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ガルフォードステージ「鮪」など「サムスピ」屈指の名曲が26年の時を超えて蘇る! 「SAMURAI SPIRITS」発売記念ライブレポート
2019年7月9日 11:08
- 7月7日開催
- 会場:THE AKIHABARA CONTAiNER
2019年6月27日にプレイステーション 4/Xbox One向けに発売された剣戟アクション「SAMURAI SPIRITS」の記念イベントライブが7月7日、THE AKIHABARA CONTAiNERで開催された。
「SAMURAI SPIRITS」は初代が1993年にアーケードで稼動して以来、多数のシリーズが出ている対戦格闘ゲームである。特徴としては武器による強攻撃(通称大斬り)が凄まじいまでの威力を誇り、その大斬りをいかに相手に浴びせるか、また相手の大斬りをいかにしのぐかを基軸にした駆け引きが醍醐味である。
今回の完全新作となる「SAMURAI SPIRITS」は、大斬りの一撃必殺にも等しい爽快感はそのままに、グラフィックス、演出、サウンドが一新され、新規3キャラを加えた16キャラが各々武器を手に大立ち回りを演じる。さらに今後DLCとして追加キャラクター4名の参戦が決定している。
その「SAMURAI SPIRITS」のサウンドディレクターを務める山添浩史(ZOE)氏を中心にSNKサウンドチームの麻中"sha-v"秀樹氏、日野槙邑子を加えた3名がライブメンバーとして登場。新旧シリーズの人気曲をライブ用に編曲したスペシャルバージョンを披露した。奇しくもライブ開催日の7月7日は初代の稼働日というメモリアルデー。悪天候にもかかわらず沢山のファンが詰めかけた。
「SAMURAI SPIRITS」ミニライブのセットリストは以下のとおり。なお、1993年7月7日にアーケードで稼働した「SAMURAI SPIRITS」を便宜上「初代SAMURAI SPIRITS」と記載している。
「SAMURAI SPIRITS」ミニライブセットリスト
・「初代SAMURAI SPIRITS」 自然の宴 (ナコルル テーマ曲)
・「SAMURAI SPIRITS」 お調子六句・再 (チュートリアル曲)
・「SAMURAI SPIRITS」 鴉天狗 (鞍馬夜叉丸 テーマ曲)
・「初代SAMURAI SPIRITS」 鮪 (ガルフォード テーマ曲)
出演者(敬称略):
<SNK SOUND TEAM>
・山添浩史(ZOE):ギター
・麻中"sha-v"秀樹:ギター
・日野槙邑子:キーボード
ファンサービスたっぷりの開演前トーク
開場まもなく詰めかけたファンに対し、まずは公演者による開演前トークが行なわれた。本来であればMCで行うはずのメンバー紹介を前倒しした後に、観客からメンバーへの質問を直接受け付けるというファンサービス溢れる展開になった。観客からは常日頃疑問に思っていた質問が次々に飛び出し、メンバーも受け答えに窮する場面もありながらも真摯にファンへ対応をしていた。「SAMURAI SPIRITS」にちなんだ質問ではないものもあったが、SNKファンにとっては面白い質問だと思うのでここに紹介しておきたい。
――山添氏が手掛けた「THE KING OF FIGHTERS」(以下「KOF」)シリーズのK'チームBGMのタイトルに付けられている「KD-0079」や「KD-0084」の数字の由来は?
山添氏: 余りカッコイイ理由ではないけど「79」は僕の奥さんの誕生日7月9日、「84」は僕の誕生日の8月4日に由来しています。ちなみに「KOFXIV」のK'チームのテーマBGM「KD-SR」はSが長男のイニシャル、Rは次男のイニシャルからとりました。
※K'(ケイ・ダッシュ):「KOF'99」の主人公。以降、主人公格のひとりとして「KOF」シリーズに登場している。
――今回の「SAMURAI SPIRITS」で、過去作のBGMアレンジDLCは無いのでしょうか?
山添氏: 要望はいただくのですが、本作は新曲をしっかり浸透させていきたいので、今のところは考えていません。
――「真SAMURAI SPIRITS ARRANGE SOUND TRAX」にガルフォードBGMが収録されていないのは何故でしょうか?(ネオジオCD版ではアレンジ版が聴けるのに)
山添氏: おそらくですが、収録曲数や収録時間の都合だと思われます。
――「KOF'97」のステージBGMは環境音だけ等のものが多かったけれど、どうしてでしょうか?
麻中氏: 対戦相手CPUがチームエディットをしてくるので、チームBGMというものが無かったというのと、「KOF'97」は世界中で行われている試合の様子を中継しているというコンセプトだったので、ステージBGMは環境音のみ(一部のキャラのみBGMあり)でした。
令和に蘇る侍魂音楽!
今回はミニライブとして限られた時間の中ではあるが、選び抜かれた4曲はどれも「サムスピ」ファンにとってはたまらない曲目になった。ゲーム中のBGMというとループするが、今回はライブアレンジという形でより観客に楽しんでもらえるようになっていた。
まずは初代「サムスピ」版のナコルルステージBGMである「自然の宴」が先陣を切った。ゲームキャラクターの中でも一際人気の高いナコルルを形作った曲であり、優しいながらも儚いメロディラインが特徴である。今回のライブバージョンでは鳥の鳴き声とAメロディから静かに入っていき、充分にナコルルのメロディをアピールした後に、ゲーム中どおり太鼓類のパーカッションが続いた。ギターの山添氏と麻中氏はコードを押さえる脇に徹し、メロディラインを日野氏が奏でた。最後もAメロディのソロリードで〆た。
続いてはチュートリアルで流れる「お調子六句・再」だ。「真SAMURAI SPIRITS」のファンにとってはゲーム中CPU戦時にいきなり乱入されて出鱈目な攻撃をしてくる黒子にボコボコにされたトラウマが甦るであろう。曲調は至って軽快な和風ロックンロールで、打って変わってノリノリでギターを弾く山添氏と麻中氏。曲が1ループしたところで麻中氏がギターソロで「さくらさくら」を挟んできた。舞台が日本ゆえの演出であろうか、親和性も抜群である。
そして今作の新キャラである鞍馬夜叉丸のテーマである「鴉天狗」。「SAMURAI SPIRITS」シリーズでしばしば使われている和洋折衷ロックだが、夜叉丸のバックストーリーを彷彿させる、悲壮感や強い意志を前面に押し出されたメロディになっている。本ライブバージョンではギターが一部リードを引き受けたり、ソロを織り交ぜることでよりメロディアスな仕上がりになっていた。
今回のミニライブのトリを飾るのは「SAMURAI SPIRITS」シリーズといえばこれ!という声も高い、「初代SAMURAI SPIRITS」ガルフォードのテーマ曲である「鮪」だ。屈指の人気ナンバー登場に会場内も手拍子で盛り上がる。疾走するギターとメロディを奏でるキーボードに、この日一番の歓声と拍手が贈られた。アンコールを求める拍手が続いたが今回は4曲のみということで、「ライブの練習をしておきます!」、「ライブ用に曲をストックしておきます!」と、今後のライブ実現に含みを持たせつつ本公演は終了した。
幕間では制作秘話も!
開演前もさることながら、MCにも担当した曲や製作秘話があったのでここで紹介しておきたい。
日野氏:タムタム、呉瑞香(ウー レイシャン)、そしてDLCキャラクターであるリムルルのBGMを担当
「担当した3キャラの曲作りに奮闘しているさなか、自宅で入浴中に3曲ともメロディが思い浮かんでしまい、慌てて風呂を飛び出してメロディを書き留めたのは良いが、その後風邪をひいて寝込んでしまった(笑)」
麻中氏:牙神幻十郎、色、道場のBGMを担当
「キャラクターの体力残りに応じてBGMの展開が変わる、いわゆる「インタラクティブミュージック」を「無限試合モード」に取り入れたのだが、一撃で体力がごっそり無くなってしまうゲームの特性上それが分かりづらいのが残念(笑)」
「道場のBGMはチュートリアルでも使おうと思っていたが、チュートリアル時の黒子の掛け声が軽妙だったので、これは「真SAMURAI SPIRITS」のお調子六句が似合いそうだと思い、締め切り間近だったが、山添氏に相談して急遽お調子六句を入れた」
山添氏:ナコルル、鞍馬夜叉丸、柳生十兵衛、ボスの静御前のBGMを担当
「ナコルルは人気キャラでもあり、曲の人気も高い。今回ナコルルの新曲をリリースするにあたって、ユーザからの反応が心配だったが、好評をいただいたようで一安心した」
「鞍馬夜叉丸は本作の主人公格であり、「KOF」でいうK'のように以降のシリーズに展開して行って欲しいという思いから、その元になるような曲をということで気合を入れて作った」
このほかメディア向けのインタビューも行なわれ、様々な制作秘話を聞かせていただいた。そちらは後ほどたっぷりお届けしたい。