ニュース

“文化としてのeスポーツ”「第1回全国高校eスポーツ選手権」ついにキックオフ!

丸山毎日新聞社社長「新文化として発展に貢献」、尾崎サードウェーブ社長「最低でも100年やりたい」

【第1回全国高校eスポーツ選手権】

2018年9月25日~11月21日エントリー受付

2018年12月23日~26日オンライン予選

2019年3月23日~24日オフライン決勝

会場:幕張メッセ 展示1ホール(オフライン決勝)

 毎日新聞社とサードウェーブは11月8日、LFS池袋を会場に共同で記者会見を実施し、両社が主催/共催するeスポーツ大会「第1回全国高校eスポーツ選手権」の開催概要および、大会応援ソングの発表を行なった。「第1回全国高校eスポーツ選手権」のエントリー受付は11月21日、「eスポーツ発足支援プログラム」の申し込み〆切は11月16日まで。

会場となったLFS池袋。PCメディア、ゲームメディアのほか、一般メディアも多く参加していた

 今回の記者会見では、両社社長が改めて抱負を述べると共に、大会応援ソングを公開することで、大会に向けての盛り上がりを作りつつ、それぞれ11月に〆切を迎える「eスポーツ発足支援プログラム」と「第1回全国高校eスポーツ選手権」の最終案内を行なうという内容だった。

 最初に登壇した毎日新聞社代表取締役社長の丸山昌宏氏は、「eスポーツはよくわかっていない。試しに(「ロケットリーグ」を)やらせてもらったら、ボールに触ることもできなかった」と正直に告白しつつも、「仲間と一緒にやる楽しさは実感でき、やる意義があると感じた。eスポーツには様々な意見があることは承知しているが、新しい文化として発展させていきたい。高校生の皆さんがeスポーツを通じて、仲間との絆を深め、努力していく姿を応援していきたい」と挨拶。同社が文化事業として主催する選抜高校野球や国際女子ソフトボールなどと同列で支えていく方針を明確にした。

毎日新聞社が主催してきた文化事業の写真をバックに挨拶する毎日新聞社代表取締役社長の丸山昌宏氏

 続いて登壇したサードウェーブ代表取締役社長 尾崎健介氏は、「人びとの創造活動と可能性を最大化する、ユーザーの活躍の場を提供するという理念のもと、eスポーツについては、選手達が競技ができるようにLFS池袋を作り、JeSU(日本eスポーツ連合)やプロチームを支援するという活動を行なってきた」とこれまでの取り組みを振り返りつつ、「ゲーマーの活動を最大化するためには、eスポーツを一般化する必要があるだろうというところで、毎日新聞社というパートナーを得てこのような大会を開催できるようになった。これまで様々な文化を作ってきた毎日新聞社と一緒にできるのは光栄なこと。ぜひ高校選手権を成功させたい」と抱負を述べた。

eスポーツ事業の一環として運営するLFS池袋の写真をバックに挨拶するサードウェーブ代表取締役社長 尾崎健介氏

 尾崎氏の挨拶はここで終わらず、主に毎日新聞社側の呼びかけで集まった一般メディアに向けて「eスポーツは、ゲームという娯楽ではなく、真剣に勝敗をわける競技だということを認識して欲しい」と呼びかけた。「どのようなスポーツにも娯楽の要素、競技の要素があり、競技はチームワーク、努力、フェアネスが必要になる。これを娯楽と見るか、競技と見るかによってeスポーツの価値は大きく異なる。eスポーツは娯楽ではなく競技なんだと言うことを認識いただきたい」と熱っぽく語った。

 さらに尾崎氏は、「主役は選手達。これから高校生同士が戦い、どのチームが強いのか決めてことになる。皆さんも主役である選手達が頑張れるような環境を構築するお手伝いをして欲しい」と、多くの一般メディアにとって未知の存在であるeスポーツに対して積極的な取材活動を要請すると同時に、「文化にしていくということなので、毎日新聞社と最低でも100年はやっていきたいというふうに思っているのでよろしくお願いいたします」と尾崎氏らしい大ボラをふき、軽い気持ちでやっているわけではないということを改めて内外に知らしめた。

【毎日新聞社とサードウェーブがタッグ】
握手を交わす丸山氏と尾崎氏。本当に100年続くのか、命の続く限り見届けたい

 その後、「第1回全国高校eスポーツ選手権」の開催概要を毎日新聞社eスポーツ担当の田邊真以子氏、それと対の取り組みとなる「eスポーツ発足支援プログラム」はサードウェーブ取締役副社長の榎本一郎氏がそれぞれ説明を行なった。

毎日新聞社eスポーツ担当の田邊真以子氏

 開催概要については、7月から8月に掛けて発表された情報のままで、応援ソングがBURNOUT SYNDROMESの「ナミタチヌ」に決まったことが明らかにされたほか、優勝賞品が「2泊3日の韓国eスポーツ体験旅行」(両部門の優勝チーム全員)になったこと。スポンサーに、デンソー、ソニー・ミュージックエンタテインメント、イオンエンターテイメント、ロジクール、ベンキュージャパンになったこと。決勝大会を3月23日、24日の両日、幕張メッセ 展示1ホールで開催されることなどが改めて発表された。

 オフライン決勝は、幕張メッセ 展示1ホールを丸々使い、1/3をステージ、1/3を客席、そして1/3をスポンサーブースにあて、2,000人規模で実施することが計画されている。客席を自由入場にするのか、事前応募制、あるいは高校生枠を設けるか等の細かいレギュレーションについては、オンライン予選を行なった上で詰めていきたいとしている。

【「第1回全国高校eスポーツ選手権」開催概要】

【大会エントリー高校一覧(11月8日時点)】

サードウェーブ取締役副社長 榎本一郎氏

 榎本氏からは、これまでに「eスポーツ発足支援プログラム」に56校から申し込みがあったことが報告された。これは逆に言えばまだ44校の枠が余っていることを意味するが、「こんなに学校に部を新設することが大変なことだとは思わなかった」と、9月の正式発表から現在までの苦労が語られた。

 誤算だったのは、“年度の途中に部を作る”ということ自体が教育現場にとってほぼ前例のない話であり、書類を書けば完結するものではなく、部室、回線、顧問が必要で、しかもそれらがすべて学校長の管轄内とは限らない。地域によっては教育長や文科省の許可が必要で、どれか満たせないだけで、サードウェーブが定める貸し出し条件を満たせなくなる。

「eスポーツ発足支援プログラム」。GALLERIAのゲーミングPC5台(デスクトップPC 3台、ノートPC 2台)、BenQのゲーミングモニター「XL2536」3台

 その一方で、PC5台を3年間無償レンタルするという前代未聞の取り組みに、全国の学校から大きな反響があり、学生やOBだけでなく校長や教員など教育現場からもその取り組みを評価する声が多く、力になっているという。

 とりわけ“野球人”榎本氏が、eスポーツの良さとして積極的にプッシュしているのが、eスポーツには、スポーツに存在する性別をはじめとした一切の垣根が存在しないことだ。スポーツでは、性別、世代、健常者かそうでないかによって細かく競技そのものがわけられていて基本的に交わることはないが、eスポーツはマインドスポーツに近く身体的な差が生まれにくいことからすべてのプレーヤーが同一環境で対戦するようになっている。

Twitterで寄せられた声

 今回は高校生限定の大会となるが、榎本氏の一存で特例として認めたのは、知的障害のある学生達によるチームでの出場だ。これが高校野球なら、同一カテゴリにならないため参加権そのものが与えられないが、「全国高校eスポーツ選手権」では、正規の参加校に加えられ、同時に「eスポーツ発足支援プログラム」にも加盟することができたという。榎本氏が認可を与えることを伝えると、その理事長は嬉しさのあまり泣き出してしまったというが、「泣くのは生徒達が頑張った後にしましょう」と伝えたという。もう準備段階から、早くも“文化の芽”が息吹きつつあることが感じられるエピソードだ。

 榎本氏によれば、今日も3校新規に応募があったということで、これから駆け込みで100校の応募が一杯になる可能性は十分にある。筆者が高校生の頃は、当然のことながらeスポーツも、このような“神がかった支援プログラム”も存在しなかったが、もし存在していれば、間違いなく「諸問題をいかに解決してゲーミングPC5台を獲得するか」を議題にした緊急合宿を行なったはずだ。受付は11月16日まで。迷っている学校関係者はぜひこの機会を逃さないにしたい。

実際に送付されるキット

【大会応援ソングはBURNOUT SYNDROMES】
発表会後半には、大阪発の青春文学ロックバンドBURNOUT SYNDROMESが歌う大会応援ソング「ナミタチヌ」が披露された。作詞作曲を手がけるボーカルの熊谷和海さんは、「高校生プレーヤーがゲームという“電子の海”から『全国高校eスポーツ選手権』という日の当たるステージに登ってきて勝負するというストーリーを歌にした。息を殺して波風立てずに生きていくんじゃなくて、せっかく培った技術や情熱があるのだから、それを武器に波立てて、風立てて、みんなで大騒ぎして戦ってみようぜという思いをタイトルに込めた」という曲のコンセプトを披露。作曲にあたって、大学生プレーヤーに話を聞いたり、実際に「League of Legends」をプレイしたり、500時間かけて制作を行なったという