レビュー
ゲーミングマウス「G502 X」レビュー
ついに光学式スイッチ採用! ゲーミングマウスのエースナンバーG502の集大成がここに
2022年11月23日 00:00
- 【ロジクールG G502 X】
- 開発元:Logitech
- 発売元:ロジクール
- 11月24日発売
- 価格:
- 10,890円(G502 X)
- 19,360円(G502 X LIGHTSPEED)
- 21,780円(G502 X PLUS)
ロジクールのゲーミングブランド「ロジクールG」は、マウス、キーボード、ヘッドセットの3カテゴリを主戦場に、あらゆるゲームシーンをサポートしてくれるゲーマー御用達ブランドだ。製品名はわかりやすい3桁の数字で呼び表され、ロジクールユーザーならその数字を見るだけで、それがどのカテゴリで、グレードで、世代なのかわかるようになっている。しかし、唯一、その法則に当てはまらず、常に同じ数字で売り出されるプロダクトが存在する。それがG502だ。
G502は、ゲーミングカテゴリのミドルグレードのマウスの2世代目という意味になるが、筆者が把握している限り、2015年に登場したG502 Proteus Coreからすでに4世代目を数えながら、製品名はG502のまま一度も変わっていない。下記のリストは筆者調べのものだが、ロジクール社内の分類だともっと細かくなるはずで、彼らは6世代、7世代に渡ってずっとG502を売り続けていることになるわけだ。
【G502シリーズの歴史】
G502 Proteus Core(初代) 2015
G502 Proteus Spectrum(RGBライト) 2017
G502 HERO(HEROセンサー) 2018
G502 LIGHTSPEED(ワイヤレス化) 2019
G502 HERO/LIGHTSPEED(HERO 25Kセンサー) 2020
G502 X 2022(NEW!)
まさにロジクールにおけるエースナンバーと言えるG502だが、ゲーミングマウスは、同社のフラッグシップとなるカテゴリだけに、それぞれのナンバーも一芸に秀でた名機揃いだ。参考までに筆者がわかる範囲内で1から9まで並べてみた。カッコ内は現行モデルとなる。
【ロジクールGゲーミングマウスのラインナップ】
G10x:エントリー(旧ブランドのG100s以降欠番)
G20x:RGBライト(G203)
G30x:MOBA(G304)
G40x:高速性(G403)
G50x:多機能(G502)
G60x:MMO(G604)
G70x:ワイヤレス(G705)
G80x:(欠番)
G90x:ハイエンド(G903)
こうして並べると、まるで「サイボーグ009」(石ノ森章太郎)のようにどのナンバーも一騎当千の強者たちが揃っている。G20xのRGBライトや、G70xのワイヤレスのように、現在ではそれが当たり前となり、元々のテーマが意味をなさなくなっているナンバーも存在するが、それぞれリブランドしながら現在まで生き残っている。
こうした中でG502がゲーミングマウスのエースナンバーとなった理由は何だろうか。それは間違いなくデザインと機能性、その2つが高度なレベルで両立していることだ。
大胆な左右非対象デザインを採用し、左右クリックは刺々しいクワガタのようなフォルム、至る所にボタンが配置されたメカメカ感、親指を包み込んでくれる優美なスカートと、インダストリアルデザインとして一級品としか言いようがない。
それでいて、機能も一級品だ。その時代最高のDPI/IPSを誇るトラッキングセンサーを採用しているだけでなく、左右クリックやスクロール以外に8つのプログラマブルなボタンを備え、そのうち1つは、押している間だけDPIを変えられる「DPIシフトボタン」、ホイールは通常のホイールボタンに加えて、左右の傾きもボタンとして機能するだけでなく、その手前のボタンを押すことで、2種類のスクロールが選択できるなど、G502ならではの特徴は枚挙に暇がない。
ロジクールは、この“多機能ゲーミングマウス”という初代G502で確立したブランドをずっと守り続けてきた。HEROセンサーやLIGHTSPEEDという最新機能は取り入れつつも、このデザインと機能性はずっと変えてこなかった。それがついに「G502 X」で変わるのだ。前置きがずいぶん長くなったが、傑作であることが宿命付けられた「G502 X」のレビューをたっぷりお届けしよう。
シリーズ集大成はあらゆる点がより使いやすく進化し、歴代最高に“軽い”G502に
本レビューでお伝えしたいのは2つだ。1つは、G502からの進化ポイント、もう1つは3つのG502 Xのそれぞれの差別化ポイントと魅力だ。
まず最大の特徴である本体デザインから見ていこう。G502 Xは見ての通り、G502シリーズ初のフルモデルチェンジを果たしている。前述したG502の独創的なデザインはそのままに、全体的により使いやすく、より操作しやすく改良が加えられている。
左右側面のラバーグリップは質感が向上してより握りやすくなったほか、左右クリックボタンの先端の突起はなくなり、使用中や持ち運び時に引っかからなくなった。8つのボタンは、すべてデザインが少しずつリニューアルされ、より使いやすくなった。最大のポイントであるDPIシフトボタンは、ボタン自体が着脱可能となり、外してフラットな状態で使用したり、ボタンを逆向きに装着してボタンまでの距離を変えたりといった選択肢が提供された。LEDは、Gロゴのみを光らせるのは止め、手のひら部のパーツの境目に大胆にLEDを内蔵し、キーボードやヘッドセットなど大型LEDを配置したプロダクトと同じように、光らせ方を細かく選択できるようになった。背面のソールはサイズ自体は過去モデルと同じながら、新開発の白色ソールが採用され、滑りやすさが増している、などなど。
そして唯一デザイン面で大きな変更となるのが、背面のウェイト収納ギミックが全廃されたことだ。G502は、開発当時のゲーミングマウス界のトレンドである“重いマウス”を実現するために、背面にウェイト収納部と、計18gのウェイトを標準装備していた。G502 Xでは、スカートの先端部分からガパりと開ける収納部はなくなり、当然ウェイトも付いていない。G502といえば、同時期に登場した姉妹モデルであるG302やG402と比較して重いマウスだったが、もはやその面影はない。
これらデザイン面の変更については、G502ユーザーのひとりとして非常に満足している。とりわけファンとして嬉しいのはG502が長年ゲーマーに愛されてきた基本フォルムはまったく変わっていないところだ。右クリックボタンは全体フォルムに即して緩やかなカーブを描いているのに対して、左クリックボタンはゆるやかなヘコみがあり、人差し指が左右のボタンやホイールにうっかり接触しないように自然と“ホームポジション”に収まるように工夫が凝らされている。それでいてその周囲に配置された各種ボタン、ホイール、グリップなどの使い勝手が向上しており、ロジクールとして、最新世代の機能性ゲーミングマウスとして、全ゲーマー層にアピールしながら、既存のG502ユーザーも満足させるという絶妙な落とし所を実現している。