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「SEKIRO(隻狼)」、全く新しい”戦いの作法”が門扉を開けて待っていた。メディア向け体験会プレイインプレッション
2019年3月7日 01:00
「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(隻狼)」。3月22日にプレイステーション 4/Xbox One/PC用に発売予定の、フロム・ソフトウェアがおくるアクションアドベンチャー。本稿はその発売に先立って開催された、メディア向け体験会の模様を動画とともにお伝えするものである。
フロム・ソフトウェアのアクションアドベンチャー、といえば「ソウル」シリーズや「Bloodborne」が記憶に新しいし、現代ハードにおける代表作ともいえるだろう。本作はそのプレイスタイルをある程度受け継ぎながらも、戦国時代末期を生きる忍の華麗かつ残忍な剣戟、暗殺、軽業を表現するための「新たな作法」に満ちている。
本稿で何より伝えたいのは、その「新たな作法」が如何なる楽しみを生むか、というところ。隻腕の狼が左腕に携える「忍義手」の存在、「回生」というその場で死を克服するシステム、そして忍の剣術を如何に利用して戦うか。これらが今までフロム・ソフトウェアが培ってきた土台の上に立つことで、こんな魅力あるゲームになったのだ――ということを伝えたい。
やはり「死は軽い」。これまで以上に
今回は「回生」の存在もあり、今まで以上に死が身近で、軽いものになっている。「回生」はある程度の制限時間のうちに自由に使用でき、敵の目を欺き、回数の制限はあれど失うものもなく復活できる。我が身を殺した敵は生き返ってでも殺せ。背後から刃を突き立てろ。
ただし、回生は自由に何度でも行なえるものではない。「ソウル」シリーズでいえば「篝火」などにあたる「鬼仏」で1回分使用可能になり、2回目以降は敵を「忍殺」――いわゆる「致命の一撃」にあたる――してゲージを溜めることで増えていく。また戦闘中には複数回回生ができず、シビアなバランスが取られている。
そう、失うものがないといえば「通貨=経験値」ではなくなった。さらに言えば”ステ振り”もない。なれば経験値は何処へ?となるのがフロムタイトルプレーヤーの考えるところであるが、新たなアクションやアイテムの使用回数を増やすための「スキルポイント」が経験値と同じ扱いだと思っていい。
だがしかし、完全なる「死」も訪れる。回生の回数を超えて死んだ場合、また回生の制限時間を超えた場合。「死」ぬと鬼仏からの再開となり、稼いだ銭とスキルポイントが半分になる。スキルポイントについてはパラメータの強化に使用したものは引き継がれるため、稼いだ分の悔しさが残るのみだ。わりとポンポン死ねて楽しい。
死が招く病
そして、狼の「死」は周囲の人物の「病」を招く。死にすぎれば「竜咳(りゅうがい)」と呼ばれる病が狼と交流のある誰かの元へ降り注ぎ、その身体を蝕んでいく。完全に「死」んだ際のデメリットを消し去る「冥助(みょうじょ)」というシステムがあるが、この確率も竜咳に罹った人間の数だけ減っていく。
3次元的跳躍で迷子になろう。そこに出っ張りがあったから
「ソウル」シリーズのプレーヤーは思った。「あの場所に登りたい」と。狼は行動で示す。「だったら跳べばいいだろう」と。
ついに「上下移動」が加わったのである。ハシゴでもない、落下でもない。ジャンプと「鍵縄」による、自発的な移動が。しかも落下ダメージがない!ヤッホー!俺は高さを克服したぞ!……まぁ、狼はデキる忍なので、そういう事故とは無縁なのだ。のけ者(一般人)だった不死や火のない灰、一般狩人とはちょっと違う。
狼は鍵縄を使って、建物の鬼瓦だとか突き出した木の幹に飛び移れる。これを使って高所から偵察をしたり、敵の背後を取ったり、はたまた上から飛びかかって忍殺することも可能。マップには立体感がさらにプラスされ、加えて様々な場所に敵がいるので迷子&八方塞がりになりやすい。死んで楽しみつつ覚えよう。
忍べ。五感のすべてを利用して敵を圧倒せよ
なんといっても狼は「忍」であるため、物陰に隠れたり思いもよらない場所を利用して移動するのが得意だ。間諜――スパイとしての能力にも長けている。背の高い茂みは格好の隠れ場所だし、しゃがんで足音を消したり、壁に貼り付いて向こうを伺うこともできる。
そして敵たちはしばしば、お互いに雑談に興じていることがある。狼はこれを見逃さない、いや聞き逃さない。すかさず「盗み聞き」をして、自身に利する情報を掴むのだ。……たとえば、「鬼は火に弱い」とか。
剣戟、剣閃、忍殺。流石忍者強い
本作において、狼は「楔丸」と呼ばれる1振りの刀(と忍義手に仕込んだ「義手忍具」)のみで敵を切り伏せる。
戦闘では敵の隙を突いて行なう「忍殺」であれば別だが、真っ向からの勝負では華麗なる剣戟が待っている。ここ、本作のとてもデカい魅力のひとつ。
相手は侍や野武士、足軽――ときに鉄砲兵やら妖怪やら――だが、得物を持った敵と戦う瞬間はまごう事なき快感に満ちあふれている。交えた刃が火花を散らし、踊り狂う白刃が敵を斬り刻む。敵の斬をいなし、捌き、”体幹”を崩した先に、尊き血にまみれた忍殺がある。
ここで重要なのが”体幹”というもの。ゲージで管理され狼と敵の両方に存在するそれは、互いの攻撃を受けることで蓄積する。敵の攻撃を避け距離を取れば回復していくが、HPの残量によってその回復速度も変化する。また相手の攻撃をタイミング良く「弾き」、隙を作れば体幹は大きく揺らぐ。これを十全に溜めきったのちに、強敵への「忍殺」は完成するのだ。
そして注意せよ。強者にのみ許された「投げ」、「下段攻撃」、そして「突き」に。これらの攻撃はガード不可能であったり、大きくダメージを受ける可能性が高い。狼はこの攻撃をすべからく見切って「危」のサインを生む。この合図とともに敵に合わせた行動を取るのだ。「投げ」と「突き」ならばステップで避け、「下段攻撃」ならジャンプで躱す。
熟練し過激さを増す忍の妙技
さきほど、「新たなアクションやアイテムの使用回数を増やすための『スキルポイント』」と述べた。このスキルポイントを使用するツリーには、「流派技」と呼ばれる特殊な技をはじめ、忍の舞うような戦いを更に美しくするアクションが数多く存在する。
今回体験した範囲では、身体をひねり周囲を一閃する「旋風斬り」、相手の突き出した刃を踏みつけ体幹に大きなダメージを与える「見切り」など。忍殺に関わる技も多いため、獲得したアクションはうまく使いこなして狼の戦いを華麗に彩りたい。
なお「義手忍具」と一部の技の使用には「形代」というアイテムが必要になる。これはマップの探索中に浮遊していたり、鬼仏で銭と交換できる。
作法の刷新による、快感とスピードの実現
今回とっぷりと遊んでみて感じたのは、「ソウル」シリーズなどのヒリヒリするような緊迫感ある、あえて悪く言えば消極的な駆け引きとは異なり、積極的に刃を交え、隙を突き、あらゆる瞬間に必殺を狙うとても攻撃的で活発な戦いが本作にあるということ。
もちろん、これが苦手なのであれば回避を主体とした戦いも可能だし、ステルスに徹して敵から逃げ続け、忍殺のみをよしとする戦法もとれる。鍵縄で敵の巡回ルートを回避することもできる。そういった選択肢の広がりや、アクションを増やすスキルポイントの存在も含めて本作は新鮮で、しかし各所にフロム・ソフトウェアが得意とするファイティングスタイルを感じさせる。おそらく、本作はただ「一新した」のではなく「正統進化しつつ、新たな刃を得た」のだと。
登場人物もなかなかに魅力的だった。かつての壮絶さを感じさせる仏師、狂気的な光を垣間見せる薬師、いくら斬られど死なない野武士、自我を喪失した老婆とそれを気遣う瀕死の息子。足軽は半裸。1本の大きな幹となるストーリーは存在しているが、プレーヤーの憶測と妄想で拡張する世界の伸び代もとても広そうにみえる。はじめこそ慣れない操作に悪戦苦闘したが、死ぬたびに戦い方が身についてくるような感覚は味わいがたい快感がある。3月10日には一般向けの体験会もあるし、TGSなどで触れられなかった方々は是非、1度でいいから本作を体験してほしい。
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