【特別企画】
ロジクール「G309 LIGHTSPEED」インプレッション
名機「G304」がついにフルモデルチェンジ。バッテリー無し駆動を実現
2024年7月19日 00:00
- 【G309 LIGHTSPEED】
- 2024年7月25日発売予定
- 価格:12,980円
ロジクールは、ゲーミングブランド「ロジクールG」より、ゲーミングマウス「G309 LIGHTSPEED」を7月25日に発売する。ブラック、ホワイトの2色展開、価格は12,980円。本稿では、リリースに先駆けて体験することができたのでインプレッションをお届けしたい。
ロジクールGでもっとも長い歴史を誇るコンパクトゲーミングマウスの最新モデル
ロジクールのゲーミングデバイス事業は、2011年頃から本格化し、2013年にゲーミングデバイスブランド「ロジクールG」を正式ローンチ。2018年に一度リニューアルを掛け、現在に到っている。主力カテゴリのひとつであるゲーミングマウスの中で、唯一、初期から現在までラインナップが継続されているのが「G30x」シリーズだ。
左右対称、コンパクト、小型軽量、乾電池駆動、高コスパなどをセールスポイントに、掴み持ち、つまみ持ち派に支持され、Shroudをはじめ、多くのプロゲーマーに愛されてきた。ゲーミングマウスとしては異例の長寿シリーズだけに、往年のゲーマーは、「俺はG300を使ってた」、「G302カッコ良かったよね」、「やっぱりG304でしょ」と、世代によってお気に入りのG30xが異なるはずだ。
筆者はどっしりかぶせ持ち派であるため、G30xシリーズとは比較的縁の薄いゲーマーだと思うが、それでも歴代のG30xシリーズは使ってきた。軽い、安い、性能が良い、使わない理由がない。日本で「League of Legends」(Riot Games)が大ブームとなり、MOBAマウスとして大ヒットを記録したG302/G303の頃は、「G302/303にあらずんばゲーミングマウスにあらず」的な勢いだったように記憶している。
2018年に登場した現行モデル「G304」は、自社開発のHEROセンサーに、高速ワイヤレス技術LIGHTSPEEDを搭載し、待望のワイヤレス化を果たしたモデルで、こちらも売れに売れた。ただ、まだゲーマーの間でワイヤレス接続に対する宗教的な抵抗感が残っている時代だったため、わざわざ有線モデルを「G203」として別シリーズで立て、なおかつ有線かつセンサー性能を強化した「PRO」も新設するなど、一時期はロジクールGのラインナップがG30xシリーズまみれになったこともあったぐらいだった。ともあれG30xシリーズは、G502と並ぶ中核的なシリーズといっていい。
今回紹介する「G309」は、そうしたG30x派にとっては忘れた頃にやってきた待望の後継機だ。左右対称、コンパクト、小型軽量といったアピールポイントはそのままに、新しいデザインにフルモデルチェンジしている。一昨年、同じくフルモデルチェンジしたG502Xが、“持ち味”はほぼそのままに、中身を進化させたのに比べると、G309は製品名を4から9に進化しているだけに、すべてを変えてきた、まさに別のマウスに仕上がっている。
触った瞬間に、全然別物だということに気付く。サイズ感、重量感こそ変わっていないが、グリップした感じがまったく違う。G304は、人差し指と中指をちょこんと乗せられるツルッとしたタマゴ型の表面に、両側面は下部に行けば行くほど鋭く内側に切れ込んでおり、ついついつまみ持ちをしたくなる芸術的なデザインをしていた。今握ってみても先鋭的で、このデザインこそが当時のゲーマーの心を掴んだのだなと思わせるし、手に持ったときの親指の腹と、薬指の側面にガチッとハマる感じがとても良い。
それに対してG309は、左右ボタンと充電池カバーの間にゲーミンググレードとしてはやや不可解なミゾが出来ており、一言で言えばロジクールGらしさが減退している。両側面もストンと垂直に落ちており、それでいてPRO X SUPERLIGHTにあるようなグリップ力を高めるくぼみも設定されていないため、G304感覚でつまみ持ちしようものなら、手が滑って吹っ飛んでいきそうだ。一方で、PRO SUPERLIGHTに近い安定感のあるデザインになったことで、かぶせ持ちしやすくなっている。“コンパクトなかぶせ持ちマウス”というのが、G309の最初の感想だ。
ボタンは左側面に2つ、中央にDPI変更ボタン、ホイールボタンとG304から変わっていない。背面にLIGHTSPEEDとBluetooth切り替えボタンが新設されたのが違いと言える。G502Xにあるような、ボタン切り替えによるフリースクロール機能やホイールの左右傾けによる左右スクロール機能もない。マウスとしては、PRO X SUPERLIGHTの系統となる。
PRO X SUPERLIGHT 2に迫る65.9g! 「POWERPLAY」駆動がいいぞ
そしてG304最大のアイデンティティといえる乾電池駆動はG309でも健在だ。後述するHERO 25Kセンサーの搭載で、省エネかつ高機能化を実現しており、単三乾電池1本で300時間の連続駆動を可能にしている。
気になる電池込み重量は、G304が99.3g(重量はすべて筆者調べ)に対して、G309は88.9gと、約10gほど軽くなっている。ロジクールGには、現在はPRO X SUPERLIGHT 2(59.7g)という徹底的に軽さにこだわったモデルが存在するため、最軽量とは言えないが、依然として小型軽量のマウスではある。
G309のおもしろさはここからだ。G309の新機能として、ゲーミングマウス無線充電システム「POWERPLAY」に対応。ロジクールのワイヤレスマウスとして初となるバッテリーも乾電池もなしでのマウス操作を実現している。
乾電池を抜いてPOWERPLAYユニットを装着した状態だと重量は65.9gまで軽量化され、PRO X SUPERLIGHT 2(ユニット搭載時で63.3g)に匹敵する軽さとなる。乾電池もバッテリーもなしで駆動するのは不思議な感じで、マウスパッドから外れると即停止するのが玉に瑕だが、やはり軽さは正義だ。
POWERPLAYは21,450円と、それ自体が高額であるため、このために購入するのはあまりオススメできないが、すでにPOWERPLAYを持っているゲーマーは活用する良い機会と言える。
なお、POWERPLAYは、小型のマウスパッドにしか対応しておらず、乾電池非搭載の状態で範囲から外れると即機能を停止してしまうのが弱点だ。軽量の旨味が消えてしまうが、乾電池を搭載した状態でPOWERPLAYを使うことも可能で、これなら片方いずれかが切れても駆動し続けることができる。
中身はG502 X同等。“コンパクトなハイエンド”として新定番になるか
最後に機能をまとめておこう。センサーはHERO 25Kセンサー、スイッチはLIGHTFORCEハイブリッドスイッチ、無線通信は第2世代LIGHTSPEED と、一気にG502 Xと同等まで引き上げられている。性能的にはすべての項目がG304からアップグレードされている印象だ。
その分だけ価格も12,980円と、G304の倍以上に引き上げられている。G304は5,720円、有線モデルG203の4,510円と比べると、ガツンと高くなったなというのが正直な感想だ。G304/203は、ゲーミングマウスの入門として最適で、なおかつその高性能さで、そのまま使い続けられる圧倒的なコスパが魅力だったが、G309はもはやエントリーとは言えず、G502 X、PRO Xらと直接比較対象に挙がるマウスだと思う。なお、G304、G203は、G309発売後も併売するということで、エントリーゲーミングマウスとしてのG304/G203の座は、G309リリース後も揺らがない。
正直G309のデザインについては賛否両論あると思う。ここまで読まれた方はおわかりだと思うが、筆者は率直に言ってG304のほうが良かったと思う。G309は全体のフォルムは悪くないと思うが、マウスボタンと乾電池カバーの間にあるミゾの部分が気に入らない。グリップ時のフィット感を下げ、メンテナンスの難度を上げてしまうばかりか、ロジクールGが培ってきたデザインの連続性、統一性にも反すると思う。なお、デザイン変更の理由は「コミュニティの意見を反映したもの」ということで、単に筆者の考え方が保守的に過ぎるだけかもしれない。
G309の魅力は、やはり最新テクノロジーを搭載したゲーミングマウスを、乾電池駆動で利用できるところだと思う。自身の怠慢を棚に上げて言えば、ロジクールGゲーミングマウスのウィークポイントは、充電スタンドが付属しないところだと思う。スタンドがないと毎日充電する習慣が付かないため、バッテリーが切れるアラートを見逃してそのままバッテリー切れを起こしてしまう。
この点、G309なら乾電池駆動であるため、バッテリーが切れれば乾電池を交換すればいいし、出先でも乾電池ならどこでも手に入る。この手軽さ、安心感はやはりいい。G304のようなゲーミンググレードの乾電池駆動マウスの最新版を探していた方には、候補の1つに挙げられる1台だろう。
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