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新時代の野球振興を目指すプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」詳報

7月19日発表

会場:コナミホール

 コナミデジタルエンタテインメントと一般社団法人日本野球機構(NPB)は7月19日、共同で記者会見を開催し、「実況パワフルプロ野球2018」を競技種目として採用したプロeスポーツリーグ「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」を共同開催することを明らかにした。初年度は、野球振興の一環として開催され、プロ野球eスポーツ選手には、活躍に応じたプロモーション協力費として選手報酬を支払う契約で、今シーズンの選手報酬総額は1,200万円を予定。記者会見およびその後の囲み取材で判明した内容を詳しくお伝えしたい。

【eBASEBALLリーグ】

 今回の記者会見はコナミデジタルエンタテインメント本社内のコナミホールで行なわれたが、キー局のカメラが勢揃いし、ゲームメディア以外に一般メディア、スポーツメディアなど幅広いメディアが駆けつけ、関心の高さを伺わせた。

 記者会見そのものは20分弱で終了し、NPB会長兼日本プロフェッショナル野球組織コミッショナーの斉藤惇氏と、コナミデジタルエンタテインメント代表取締役社長の早川英樹氏から挨拶を皮切りに、担当者からプロリーグの開催概要と、セレモニーとしてパワプロチャンピオンシップス2017チャンピオンのマエピー選手による始球式が行なわれ、プロリーグの詳細については、後日発表という形となった。

 2人の挨拶で強調されていたのは、新たなアプローチによる野球振興だ。eBASEBALLの取り組みを通じて従来の野球ファンに加えて、ゲームファン、eスポーツファンにも野球への関心を向けさせ、新たな野球ファン層の獲得を目指していく。

【NPBとKONAMIの共催】
会見を終え握手を交わすNPB会長兼日本プロフェッショナル野球組織コミッショナーの斉藤惇氏(左)と、コナミデジタルエンタテインメント代表取締役社長の早川英樹氏(右)

 「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」は、NPBとKONAMIが共催する史上初のプロ野球のeスポーツリーグ。NPB公認のプロ野球ゲームである「実況パワフルプロ野球2018」を競技種目とし、プロ野球のリーグ様式を踏襲しながら、プロ野球12球団の頂点をゲームを通じて決定していくというものだ。

【eBASEBALL パワプロ・プロリーグ】

 各12球団を“操作”する「代表選手」は、プロテストによって選抜され、さらに今秋開催予定の「eBASEBALL ドラフト会議」により、1球団3名で構成されたプロ野球eスポーツチームが編成される。

 具体的にはプロテストはオンライン予選と、東西日本のオフライン選考会に分かれ、オンライン予選で192名まで絞り込み、オフライン選考会でドラフトに参加できる36名を選抜する。プロテストでは、実技(対戦)だけでなく、面接も行なわれ、プロ野球eスポーツ選手として相応しいかどうかがチェックされる。eドラフト会議では36名がどのチームに所属するかを球団側が指名する。スケジュールは以下の通り。

【eBASEBALLL プロ野球eスポーツ選手選抜スケジュール】
オンライン予選:2018年7月30日(月)~8月5日(日)
オフライン西日本選考会:2018年8月26日(日)
オフライン東日本選考会:2018年9月1日(土)
eBASEBALL ドラフト会議:2018年9月29日(土)

【ドラフト会議でプロ選手を選抜】

 プロリーグは、セ・リーグ、パ・リーグにわかれた2リーグ制で「eBASEBALLペナントレース」が行なわれる。ペナントでは、6回1ゲームのルールで、3名の選手が1試合ずつ、計3試合を行なって勝敗を決め、それを5節行なう。試合そのものは土日に行なわれ、土曜はセ・リーグ、日曜はパ・リーグと、週末のみで完結するようになっている。このため実力が伴うかを別にすれば、社会人や学生でもプロ野球eスポーツ選手になるチャンスが与えられている。

 なお、選手データは、現実のプロ野球の2018年シーズン終了時のデータが採用される。当然のことながら1位の球団は良い成績を残した選手が多いため、その分だけ選手の性能も良く有利という言い方ができるが、eスポーツでは一番大事なのはそれを操作するプロeスポーツ選手の腕だ。現実世界では下位に低迷したチームでも、eスポーツの世界ではプロ選手の活躍で1位になるというロマンが残されている。

【eBASEBALLペナントレース】
第1節:2018年11月10日(土)、11日(日)
第2節:2018年11月17日(土)、18日(日)
第3節:2018年11月24日(土)、25日(日)
第4節:2018年12月1日(土)、2日(日)
第5節:2018年12月8日(土)、9日(日)

【eBASEBALL パワプロ・プロリーグ】

 話を戻そう。ペナントで3位以内に入ると、リーグ代表決定戦となり、上位3チームでリーグ1位を決める戦いが繰り広げられる。プロ野球と同様、ペナント上位のチームにはアドバンテージが与えられ、有利な状況で決定戦に臨むことができる。試合形式は9回1ゲームとなり、各選手が3回ずつ交代で操作する総力戦となる。ここでアドバンテージを加味した上で一定数勝利することで、最終決戦となる「e日本リーグ」に進むことになる。

【プレーオフ】

 e日本シリーズは、リーグ代表決定戦と同様に9回1ゲームを3人で3回ずつ操作する。ただし、1日で決着がつくように1試合限定の一発勝負。これで日本1位のチームが決定することになる。参加した36名のプロ野球eスポーツ選手たちには、順位に応じて報酬が支払われ、ホームランやMVPなどの各賞受賞者も個別に支払われる。

【eBASEBALLプレーオフ】
eBASEBALL リーグ代表決定戦:2018年12月16日(日)
eBASEBALL 日本シリーズ:2019年1月12日(土)

【賞金ではなく報酬】
eBASEBALLは、賞金総額ではなく、プロモーション協力費として報酬総額という表現を使っている

 現時点では2018年シーズンのみが決定しており、ポストシーズン期間において、下位球団のプロ選手が戦力外通告されたり、巨人軍がマエピー選手をトレードで手に入れたり、といった動きがあるのかどうかはわからない。すべて2018年シーズンの反応次第で、今後の展開が決まっていくという。

 KONAMIとNPBの双方としては、プロ野球eスポーツリーグを盛り上げることで、野球振興に繋げ、本家であるプロ野球と共に発展し、最終的にはリーグ単体を収益化し、新たな収益源としたい考えだ。2018年シーズンそのものの収益化は考えておらず、オンライン配信、オフライン観戦共に無料で視聴でき、スポンサー獲得に必死になっているわけでもないという。

 オンライン予選は、誰でも無料で参加できるところもおもしろい。競技種目である「実況パワフルプロ野球2018」自体は、フルプライスのパッケージタイトルだが、7月25日より、大会参加に特化したチャンピオンシップモードのみ開放した「実況パワフルプロ野球 チャンピオンシップ2018」の無料配信をPS Storeで開始する。これを使えば、誰でも無料でオンライン予選に参戦することができる。

【競技種目】
2つのタイトルからオンライン予選に参加できる

【「実況パワフルプロ野球2018」トレーラー】

 全試合は、公式サイトおよび、スポーツメディア「SPORTS BULL」にて配信を行なう。レギュラーシーズンおよびプレーオフの全試合はオフラインで行なう予定だが、どこでどのように試合を行なうのか、オフラインの観戦はどのような規模でどのようなレギュレーションになるのかなどは今後の発表を待つ必要がある。

【eBASEBALL開催スケジュール】

 質疑応答では、eスポーツはおろか、「パワプロ」自体を知らない記者もいて、この異種混合の取り組みのハードルの高さ、“ゲームをスポーツする”ことの難しさを肌で感じることができたが、純粋にゲームファン、「パワプロ」ファンの視点から言えば、プロ野球の仕組みをそのまま「パワプロ」のプロリーグに取り入れ、それをNPB公認で丸ごとeスポーツ化してしまう試みは、KONAMIならではの展開だし、その規模の大きさにワクワクさせられる。日本ならではの日本独自の取り組みという点もユニークだ。ぜひ世界のeスポーツ界を驚かせるような盛り上がりを期待したいところだ。

【eBASEBALL始球式】
始球式は、斉藤コミッショナーと、昨年度の「パワプロ」チャンプのマエピー選手が行なった。マエピー選手も予選から参加し、eBASEBALLに参戦する。マエピー選手は、「私自身を選んで頂ければ、どのチームに選んで頂いても頑張りたい」と自信満々に抱負を語っていた