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【特別企画】「GTA」は好きだけど西部劇はちょっと……な俺が「レッド・デッド・リデンプション」に触れて、カッコ良さに目覚めた物語
2018年9月14日 07:00
- 【レッド・デッド・リデンプション2】
- 10月26日 発売予定
- 価格:
- 8,800円(税別、PS4パッケージ版)
- 10,800円(税別、スペシャル パッケージ版)
- 12,800円(税別、アルティメット パッケージ版)
「GTA」シリーズや「Fallout」などディープなオープンワールドゲーム好きの池です。特に筆者は「グランド・セフト・オート」(GTA)シリーズが大好きで、メインのタイトルは全てプレイしてきた。しかし、同じロックスターのオープンワールドである「レッド・デッド・リデンプション」はプレイしていなかった。それは「GTA」シリーズがちょっと昔の現代を舞台にしたオープンワールドなのに対して、「レッド・デッド・リデンプション」シリーズは西部開拓時代という舞台のチョイスが理由だ。この時代に筆者は憧れを感じなかったのだ。
西部開拓時代を舞台にした映画とえばいわゆる西部劇が思い浮かぶ。だが西部劇というと、悪党が登場して街や酒場で暴れたり、うら若き女性を誘拐したりと、悪の限りを尽くしているところに、正義のガンマンが颯爽と現われ、決闘で悪党を倒して、何も求めずに馬に乗って去っていく、というベタな印象しか持っていなかった。映画もほとんど見ていないし、筆者には関係ないもの、と思っていた。
西部劇その物に対する知識が、この程度だった事もあり、ビジュアルのカッコよさは気になったものの、プレイにまで至らなかったというのが正直なところだ。今回、「レッド・デッド・リデンプション2」の発売が10月26日に決定し、盛り上がっている様子を見ていると、何となく自分もその波に乗ってみたくなった。そこで今回は2010年10月にPS3/Xbox 360版で発売された1作目「レッド・デッド・リデンプション」をプレイしてみた。
結論から言うと、これは発売直後のうちにじっくり遊んでおくべき1本だったという後悔と、今回「レッド・デッド・リデンプション2」の発売前にプレイすることができて良かったという安堵の気持ちの両方だ。
詳しい話は後述するが、ビジュアルついては言うまでもなくカッコいい。また、物語も悪いヤツを倒してハッピーエンドみたいな単純な話ではなく、それどころか西部開拓時代の末期という激動の時代を象徴するようなテーマが随所に散りばめられており、クリア後も考えさせられる非常に深い内容だった。
そして何よりGTAシリーズとは一味違った、西部劇の世界ならではのシチュエーションをうまくシステム上で再現しており、ゲームとしてもやりこみ度の深い魅力のあるタイトルだった事を思い知らされた。……ということで、そんな「レッド・デッド・リデンプション」の「GTA」シリーズとの比較や物語の感想なども交えつつ、遊んだ様子をレポートしたい。
これは間違いなく「西部劇GTA」! 熱いメインストーリーと、たくさんの遊び要素
西部開拓時代のアメリカに今回初めて挑戦してみたが、印象的なのはとにかく広い台地だ。しかも砂漠などとは異なり、地面には丈の短い野草が群生しており、広大な未開の地がまだまだ残っているのがわかる。川を渡ったメキシコの地域では、草すらあまり生えない乾いた大地も多くみられ、また、北東部には万年雪が残る山があるなど、地域によって異なる自然の状態が見られるのも興味深かった。
道路は基本“けものみち”で、ちょっと道を外れると崖や急な坂などが姿を現わすので、ショートカットのつもりで道なき道を進んでみたらかえって遠回りになってしまう事も多々あった。西部開拓時代のアメリカという舞台に対して、当初は興味がなかったが、プレイするごとに、こうした大自然の中を馬で駆け回るシチュエーションも悪くない、と思えるようになってくるのだから自然の力は偉大だ。
本作の基本的な操作感は「GTA」シリーズにとても似ており、西部劇ならではの銃器類の操作やホイールによる武器変更、カバーアクションなど基本的な操作はほとんど同じなので、いきなりプレイ開始してもほぼ違和感なく溶け込めた。もちろん投げ縄、馬を呼ぶなど固有のアクションもあるため、これらは意識して操作して、体に叩き込んでいった。
中でも投げ縄はとてもユニークなシステムと感じた。縄を投げつけうまくヒットして捕まえられればあとは手繰り寄せて、対象の敵を行動不能にさせられる。馬を捕まえたり、指名手配の悪党を生け捕りにする時などに使うが、1対1の戦いの場合、銃撃戦よりも効率よく敵を戦闘不能にさせられるため、使い勝手はかなりいい。縄の射程距離があまり長くないため、距離感をある程度つかんでおき、手動のエイムでうまく当てられれば、あとは操作をミスらなければこちらの勝利が確定する。
敵の数が多い場合や、精密な射撃が要求される時には、デッドアイという特殊なスキルが用意されているのも印象的だった。デッドアイは使用すると一定時間、画面全体が赤く染まり、世界全体の時間がスローモーションになる特殊スキルだ。もちろんクールタイムは必要だが、ミッションなどで詰まりそうな時に使うことでかなり助けられた。
そして、通常の銃撃戦とは別に、西部劇ならではの決闘のシステムも本作ならではだろう。決闘では通常の操作と異なる操作で銃を抜き、相手の身体や武器などを何カ所も撃ちまくって倒す。画面右下には決闘の状態を示すゲージがあり、このゲージで相手を上回れれば勝利となる。前述のデッドアイと同じ状態になっているので、現実の時間では一瞬だが、決闘のシーン自体はそれなりの時間をかけて戦うことができる。
この手の決闘というと1発勝負だと思っていたので、最初のうちは銃を抜いたら1発だけ敵の体を撃って終えていたが、決闘相手が強くなるほど、のんきに1発撃つだけではゲージで相手を上回れず、負けてしまう事も増えてきた。そこで、特定の場所を狙うよりも身体のいろんなところに連続して弾を撃ち込むことで勝てるようになってきた。
本作での主な移動手段は馬だ。この馬の操作も当初は縦揺れが激しくて酔うのではないかと心配していたが、実際に乗ってみると思った以上にスムーズに走りまわるようになっていて安心した。何より荒野を駆け抜ける感触が圧倒的に心地いいのだ。馬にはスタミナが用意され、スタミナがない状態で無茶をさせようとすると、馬から振り落とされるのも馬も生き物だということが再認識できて面白い。
馬での移動は道中の様々なランダムイベントに巻き込まれたり、特殊ミッションが出現することもあるほか、道中に自然の中で見かける野生の動物を銃でハンティングする狩りも面白い。また、地域ごとに生息する特殊な薬草集めなどのコレクション要素も用意されており、道中であまり時間をかけていると全然メインのミッションが進まなくなることもしばしばだった。
筆者はこうしたコレクション要素の中では薬草集めが好みだった。何もない荒野をくまなく走り回り、接近すると表示される薬草マークのアイコンを見つけては摘む。一定数を摘み終わると、次のターゲットが提示される。地味だがフィールドをくまなく馬で走り回って探すのが楽しくて、戦闘に疲れて一息入れたいような時はよく薬草を摘んでのんびりと過ごしていた。
また、馬での移動以外にも本作では、街外れなどでキャンプを行なう事で、そこから主要な都市や、事前に地図上に設定したマーカーの位置までファストトラベルすることも可能だ。終盤になってくるとかなり広範囲を移動することになるので、本作にファストトラベルを導入したのは正解だと思う。
コスチュームも豊富に用意されている。デフォルトでは「カウボーイの服」を着た状態でスタートするが、新たなコスチュームを入手するには入手のための条件をクリアする必要がある。今回のプレイでは、複数の条件をクリアして入手した「冷血の暗殺者」のコスチュームがお気に入りだったので、これを入手してからは、終盤までずっとこのコスチュームを使っていた。
今回、「レッド・デッド・リデンプション」で西部劇のゲームをプレイしたわけだが、改めてガンマンのコスチュームや当時の銃のデザインはカッコいいと再認識した。カウボーイハットや、ポンチョやベストなど、それらはオシャレではなく、実用性重視の産物なわけだが、この世界では非常にカッコよく映るから不思議だ。町や村の人々の服装も古くさいというよりは懐かしさが感じられるといった印象で、牧歌的な雰囲気も気に入った。
ストーリーも濃厚で奥が深い。登場キャラクターも個性的
本作のストーリーは、1910年、西部開拓時代の終盤、元ギャングの主人公ジョン・マーストンが都会から外れた田舎の村で悪の限りを尽くしている昔の仲間、ビル・ウィリアムソンを倒すためにやってくるというもの。ところがビル・ウィリアムソンが潜む砦にいきなり単身で殴りこみをかけ、あえなく返り討ちにあってしまう。そんな彼を救ったのが村で牧場を営むボニー・マクファーレンという女性だった。
最初のうちはボニーの依頼を受け、馬の操作や投げ縄のやり方などの基本的な操作を学ぶことができる。ストーリーが進むにつれて、ビル・ウィリアムソンを倒す理由が語られていき、同時にジョンの素性も少しずつ明らかになってくる。
個人的には最初に自分を救ってくれたボニーがかなりお気に入りだった。男勝りの性格ながら、時に見せるか弱さにはベタ惚れだった。途中のミッションでボニーが誘拐された時には、もう必死に誘拐犯の悪党どもを殺しまくって、救出に成功した時は無事な姿を見て歓喜したほどだ。
ところがゲーム中に自身の素性を語る中で、ジョンはいきなりとんでもない事を言い出した。「俺には妻がいる。」「えー!?そういうのはもっと早い段階で言ってよジョン!」と驚愕させられた。なんか1人で勘違いしてボニーに恋してしまったじゃないか!
ボニーについては序盤のミッションが一通り終わったあとも、終盤になると妻のアビゲイルとともにボニーと再会するエピソードがあるのだが、このエピソードでもボニーとアビゲイルの会話が、ハラハラドキドキでとても楽しめた。そのくらいボニーはかなり好きなキャラクターだったので、この終盤のミッションを終えると会うことができなくなるのはちょっと残念だった。
さらにストーリーを進めると、妻と子は政府に人質に取られており、ビル・ウィリアムソンを追っているのも、全て政府からの指示で動いていることが見えてくる。道中、主人公はボニー以外にも不老不死の薬を売りまわる詐欺師や、街の保安官、伝説のガンマンや、イカれた学者など、いろんな人の手を借り、時にはこちらも手を貸して、物語を進めていく。
中でも個人的に気に入らなかったが、印象に残ったのは女を食い物にする革命家、アブラハム・レイエスだ。メキシコの地で革命を起こし、最終的には主人公のジョンの協力もあり、彼の目標は達成される。だが、ミッションを進めていると、アブラハム自身はほとんど戦わず、ともに戦うのはアブラハムに影響を受けた他の民衆たちで、肝心の本人はほとんど動かず口ばかり。そのくせ自分を崇拝する女性たちを食い物にした上に、アブラハムを庇って殺されてしまった女性、ルイーサ・フォーチュナの名前すら憶えていないろくでもない野郎だ。こういった憎めるキャラクターの作りのうまさはロックスターの得意技ともいえる。
後半もさらに複雑な人間関係の中、物語は進み、そして、順風満帆に見えた物語は突然急転直下の展開を迎える事となる。詳細は書けないが、この急な展開には正直、驚愕した。後から冷静に考えれば思い当たる節がないわけでもないが、どうみてもいきなりの急展開だったし、あまりにも非情なラストだったと感じた。筆者はしばらくの間、このラストの展開に納得がいかず苦悩の日々が続いたほどだ。
ゲームのラストシーンでここまで深く考えさせられたのは久しぶりだった。少なくともベタな展開の西部劇などとは異なり、妙なリアリティのある重厚で考えさせられるこのラストは、逆に西部劇の映画がどのような物かを見てみたくなるほどの印象を与えた。この辺りはプレイした人と語ると納得できる部分もありそうなので、ぜひ語っていきたいところだ。
筆者が特に記憶を残っているのは、“時代の変化”を感じる描写だ。例えば、単純な西部劇の設定では、保安官と言えば民衆の味方であり、有り難がられる存在というイメージだった。ところが、本作のミッションの1つでは折角助けにきてくれた保安官たちを、市民たちが、家族が殺されたのに何故もっと早く助けにきてくれなかったと罵倒するシーンがあって、これは胸に何かが突き刺さるような苦い思いがした。
というのも時代背景を見ると、既に西部開拓時代の末期では法による統治がかなり強まっており、今までやりたい放題だった悪党たちはもはや都会では暮らせない状況になっているという話がゲーム内の会話でも出てくる。そのため、行き場を失った荒くれ者たちは法の力がまだそれほど及ばない田舎の村や街に逃げ込んで、今までと同じようなやりたい放題を続けようと足掻いているのだ。
田舎の村の住人たちからすれば、新聞の普及により、市民が安心して暮らせる都会の生活ぶりがわかってしまうだけに、なおのこと、田舎を出られず、田舎で暮らすしか選択肢のない自分たちが、守ってもらえない事への苛立ちを保安官たちに文句を言う事しかできないのではないか。保安官もそれをわかっているからこそ、市民たちには何も言わずに引き続き、逃げた悪党の追撃に向かうのだ。
このように、自分の中にあった西部劇のイメージを払拭するようなドラマが至るところに見られるのだ。こうしてゲームを進めているうちに、気がつけば西部劇のドラマの奥の深さに感心するとともに、西部開拓時代についての興味が沸いてきた。
マルチプレイにもトライ!今でも多くのプレーヤーが殺しあう世界
本作にはマルチプレイも用意されている。起動時にシングルかマルチかを選択したら、そのままオンラインの世界に出現することができる。シングルプレイと異なり、マルチプレイではレベル制が導入されており、経験値を稼ぐことでレベルが上がっていき、レベルに応じて乗れる馬や利用できる武器が解除されていくほか、操作するキャラクターもあれこれ変更できるようになる。
プレイを開始すると、街中などを自由に歩き回ったり、荒野を走り回り、野生の動物を狩る事ができるほか、当然、他のプレーヤーを相手に戦うことも可能だ。正直、8年前のゲームだし、他のプレーヤーがいるとは思っていなかったが、プレイしてしばらくすると、マップ上に他プレーヤーと思われるアイコンが表示された。未だにプレーヤーはいたのだ。そしてさらに荒野を走り回っていると、プレーヤーがどんどん増えてきて、気が付けば11人くらいのメンバーが集まり、特にルールもないプレーヤー同士の銃撃戦がはじまってしまったのだ。
筆者が開始したタイミングで続々と増えてきたプレーヤーの半数くらいは、面白いことにオンラインのレベルが自分と同じくらいの低レベルの人ばかりだった。ひょっとしたら筆者と同じように、「レッド・デッド・リデンプション2」に備えて、本作を新たに購入して、最近開始したばかりの新規のプレーヤーなのかもしれない。
ただ、中には最大レベルに達しているプレーヤーなどもおり、このようなプレーヤーが暴れだすと、複数のプレーヤーで同時に挑んでもまず勝ち目がない。そもそも共闘する意思もないため、むしろ低レベルのプレーヤー同士の争いになってしまう事の方が多かった。このようにすべてのプレーヤーが一堂に会するのが放浪モードで、これ以外にも複数のプレーヤーで遊べるデスマッチなども用意されているようだ。
オンラインでは仲間同士でチームを組むような事もできるようだが、見ず知らずのメンバーばかりの今回はそのあたりを試すことはできなかった。
オンラインで使用するマップはシングルプレイと同じエリアをそのまま利用するので、かなり広いエリアを自由に移動したり、遊びまわることができる。マップ上にはギャングの隠れ家や、狩場など、いくつかのアクティビティが用意されており、マーカーに接触することで色んなジョブが楽しめる。ギャングの隠れ家では、シンプルにその場に沸いて出る他のギャングを退治したり、特定の箱を破壊してから、敵を殲滅するなど、ギャングとの戦いが楽しめる。戦いに勝利することで経験値が入り、レベルが上がっていく。
粗削りではあるが、オンラインゲームとしてそれなりに遊べる作りになっていたので、これは発売時にやっておきたかったと後悔した。
「2」でも重厚なストーリーに期待、もちろんオンラインも楽しみ!
以上、一通り前作の「レッド・デッド・リデンプション」をプレイしてみた。プレイしてみて感じたのは、いつものロックスターらしいゲームだったということだ。広大な西部の荒野を舞台に、メインのストーリー以外にも色々な遊び方を用意し、1度始めたらなかなか終わらない。そんなゲームらしさも魅力的ながら、ストーリーについても1本の映画を見終えたような満足感があった。つまり、GTAシリーズを楽しめる人であれば誰でも「レッド・デッド・リデンプション」シリーズを楽しめるのは間違いないということだ。
「レッド・デッド・リデンプション2」では本作よりさらに前の1899年が舞台となり、こちらの主人公アーサーはギャング団の1人ということだが、本作より昔のさらに混沌の時代を舞台にどのようなストーリーが語られるのか、遅ればせながら楽しみになっている。
PS3でも悪くなかった草原や崖、雪山など自然のビジュアルもPS4でさらに磨きがかかっているようなので、ここに期待するのは当然として、コスチュームの種類がもっと豊富になって色々着替えのバリエーションが増えている事にも期待したいところだ。
また、オンラインのマルチプレイについても期待が高まる。「レッド・デッド・リデンプション」のマルチプレイもなかなかの出来だったが、その後、「GTA」シリーズ最新作に実装した「GTAオンライン」は発売から数年経つ今でも最新アップデートが提供されるほどの人気コンテンツとなった。
この実績がある同社だけに、「レッド・デッド・リデンプション2」のオンラインモードも更なるブラッシュアップが期待できる。特にキャラメイキングとコスチュームの細部の変更の機能は是非実装していただければ、自分だけのガンマンを作成して、オンラインの世界で冒険できるようになるので、最高だと思う。ひょっとしたら発売してからは「レッド・デッド・リデンプションオンライン」を日々楽しむような未来がやってくるかもしれない。そう考えると今から発売日が楽しみでしょうがない。