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1周回ってエアガンによるリアルな感触が最高に楽しいガンシュー「Airsoft Shooter」体験レポート
2019年1月24日 22:36
台湾台北市で毎年旧正月前に開催されているゲームショウ「Taipei Game Show 2019(台北国際電玩展)」が1月24日、台北世貿一館において開幕した。初日の1月24日は、BtoBとインディーゲーム、そしてゲームカンファレンスASIA PACIFIC GAME SUMMIT(APGS)のみで、メインとなるBtoCは明日からとなる。早速、初日の模様をお届けしたいが、まずは本稿では、BtoBブースに出展していた日本のメーカーCloud Creative Studiosの「AirSoft Shooter」をご紹介しよう。
「AirSoft Shooter」は古来からある人気ジャンルのひとつであるガンシューティングをテーマにしたゲームだ。アーケード向けに設計され、モデルガンを手に、奥のモニターに映し出されるターゲットを狙って撃つ。いかに正確に、いかに早くマトを捌くかがポイントとなる。
近年、このゲームジャンルは、VRに取って代わられていた印象が強い。VRを用いれば360度空間を使って、自由な設定でガンシューティングを楽しむことができる。VR空間の中なら敵は正面だけでなく、360度取り囲むように配置でき、四方八方から襲い来る敵を次々に捌いていくという最高のシチュエーションを簡単に実現できる。ガンシューティングはVRによってひとつの完成を見たと言える。
ただ、このVRガンシューティングのウィークポイントは、視覚的にはとてつもなくリアルでも、物理的にはまったくリアルではないところだ。VRコントローラーは、ガンにしては軽すぎ、撃った時の反動もないため、とにかくガンを撃つという手応えに乏しい。
「だったらエアガンでガンシューティングをやったら面白いんじゃないか?」という古典的な発想を実現に移したのが「AirSoft Shooter」だ。
「AirSoft Shooter」は、BB弾とガスを詰め込んだエアガンを使って楽しむ、ロケーションビジネス型のガンシューティングゲーム。エアガンを撃ってBB弾をモニター内のターゲットに命中させると、ゲーム内で実際にヒットした処理が行なわれる。
システムについては企業秘密ということで詳しくは教えて貰えなかったが、ゲームの映像は市販のプロジェクターで映し出されており、スクリーンに工夫を凝らし、BB弾のヒットを検知している。その正確性は“ミリ単位”ということで、モデルガンを利用するガンシューティングと同じ感覚でゲームが楽しめる。
実際に筆者もプレイしてみたが、やはりエアガンそのものの手応えがもの凄い。音が凄いし、反動が凄いし、台湾製のエアガンが実銃同様に重くて、途中で疲れてくるほどだ。今回は、5つのマトをいかに素早く撃ち抜くかというシンプルなタイムアタックゲームと、「ジュラシック・ワールド」的な世界観で次々に襲いかかってくる恐竜を撃ち抜いていくゲームの2種類をプレイしたが、ガンの射撃時の反動と重さで、どんどん銃口が下がっていく。恐竜に襲われる恐怖に加えて、肉体疲労でもう撃てなくなるのではないかという恐怖が襲ってくる。今時こういう古典的な恐怖に襲われるアーケードゲームはなくなっているため、新鮮な感動があった。手応えは抜群で、これぞアーケードのガンシューティングという感じだ。
念のため補足しておくと、筆者は別段VRのガンシューティングを否定したいわけではなく、こちらはこちらで別次元の楽しさを提供してくれていると思う。ただ、「AirSoft Shooter」は、ガンシューティングに本来求められているエッセンスをガッツリ濃厚に味わえるという印象が強い。
試遊後ブースで開発元Cloud Creative Studiosの代表取締役社長を務める秦泉寺(じんせんじ)章夫氏に話を伺ったところ、さらに興味深い話が明らかになった。「AirSoft Shooter」は、“エアガンを使ったゲームプラットフォーム”ということだが、そのベースとなっているのは、同社が過去に開発していたVRプラットフォーム「V-REVOLUTION」がベースになっており、VRゲームの開発ノウハウが活かされているのだという。VRシューティングに足りない射撃感や手応えを求めてVRコントローラーをエアガンに切り替えて開発に取り組んだところ、予想以上にうまくいったという。
また、秦泉寺氏の口から「eスポーツにしたい」という驚くべき目標も聞くことができた。Cloud Creative Studiosは、「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4」(バンダイナムコゲームス)のネットワーク周りの開発を担当しており、実はオンライン対戦のノウハウは豊富に持っているという。
計画では、スクリーンに対戦相手そのものをお互いに映し出し、西部劇のガンマンのように早撃ちを競うような対戦をeスポーツとしてイメージしているのだという。スクリーン映像の中とはいえ、実際の人間をガンで撃つという行為はなかなか刺激的だが、どういうものになるのかちょっと見てみたい気もする。
ゲームの完成は2019年春を予定。実際のビジネスモデルは、導入店舗次第ということだが、秦泉寺氏自身のイメージとしては、エアガンは自由に持ち込み可とし、現在のVRのように30分いくらといった従量制を想定しているという。
ちなみに日本ではなく、台湾で先行出展した理由は、台湾がエアガン大国だからだという。台湾にはICSをはじめエアガンメーカーも多く、当然愛好者も多いため、日本以上に市場性があると考えたという。もちろん、今後日本でも展開を検討しているということで、日本のゲームファン、エアガンファンがどのような反応を示すのか楽しみだ。