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【GDC 2019】コントローラーが「コントローラー」じゃない!独特の操作が楽しめる「ALT.CTRL. GDC」コーナー
部門大賞の「HOT SWAP」や宮澤氏の「イセキクライマー」などが出展
2019年3月24日 07:41
GDCの開催期間中は最新技術の発表やゲームタイトルの開発背景について、あるいはゲームのマネタイズやリクルーティングにいたるまで、開発者や業界関係者による大量のセッションが連日実施されている。
その傍ら、会期の丁度半ばに当たる3月20日からは会場のMoscone Centerの地下でExpoの会場がオープン。こちらは各企業や開発者がブースを連ねており、イメージ的には「東京ゲームショウ」などのゲームイベントと近しいものとなっている。
そんなExpoの一角で、異様な雰囲気を醸し出すエリアがある。それは代替コントローラー(alternative controllers)を使った作品のみが参加を許される「ALT.CTRL. GDC」コーナーだ。一般的にゲームのコントローラーといえばゲームパッドであり、PCであればマウスとキーボードが使われる事が多いが、「ALT.CTRL. GDC」ではその固定概念を取っ払い、新たな操作方法と、それによる新たなゲーム体験の模索が続けられている。
実は開催6年目を迎える「ALT.CTRL. GDC」だが、GDC 2019の出展作品も尖ったものばかりだ。例えば石炭をスコップで拾って列車を走らせるシミュレーター「Coal Rush」や、"スッポン"ことラバーカップをまさにトイレで使うときのようにキュポキュポすることで操作するパーティゲーム「Plünge」、実際の本を千切ってシュレッダーにかけることでストーリーが進む「The Book Ritual」、2人1組で背中合わせで椅子に縛られ、少し離れたところにあるポールについたボタンを足で押すことで遺跡からの脱出を目指す「Tied Escape : Curse of Cortez」、足元のマットの表示に合わせて立ったり座ったりする「HELLCOUCH: A Couch Co-op Game」……などなど、プレイはもとより傍目から見ていても「なんだコレ!?」と興味を惹かれるタイトルが目白押しだ。
特に見ていて面白いというのは重要なポイントで、プレーヤー、ギャラリー、時には開発者も混じって爆笑していたりと非常に微笑ましい空間が広がっており、その爆笑が近くを通る来場者を呼び込む、という正のスパイラルが成立していた。
中でも「Independent Games Festival Awards」で大賞に当たる「ALT.CTRL.GDC Award」を獲得した、「HOT SWAP: All Hands On Deck」は凄い。「HOT SWAP」は2人で協力して船を動かし、敵となる船と戦ったり宝箱を開けてスコアを稼いでいくというゲームなのだが、コントローラーには1人あたり2つの空きスロットが設けられており、ここに「舵」や「大砲の発射」など船の操作を個別に割り振った6つのボタンをハメ込んで操作していく。ゲームの状況に応じて忙しくボタンを入れ替える様はまさに"ホットスワップ"といった感じで、それぞれのボタンも舵は「回す」、大砲の発射は「ボタンを押す」など、操作の手触りがゲームと直結していることや、事実上"自分でできる操作は2つまで"なので、隣り合ったプレーヤーとの協力が不可欠なのが面白い。
また、日本のゲームコントローラー・ゲーム制作者、MIYAZAWORKSの宮澤卓宏氏もブースを出展しており、ロープを手繰って遺跡を登っていく「イセキクライマー(出展名は「Ruins Climber」)」を展開していた。
「イセキクライマー」には遺跡を登るためのロープ型コントローラーのほか、左右にボタンが備え付けられており、これを押すことで左・中央・右の3本のロープを行き来しながら上を目指していく。道中にはトゲや進路を塞ぐ動く石、トラップなどがあり、当たると短時間動きが止まってしまうので、これらの障害物を上手く避けながら登る必要がある。
ロープを手繰った動きが小気味よく操作に反映されるので、プレイしていて気持ちいいのはもちろん、一方では闇雲に手繰って速度を出しすぎると罠にかかってしまったりと、思った以上に繊細でメリハリの効いた操作が要求される印象で、ゲームとしての完成度の高さが感じられる。
1回のゲームプレイが短いことや、操作が直感的に理解できることもあってか、ブースには来場者が列を作り、一見同士の対戦を楽しんでいた。
宮澤氏は今回が2度めのGDC出展だということだが、実は「ALT.CTRL. GDC」はかなり競争倍率が高く、ひとまず出展できたことに安堵している様子だった。また、今後の展開について聞いてみると、「それはまだ考えているところだが、行く行くはアーケード用の筐体など大型のものを作ってみたい」とその展望を語ってくれた。
「ALT.CTRL. GDC」は新鮮なアイデアやゲーム体験を味わうことができ、ものによってはプレイしている姿そのものが笑えるという素敵なコーナーだったわけだが、1つ難点があるとすれば専用のコントローラーがキモになるだけに、"通常の"ゲームのように販売が開始されれば自宅ですぐにプレイできるというわけではないというところだ。宮澤氏の言うように、出展されていたタイトルはゲームセンターなどで展開されることになればきっと盛り上がるであろうものが目白押しだっただけに、是非どこかでまた何かの形でプレイしたいと強く思う。