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「ウイニングイレブン2019」を使用した国体のeスポーツのプレ大会を開催

アジア競技大会金メダリストの相原翼選手もゲストで登場!

9月15日 開催

会場:つくば国際会議場

 いきいき茨城ゆめ国体・いきいき茨城ゆめ大会実行委員会は、KONAMIのサッカーゲーム「ウイニングイレブン2019」を使用した対戦ゲームイベント、「茨城プレ大会」が茨城県つくば市のつくば国際会議場にて9月15日に開催された。

 本大会は、上記実行委員会が主催し、一般社団法人 日本eスポーツ連合(JeSU)の共催と、KONAMIの協力により実現したもの。2019年9月に茨城県で開催される、いきいき茨城ゆめ国体(第74回国民体育大会)と、いきいき茨城ゆめ大会(第19回全国障害者スポーツ大会)に合わせて実施する、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」の前哨戦という位置付けだ。ルールはプレイステーション 4版のCO-OPモードを使用した団体戦で、試合時間は10分(※延長なし、PKあり)に設定。全年齢対象のオープンの部と、少年の部の2部門に分けて実施され、オープンの部は27チーム、少年の部は16チームによるトーナメント方式で行われた。

 参加有資格者は、オープンの部が茨城県に在住、または通勤・通学者が3名以上5名以内で、少年の部は茨城県内に在住し、高校(※中学、高等特別支援学校等も含む)在学中か、または茨城県外から県内の高校に通学している生徒が3~5名で構成されていることが条件となっていた。よって、参加チームのメンバーを見ると市役所や職場の同僚、学校の同級生やパソコン、サッカー部員同士でのエントリーがほとんど。まさに、「茨城県民のためのeスポーツ」(運営スタッフ談)となった。

 試合の実況は、今年7月に静岡第一テレビを退社し、eスポーツキャスター転身を発表して話題になった柴田将平アナウンサーが担当。ゲスト解説は、JeSUのプロライセンスを持つ「まやげか」こと影山昭平選手と、同じくプロゲーマーでアジア競技大会の『ウイイレ2018』で金メダルを獲得した、「レバ」こと相原翼選手の2人が務めるという、実に豪華な顔ぶれとなった。

メインMCは、地元茨城放送の番組「土曜王国」でパーソナリティを務めるバロン山崎さんが、アシスタントMCは茨城県公認のVtuber、茨ひよりさんが担当した
実況の柴田将平アナ(左)と、過去に「ウイイレ」の大会出場歴もあるというアシスタント役の小島みゆさん(右)
ゲスト解説は「ウイニングイレブン」のJeSU公認プロゲーマー、まやげか選手(左)と、アジア競技大会の金メダリストである相原翼選手(右)
準決勝のステージの様子。参加者の大半は男性だったが、少年の部には女子高生プレーヤーが6人エントリーしていた
まやかげ&相原チームと、オープンの部2回戦で敗退したSUNNSチームによるエキシビジョンマッチも実施。両軍ともACミランを選択したが、華麗なパス回しを幾度も披露して場内を沸かせたプロチームが4-0で貫禄の勝利を収めた

決勝戦は両部門とも大接戦に。来年の本大会は金メダリストとの対決も実現!?

 準決勝まで勝ち上がったのは、オープンの部は鹿麗會(地元の同級生3人、バルセロナ使用)、TEAM EBIHARA(茨城南青年会議所正会員5人、インテル使用)、ゴラ族(サッカーゴルフ&ウイニングイレブンつながり3人、リバプール使用)、われらTSP太陽(職場の同僚5人、バルセロナ使用)の4チーム。少年の部は、鉾二メロン'S(鉾田二高サッカー部3人、バルセロナ使用)、茨城県立大洗高等学校生徒会(生徒会役員とクライスメイト3人、リバプール使用)、国産タイピオカA5ランク~最終列車の音を添えて~(竹園高校パソコン部3人、バルセロナ使用)、フィーヴァー(水戸工業高校の同級生3人、バルセロナ使用)の4チームで、両部門とも以降の試合はYouTubeの「いばキラTV」など、複数のWEBサイトでライブ配信された。

 記念すべき大会で見事に優勝したのは、オープンの部は2-2の同点から7人目のキッカーまでもつれるPK戦を制した鹿麗會(しかれいかい)チーム。少年の部は、前半に相手のミスから得たチャンスから、L・スアレスが決めた先制ゴールを最後まで守り切ったフィーヴァーチームに決定した。優勝チームには、賞状と大会マスコットの「いばラッキー」のぬいぐるみがプレゼントされ、さらに鹿麗會チームには、9月23日の東京ゲームショウのKONAMIブース内で開催される「ウイニングイレブン2019 国内最強チーム決定戦」の出場権も併せて贈られた。今回の決勝戦と同様に幕張メッセでも勝負強さを発揮するのか、ぜひとも注目したい。

相手の7人目のPKを止め、見事オープンの部を制したのは、鹿島アントラーズのユニフォームを着て試合に臨んだ鹿麗會チーム。表彰式のプレゼンターを務めたのは、なんと茨城県の大井川和彦知事(右端)
PK1本の差で惜敗となった、準優勝のゴラ族チーム。ゴールを決めるとカメラ目線でパフォーマンスを披露して場内を盛り上げた
L・スアレスの虎の子の1点を守り抜き、少年の部で優勝したフィーヴァー(左)チーム
決勝戦では何度かあった決定機を逃し、1点に泣いた準優勝の鉾二メロン'Sチーム

 ところで、主催者はそもそもなぜ「プレ大会」を実施しようと考えたのだろうか? 現地で運営スタッフにお話を伺ったところ、「まだeスポーツがどんなものかを知らない人が多いですし、茨城には保守的なところがあるので、『それってゲームでしょ?』という抵抗がある人もいますので、まずは1度やってみて、eスポーツって実は面白いんだということを県民のみなさんに知ってもらいたかった」とのこと。当日はあいにくの雨模様だったこともあり、会場に足を運んだ人はお世辞にも多かったとは言えないが、オープンの部の決勝戦は大接戦になったこともあり、尻上がりに歓声が大きくなったことにはある程度の手応えをつかんたのではないだろううか。

 準決勝以降の試合がWEBサイトで配信されたことによって、参加したプレーヤーは自分たちの試合が世界中で観戦され、しかも自分の目の前にいるプロゲーマーから解説されるという、大会ならではの雰囲気を体験できたことは何よりの喜びだっただろう。試合後のインタビューでは、「来年もまた出場して県代表になりたい」と答えるプレーヤーも非常に多く、参加者側からは好評価を得ていたようだ。

 本大会の実施にあたり、筆者がひとつ気になったのは、オープンの部では当初の予定よりも多いチーム数で行なわれたこと。公式ホームページには募集は16チームで、応募多数の場合は抽選で出場チームを決定すると書いてあったが、実際には応募のあった全27チームを出場させていた。スタッフに伺ったところ、「少年の部の応募はちょうど16チームでした。オープンの部は、本当は抽選をするつもりでしたが、せっかく応募していただいたことですし、ちょっと無理をすれば全チームが出られるだろうということで抽選はしませんでした」とのことだった。

 今回はあくまで「プレ大会」であり、試合のルール自体に変更はなかったとはいえ、プロゲーマーを認定するJeSUという団体も共催している以上、1度公開した規定を予告なしに変更し、それを事前に告知しなかったのは正直どうだろうか。当日は機材のトラブルで準決勝の開始が25分ほど遅れるアクシデントも発生しており、これも含めて来年行なわれる本番においては、競技の公平・透明性を確保するためのさらなる配慮をお願いしたいところだ。

 また、表彰式にプレゼンターとして登壇した大井川和彦茨城県知事からは、「相原選手からは、来年の国体出場を目指したいと聞いていますので、この機会に有名プレーヤーにもどんどん参戦していただき、eスポーツ大会を盛り上げていきたい」との気になる発言があった。どうやら本番の国体で日本一を目指すためには、アジア最強の男を倒さねばならないようだ。我こそはと思うプレーヤーは、ぜひ国体にもチャレンジしてみてはいかがだろうか?

 なお、本大会の動画はYouTubeで視聴できるので(9月18日現在)、興味を持たれた方はぜひご覧になっていただきたい。

□「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019IBARAKI」茨城プレ大会
https://www.youtube.com/embed/hq8oftNAvEQ

本大会のトーナメント表。オープンの部は、当初の予定の16チームから27チームにエントリー数を増やして実施された
大会終了後には、茨ひよりさんがインタビューをする斬新な企画も実現。「eスポーツの裾野をもっともっと広げて日本に根付くよう、まずは来年の茨城国体を盛り上げていきたいと思っています。今後も継続的に大きな大会を実施したりプレーヤーを育てて、茨城を聖地にしてeスポーツ産業の一角を担いたいですね」(大井川知事)
茨ひよりさんのインタビューを受ける鹿麗會のみなさん。「『ウイイレ』は仕事が終わった後に、3人でずっと練習してました。今日は1勝できればいいかなあと思ってここに来たので、(次週開催のTGSの大会は)全然自信はないですけど頑張ります」
「優勝できてとても嬉しいです。一緒に練習するのは週に1回で30分、学校で先生から借りたPS4で練習しました」(フィーヴァーの2人組)。短い練習時間で大会を制したのは実にお見事!