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ALIENWARE、CYCLOPS athlete gamingのメインスポンサーに就任

伊草オーナー「CYCLOPSをグローバルブランドへ押し上げたい」

9月4日発表

 ゲーミングブランドALIENWAREを擁するデルは9月4日、都内で記者発表会を開催し、デルブランドのゲーミングPC、モニターの新製品に加えて、プロeスポーツチームCYCLOPS athlete gamingへのスポンサーシップを正式発表した。

 今回の発表の目玉はCYCLOPS athlete gamingへのスポンサーシップの発表だ。ALIENWAREは、ゲーミング界では名実共にトップランクのグローバルブランドで、世界中のプロチームはALIENWAREにスポンサードされることを願っているが、ALIENWARE自身は、わずかなチームしかスポンサードしないことで知られる。

 グローバルでは、オランダを代表するプロチームTeam Liquidほか、幾つかのチームのみで、日本ではチームとしてはゼロ、個人としてネモ選手を支援するに留めていた。そのネモ選手も、米国本社が目を付け、Team Liquidに引き抜く形で本社スポンサードに“昇格”。日本ではALIENWAREを展開しながら、支援チーム/選手なしという状態になっていた。

【Team Liquid】
「CS:GO」から「Fortnite」まで主要eスポーツタイトルに選手を送り込む世界を代表するプロチームTeam Liquid。ALIENWAREの数少ないスポンサーチームのひとつだ

 そのALIENWAREが日本で新たに白羽の矢を立てたのがCYCLOPS athlete gamingだ。CYCLOPSは、PCメーカーではGALLERIAを擁するサードウェーブのスポンサードを受けていたが、今年に入って契約満了となっていた。日本としてはチームのスポンサードはこれが初めてのケースだ。

 CYCLOPSは、「オーバーウォッチ」のアマチュアチーム「サイクロプス大阪」として2016年より本格的に活動を開始し、現在では「オーバーウォッチ」のみならず、「ストリートファイターV」や「鉄拳7」、「Dragon Ball FighterZ」といった格闘ゲームや、「Rainbow Six Siege」、「Call of Duty : WWII」といったFPSなど、マルチゲーミングチームとして様々なタイトルのプロ選手を抱えるチームに成長している。

【発表会の様子】
発表を行なう
ALIENWARE マーケティング シニアマネージャー柳澤真吾氏
CYCLOPS athlete gamingの参加者。左よりオーナーの伊草雅幸氏、たぬかな選手、キマリ=ロンゾ選手
「ノートPCを使っているが女性でも持ち運びやすいので助かっている」というたぬかな選手
「PUBG」部門所属のキマリ=ロンゾ選手。中学時代にALIENWAREがカッコイイので親にお願いし続けたが結局買って貰えなかったというエピソードを披露してくれた

eスポーツをビジネスとして大きなビジョンを語る伊草氏

 CYCLOPSの強みは、ビットキャッシュというしっかりとした母体が存在することだ。CYCLOPSのオーナーは、ビットキャッシュ代表取締役社長の伊草雅幸氏が兼務しており、強力な財務基盤のもと、中長期的な視野で、選手達は安心して練習に打ち込む環境が整えられている。具体的には、拠点の大阪にイベントスペースを兼ねたゲーミングハウスを持ち、所属選手には給与制を採用し、主要な世界大会で好成績を収めた選手には、特別ボーナスが支給される。

 伊草氏は「選手が活躍すればするほど金が飛んでいく(笑)」と苦笑しながら語るが、「食えないからこのままではチームをたたまなければならない」という悲壮感はまったくない。理由は、上述した財務基盤に加え、もともと短期的に収益を上げるためにチームを運営しておらず、さらに言えば日本だけをターゲットにしていないためだ。

 たとえば、CYCLOPS athlete gamingを象徴するチームである「オーバーウォッチ」部門は、CYCLOPS=日本代表と言い切れるぐらい名実共に日本最強チームだが、収益という面ではまったくチームに貢献できていない。本誌でも何度か取り上げてきたように、「オーバーウォッチ」のプロリーグである「Overwatch League」は、大リーグ方式を採用しており、所属外のチームが参加することはできないためだ。CYCLOPSがどんなに強くても「オーバーウォッチ コンテンダーズ」と呼ばれる公式のアマチュアリーグまでしか参加できず、第3者が開催するオープントーナメントも数が限られているため、そもそもの収益機会が極端に限られているのだ。

 それでもチームを継続するのは、「オーバーウォッチ」はグローバルで人気のタイトルであり、CYCLOPSをグローバルブランドに育てるためには欠かせない存在だと考えているためだ。今回の発表会でも伊草氏から「世界中のゲームファンの憧れになるようなマルチゲーミングを目指す」という壮大な目標が改めて語られ、今回のALIENWAREとの提携は、非常に大きな戦略的な1手だったことが伝わってきた。

 両社のスポンサーシップの内容は、以下の4項目となる。

・CYCLOPS athlete gamingへのゲーミング製品の貸与(ゲーミングPC「ALIENWARE AURORA」およびゲーミングモニター「ALIENWARE AW 2518H 24.5インチワイドモニター」各15台
・CYCLOPS athlete gamingが着用するユニフォームおよびウェブサイトやSNSでのALIENWAREブランドロゴ露出
・デル/ALIENWAREのマーケティング活動やイベント施策を通じた製品プロモーションにおける協力
・CYCLOPS athlete gamingへの契約金の支払

【新ユニフォーム】
会場ではさりげなく新ユニフォームが披露された。右肩に母体のビットキャッシュ、左肩にALIENWAREが刻まれている

 この15台のPCとモニターは、ゲーミングハウスに10台ほど、ストリーマー用に5台ほどという配分で、このほか「鉄拳7」のプロゲーマーであるたぬかな選手ら、個人種目で活躍する選手には、別途ゲーミングノートPC「ALIENWARE 13」が貸与され、国内外の大会に持ち運んで練習用に使っているという。契約金は未発表で、契約期間は1年。ノルマは未設定だが、メジャーな大会でそれなりの結果をコンスタントに出していき存在感を示すことが求められる。

【「鉄拳7」エキシビションマッチ】
海外にもファンが多いたぬかな選手のエキシビションマッチが行なわれた

 なお、ALIENWAREは、2年連続で出展していた東京ゲームショウには今年不参加となる。今回のスポンサーシップについて発表を行なったALIENWARE マーケティング シニアマネージャー柳澤真吾氏によれば、「今年はお金の使い方を変えた」ということで、CYCLOPS athlete gamingへのスポンサーシップや、「FFXIV」のeスポーツ大会「The FEAST リージョンチャンピオンシップ 2018」への冠スポンサー就任など、よりコミュニティに密着した分野にお金を使う形に変えたという。

 今回の発表は日本のALIENWAREのeスポーツに対する取り組みがいよいよ本格化してきたという印象を持ったが、CYCLOPSの所属選手達はそれに相応しい活躍を見せることができるのか、それに合わせてグローバルで存在感を見せることができるのか、CYCLOPSの今後の活躍に注目したい。

【ゲーミングモニター】
今回発表されたのはALIENWAREではなく、デルのゲーミングシリーズ。エントリー向けの24.5インチと27インチ。いずれもコストパフォーマンスに優れ144Hz以上のリフレッシュレートを持つ。従来エントリーモデルは対象外だったプレミアムパネル保証もカバーする

【ゲーミングノートPC】
ノートPCもALIENWAREではなく、デルGシリーズのラインナップ強化となる。エントリー向けG3に17インチモデル、ハイエンドのG7にCore i9-8950HK採用モデルが追加された