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試合、観戦、配信、そして購入!「eSports Studio AKIBA」が間もなくオープン!

ソフマップ、店舗併設型eスポーツスタジオのオープンセレモニーを開催

4月26日 開催

 ソフマップは、4月30日にオープン予定の配信型ゲームイベント施設「eSports Studio AKIBA」のオープン記念セレモニーを4月26日に開催した。

 「eSports Studio AKIBA」はソフマップAKIBA2号店パソコン総合館2Fにオープンするイベント施設。10台のハイスペックPCと配信設備が用意されており、eスポーツ競技のプレイや観戦はもちろん専用サイトでの生配信なども可能となっている。さらに、ゲームタイトルを問わず5人以上の団体で申し込むことで施設を無料で利用することができる。

 配信設備を備えた常設のeスポーツ会場といえば「e-sports SQUARE AKIHABARA」や「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」、そして4月15日にオープンしたばかりの「LFS 池袋 esports Arena」などが浮かぶ。一方、小売店ではPCの販売コーナーなどで散発的にイベントが開かれることはあれど、常設の施設が設置されることはこれまでなかった。

 小売店であるソフマップが一時的なイベントスペースではなく、常設のeスポーツ施設を設置するに至った意図はどのようなところにあるのだろうか。オープン記念セレモニーでは施設のお披露目と共に、その目的が語られた。

配信設備を備えたeスポーツスタジオ「eSports Studio AKIBA」。その狙いとは

ソフマップ代表取締役社長の渡辺武志氏

 ソフマップ代表取締役社長の渡辺武志氏によれば、ソフマップではこれまでもPC本体や周辺機器などのハードウェアを販売してきたが、昨今のeスポーツの盛り上がりに合わせ、ここ半年でeスポーツ向けのゲーミングPCや周辺機器の売上が大幅に伸びている状況なのだという。

 こうした盛り上がりを背景に、渡辺氏は「小売業であるソフマップが、どうしたらeスポーツに貢献できるか」ということを考え始めたのだという。その後、様々なeスポーツ関係者との情報交換を経て導き出した答えは、やはり小売の本分ともいえる、「eスポーツに協賛しているメーカーの商品をしっかりと売っていくこと」であった。

 スポンサーの製品が売れることで、スポンサーに売上が入り、その売り上げは選手やチームに巡る。こうしたeスポーツにおけるエコシステムに寄与するための仕組みがこの度のスタジオ開設だ。

 ソフマップはこれまでもインストアイベントを開催してきた実績があるが、インストアのイベントでは会場に集ったゲストにしかリーチすることができない。ところが配信という手段を用いれば、インターネットを通じて会場の模様や情報をより広い層に届けることが可能となる。

「将来的にソフマップ他店舗とのオンライン対戦・配信にも対応できるよう、機器の選定を行なった」と語るJストリームアドビジネス推進部長の田中恒利氏

 配信を含め、「eSports Studio AKIBA」の機材やシステムを手がけたのは意外にもソフマップ自身ではなく、動画配信関連の専業会社であるJストリーム。Jストリームアドビジネス推進部長の田中恒利氏によれば、スイッチャーには高性能な「TriCaster TC1」を導入し、会場に備え付けられたカメラの映像や選手のゲーム画面を切り替えてライブ感あふれる配信を可能としたほか、オンラインで繋がった他の店舗の映像などもミックスして、試合の模様などを配信できる設備を整えたのだという。

 また、配信画面にはソフマップのECサイトも同時に表示される仕様となっており、気になった製品の価格や付与ポイント、在庫などが一瞬で確認できるようになっている。もちろん、イベント会場となるソフマップAKIBA2号店パソコン総合館ではPC本体や周辺機器が豊富に展示されているので、イベントで見たデバイスを実際に触り、スタッフのサポートなども受けつつ製品を選ぶこともできるだろう。

 また、"eスポーツの発展"という観点から、クラーク記念国際高等学校の「eスポーツ」クラスの練習場として活用されることも決定しているのだという。もちろん、教育としての利用に限らず、多くのゲームコミュニティにアピールしていきたいという想いから学生サークルやゲームコミュニティ、プロチームや企業に対し、5名以上の申込み制で施設を無料で貸し出していく方針だ。

「得意な分野で活躍できる生徒を育てたい」として、「eスポーツ」カリキュラムを導入したクラーク記念国際高等学校秋葉原ITキャンパス長土屋正義氏

 会場では5vs5を基本ルールとするPC用MOBA「League of Legends」を用いたエキシビジョンマッチも行なわれたが、計10人が同じ場所に集まって試合を行なう、というのは実は設備的な面からなかなかハードルが高い。というのも、ゲームがきっちりと動くPC、回線が必要なのはもとより、チーム同士の戦いであるがゆえに、互いのチームの声を遮る防音設備なども必要になってくるからだ。

 エキシビジョンマッチに参加した近畿大学の「eスポーツサークル」代表の菊池拓海選手が「eスポーツの認知度はまだまだ低く、5v5の試合をオフラインでできる施設はまだ少ない。それが実現できる環境を目の前にとてもワクワクしている」とコメントした通り、10人での同時プレイに対応する「eSports Studio AKIBA」は練習やイベントにもうってつけといえるだろう。

近畿大学の「eスポーツサークル」代表の菊池拓海選手
龍谷大学「LoLサークル」代表の高橋甲林選手
ガラスで仕切られた選手席。観客席から選手たちの表情や、手元の様子を伺うこともできるような距離感だ
ペンタグラム所属のプロストリーマー象先輩氏、CYCLOPS athlete gamingのShinchang氏も会場に駆けつけた

 プレーヤーに対するeスポーツの"場"を提供すること、買い物に来た人がその場でイベントを楽しめること、配信でもその模様を伝えることでより広い層にアピールしていくこと、そして結果的に商品を売ること。「eSports Studio AKIBA」はこうした目的の達成のため、配信施設を完備し、かつ店舗併設で常設、というスタイルを取っている。

 エキシビジョンではeスポーツにつきものの機材の不調により、設備をフルに活かした5v5の試合を観ることはできなかったが、そこは運用経験の蓄積によって解決される部分であろう。設備として十分なものを備え、かつ店舗内に設置されたeスポーツスタジオが今後どのように使われていくのか、またどのようにeスポーツシーンに貢献していくのか。今後の動向が楽しみだ。

【今後開催予定のイベント】