきた課題について語られた。

「ストリートファイター」シリーズ プロモーションプロデューサー兼eスポーツプロデューサー 綾野 智章氏

 綾野氏は最初に、全国からの「eスポーツをやりたい」という問い合わせは、東京だけでなく九州や関西など地方の割合が大きい事を明かし、その上で「カプコンはこれからも地方に根差して、草の根の活動を支援していきたい」とコメントした。

 しかし綾野氏は、イベントを開催するにあたっての課題点として風営法や景表法を取り上げ、これらの法律に抵触しないように賞金付き大会を簡単に開けないのが現状であると説明。「ここはぜひ報道してください」と付け加え、カプコンは今後安全性の高い公認証の発行なども視野に入れ、法律を遵守しながら選手が安心して参加できる事が重要であるとの考えを強調した。

 また、「eスポーツビジネス」について荒木氏は、昨今のeスポーツの流れをただのブームとして捉えるのではなく、経済として発展するように進めていきたいとコメント。最終的には地方創生や雇用創出を促していきたいというビジョンを打ち出した。

 最後に、今回集まった取材陣に対して「eスポーツは観るだけではなく、やるものです。これから行う社内大会を観ていただいて、それを自分たちの会社でも再現して、ぜひeスポーツの醍醐味を味わってください」と提案し、説明会を締めくくった。

eスポーツのビジネス構造。ゲームと関わりの深い配信業やスポンサー企業に留まらず、ゲームで盛り上げたい地方自治体、回線が必要なインフラ企業、eスポーツの授業を取り入れる学校との繋がりも生まれるという

 続いて、会場を移して「ストリートファイターV AE」を使用したカプコンの社内大会「カプコン カンパニー カップ2019」の決勝戦が開催された。

 大会は3人1組によるチーム戦で行なわれ、チームメンバーをそれぞれ初級者(先鋒)、中級者(中堅)、上級者(大将)に分け、同レベル同士で順番に対戦していく方式となった。

 今回決勝戦に参加するのは、全47組141名のトーナメントから勝ち上がった3チーム。3チームは部署も違えばビルも違うということで、それぞれのプライドをかけた熱い組み合わせとなった。

 また、本大会には特別ゲストとしてゲームキャスターのアール氏、プロゲーマーのネモ選手が実況解説を担当。会場も大きなホールが貸し切られ、社内大会のレベルを遥かに超えた本格的な大会の様相を呈していた。

【カプコン カンパニー カップ2019】
会場となった貸し切りホール。もはや社内大会というレベルではない
予選3位の「齋藤、見てるか?」チーム。本社組のチームで、元ネタとなった齋藤さんは最前列で応援していた
予選2位の「PPP」チーム。格闘ゲームを作る開発チームということもあり、相当なプレッシャーがかかっていた
予選1位の「村人達」チーム。3人とも出身国が別で、“別々の村から来た”という意味を込めているとのこと
「Team Liquid」に所属するプロゲーマーのネモ選手(左)と、「ストリートファイター」の大会で数多くの実況を務めているアール氏(右)
チーム毎に固まった応援団。試合前から激しい応援合戦が行なわれていた
“始球式”ならぬ“始波動拳式”を任され、波動拳より難しい「真空波動拳」を打とうとするが、惜しくも普通の波動拳に。会場からは大きな笑いと拍手が起こった

 チームの紹介が終わると、早速試合開始。アール氏の代名詞である「いってみましょー!」の掛け声が場内に響き渡ると、観客のボルテージは開幕から最高潮となった。

 予選を勝ち抜いた3チームというだけあり、試合はどれもハイレベルな展開に。先鋒戦の初心者同士による試合でもコンボが決まり、ネモ選手も「初心者の動きじゃないですね」とコメントしていた。

 一撃が当たるたびに会場からは大きな声援があがり、時には実況解説の声が完全にかき消される事も。3チームによる激戦は終始白熱し、最後は予選1位通過の本命であった「村人達」チームが見事優勝を飾った。

 優勝した村人達チームは「勝てた理由は、会場のマイメン達のバイブスだと思います!」と、ラップで出てくるようなフレーズで会場を沸かせた。

どれだけ大きな会場であっても端まで届くアール氏の掛け声は迫力満点
真剣な眼差しで勝負に挑む選手達
ストリートファイター伝統の組み合わせ、リュウvsガイル。両者激しい波動拳とソニックの打ち合いとなった
2018年のカプコンカップ決勝を彷彿とさせるラシードvsアビゲイル
優勝した瞬間の「村人達」チーム。喜びで抱き合う姿が見られた

 続いて、優勝した村人達チームと、プロゲーマーのネモ選手によるエキシビションマッチが行なわれた。ネモ選手は「余裕でしょ」と煽ると、村人チームも「ぶっ潰しますよ!」と一歩も引かずに応戦。お互いの応酬に会場は大盛り上がりとなった。

 エキシビションマッチでは、ネモ選手は1人分、村人達チームは3人分の体力ゲージを持つハンデ戦に。試合は、先鋒戦(初心者)の選手がネモ選手の体力を半分も削るという大波乱の展開を迎え、その勢いは止まることなく、中堅戦の選手がネモ選手の体力を全て削り切って勝利を収めた。

 村人達チームによるまさかの大健闘ぶりに会場からは大きな拍手。負けたネモ選手は「これはルールが悪いですね(笑)」と、さすがに辛すぎるルールにダメ出ししつつも、村人達チームを「想像以上に強かったです」と称えた。一方、勝利した村人達チームは「結構楽しめましたね、(ネモ選手は)まぁやれる方だと思います(笑)」と、見事な煽りコメントで会場の笑いを誘った。

 しかし、まだ大将がネモ選手と戦っていないという事で、急遽大将vsネモ選手でハンデなしのガチンコ勝負が行なわれることに。試合展開はネモ選手が圧倒し、2-0のストレート勝ち。ネモ選手は「ハンデがなければこんなもんです! ただ、負けられないなと思ってビビりながら対戦してました」とコメントし、プロゲーマーの威厳を見せつけてエキシビションマッチは終了となった。

ネモ選手vs村人達チーム。舌戦は互角であった
ネモ選手、ハンデ戦に敗れる
最後はネモ選手がしっかりとストレート勝ちで決め、大会は大盛況に終わった

 エキシビションマッチが終わると、カプコン代表取締役社長の辻本春弘氏が登壇。今回集まった大勢の社員に対して「eスポーツは、年齢や性別、身体能力が関係ない、いろんな方が同じステージで楽しめる夢のスポーツである」との考えを示し、ただ単に大会を開いてゲームソフトを売るためのツールにするのではなく、eスポーツを世界に広めるために取り組んで欲しいと話した。

 最後は「カプコンは今後50年、100年と、eスポーツの振興に努める企業としてやっていきたいと思います。ぜひとも協力して頑張っていきましょう」と締めくくり、大盛況のうちに社内イベントは幕を閉じた。

代表取締役社長辻本春弘氏
表彰式で優勝した社員チームと肩を組む辻本社長。これがeスポーツ!

 世界のeスポーツシーンでは、格闘ゲーム自体がまだマイナージャンルの域を出ず、「ストリートファイター」シリーズもeスポーツの中心に位置するとは言えないのが現状である。

 しかし、今回の説明会で語られたようなカプコンの精力的な活動に加え、ウメハラ選手やときど選手といった著名な日本人プロゲーマーによる活躍も後押しして、国内では大きな存在感を示すタイトルへと成長してきている。

 また、今回はカプコンの社員自らが競技者となって大会に臨んでいたが、会社全体で「自分たちもやってみる」という姿勢は素晴らしいものだと感じた。

 プロでなくとも、初心者であっても、本気で勝利を目指す姿こそ観ていて面白いものであり、それがeスポーツの原点とも言える。今回の社内イベントを通して経験した競技者目線の喜びや苦悩は、これからの大会運営や選手たちのサポートにより活かされる事だろう。

 カプコンによるeスポーツの取り組みが、今後どのように展開して普及していくのか、注目していきたいところだ。