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「ハリー・ポッター」の世界が現実に! ポートキーで移動ができる新感覚のAR体験

開発陣のコメントとともに紹介

6月12日 公開

 ワーナー・ブラザース テレビジョン&ホームエンターテイメントとNianticは、2019年にリリースを予定しているAndroid/iOS用ARゲーム「ハリー・ポッター:魔法同盟」の「開発ダイアリー」を公開した。

 現実世界を舞台とする本ARゲームアプリは、日常に魔法界を持ってくるというコンセプトでデザインされている。この不思議なユニバースを、スマートフォンというプラットフォームで革新的なゲーム体験へと移植するのは、決して容易ではなかったという。

 今回、「ハリー・ポッター」作品でおなじみの魔法界を、開発陣がいかにして現実世界のARゲームで再現したのかが、ゲームに携わるチームのメンバー数名のコメントとともに紹介されている。

魔法界を(拡張)現実の世界に

Nianticのプロダクトマネージャー Marigold氏

 グリフィンドールとハーマイオニーのファンで、NianticのプロダクトマネージャーであるMarigold氏は、デザイン、エンジニアリング、マーケティングをはじめとする複数のチームをかけもちしながら、プレーヤーに喜んでもらえるゲーム作りに貢献している。

 いちばん楽しみにしているのは、「ハリー・ポッター:魔法同盟」の生き生きとしたARエンカウンターと、このゲームのロケーションベースの部分。理由はこの2つがゲームにリアルさを与えているためだ。

 同氏は、「『ハリー・ポッター』の本を読む時に誰もがやっていることだと思いますが、頭の中で登場人物や世界をイメージする。すると、自分の周りでその世界が現実になる。『ハリー・ポッター:魔法同盟』はそれを1歩前に進めて、実際に命を吹き込みます。魔法を操る人々や空想的な生き物たちを、実際にすぐ近くに見ることができる。手を伸ばしたら本当にさわれるんじゃないかと、そういう気分になるほどです。」と語っている。

 さらに、プレーヤーに「魔法使いチャレンジ」の戦闘を体験してもらうことも楽しみにしているという。「砦に入って友達とチームを組むと、本当に一緒に戦っているみたいに感じられるんです。こういうふうに力を合わせて悪者をやっつけよう、とかね。」とコメント。

 開発チームの面々がゲームのありとあらゆる機能にありったけの力を注いでいる姿は、見ていて何よりも報われる体験だそうだ。「何をどうすれば最高のプレイ体験を実現できるか、みんないつも真剣に考えています。そうやって考えたことを実現するため、全力で事に当たるんです。『痕跡』、『魔法』、『魔法使いチャレンジ』、『魔法薬』、『ポートキー』。面白い機能がたくさんあって、それらがうまくかみ合って回っています。ちなみに、今挙げたものはどれもNianticのリアルワールドプラットフォームの上に構築されています。」とコメントしている。

ハッフルパフ派でNianticのシニア・ソフトウェアエンジニアを務めるMike氏

 マップやポートキーといったいくつかの大事な機能の開発を手がけたMike氏は、「ハリー・ポッター:魔法同盟」の仕事をしている時は、原作の登場人物であるルーナ・ラブグッドからインスピレーションを得たという。

 同氏は「冷静で、スマートな実力者なんです。何か問題が起きたときに彼女がとるアプローチは、独特で、ときに注意散漫でもあるんですが、それでも結果が出てしまうんですね。個人的にとても親しみを感じます。」と語る。

 同氏が一番楽しみにしているのは、プレーヤーが最初に魔女や魔法使いになるときに特殊部隊に所属する部分だそうだ。「原作や映画以外の現実世界では魔法はどんなふうに見えるのだろう、自宅の裏庭で使えたりしたらどういう感じになるのだろうと、私たちファンはずっと想像をたくましくしてきました。『ハリー・ポッター:魔法同盟』では、プレーヤーは、友達と一緒に、魔法界と関係を持つのがいったいどういうことか、すぐ身の回りで体験できます。それだけでなく、一方では自分たちの物語を楽しみながら、機密保持法特別部隊の命令を受けて大災厄という大きな問題の解決に挑むのです。」と語っている。

 物語やゲームがファンの人生に持っている力を理解している同氏は「ハリー・ポッター」がこれほど強く、これほどたくさんの人々の心に響くのは、現実世界に重なるようにして存在する、魔法界という秘密の世界を描いているのも理由のひとつなのだと信じているという。「その魔法界を、大勢のファンが現実世界とともに体験できるようにするわけですから。ものすごくやりがいがありますよ。『ハリー・ポッター:魔法同盟』の仕事をしていて楽しかったのは、世界中の人に楽しんでもらえる深い体験を作る機会を持てたことです。『Ingress』や『Pokemon GO』といった現実世界を舞台とするゲームでどんなことができるか、実際に目にしてましたから。『ハリー・ポッター:魔法同盟』でも、私たちの世界の魔法をプレーヤーの皆さんに味わってもらいたいです。待ち遠しいですよ。」とコメントしている。

発見という魔法

WB Gamesのプロダクトマネージャー Nicole氏

 WB GamesのプロダクトマネージャーであるNicole氏は、ハリー・ポッターのことならなんでも知っている、自他共に認めるコアなファンと言われているが、「ハリー・ポッター:魔法同盟」の仕事の時は、繰り返し原作に当たったという。

 「Portkey Gamesのレーベルを冠したタイトルでは、原作のシリーズに忠実なデザインとユーザー体験を追求しなければならない。しかし、魔法界という世界観はゲーム化を前提としたものではない。そこで、リアルワールドARモバイル形式でファンの想像を実現する方法を探ることを目指しました。そのためには、これは原作や映画のあの部分だ、と認識できる要素がゲームに備わってないといけません。原作に関する事実確認を自分たちでしょっちゅうやってました。」と語る。

 「ハリー・ポッター:魔法同盟」には、「ファウンダブル」や、魔法の障害物「コンファウンダブル」という形で、J.K.ローリングの原作への言及が様々なエンカウント(敵キャラクターとの遭遇)に盛り込まれている。こうしたエンカウントは、キャラクターや記憶といったものから、魔法動物や魔法のアイテムまで様々。ハリー・ポッター本人はもちろん、雨の日の夜にしか採取できない魔法薬の素材などが登場する。

WB Gamesデザインディレクター Steve氏

 「ハリー・ポッター:魔法同盟」では、不思議に驚く感覚や好奇心といったものに働きかけることがゲーム開発チームの優先事項だったという。そのため、ストーリーを構成する要素のうち、発見や探索といった部分には細心の注意が払われている。

 WB GamesのデザインディレクターであるSteve氏は、レイブンクローのファンで、他の誰よりも長くゲームに携わっている。同氏は、「ハリー・ポッター」の物語は根本的にはミステリーであるという仮説を立て、「ハリー・ポッター:魔法同盟」もそれと同じ土台の上で展開したかったと語る。

 そこで、何年かにわたって展開される深い物語を用意し、大災厄(マグルの世界、つまり人間界のあちこちに混沌の魔力が現われる現象)に隠された真実をプレーヤーに調査してもらう、という体裁をとったのだという。

 同氏は、「プレーヤーの皆さんには、自分も『ハリー・ポッター:魔法同盟』の物語の一部なのだと感じてほしいですね。ゲームの物語としては、プレーヤーが物語のピースを発見し、自分でそのパズルを組み合わせていくという構造にしました。大災厄の謎は、1つの真実ですべてが明らかになるというものではありません。真実はいくつもの回収可能なオブジェクトに散りばめられていて、すべてを解き明かせるかどうかはプレーヤー次第になります。」と語る。

 Nicole氏もSteve氏も、コミュニティが機密保持法特別部隊の仲間として力を合わせていくのが楽しみだと語っている。手がかりを一緒に集めたり、さまざまな職業(闇祓い、魔法動物学者、教授)の者同士が一緒に「魔法使いチャレンジ」に挑んだり、協力にもいろいろな形があるだろう。

 Nicole氏は「ハリー・ポッターのコミュニティがすごいと思うのは、みんな親切で、ポジティブなファンベースなところです。なので、『ハリー・ポッター:魔法同盟』は協力とか、共通の敵と一緒に戦うといったことを大事にしようと、意識して決めることができました。砦に同時のマルチプレイチャレンジを実装できたことなどは、自分でもよかったのではないかと思います。どんな人にも自分の場所がある。誰もが等しく重要であり、成功するには誰もが参加しないといけないんです。」と語っている。

 ゲームがリリースされたときにプレーヤーが体験できることのうち、チームが楽しみにしているのは何か。この問いについては、「ポートキー」が他のどんなゲームにもなかったAR体験を味わわせてくれるという点でNicole氏もSteve氏も同意見だったという。

 Nicole氏は、「プレーヤーの皆さんに魔法界をお届けしたいと、開発初日からずっと言っていました。でも、アフリカの街に住んでいる人が、飛行機にも乗らずにロンドンのキングズ・クロス駅9と3/4番線に行くにはどうすればいいのでしょうか? そこでNianticのリアルワールドプラットフォームの出番です。皆さんがポートキーの機能にどんな反応を見せてくれるか、今から楽しみです」とコメントしている。

 今後も、Twitterなどの様々なエピソードやゲームの舞台裏が紹介される予定。