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斬り結び、闇に潜み、跳び上がり、死すらも超えて敵を討て。「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」本日発売!
2019年3月22日 00:00
フロム・ソフトウェアは3月22日、プレイステーション 4/Xbox One/PC用アクション・アドベンチャー「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」を発売した。価格は通常版が7,600円(税別)、Collector's Editionが12,200円(税別)。
本作は「ソウル」シリーズや「Bloodborne」をはじめとしたアクションゲームシリーズを数多く手がけるフロム・ソフトウェアとActivisionがタッグを組んで開発した最新作。戦国時代末期を生きる忍が、奪われた主を求めて”死すらも自分の技として”剣戟と血風の渦中へ飛び込んでいく。
本稿では「SEKIRO」の基本的な情報とその魅力を一通りお伝えするが、筆者は先日開催されたメディア向け体験会にも参加しており、そちらではゲームの魅力に心酔しつつフリーダムな感触を述べている。ぜひご一読頂きたい。
□「SEKIRO(隻狼)」、全く新しい”戦いの作法”が門扉を開けて待っていた。メディア向け体験会プレイインプレッション
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1173302.html
絡繰りの左腕
本作のカギは「狼」と呼ばれる忍――主人公の「左腕」。ある戦いで斬り飛ばされた腕は絡繰りの「忍義手」へとすげ替えられ、様々な機能をもって狼の戦いを助けるのだ。
鍵縄
ひとつは「鍵縄」。これは狼が高い塀や木の上へ登るのを手助けする、忍義手の基本的な機能。これを使うことで高所からの偵察を、そして敵の思いもよらぬ場所からの攻撃を可能にする。おそらく「ソウル」シリーズのプレーヤーが最も待ちわびていた機能だろう。一般(逸般、とも言う)的な不死人や火のない灰、狩人たちはちょっとした高さでもダメージを受けるのだから。
ただし、鍵縄はどこへでも登れるわけではない。プレイ中にアイコンの出る場所――例えばシャチホコや突き出した木の幹など――を探し、それを見つけて跳び上がるスタイル。この制限はむしろよいポイントだと思う。あまり自由度が高すぎると「ここに登れるかな?」と進行そっちのけで探してしまうからだ。多分。
忍者が出て殺す!
忍びなれども忍ばないヒーローや律儀にアイサツを交わすニンジャが台頭する現代、狼はあらゆる手を使って忍び、暗殺し、静かで冷ややかな血だらけの勝利を奪い取る。
背の高い草むらや物陰に隠れ敵の命を刈り取るのは常套手段であるが、その最たるものが「忍殺」だ。相手の視界外から、もしくは対峙した場合でも敵が体勢を崩した刹那の間隙を縫って。愛刀を敵の急所へ突き立て、ただ命を奪うことにのみ眼を置いた無骨で美しい剣舞を見舞う――忍殺とは本作のありとあらゆる場面で視界を彩る、忍の業である。
体幹というもの
武道において姿勢というのは厳に重んじられ、姿勢の取り方ですべてが決まるとも言われている。本作ではそれを「体幹」として表現しており、狼と敵の両者にゲージとして存在する。
体幹は主に剣戟によって変動する。刃を打ち合わせれば増加し、距離を取って守勢に転じれば減少する。さらに敵の攻撃を「弾き」捌くことで大きく増加させられ、最大まで溜めきれば忍殺のチャンスが訪れる。
もちろん体幹を無視して攻撃することも可能で、「ソウル」シリーズにみられるヒット&アウェイな戦い方もできる。ただし今作ではいわゆる”ガード不能攻撃”が多く存在するため、回避のタイミングはしっかり見極めて行ないたい。
また回避にもパターンが存在し、ステップに加えて「ジャンプ」で攻撃を避けるシーンも当然ながら存在する。ガード不能攻撃にもステップで避けるもの、ジャンプで飛び越えるものがある。
「ステ振り」を廃し「スキルポイント」での成長に
本作、「ソウル」シリーズにみられる「ステ振り」なし。さらに言えば「通貨」と「経験値」も別。ただし、一部ステータスは特別なアイテムを使用することで上昇させられるというもの。
さて、そこで何が変わったのかというと、「スキル」を敵から得られる「スキルポイント」で管理するようになった。このスキルの内には「エスト瓶」にあたる「薬水の瓢箪」の強化であったり、新たなアクションの習得が含まれている。これとは別に義手忍具の強化も行なえる。
スキルはただカッコいいだけではない。回避不可能な攻撃を捌き一転攻勢へ移らせるものや、「流派技」と呼ばれる”必殺技”に近いものもある。取れば取っただけ狼は強くなるし、格好良くなるし、美しくなる。
ただし、スキルポイントは「死」ぬことでその半分が失われる。次に述べるが、これまでのフロム・ソフトウェアの作品と同様に「死」のリスクは大きいながらもショックは軽く、そしてこれまで以上にテンポのよいものとなっている。
「死」はさらに軽く、あっけなく
「ソウル」シリーズしかり「Bloodborne」しかり、フロム・ソフトウェアの各タイトルの“見た目のハードル”をカチ上げてきたのが「死」というものだろう。安心せよ――というほどでもないが、今作はそれがなかなかに「死んでも安い」システムへ進化している。
失うもの
これまでのタイトルでは、死んだ際に「その場にすべてのソウル(血)を落とし、死んだ直前の場所まで戻ることで取り戻せる」仕組みだった。それに加え再び死ねばその前に落としたものはすべて失われるという、失ったものと失ったショックが比例するものだ。
一方「SEKIRO」では、銭(通貨)とスキルポイントが半分ずつ“失われる”。失うのみだ。しかも半分だけ。
これの何がいいか。「わざわざ落とした場所まで戻らなくていい」というのがひとつ。「半分だけ」というのがふたつ。たとえば「Demon's Souls」であれば落とした場所がボス部屋だったりすると、さらに「要石の欠片」とか使わなきゃいけない。コストがかからないのだ!これまで各タイトルを遊んできた筆者からすれば画期的かつ超嬉しい変更だし、敷居の高さを感じていたプレーヤーにも触りやすい変更なのでは? と思う。
回生
さらに、回数とタイミングと時間の制限はあれど「その場で生き返る」ことも可能となった。「回生」と呼ばれるこのシステムは、「死」がやってくるまでに再び立ち上がることでその場からやり直せるものだ。
たとえば強敵に一撃で葬られたとき。たとえば大量の敵に袋叩きにされたとき。うっかり安心して背を向けた愚かな敵どもを、背後からブスリと忍殺してやれるのだ。
やってくるもの
――だまして悪いが、ただ死が軽くなったわけではない。狼が「死」を繰り返すことで、その血が招く「竜咳(りゅうがい」と呼ばれる病が狼と関わった者たちへ撒き散らされる。
この竜咳は只人の罹る病にあらず、狼が失うはずの銭やスキルポイントをすべて助ける「冥助(みょうじょ)」の確率を下げる要因になる。
といったように、本作で「死」はかなり近い場所にいて、それでいて軽く、あっけない。「死んで覚える」という言葉もあるがまさにその通りで、死ぬことで敵との戦い方を覚え、狼の動きを覚え、成長していくのだ。ちなみに「ロードが早い」というのも重要なメリットだと思う。
ストーリーの存在
刷新されたゲームシステムに次いで大きな魅力となっているのが、「ストーリーの存在」だ。
本作の主人公は「狼」。狼は「御子」と呼ばれる主に仕える冷徹な忍であった。御子は「葦名の国」の古い一族の末裔であったが、その特殊な生まれのために葦名の将に囚われてしまう。
狼にとって、掟はそれこそが行動原理。「主は絶対である。命を賭して守り、奪われたら必ず取り戻せ」と命じられたそのままに、彼は復讐の道を歩み出す。
――ああもうこれだけで妄想が膨らみゆく。御子の力とは。その出自とは。国の窮状を憂いた葦名の将の目的とは。登場人物たちもこれまでのフロム・ソフトウェアシリーズの十八番がごとく妄想の余地に満ちていて、それを世界にちりばめられたピースとともに妄想する!それが本作の醍醐味であろう。
とりあえず一歩踏み出してほしい
刷新されたゲームシステムと明確なストーリーを携え、今まで以上のバトルスピードとダークな世界観、スタイリッシュなアクションを見せてくれる本作。筆者は本作が「フロム・ソフトウェアに触れる間口を広げる」タイトルだと感じている。
それは「遊んでみたくなるような」動きや演出の大幅な強化にあると思う。忍殺のスタイリッシュな動きに加え、火花散らす剣戟、華々しいアクションと義手忍具、鍵縄での移動などなど。あらゆる面で視覚と聴覚に訴え、「これ、やってみたい!」と思わせにかかっている。東京ゲームショウ2018で試遊台の整理券が瞬く間に無くなった理由もそれだろう。これまで「ソウル」も「アーマード・コア」も「キングスフィールド」も遊んできた筆者からしても、遊んでいるシーンすべてにおいて演出が強い。これまでも風景だとか、人物の裏に隠された暗い過去だとか、曰く付きのアイテムだとか、「遊んでいるからこそ味わえる」魅力はいくら浴びても足りないほどあった。「妄想を楽しむ」という点でもそうだ。遊んでいるからこそ楽しい。
だからこそ! 本作をぜひフロム・ソフトウェアタイトルに挑戦する足がかりになってほしい、と個人的に思っている。もちろん「SEKIRO」そのものを死ぬまで味わって、死ぬほど味わって、何度も死んで楽しんでほしいと切に願うばかりだが。そう、死ぬことが軽いからこそ「死ぬのが楽しい」とまで思えるくらいに。
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