【特別企画】
「君たちはどう生きるか」、迫力のレイアウト206点がジブリ美術館にて展示。5月25日より
宮崎吾朗氏「宮崎駿はパノラマボックスを作り続けている」
2024年5月24日 16:59
- 【「君たちはどう生きるか」展:第二部 レイアウト編】
- 5月25日~11月10日 開催予定
- 入場チケット:
- 1,000円(大人・大学生)
- 700円(中高生)
- 400円(小学生)
- 100円(幼児)
- ※入場は日時指定の予約制
三鷹の森ジブリ美術館は、企画展示「『君たちはどう生きるか』展」の第二部「レイアウト編」を5月25日より開催する。期間は11月10日まで。チケットは日時指定の予約制で、毎月10日発売。価格は大人・大学生が1,000円など。ローチケにて購入できる。
「『君たちはどう生きるか』展」は、2023年7月14日より公開されたスタジオジブリ映画「君たちはどう生きるか」の制作過程で生まれた絵などを展示する企画展。第二部「レイアウト編」では、各カットの、より詳細な設計図となるレイアウトが合計206点展示される。
レイアウトは、実際の作画の前段階に描かれるもの。画面の構成やカメラワーク、背景の空間構成、人物の配置や動きの概略などが、ここで設計される。光や影の処理などの細かい指示も含めた内容がここで決まり、レイアウトが完成してから初めて作画などの実際の作業に入っていく。
「君たちはどう生きるか」は1,250カットあり、カットすべてにレイアウトがある。今回の展示では、その中から206点を選定。企画と監修を行なったスタジオジブリの宮崎吾朗氏によれば、「絵として魅了があるもの。表情があって、絵っていいなと思えるもの」が選定の基準となったそうだ。
展示では、映画の各シーンのもととなった、貴重なレイアウトの数々を間近で見ることができる。レイアウトはすべて手描きであり、背景やキャラクターが鉛筆の繊細なタッチで表現されている。
手描きで表現されるキャラクターたちも見どころだが、個人的により迫力を感じたのは背景のレイアウトだ。映画では画面が移動しながら背景を映し出していくシーンがあるが、レイアウトでは全体を一度に見ることができる。冒頭で眞人が住むことになる屋敷などを例に取っても、森や岩、建物の描きこまれ方に見入ってしまう。
あくまで設計図であるとはいえ、この時点で1枚1枚が魅力的である。レイアウトでは完成形を見据えて徹底的に修正が入るため、宮﨑駿氏や作画監督が直接消したり、書き足したものも含まれているという。宮崎吾朗氏は、「何人もの筆跡があり、完成した素材にはない独特の迫力がある」と、その魅力を語った。
また展示の中には、第一部の展示に続いて、宮﨑駿氏が制作したパノラマボックスが設置されている。今回の作品名は「ワラワラ」で、中を覗くと数多くのワラワラが、楽しそうにしている様子を見ることができる。賑やかで楽しい作品となっているので、訪れた際はぜひ見たい展示だ。
なおパノラマボックスについては、宮﨑駿氏が「君たちはどう生きるか」完成後、ずっと作り続けていると宮崎吾朗氏が明かしてくれた。「自分の暇つぶしで作っている」と宮崎吾朗氏は茶化して言うが、パノラマボックスは今回の展示のために作ったものではなく、作っていたものを展示会に持ってきたのだという。
宮﨑駿氏は、ジブリの過去作のパノラマボックスを「ある場面やない場面をでっちあげながら」作っているそうだが、宮崎吾朗氏が「過去作ばかりだから次回作のやつも作ってよと言ったら、今、それを作っている」と言及した。
そのパノラマボックスは、「昔懐かしい冒険活劇風で期待している」としつつ、「(次回作があるとしたら)その通りはやってくれないだろうな」と確信してもいないことを明かした。次回作についてはどうなるかわからないが、パノラマボックスについては近々展示の機会があるかもしれない。「君たちはどう生きるか」の展示と合わせて、ぜひ期待したい。
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