【特別企画】
「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」のビジュアルは「鬼滅」「ワンピ」などを参考にしていた
日本大好きディレクターが裏話を語った発売記念イベントをレポート
2024年1月17日 14:17
- 【プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠】
- 1月18日 発売予定(1月15日よりアーリーアクセス)
- 価格︓6,600円
ユービーアイソフトは1月16日、「プリンス・オブ・ペルシャ」シリーズ最新作品「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」の発売記念イベントを開催した。
今回のイベントでは本作のゲームディレクターであるMounir Radi(ムーニル・ラディ)氏が登壇し、開発秘話や本作の注目ポイントなどを語るトークセッションやラディ氏による実際のゲームプレイを拝見する事ができる豪華な内容となっている。
さらにゲストとしてゲーム開発者兼芸人として幅広く活躍している野田クリスタル氏、よしもとゲーミングでプロゲーマーとしても活動している「裏切りマンキーコング」のにしざわ学園氏と風次氏の3名も登壇し、面白おかしくもゲーマーとして鋭い観点を交えたトークが繰り広げられる。加えてラディ氏自らが本作を華麗にプレイするコーナーも用意され、本作の魅力を存分に味わえるプログラムとなっていた。
最高難易度ボス戦に野田クリスタル氏たちが悶絶!
まず始めに本作「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」の紹介から今回のイベントはスタートした。
本記事でも軽くおさらいすると、本作は長い歴史を持つ「プリンス オブ ペルシャ」シリーズの最新作にしてシリーズとしては初となる「メトロイドヴァニア」系作品となっている。「プリンス オブ ペルシャ」らしい神秘的な世界観の中で、主人公「サルゴン」の爽快感の強いバトルアクションや「時間」に関連したギミックやシステムなどが強い独自性を生み出している。
攫われた「ガッサン王子」救出のために訪れた神聖なる地「カーフ山」を舞台に、多種多様な景色を見せるステージを隅々まで探索しながら、「カーフ山」に囚われ正気を無くした人々、人ならざる神話の怪物、そして時には「サルゴン」の仲間だったペルシャ最強の精鋭集団「不死隊」の他メンバーとも戦う事になりながら、過酷で不可思議な冒険が体験できるのだ。
なお弊誌では本作の詳細に関してレビュー記事を公開しているので、気になる人は合わせてチェックしてみて欲しい。
一通りのゲーム紹介が終わると、続いて本作のゲームディレクターMounir Radi氏(以下:ラディ氏)が最初に登壇し、本日のメインイベントとなるトークセッションが行われた。
ラディ氏に本作に関する幾つかの質問がされたのだが、トークの中心となったのは何故今作が「メトロイドヴァニア」系の作品になったのかという点だ。
タイトルごとにゲーム性がかなり変化している事が特徴のシリーズではあるが、本作ではその中であえて今までにない「メトロイドヴァニア」が選ばれている。ラディ氏はこの質問に対して、2Dアクションを作り続けて来たノウハウを存分に発揮できる点と、自身が体験した2Dスクロールアクションの元祖「プリンス オブ ペルシャ」の原点的な面白さを再び表現したかった事などの理由を語った。
実際「メトロイドヴァニア」として新生した本作はしっかり新しさを感じながらも、画面や操作感にどこか初代「プリンス オブ ペルシャ」の雰囲気を感じ取れるような懐かしさも同時に味わえるため、このエピソードは実に納得できる。
暫くゲームトークが行われたあと、本イベントのゲストとなる野田クリスタル氏、「裏切りマンキーコング」のにしざわ学園氏と風次氏の3名も登壇し、トークセッションはさらに盛り上がりを見せた。
ゲーマーとしても有名なお三方からはそれぞれ質問がラディ氏へと向けられ、本作に対する解像度をより鮮明にする事ができたので、今回はその質問内容も紹介しよう。
――開発中にゲームシステムなどでハプニングなどは発生しましたか?
ラディ氏:ガイドモードを追加しようとした際に、システム上ではゲームが進行する場所をゴールとして示し続ける事になりますが、その道中の謎解きやゴールで必要なアイテム・アクションを持っていない場合にゴールだけ表示され続ける問題が発生しました。。
攻略するためにダンジョンを探索する必要がある中でゴールだけ表示し続けるのは逆効果になるのではないかと試行錯誤しました。結果的にはプレーヤーがノイズに感じないUIに落とし込む事に成功してよかったです。
――プレイ中グラフィックがひたすら綺麗だなと感じたのですが参考にした資料などはありますか?
ラディ氏:当時の神秘的な「ペルシャ」風景を参考にした事は勿論ながら、「鬼滅の刃」「ONE PIECE」「僕のヒーローアカデミア」等の日本の少年漫画作品からもインスピレーションを受けている部分などもあります。
――アクション・謎解き・ゲームギミックなど全てやり応えが凄かったのですが、製作する中でこだわったポイントはどこですか?
ラディ氏:一番時間をかけた部分はバトル周りのシステムです。目指したゲーム体験はプレイしやすいのに深みのある戦いを可能とする事で、同時に、ダンジョンを進めば進むほどアクションや能力が追加されるところをゲームコンセプトとしました。その両方で、今までにできなかったコンボやゲーム体験を味わえるようなデザインを目指していました。
本作の場合だと入手できる能力がただアクションに役立つだけでなく、しっかり謎解きやダンジョンのギミックに役立つ形にしているので、そこの噛み合い部分を含めてこだわったポイントになっています。
一通りのトークセッションが終了すると次に登壇者達による実際のゲームプレイが始まった。挑戦するのは本作の最高難易度「不死隊」を適用したゲーム本編で登場する最初のボス「ジャハンダル」だ。
最初のボスとは思えない苛烈な攻撃の数々と、毒攻撃や本体と分離して遠距離攻撃を行う球体を繰り出すいやらしい絡め手も得意としており、しっかり相手の動きを見て上手くアクションを行わないと勝てない強さを秘めている。正に序盤に訪れる最初の壁、乗り越えられたら初心者卒業といったニュアンスのボスとなっているのだが、最高難易度となるとさらにその難しさは跳ね上がるだろう。
まず最初にプレイしてくれたのがゲームディレクターのラディ氏。ボス戦に到達するまでの道中の雑魚戦から洗練された華麗な動きを見せ、本作のアクションギミックを全て見せる位の勢いで様々な攻撃方法を披露してくれる。
そしてボス戦でもその強者っぷりは健在。立ち回りの上手さは言わずもがな、避けに徹する場面でも「チャクラム」と「受け流し(パリィ)」を駆使した連続遠距離攻撃アクションでダメージを与える、中盤戦以降に登場する本体とは別で攻撃してくる球体を爆速で破壊するなど、流石はゲームディレクターと感じてしまう程のスタイリッシュなゲームプレイが行われた。筆者も先行プレイで同じボスと戦っているはずなのにこんなアッサリ攻略できるのかと驚愕したほどだ。
続いてゲストお三方によるゲームプレイが開始する。ラディ氏の華麗なプレイに「絶対にプレイする順番逆でしょ!」と思わず言ってしまうほどだったが、攻撃する事よりも相手の攻撃を避ける事の方が大事、遠距離攻撃もしっかり使って破壊できるギミックは積極的に破壊した方が良いという真面目なアドバイスと、後は「運」も重要という冗談交じりのありがたいアドバイスを受けて挑戦していく事に。
最初に挑戦したのは風次氏。1戦目は開始早々「ジャハンダル」の猛攻を受けて敗北してしまう。如何にラディ氏のプレイが上手すぎたかを会場にいる全員が実感する事になったが、続く2戦目ではしっかり隙を突いた攻撃を行いつつ「受け流し」にも成功して絡め手が発生する第二フェイズへと進む事に成功。上手い具合に絡め手系の攻撃をいなして残り体力を半分にまで追い詰め、プロチーム「よしもとゲーミング」ストリーマー部門所属の意地を見せるが、あえなく敗北してしまった。
続いて挑戦したのはにしざわ学園氏。相方の雪辱を晴らすべく果敢に挑むが1戦目は風次氏と同じく序盤の猛攻でゲームオーバーになってしまう。お二人ともゲームの腕は確かなのだが、慣れていないと大方はこうなってしまうほどの難易度なのだ。
しかし続く2戦目では類まれなるゲームセンスを発揮し、隙を突いた攻撃は勿論ながら攻撃中に適度に「受け流し(パリィ)」を成功させてダメージを与えていくという高等テクニックも披露していく。1回目でゲーム性を掴んだのか遠距離攻撃によるギミック破壊や体力ギリギリでの回復など流石のプレイが続いたが、それでも一瞬の油断でゲームオーバーとなってしまった。「不死隊」難易度の「ジャハンダル」が強すぎるのである。
最後に挑戦したのは野田クリスタル氏。「裏切りマンキーコング」の二人のプレイを見た上でラディ氏より「ジャハンダルにボケは通用しない」というありがたすぎるアドバイスを受け挑戦する事に。
ボス戦前に遠距離武器の「弓」を使い切るといった男前すぎるプレイをしながらも、周りの声援(ヤジ)のおかげもあってか最初から第二フェイズへと移行する事に成功。しかし今まで誰も突破できてない後半の絡め手による猛攻が凄まじく、やはり敗北。続く2戦目は1戦目で善戦したからこその油断からか回復薬を飲み忘れて早々に敗北する形となってしまった。
お三方とも決してプレイが下手という事はなく、しっかり本作のアクションギミックを駆使できた上での敗北なため、ラディ氏も「一番上の難易度なのにアクションをフルスペックで活かして戦えていた事がまず素晴らしい」と賞賛の声を送っていた程だ。そんな彼らでも苦戦してしまうほど本作は歯ごたえのある作品となっているのだ。
ゲームプレイ後はトークセッションに登壇したゲストたちへの質疑応答が行われたので、その際に上がった興味深い内容を紹介していこう。
――実際にプレイしていて特に面白かったポイントはどこですか?
風次氏:アクション性がとても好きですね。俗に言う「死にゲー」おような側面を感じさせるような難易度ながら、アクションの爽快感が強い事でついつい沢山遊んでしまうような面白さがありました
にしざわ学園氏:謎解きが独特で、時に頓智が効いているようなギミックが多かったのが面白かったですね。
野田クリスタル氏:アクションゲームらしい心理戦が楽しかったです。三段目まで攻撃したいけどしたら反撃で死ぬ……でも三段目の攻撃をしてしまう! みたいな。自分たちが子供の頃に味わった感情が揺さぶられるような体験を本作でも味わえました
――「メトロイドヴァニア」作品として注意したポイントはありますか?
ラディ氏:「メトロイドヴァニア」は難易度が高く一部の上手なゲーマーしかクリアできないようなイメージを持たれがちですが、今作は初心者でも最後までしっかりクリアできるゲームバランスがしっかり成されているのが特徴です。
それでいて「メトロイドヴァニア」らしい爽快感とやり応え、高い難易度を味わえる作品になっています。「難しいけど頑張れば行けそう」「ゲームオーバーしたけどやめられない」といったゲーム体験を生み出す事に尽力しました
――今後のシリーズの展開としては「メトロイドヴァニア」が基本となる感じでしょうか? 他の路線も検討していますか?
ラディ氏:今作のプレーヤーのフィードバックを聞いた上で今後も「メトロイドヴァニア」で展開していくかどうかは決めていこうと思っています。いずれにしても今作で「プリンス オブ ペルシャ」シリーズが終わるという事はなく、大事なのはゲーマーのプレイ体験なので、そこを重視したゲームを今後も生み出していきたいと思っています。
――最後にラディさんより、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
ラディ氏:私は子供の頃から日本のアニメや文化を見て育ってきたので、日本が大好きです。さらに今作の開発チームにも日本が大好きな人達が沢山います。今作はそんな自分たちの日本への愛がインスピレーションに繋がって、作品のいたる所に反映されているような形になっています。是非日本のプレーヤーの皆さんにも遊んでいただければと思います。
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トークイベント後はペルシャ料理を頂きながら本作を自由にプレイできる時間となっており、筆者は体験版としてリリースされているNintendo Switch版をプレイしながら異国料理の数々を楽しませてもらった。
食レポは苦手なのでゲーム体験部分だけ語ると、Nintendo Switch版でもグラフィックの美しさはそのままであり、携帯モードでもアクション性や操作性には特に問題は無いよう感じた。体験版用に一部のアクションが序盤から解放されていて、本作のアクションをしっかり味わえるようなゲーム設定となっている。気になる人はぜひ体験版を一度遊んでみてはいかがだろうか。
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