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ドルトムントの夜は「FFXIV」で熱く燃えた! 「FFXIV」クラシックコンサートレポート
鳴りやまない拍手、本場ヨーロッパのファンはとても情熱的だった
2018年8月27日 02:39
スクウェア・エニックスは、プレイステーション 4/Windows/Mac用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター(以下、FFXIV)」のクラシックコンサート「Eorzean Symphony」をGamescom開催に合わせた8月24日、25日の両日、ドイツ北部の都市ドルトムントにあるコンサートホールKonzerthaus Dortmundで開催した。
ドルトムントはケルンからドイツの新幹線ICEで約1時間の距離にある人口60万弱の工業都市。サッカーチーム、ボルシア・ドルトムントの拠点であり、駅の側にはドイツサッカー博物館がある。会場のKonzerthaus Dortmundは駅から5分ほどの場所にあるコンサートホール。オペラやクラシックからジャズ、ポップまで幅広いイベントが開催される座席数約1,500の音楽専門ホールだ。
筆者は25日の公演に参加してきた。開場が19時でスタートが20時という日本の常識からすると遅い開催時間だが、この時期のヨーロッパは日が長いため20時でもまだ日が残っているのであまり遅いという感じはしない。前日までは暑かったが、この日はケルンもドルトムントも雨が断続的に降る曇り模様で、秋を通り越して冬の気配を感じるほどの寒さだった。
しかし「FFXIV」ファンの熱気はかなりのもので、開場の30分以上前にはすでにドアの前に人だかりができていた。座席はほぼ満席。この日はGamescom最終日ということもあり、観客の中には会場でもらえる大きな「FFXIV」のバッグを持っている人など、ケルンからここまで足を運んできた人が多いようだったが、中には胸元が開いたドレスで盛装している人もいた。
コスプレをしている人もいて、筆者が見かけただけでも、ピンクのスプリングドレス、学者、白魔道士、ミコッテなどがいた。驚いたのは、フル装備のゼノスがいたこと。2017年のフランクフルトファンフェスの服を着ている人は非常に多く、開場はまさに筋金入りの光の戦士たちの集会場となっていた。
今回のドルトムントコンサートでは、本場らしく、マイクを通さないクラシック本来の姿が楽しめる形式でのコンサートだった。コンサートのセットリストはアメリカのイベント同じだが、同じ曲でもオーケストラによって個性は様々。今回は全体的にとても楽し気な雰囲気の音を堪能できた。
コンサートセットリスト
【Part1 A REALM REBORN】
・希望の都
・静寂の森
・極限を超えて
・絢爛と破砕 ~クリスタルタワー:シルクスの塔~
・究極幻想
・試練を超える力
・白銀の凶鳥、飛翔せり
・Answers
【Part2 HEAVENSWARD】
不吉なる前兆
彩られし山麓 ~高地ドラヴァニア:昼~
逆襲の咆哮
Dragonsong
メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~
忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
Heavensward
【アンコール曲】
・そして世界へ
・天より降りし力
演奏はNeue Philharmonie Westfalen。指揮はアメリカ公演と同じ女性指揮者のAlexandra Cravero氏。スタートは吉田氏が最も思い入れのある曲だとこちらのインタビューで答えていた「希望の都」。ウルダハの昼にかかる曲で、冒険の始まりを告げる高らかなファンファーレとなっている。冒頭部分のみ録画が許可されたので、コンサートの雰囲気を感じて欲しい。
「静寂の森」、「極限を超えて」という定番の2曲終了後には、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が登場し、会場に向かってクラシックコンサートの経験のあるなしを問いかけた。さすがにクラシックの本場ヨーロッパだけあって、クラシックコンサートに行ったことがあるという人が半分以上。ジョブを聞く質問では、メインヒーラーという人がかなり多かった。
「絢爛と破砕 ~クリスタルタワー:シルクスの塔~」では冒頭の声楽部分をマイクなしの生声で高らかに歌いあげ、最初のスタンディングオベーションでの喝采が沸いた。日本人の我々は、クラシックコンサートは静かに聞かなければならないというイメージを持っているが、ヨーロッパの人たちは演奏終了後に毎回惜しみない声援と拍手、時にはスタンディングオベーションで感動を伝える。今回のコンサートでも、何度も立ち上がっては鳴りやまない拍手が沸き起こっていた。
その後ステージにはサウンドディレクターの祖堅正慶氏が登場して、オーケストラを紹介。このオーケストラと初めて会ったのは3日前だが、どんどん良くなって今日が最高の演奏ですと感想を述べた。
第1部の最後は、スーザン・キャロウェイさんによる「Answers」。ルイゾワとバハムートの決戦が描かれたムービーを背景に歌い上げる曲が終わると、拍手の中、2階席にはハンカチで目頭を押さえている女性の姿もあった。
第2部の「HEAVENSWARD」でも、「メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~」や「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」の動画内で、ミスって死んでいる人がいる時くすっと笑い声が聞こえたり、自分の経験に照らしてあそこはこう避けないといけないのに、と音楽を聴きつつゲームでの体験を思い出している様子が分かった。
「メビウス」では今回も途中で音楽がストップし、吉田氏と祖堅氏が太鼓と鉄琴を持って登場、最前列を横切った後、祖堅氏が指揮者の肩を叩いた瞬間に時間が動き出すという演出があった。今回が千秋楽でもあり、すでにネタとしては知れ渡っている感があったが、逆に待ってましたとばかりの拍手と歓声が起こっていた。
最後は、企画から収録まで2週間という、最悪のスケジュールながら最高の出来だと祖堅氏が語った「Heavensward」。吉田氏が「初めて自分たちのFFを仲間たちと作ったと」語る最初の拡張パックのティザートレーラーと共に、この曲が発表されたのは2014年10月。あっという間に新生から5年が経ち、同じ体験を共有してきたコミュニティも成熟してきた。これは「FF」スタッフが批判を恐れず、ファンとのコミュニケーションをあきらめなかった結果でもあるだろう。
2曲のアンコール曲が終了した後も、スタンディンオベーションは鳴りやまず、オーケストラの楽団員が全員退場した後もまだ拍手が鳴り続けていた。吉田氏は2度とこんなチャンスがないかもしれないと語っていたが、次の拡張でもぜひともこういった機会があればいいと思う。
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