【特別企画】

すべて宮崎駿氏直筆! ジブリ美術館「君たちはどう生きるか」展レポート

イメージボード56点の第1期が11月18日よりスタート。「絵を一点一点見る」展示に

【「君たちはどう生きるか」展】

イメージボード編:11月18日~2024年5月(予定)

レイアウト編:2024年5月~2024年11月(予定)

背景美術編:2024年11月~2025年5月(予定)

 三鷹の森ジブリ美術館は、企画展示「『君たちはどう生きるか』展」を11月18日より開催する。チケットは日時指定の予約制で、毎月10日発売。価格は大人・大学生が1,000円など。ローチケにて購入できる。

 「『君たちはどう生きるか』展」は、7月14日より公開されたスタジオジブリの映画「君たちはどう生きるか」の制作過程で生まれた絵などを展示する企画展。展示は3期構成で、第1部が「イメージボード編」(11月18日より)、第2部が「レイアウト編」(2024年5月より予定)、第3部が「背景美術編」(2024年11月より予定)となる。

 第1部となる「イメージボード編」では、宮崎駿氏の直筆となる作品のイメージボードが56点展示されている。映画ポスターにも使用されたサギ男や眞人の原画を始め、7人の老婆や大叔父のイメージ、さらには舞台となるサギ屋敷やワラワラの森など、印象的な各シーンの元となった絵をたっぷり見ることができる。

展示はすべて宮崎駿氏の手描きによるもの。あくまでイメージながら、この時点でかなり完成されていることがうかがえる。イメージが映画にそのまま活かされているものもあれば、異なるものあり、そうした違いを発見するのも楽しい

 開催前日となる11月17日には内覧会が実施され、その中で企画と監修を務めたスタジオジブリの宮崎吾朗氏は「絵を一点一点見てほしい」と語る。紙に直接描かれる手描きアニメーションが少なくなる中で、あえて絵そのものを展示することで、手書きの絵の豊かさと、その魅力を楽しんでほしいとした。

 展示はイメージボードの原画と簡単なキャプションに留まっており、それぞれについて特に解説はない。この意図については「まだ制作者本人たちにとっては生々しい記憶がある段階で、第三者がそれに対して説明をつけるのははばかられる」と宮崎氏が説明。そこで今回は絵そのものを前面に出すことにしたと述べた。なお事前に宮崎駿氏本人も会場を訪れ、「悪夢が蘇る……」と言いながら展示を見ていたそうだ。

企画と監修を務めたスタジオジブリの宮崎吾朗氏
きりこのイメージなど、中には紙が黄ばんでいるものもあるが、これはメインスタッフの席にずっと掲げられていたため。日光やタバコの煙にさらされていたための変色で、そうした時間の経過を感じられる点も見どころのひとつだという

 展示ではイメージボードのほかに、パノラマボックス「黄金の門」という作品も展示されている。こちらは作品内に登場する「黄金の門」の場面をパノラマボックス化したもので、中を覗き込むと、ペリカンの群れの中から黄金の門と眞人を見上げるような視点で見ることができる。

 絵は宮崎駿氏の描き下ろしで、手前から奥にかけて、段階的にイラストが配置されている。そのため覗き込むと奥行きを感じ、見た目以上の迫力がある。宮崎駿氏の新作としても注目なので、ぜひ現地で体験していただきたい。

パノラマボックス「黄金の門」。穴を覗き込んで見る展示だ

 なおジブリ美術館内にあるショップ「マンマユート」では、「君たちはどう生きるか」展の開催に合わせて「君たちはどう生きるか」の新作グッズが販売される予定。

 先行販売となるのが「サギ男」、「アオサギ」、「ワラワラ」のぬいぐるみ3種で、それぞれ価格が4,400円、5,060円、2,090円。「サギ男」は顔を出した後の姿、「アオサギ」はサギの状態でくちばしのなかにうっすら歯が見える姿となっている。「ワラワラ」は口が閉じていたり開いていたり、複数種類がある。

 またジブリ美術館オリジナル商品として、キャラクターを立体化したミニフィギュア「サギ男」と「七人の婆々」が販売される。価格はそれぞれ5,910円、25,850円。