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「聖剣伝説2 シークレット オブ マナ」プレビューレポート
オリジナル版のプレイ感覚、手触りの良さを大切にしているのが感じられるリメイク
2017年11月21日 12:30
スクウェア・エニックスより、2018年2月15日に発売予定のプレイステーション 4/Playstation Vita/Windows用アクションRPG「聖剣伝説2 シークレット オブ マナ(以下、『聖剣伝説2 SoM』)」。鋭意開発中のこちらを、今回は特別に試遊できたので、そのプレビューレポートをお送りしよう。
プレイさせて頂いたのはPS4版のシングルプレイを1時間ほど。また本作の醍醐味のひとつと言える3人でのマルチプレイも短時間ではあるがプレイできた。
3Dモデルのグラフィックスに、フルボイス、イベントシーンなど演出や見た目が強化されているが、プレイ感覚はしっかりと「聖剣伝説2」の良さそのまま
「聖剣伝説」シリーズの中でも代表格と言える名作であり、原作が海外でも発売されたことから海外のファンも多い「聖剣伝説2」。オリジナルのスーパーファミコン版は1993年に発売されているが、そこから数えて24年越しのリメイクとなる。
グラフィックスの全面的なリニューアル、イベントシーンの演出強化、キャラのフルボイス対応、アレンジ版・オリジナル版の楽曲を両収録、オートセーブ機能の追加、ショートカットコマンド機能の追加など、多数の要素が追加されているのが特徴だ。
ソフトを起動するとスクウェア・エニックスのロゴと共に原作を彷彿とさせる咆哮の声。そこから、ピアノベースの印象的なテーマソングが流れるなか、マナの樹を前にランディ、プリム、ポポイの3人が佇んでいるメインビジュアルが映し出され、スーパーファミコン版にもあった英語でのストーリーテロップがスクロールしていく。
タイトル演出は原作のスーパーファミコン版を忠実に踏襲したものであり、その清廉さと神秘性を感じさせるインパクトを、より美しく楽しめる。なお、英語のストーリーテロップは文法を整えるためオリジナル版からわずかに変更しているところがあるということだ。
ニューゲームでプレイを開始すると、まずは「聖剣伝説2 SoM」の世界に語られる神話のムービーが流れる。こちらは新規のイラストにフルボイスのナレーションになっていて、今作のポイントである演出の強化を強く感じられるものになっている。
冒頭のシーンは、主人公ランディが村の子供たちとともに探検に来ているシーンから始まっていくが、今作ではそうしたイベントシーンは、原作にはなかったカメラアングルを切り替えた動きのある見せ方や演出になっている。
ランディをはじめとしたキャラクターの姿が大きく映し出され、身振り手振り、さらには表情も交えつつ、コミカルに動く様子が楽しめる。
また、全キャラクターの台詞がフルボイスになっていることも演出強化の非常に大きなポイントだ。ランディたちメインキャラクターだけでなく、村人の会話などに至るまで全てにボイスが入っているということだ。
グラフィックスを見ると、オリジナルのドット画から3Dグラフィックスになっているので、見た目の印象は当然ながらガラリと変わっている。ただ、例えばキャラクターの頭身がオリジナル版に近いままに3Dモデル化されていたりと、オリジナル寄りのトーンを保ったままに3D化させようという意識の感じられるところが随所にある。
ゲームとしてのプレイ感覚、いわゆる手触りはというと、こちらはかなりオリジナル版に忠実だ。もちろんグラフィックスの違いなどからくる慣れも含めてのフィーリングの違いというのはあるにはあるが、それを考慮しても原作の手触りを意識しているのが感じられるものになっている。
マップを移動していくときのテンポやスピード感、ゲージを溜めつつヒット&アウェイで戦う攻撃のリズムや距離感、リングコマンドがすいすいと軽快に展開する気持ち良い感触にその効果音……その他諸々を見ても、ゲーム部分の手触りはオリジナル版に忠実で、オリジナル版を思い出せるものになっている。
グラフィックスのところでも書いたが、演出面やグラフィックスこそはリメイクをして現代風の新しいものにしている本作だが、「聖剣伝説2」という作品のコアな部分は踏襲しよう、変えないようにしようという意識が感じられる。
あくまで今回プレイした短時間から推測するものになるが、本作はオリジナル版と比べて全く別物ということがなく、オリジナル版のプレイ体験をちゃんと味わえるものになってくれそうだ。これは、初めて「聖剣伝説」シリーズの作品に触れる人、オリジナル版からのファンの人、両方に嬉しいポイントになるはずだ。
一方で、オリジナル版よりも快適にプレイできるよう追加された機能や、変更している部分というのもある。
まず、画面右上に周辺マップを表示できるのだが、マップはドット画で表現されている。リメイクの画面のなかにちょっとだけではあるがオリジナル版がどんな画面だったかを見られるようになっていて、その違いを比較するのにも使えるユニークな要素だ。
「ダッシュ移動」は、オリジナル版よりも自由に方向を変えられるようになった。よりスムーズに移動できる。
「ショートカットコマンド機能」という、使用頻度の高いアイテム、武器、魔法をボタンに2つまで登録できる機能も搭載されている。例えば、回復アイテムや回復魔法を登録しておけば、ピンチのときにリングコマンドを開かずにすぐさま回復できる。
「オートセーブ」機能が搭載され、エリア切り替えのたびになど、かなり細かいタイミングでセーブされるようになっている。もちろんオリジナル版どおり宿屋での手動セーブも可能だ。「聖剣伝説2」では結構ふとしたタイミングで全滅してしまったりして、宿屋でセーブしたところまで大幅に戻されてしまった……なんていうことの起きやすいゲームだが、このオートセーブのおかげでリトライがかなり楽にできるようになっていた。
サウンド周りでは、オリジナル版「聖剣伝説2」のサウンドコンポーザーである菊田裕樹氏監修のもと、全編のアレンジ楽曲も収録されている。BGMは、「オリジナル」と「アレンジ」をいつでも切り替え可能。また、SE(効果音)はオリジナル版からリマスターしてクオリティを高めているという。
この日のプレイではまず最初はオリジナルのBGMでプレイしてオリジナル版「聖剣伝説2」のテイストを楽しんでから、アレンジ版へと切り替えてみたのだが、オリジナル楽曲に比べてアレンジBGMは使っている音色が大幅に増えるし、音の鳴らし方も立体的になるので、印象がガラッと変わってくる。特にボス戦のロックテイストなBGMはアレンジの効果が強く感じられる。
一方で、アレンジ楽曲は闇雲にオリジナルから別物に変えているという印象はなく、あくまでオリジナル版のテイストを大事にしているのも感じられた。この日に聴けた楽曲に限るのだが、まず音のクオリティや鳴らし方による立体感などを高めるという方向から、アプローチしているように思える。
新しい今風な表現になっているものの、コアなところはオリジナル版の良さを大事にしているのが感じられるアレンジ。この点は、グラフィックスやプレイの手触り同様に、本作に共通するキーワードだろう。
最後に3人同時プレイもしてみた。本作はPS4版とWindows版では人数分のコントローラーを使ってのオフラインでの最大3人同時プレイが、PS Vitaでは本体を持ち寄ってのアドホック通信による最大3人での同時プレイができる。
この日はPS4でプレイしていたので、DHUALSHOCK 4を3つ用意してもらい3人同時プレイを行なった。テレビを前に3人並んでわいわいと楽しむというスタイルであり、オリジナル版で楽しめた遊び方そのままに楽しめる。
画面内で3人それぞれが操作するランディ、プリム、ポポイが動きまわっているだけでもコミカルな賑やかさが出てくるし、「こっちに進みますか!」とか「回復魔法お願い!」など声をかけつつワイワイと楽しんでいける。その“誰かと一緒にわいわいと楽しむ”という魅力は言うまでもなく、プレイを楽しいものにしてくれる強い力だ。
この魅力もまたオリジナル版同様のもので、昨今ではこうした1画面での同時プレイが可能なゲームというのが少ないことから、オリジナル版で同時プレイを楽しんだ人からすれば懐かしく、初めて「聖剣伝説2」に触れるという人だと逆に新鮮な体験になりそうだ。
なお、今作では「マルチプレイ中に仲間の誰かが魔法を唱えている時でも、他のプレーヤーはストップせずに行動できるようになった」という変更がなされている。オリジナル版だと魔法の発動からエフェクト~ダメージなどの効果が出るまで、一連の流れの全てが完了するまでゲームスピードが停止していたが、それがなくなっている(リングコマンド展開中だけは停止する)。プレイの流れが止まることを減らした嬉しい改善だ。
短時間ではあるが、今回のリメイクが“どういう方向性やバランス感覚になっているのか”が確認できたプレイとなった。
各パートに書いてきたとおりそれは、“新しい今風な表現になっているが、原作のテイストを大切にしているもの”であり、こうしたリメイクでは得てして、「どこを変えるか、どこを変えないか」というバランス感覚が問われるが、今回プレイした限りでは「聖剣伝説2 SoM」は安心できるものになっている。
全面的なリメイクがされたことで、まさに今のクオリティで楽しめるようになっている「聖剣伝説2 SoM」だが、「聖剣伝説2」という作品が持つ味わい、特に、今よりもおおらかな時代にのびのびと発揮されたセンスとストーリーテーリングには、昨今の作品にはない“とっつきの良い暖かさ”がある。完成、そして発売を楽しみに待ちたい1本だ。
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