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運営4年目の衝撃! 「World of Warships」についに潜水艦が登場

静かに潜行して敵を仕留めろ! 5つ目の艦艇クラスとして2019年実装へ!?

【ハロウィンイベント】

10月中旬頃開始予定

 8月にドイツで行なわれたGamescomで仲の良いWargaming.netスタッフと雑談していた時、「東京ゲームショウ前に『World of Warships』で凄い発表をするから楽しみにしておいて」という話を聞いた。「新たなコラボか?」と聞き返したところ、「そんなものじゃない、『WoWS』をプレイしたことがある人なら絶対驚くと思う」と自信満々に答えてくれた。

 その答えはなんと潜水艦だったわけだ。これは確かに驚く。なぜなら、CEOのビクター・キスリー氏を筆頭に、Wargaming.netの開発陣自身がインタビューで繰り返し否定していたからだ。「何度聞かれても、答えはNoだ」とあしらわれ、「World of Tanks」における現代戦車の実装や、シュトルムティーガー等の特殊車両と同様、「World of Warships(以下、WoWS)」における潜水艦もないものとして扱われるのだと確信していたからだ。

 「なぜ今頃実装するのか?」については、「WoWS」エグゼクティブプロデューサーのArtur Plociennik氏へのインタビューで詳しく聞いてきたので後ほどお伝えするとして、本稿では潜水艦がどのような仕様で、どう実装されるのかについて試遊のインプレッションを交えてお伝えしたい。

【「World of Warships」潜水艦ゲームプレイ映像】

 潜水艦は、普段は水中に潜み、敵艦が現われると密かに近づいて、その土手っ腹にありったけの魚雷を撃ち込み、深海に消えていくというサイレントハンターだ。史実でも多くの戦艦や空母を葬ってきた存在だが、「World of Warships」ではゲームバランスを著しく壊してしまう恐れがあるとして、上述してきたようにWargaming.net自身が実装を“拒否”してきた事実がある。このため、本来は駆逐艦や巡洋艦に与えられる爆雷による潜水艦の駆除や、アクティブソナーによる潜水艦の探知といったギミックは、本作では丸ごとカットされている。

 この手の“スナイパー”は常にバランス崩壊の危険性をはらんだやっかいな存在だ。代表的な例としては、FPSにおけるスナイパーがある。動きながらは射撃できない、呼吸を止めないと照準がブレる、射撃後にスコープが一瞬反射で光るなどのギミックを取り入れることで一定のバランスを取ろうとしているが、難物であることには変わりはない。

 Wargaming.netが恐れているのは、戦場の王者である戦艦大和や空母ミッドウェイが一方的にやられる展開だ。対応策がないまま、巨艦が一方的に魚雷を撃ち込まれて撃沈される。これはゲームとしておもしろくないし、「World of Warships」のコアバリューである“迫力ある海戦バトル”という価値観に合致しない。

 その上で「World of Warships」がどのような形で潜水艦を実装したかというと、極々短時間しか潜水できないようにし、定期的に浮上しなければならないようにしている。つまり、必ず隙を見せるゲームデザインになっているのだ。

【「World of Warships」の潜水艦】
期待感、恐怖感、満足感をユーザーに提供する

 具体的には、今回大小5種類の独自デザインの潜水艦が実装されるが、潜行できる時間はゲーム時間で1分前後に留まる。つまり1分ごとに浮上しなければ、酸素切れとなり、強制浮上させられるのだ。

 雷撃も史実に則り、かなりシビアな調整を要求される。駆逐艦や巡洋艦のように魚雷発射管が可動式ではなく、船首と船尾に固定されているため、常に敵艦に対して正面(あるいは真後ろ)を向く必要がある。

 基本セオリーは、敵艦を視野に収めた状態でロックすると扇状に射撃可能範囲と、敵の航路を予測した魚雷発射位置が表示されるため、魚雷の射程内に収めたところで向きを微調整して魚雷を発射する。射撃後は、魚雷自体に視点を移して直撃の瞬間を見届けたいところだが、急いで向きを変え、船尾からも魚雷を発射。その後、急速潜行して戦場を離脱、酸素がゼロになるまで離れたところで再浮上し、一息つくという流れになる。

【潜水艦の基本コンセプト】
バランスを取るために「酸素量」という概念が導入される
魚雷は船首と船尾から発射できる
ゲームプレイのリフレッシュが狙い
コミュニティが望めば2019年にも実装する
オリジナルデザインの潜水艦
ユニークなデザインの艦長達

 先にレポートした空母のリデザイン計画と同様、従来の「WoWS」とまったくゲーム性が異なるため、最初にプレイすると戸惑うはずだ。Qキーで潜水、Eキーで浮上。深度は4段階のメモリで表示され、潜望鏡が海上に出る1段階目の深さでしか雷撃はできない。では魚雷が撃てない2~4段階の深さは何のためにあるのかというと、爆雷を避けるためだ。爆雷はランダムな深さで爆発するため、深く潜行した方が爆雷を避けやすくなる。

 と、理屈では全部わかっているのだが、1段階目でしか雷撃できず、1分ごとに浮上が必要で、正面を向いて向きを微調整して雷撃して、雷撃後すぐ潜行して、と一度に覚えることが多すぎで、だいたい酸素切れになって強制浮上した結果、敵に姿をさらけ出し集中砲火を浴びて撃沈されるという結末を迎えた。潜水艦は、従来とはまったく異なるゲーム性で、とりわけ海中から敵艦の艦底が眺められるのはかなり新鮮でおもしろいが、操艦が相当難しい。筆者がヘタ過ぎるという点を差し引いても、現時点ではとてもとてもビギナーが乗りこなせる船ではない。

【実装される潜水艦(一部)】

【海中から敵の艦底を眺める】
「WoWS」ユーザーが見たかった風景の1つだ

 プロデューサー畑井翔氏によれば、現時点では、操作性とビジュアルだけで、ゲームバランス等はこれからということだが、逆に言えば、この潜水艦独自の操作体系はほぼ完成しているわけで、何度も繰り返しプレイして丸ごと頭にたたき込む必要があるようだ。

 ちなみに今回体験できたのは、10月中旬頃に実施されるハロウィンイベントのテストバージョン。ここに潜水艦が限定実装されるのだ。6人のプレーヤー対AI操作の敵というハロウィン限定の協力型PvEコンテンツで、3度ほどプレイしたが、正直1度もまともにプレイできず、クリアできそうな気配がなかった。ちなみに隣でプレイしてくれた運営チームのtaro.jp氏も途中で撃破されていたので、このイベント自体、相当難しいと思う。

【ハロウィンイベント】
今回プレイしたのはロシアサーバーのロシア語版。潜水艦の試乗は存分に楽しめたのだが、どういう内容なのかという一番肝心な部分はわかっていない

 現時点では、潜水艦の実装は、このハロウィンイベント限定としているが、当然ハロウィンだけのために莫大なコストを掛けて新たなゲームメカニクスを実装するはずはなく、当然本実装を視野に入れたテスト実装となっている。ここでユーザーのフィードバックを集め、よっぽど大きな批判が挙がらなければ、実装に向けて動き出すと考えて良い。ついに「WoWS」に潜水艦が実装されるのだ。

 潜水艦を導入する目的は、ゲームプレイのリフレッシュと、新たなゲームプレイエクスペリエンスをユーザーに届けることだ。潜水艦でプレイするだけでなく、潜水艦が登場する戦場そのものが新しいエクスペリエンスで溢れている。潜水艦は、「WoWS」のメジャーアップデートの目玉のひとつとして、実装を真剣に検討されている。

 潜水艦というと、日本の伊型、ドイツのUボートを筆頭に、「WoWS」に登場するほとんどの国家で使われていた実績がある。本実装となった場合、どのような形、どのような順序、どのTierに実装するかはまだ検討中ということだが、すでに相当量のリサーチを終えており、2019年、一気に実装される可能性もありそうだ。

 この潜水艦のエクスペリエンスは、限られた時間しかプレイできなかったため、その醍醐味を存分に味わったとはとても言えないが、「WoWS」の魅力的なカンフル剤として、好感を持って受け止めている。もっとゆったりじっくりプレイしてみたいところだ。

5隻の潜水艦はいずれもSFデザインで、筆者は「不思議の海のナディア」のノーチラス号を思い出してしまった。潜水艦が実装されることで、また新たなコラボの可能性がありそうだ