【特別企画】
アーケードゲーム「ドラゴンバスター」が稼働40周年! 華麗な剣技と魔法で敵を倒す、稀代の傑作アクションを振り返る
2025年1月24日 00:00
- 【ドラゴンバスター】
- 1985年1月 稼働開始
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)が1985年1月に発売したアーケードゲーム「ドラゴンバスター」が、2025年1月で稼働40周年を迎えた(※)。
本作は、主人公の剣士クロービスを操作して、剣と魔法(ファイヤーボール)で敵を倒していくアクションゲーム。操作は4方向レバーと2ボタンで、レバーはクロービスの移動およびジャンプに、ボタンは剣と魔法の発射ボタンに使用する。1周全12ラウンド構成で、全体マップの移動フェーズからゲームが始まり、プレイヤーはマップ上にある墓場、塔、鍾乳山などのステージを選ぶと本編がスタートする。
各ステージで、特定の部屋に入ると出現する「ルームガーダー」と呼ばれる強敵を倒し、出口から脱出すればステージクリアとなり、次のステージを選択する移動フェーズに戻る。出口のある部屋以外のルームガーダーを倒すと、スクロール(巻物)、薬、スーパーソード、シールドなど、さまざまなアイテムが出現する。各ラウンドの最終ステージに出現するドラゴンを倒せば、次のラウンドに進める。クロービスは、敵に触れたり攻撃を受けたりするとダメージを受けてバイタリティが減り、バイタリティがゼロになるとゲームオーバーになる。
以下、筆者が40年前に遊んでいた当時の記憶と体験を元に、本作ならではの面白さを改めて述べていこう。
※:本作の発売日は1985年2月の記録もあるが、ゲームマシン刊「アーケードTVゲームリスト」などには1月の記載があるため、本作を1月の発売として執筆させていただいた。
ファンタジックなビジュアルと爽快、恐怖感。すべてが絶大なインパクト
筆者が本作の存在を最初に知ったのは小学生の頃で、当時2、3か月に一度出掛けていたデパート内のゲームコーナーだった。正確な日時はまったく覚えていないが、何となく肌寒い季節だった記憶があるので、おそらく1985年の春休み期間中だったと思う。
この店に置いてあったビデオゲームはテーブル筐体が大半で、そのうち1台だけがモニターのサイズがひと回り大きく、目立つ場所に置いて毎回新作を稼働させていた。ある日、店に出掛けたら、今まで見たことがないゲームがそこで動いていたのでビックリした。
まず驚いたのが、今までに見たことがない、カッコよさと美しさを兼ね備えたビジュアル。主人公クロービスが剣を振ったときのカッコよさと、不気味かつカッコいいデザインの敵キャラが、次から次へと出現する。クロービスが敵を切ると「グシャッ!」というSEが流れ、血しぶきのような絵が表示される演出にも衝撃を受けた。
筆者が初プレイ時は、ドラゴンと戦う前にラウンド1の2番目、墓場ステージで終わってしまったと記憶しているが、特にルームガーダーが待つ部屋に入ったときの演出は強烈なインパクトがあった。移動中に軽快なBGMが流れていたかと思ったら、恐竜(ファフネル)やガイコツ剣士(スケルトン)などのルームガーダーが出現すると突然曲が変わり、なおかつシャッターで左右の出入口を塞がれ、ルームガーダーを倒すまで部屋から出られなくなってしまう。その底知れぬ恐怖感は、今なお忘れれることができない。
ファンタジックなビジュアル、敵を剣で切りまくる快感、スリル感とが相まって、まるで西洋のおとぎ話かアニメの主人公になったかのような気分にさせてくれる本作は、難しかったが筆者はすぐに虜になった。
各ラウンドの最後に待ち構える、ボスキャラにあたるドラゴンの巨体も凄まじい威圧感があった。
ドラゴンは口から炎を吐くだけでなく、首や手足を揺り動かしたり歩いたりしたかと思えば、時には飛び上がったり、尻尾を振り回したり、首を大きく突き出しながら飛び掛かったりするなど、ラウンドが進むにつれてさまざなま攻撃を繰り出す。当然ながら、ドラゴンの炎を浴びたり、体当たりを受けると大きなダメージを受けてしまうので、特に壁際に追い込まれたときの恐怖感はハンパなかった。
単独でも手強いのに、スネークなどのザコ敵が援軍として出現すると、さらに倒すのが難しくなる印象も受けた。慣れないうちはドラゴンを恐れるあまり、いつの間にか背後から接近してきたザコ敵に挟み撃ちをされてバイタリティーを一瞬にして奪われ、ラウンド1で何度もゲームオーバーにされてしまったものだ。
数々の迷路とアイテムの謎がついに解明! 攻略本のありがたみを初めて実感
あるとき、上手なお兄ちゃんが遊んでいるところを後ろから見ていたら、クロービスが変わった格好で剣を突き出し、ルームガーダーをいとも簡単に倒しているのでビックリした。
その特殊な攻撃の方法は、後に攻撃力が通常の2倍になる「兜割り」と「垂直切り」であったと知ることになるが、インストカードにも操作方法が書いていなかったので、自身で何度も適当に動かしながら覚えたと記憶している。
ラウンドが進むにつれて、各ステージのマップが複雑になり、出口(を守るルームガーダー)がどこにあるのか、なかなか見つからない。道に迷ってグズグズしていると、いわゆる「永パ防止キャラ」のケーブシャークが不気味なジングルとともに出現し、クロービスに噛みつくとバイタリティをどんどん奪い取る。初めてケーブシャークに遭遇し、あっという間に噛み殺されたときの恐怖体験も今なお忘れられない。
また本作には、ジャンプ中に再度レバーを上方向にタイミングよく入力すると、より高く飛べる「2段ジャンプ」が繰り出せる。一部のステージでは、出口にたどり着くためには斜め方向に2段ジャンプで飛び移るテクニック必須となるため、初めのうちは2段ジャンプのマスターにも苦労を強いられた。さらにはラウンド7のように、斜め2段ジャンプに失敗すると出口まで大きく遠回りを強いられるマップもある。けっして簡単ではなかったが、敵の攻略法だけでなく、難解なステージで出口を発見したときの嬉しさも格別で、冒険心を大いに掻き立てられた。
出口以外の場所に出現するルームガーダーを倒すと、必ずアイテムが出現する。その多くはジュエル(ボーナス得点)、またはファイヤーボールのストックが増えるスクロール(巻物)だが、たまに出現する青色の薬はバイタリティが回復する効果があり、発見するたびに涙が出るほど嬉しくなる。余談になるが、筆者が生まれて初めて「アイテム」という言葉を知ったのは本作がきっかけだった(※インストカードに「アイテムを取ろう!!」と書いてあった)。
出現するステージは極めて少ないが、ダメージを半分に軽減するシールドと、攻撃力が2倍になるスーパーソードも存在する。特に前者は、限られたお小遣いでしかプレイできない筆者にとっては、毎回ノドから手が出るほど欲しいアイテムだった。
筆者が本作の腕を劇的に向上させたきっかけは、1985年に電波新聞社が発行した「オールアバウトナムコ」であった。本書は、歴代のナムコのアーケードゲームの詳細な紹介、および攻略記事などが掲載されたもので、累計で30万部も発行する大人気を博した。
当初は本書のことをまったく知らなかったが、あるとき、筆者がいつものゲームコーナーでプレイしていたら「そこ、行き止まりだよ」と、本書のコピーを手にしていた見知らぬお兄ちゃんに声を掛けられた。「えっ?」と思いつつも先に進んだら、本当に行き止まりだったので驚かされた。マップの構造だけでなく「まさか、自分が遊んでいるゲームの画面写真が印刷された本があっただなんて!」と、本書の存在を教えてもらった衝撃と感動は、今でも鮮明に記憶している。
当時の筆者はゲーム専門誌を買う習慣も、そもそも専門誌があったことすら知らなかった。なので、本書を通じてゲームの攻略が進んだことや、アイテムやキャラクターの名称や特徴を知ることができたのも思い出深い。
本作は、ハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして、Nintendo SwitchとPS4向けに配信されている。1人プレイ専用のため、2人対戦プレイこそできないが(※2人プレイ時は交代しながら遊ぶ)今遊んでも面白い、掛け値なしの名作をぜひ体験していただきたい。
□Switch版「アーケードアーカイブス ドラゴンバスター」のストアページ
□PS4版「アーケードアーカイブス ドラゴンバスター」のストアページ
DRAGON BUSTE[TM]& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.