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“若さ溢れるeスポーツ”「第1回 全国高校eスポーツ選手権」決勝大会が堂々開幕
国内最大規模の「ロケリ」大会に初日から大盛り上がり! 高校生らしいプレイで観客を魅了
2019年3月23日 20:13
- 3月23日、24日開催
- 会場:幕張メッセ1ホール
日本全国の高校生を対象にしたeスポーツ選手権大会「第1回 全国高校eスポーツ選手権」が3月23日、幕張メッセ1ホールにて開幕した。3月23日は「ロケットリーグ」部門の決勝大会が行なわれ、明日3月24日は「League of Legends」部門の決勝大会が予定されている。本稿では初日の模様をお届けしたい。試合の詳細については別稿にてお届けする。
“若さ溢れるeスポーツ”。全国高校eスポーツ選手権オフライン決勝大会を観戦した会い一印象はこれだ。高校生らしい、若々しいハイタッチ、心配になるぐらいの極度の緊張、爆発的な喜び、隠しきれない悔しさ、もうどうしようもないというような落胆の表情など、すべてが演出抜きの素の表情ばかりであり、プロeスポーツとは異なるわかりやすさが見ていて新鮮だった。
「ロケットリーグ」は、日本では開発元Psyonixが日本法人を設立していないこともあり、eスポーツタイトルとしてはまだまだマイナーな存在だが、海外ではメジャーなeスポーツタイトルの1つだ。サッカーと同様に、細かいルールがわからなくても試合の流れを追いやすく、攻守が激しく入れ替わるスピード感と興奮度の高い試合が楽しめる。PS4やXbox Oneといったゲームコンソールとのクロスプラットフォームプレイが可能(現在βテスト中)なこともあり、今後、育て方によっては、日本でも大化けするタイトルだ。
この「ロケットリーグ」部門の決勝大会にどれだけの来場者が来てくれるのか。第1回大会ということもあり、予想が付かないという怖さがあったが、ふたを開けてみれば600ほどはあろうかという客席の8割ほどが埋まり、延べでいえば1,000人以上が来たのではないかと思う。日本にプロリーグのないタイトル、しかもアマチュア大会としては上々の入りではないだろうか。最前列には数十名のいわゆる「ロケリ」勢が顔を揃え、両チームに対して熱い声援を送っていた。
さて、決勝大会に出場した4チームは、12月に行なわれたオンライン予選を勝ち抜き、オフライン決勝大会への出場を決めた後、優勝を目指して熱心に練習に取り組んだ形跡が伺え、決勝大会は予選より遙かにレベルの高い戦いが繰り広げられた。
練習の成果は、第1試合から早くも発揮された。本大会唯一のプロ選手であるmilla選手を擁する優勝候補筆頭の横浜清風(神奈川)「Charlotte」が、佐賀県立鹿島(佐賀)「OLPiXと愉快な仲間たち」に逆転負けを喫したのだ。「Charlotte」は良くも悪くも「作戦:milla」を前面に押し出していたが、チーム力が個の力を上回ったと感じた。
優勝したのは、そのmilla選手を準決勝で撃退した「OLPiXと愉快な仲間たち」。決勝では、チーム名にその名を冠しているリーダーOLPiX選手と、「ロケリ」仲間であるRon-nex選手の連携が刺さりまくり、まるで予選大会のような大差での勝利を収めた。「OLPiXと愉快な仲間たち」は、準決勝と決勝でオーダーを変えてきたが、準決勝に出場したDora選手、決勝にHiziry選手ともに見せ場を作り、終わってみれば決勝戦は3:0(BO5)という圧倒的な強さで、初代優勝校の栄誉を勝ち取った。
筆者が見ていて感じた勝敗を分けた要素は、オフライン大会という“魔物”をチームとしていかに制御したかだ。「OLPiXと愉快な仲間たち」の主力であるOLPiX選手とRon-nex選手は、今回実況解説を務めたkokken氏主催の大会にも出場しており、ゲームランクもOLPiX選手が最上位から1つ下のスーパーチャンピオン、Ron-nex選手は最上位のグランドチャンピオンということで、プロ並みの実力を持つ選手を2人も擁していたこともあり、とにかく大会に慣れていた印象だ。
本大会では、敗退したチームにもインタビューが行なわれたが、必ず口にしていたのは、想像以上に開催規模が大きく、来場者も多かったため、緊張して頭や手が動かなかったという意見だ。観戦していても、イージーなシュートやカットをミスするシーンが多かったように思うし、中には頭が真っ白になってしまって、試合直後にも関わらず自分がどういう戦いをしたのかよく覚えていないという選手もいた。
よく“甲子園の魔物”という表現が使われるが、全国高校eスポーツ選手権にも確実に魔物が潜んでいる。「ロケリ」部門でもその“魔物”に見事に捕まってしまい、思うような実力を発揮できなかった選手が多かったようだ。特に3年生選手で構成された横浜清風(神奈川)と阿南工業高等専門学校(徳島)の選手達は、「自分たちはもう出場できないが、この経験を後輩達に伝えていきたい」と高校生らしいコメントも聞かれ、決勝大会出場の伝統を受け継いでいくという“文化としてのeスポーツ”らしい要素を目の当たりにすることができた。
それからもう1つ、「ロケットリーグ」でこのような大規模な大会を高校生に向けて開催してくれたことを感謝すると共に、第2回の開催を希望する選手も多かった。「ロケットリーグ」は日本運営が存在しないため、運営側による公式大会が存在しない。このためkokken氏のようなコミュニティリーダーによるコミュニティ大会が中心となっているが、やはりオフライン大会は別格の存在。ましてや幕張メッセでの開催という規模になってくると史上初だ。それを高校生のためだけに準備してくれたのだから感謝する声が多かったのも当然と言えるかもしれない。
ちなみに第2回 全国高校eスポーツ選手権に、「ロケットリーグ」が含まれるかどうかはまだ発表されていないが、2月に日本国内でオンライン大会の運営を手がけるRIZeSTが主催、サードウェーブがメインスポンサーの座組で実施される国内リーグ「PRIMAL - Rocket League Japan Series」の開催が正式発表された。これらの大会を機に、eスポーツとしての「ロケットリーグ」の爆発的な盛り上がりを期待したいところだ。
さて、明日3月24日は、より多くのユーザーベースを抱える「League of Legends」部門の決勝大会が開催される。ぜひ会場で高校生eスポーツの新たな歴史が生まれる瞬間を見届けよう。