ニュース
スライムをやっつけるってどんな感覚?「ドラゴンクエストVR」を一足先に体験してきた!
2018年4月25日 20:43
バンダイナムコアミューズメントは、東京・新宿で営業しているVR関連アクティビティを集めた「VR ZONE SHINJUKU」にて、フィールドVRアクティビティ「ドラゴンクエストVR」を4月27日より稼働させる。25日には報道関係者を集めた体験会が開催された。
「ドラゴンクエスト」の世界に入って文字通り“冒険”を“体感”できるとあって、体験会には報道陣の申し込みも殺到。かなりの人気となったという。
「ドラゴンクエストVR」は、RPGシリーズ「ドラゴンクエスト」シリーズを題材にしたVRアクティビティ。プレーヤーは「戦士」、「僧侶」、「魔法使い」としてパーティを組み、剣や盾、杖を装備し、ゾーマ討伐を目指す。
まずは待ち時間の間に、パーティメンバーでエントリーシートを書いていく。記入するのはプレーヤーネーム、身長、性別、言語、利手となっている。プレーヤーネームは、MMORPGなどのようにゲームが始まると頭の上にプレーヤーネームが表示されるのだ。身長、性別はゲームの能力値に関係はない。ただしここで記入した身長に合わせて、それぞれのプレーヤーのグラフィックスが変わってくる。また性別も同じで、男性か女性いずれかにチェックすると各性別のキャラクターのグラフィックスでプレイ開始となる。
どの職業を選択するかは、ここでパーティを組むメンバーと決めることになる。最大4人パーティで、戦士が2名、魔法使いが1名、僧侶が1名となる。戦士は1人でもプレイ可能で、この場合は3人プレイとなる。
最初にブリーフィングルームで、ゲームの流れや攻撃方法、魔法のかけ方、注意事項などのレクチャーを受けると機材のセッティングとなる。「ドラゴンクエストVR」はバックパックを背負い、HTC Viveのヘッドマウントディスプレイ、ヘッドセット、センサー類などをプレーヤーにすべて取り付けてフィールド内を自由に歩き回りながらプレイできるタイプのゲームだ。つまりプレーヤーに取り付けるPCなどはかなりの重量となっており、女性や小柄な体格の人は重く感じるかもしれない。
筆者は戦士を体験したのだが、剣のコントローラーとなるセンサーが、ずしりと重く、かなり体格の良い筆者でも最後まで剣を振り回し続けると汗だくになるほどだった。この剣のコントローラーは特別に開発されたもので、敵を斬りつけたときにブルッときてその斬った感触をプレーヤーに伝えてくれる。振り下ろしたときの重みというか感触が、リアルに伝わるように作られているのだ。開発陣によれば、この機構を盛り込みながら軽量化も図られているのだが、現状はこの重さが限界なのだとか。
一通りセンサー類を取り付けたら、いよいよ「ドラゴンクエスト」のゲームを始めることになる。まずは王様に謁見だ。王様から直々にゾーマの討伐を依頼され、この王道の展開に気持ちがグッと高まる。ゾーマ城に向かうべく旅立つプレーヤー達だが、平和そうな草原にもすでに魔物の影が迫っていた。まずはスライムが登場する。スライムがフィールドの果てからぴょんぴょんと跳ねながら登場したときは、遂に「ドラゴンクエスト」の世界に入り込めた感動でいっぱいになった!
ちなみにプレーヤーは敵モンスターから一撃食らうといきなり瀕死状態となり、目の前がモノクロームの世界となる。ここで僧侶から回復呪文の魔法(ホイミ)をかけてもらわなければ、もう一撃食らうと死んでしまうことになる。なぜ、このようなシステムなのかというと、インジケーター類を廃しているために、ゲームのように細かく体力が減るといった表現ができないからだ。基本的にゲームをプレイしていない人でもすぐに理解できるようなシステムでなければならず、ゲーム的なお約束を廃した結果、こういったシステムとなっている。
ちなみに僧侶はザオリクも修得しているので、倒れたら声を掛け合って蘇生してもらうと良いだろう。「ドラゴンクエストVR」では魔法が使い放題ということで、僧侶さえ生き残っていれば、何とかゲームを進めることができる。そう、実は「ドラゴンクエストVR」で最も重要なのは僧侶なのだ!
スライムを倒していくと、今度登場したのはドラキーだ。初代「ドラゴンクエスト」をプレイしたときも、始まりの町の近くにある橋をおっかなびっくり渡ると現われたのがドラキーだったよなぁと記憶が蘇ってきた。草原での戦いを難なく終えると、レベルアップして剣や杖などもグッと強そうになる。そしてルーラで次の地点に移動だ。ここでもまた、ルールの時の演出に驚くわけだ。「ルーラしたら、こんな風に見えるのか!」と必ずや驚くことだろう。
2番目のポイントに移ると、さまようよろいやキメラなどが登場し敵も本格的になってくる。さまようよろいはグラフィックスを見てもわかるとおり、盾で攻撃を防ごうとしてくる。一撃では倒せないし、少し戦略を考えながら攻める必要がある。ここは後衛の魔法使いと役割分担をしながら攻めると良いだろう。キメラなどは戦士の剣での攻撃が届かない。遠距離攻撃を得意とする魔法使いがキメラなどを倒し、戦士達が接近戦を繰り広げるさまようよろいを倒していくなど、声を掛け合って倒していくと良いだろう。
ここをクリアできれば、遂にゾーマ城でゾーマとの戦いを迎えることになる。ゾーマとの戦いは筆舌に尽くしがたく、想像を絶する展開となる……その戦いについては、ご自身で体験していただきたい。ちなみに筆者のパーティも無事ゾーマを討伐し、王様からお褒めの言葉を賜った。
ゲームをプレイして感じたのは、それぞれの職業で得意な部分があり、その役割を理解した上で、パーティ内で声を掛け合ってプレイするのが重要だと言うこと。たとえば盾で身を守ることができるのは戦士だけなので、魔法使いや僧侶は敵から攻撃を受ければひとたまりも無い。戦士は僧侶や魔法使いを盾で護りながら前線に来た敵を倒していき、魔法使いは遠距離魔法で、遠くにいる敵を倒す。僧侶はホイミやザオリクでパーティの管理を一手に引き受ける……といった具合だ。
体験時間は15分間。人が体験している様子を見ているとこの15分間はなかなか長く感じるのだが、実際に自分でプレイすると、アッという間だ。これまで時間かけてプレイしてきた「ドラゴンクエスト」の世界での体験を15分で体験するのだから濃密なわけだ。
体験後には、VR関連プロジェクト「Project i Can」を担当する小山順一朗氏、田宮幸春氏、そしてプロデューサーの濱野孝正氏にお話を伺う機会があった。
「ドラゴンクエストVR」についてはVR ZONE SHINJUKUの企画が立ち上がる前からスクウェア・エニックスと話を進めており、どうしても作りたかったアクティビティだったのだという。VRアトラクションを開発するにあたって、「撃ち合い」と「冒険」を表現したいために、フリーロームVRアトラクションを導入することを決めたのだという。その「冒険」の要素を担っていたのが「ドラゴンクエスト」というわけだ。
しかし、開発には大きく2つの点で難しかったのだという。たとえば一言で「魔法をかける」というが、それは手から発せられるものなのか? 杖から発せられるものなのか? など、詰めなければならない疑問点が山積みだったのだとか。ただスクウェア・エニックス側としてもそこまで設定していない部分もあり、一緒に悩みながら開発が進められていったのだという。
もう1つは「ドラゴンクエスト」としての決まり事を盛り込むこと。たとえば冒険は、王様との謁見に始まり、ラストも王様との会話で終わるのだという。「ドラゴンクエストVR」の開発当初はすぐに冒険に出発していったが、スクウェア・エニックスとの打ち合わせからこういったシーンが盛り込まれていったのだという。ちなみに、もしパーティが全滅したらどうなるのだろうか? そんなときもやはり王様のシーンで終了するのだという。そう! あの有名な台詞を聴くことができるかもしれないわけだ! 1度はパーティが全滅するプレイも楽しいかもしれない。
「ドラゴンクエスト」シリーズでは、誰か1人ではなく、誰もがヒーローになることができる。パーティでそれぞれ役割分担してゲームをプレイしていくということもここから来ている。田宮幸春氏は「敵からの攻撃を受けてホイミをかけてもらったら、自然と『ありがとう!』って声を掛け合うと思うんです。それが良いんです」と語っていた。
ちなみに難易度という点では、比較的優しい調整になっている。小山順一朗氏によれば、国民的RPGということもあって、誰でもクリアできて欲しいと言う想いがあるという。このため、筆者がプレイした時間帯はゲーム関係者が多かったこともあり「ゲームのお約束」に精通しているため、「ガンガンいこうぜ」的なプレイに終始して、難なくクリアしてしまった。
小山氏に聞いてみたところ「『ドラゴンクエスト』の世界を誰もがプレイできるプラットフォームが出来上がったところ」だと言い、今後プラスアルファの要素として難易度設定などを盛り込むことは可能だという。たとえば、あちこちからスライムがたくさん出現したり、スライムの接近スピードが速くなったり、色々と考えているのだという。
加速度センサーを盛り込んで体感できる「ドラゴンクエスト」関連商品はこれまでも発売されてきたが、VRのヘッドマウントディスプレイを付けて、「ドラゴンクエスト」の世界に入り込むことができる体験は初めてのことだろう。おそらくかなりの人気アトラクションになると思われるが、ゲームファンであれば、ぜひとも体験していただきたい。
© ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
© SUGIYAMA KOBO
© BANDAI NAMCO Amusement Inc.