【特別企画】
「ウィザードリィ #I」国内デビューから38年! 寝ても覚めてもダンジョンをさまよいレアアイテムを願ったあの興奮
2023年11月15日 00:00
5つの種族、8つのクラス、そして6種類のパラメータがキャラの自由度を向上
当時発売された書籍などを読み返すと、元々は“複数人で遊ぶテーブルトークRPGを何とかして1人でも楽しめないだろうか”というところが発端になっていたというのがわかる。そう考えたオリジナル版のスタッフであるロバート・ウッドヘッドとアンドリュー・グリーンバーグが産み出したのが、今回取り上げている「ウィザードリィ #I」だ。
テーブルトークRPGと違い、本作は探索と戦闘が中心になっていること、さらには相手がコンピュータであるが故にキャラクター個々の取れる行動に制限がある部分が大きな差である。しかし、それまではテーブルトークRPGでしか味わえなかった楽しみを本作に盛り込んだというのが、偉大なる点と言えるだろう。
そんな「ウィザードリィ #I」で最初にすべきことは、ダンジョンを探索・戦闘するためのキャラクターメイキングだ。パラメータ自体はSTRENGTH、I.Q、PIETY、VITALITY、AGILITY、LUCKの6つがあり、これに加えて名前や属性、種族、クラス、年齢の概念が用意されている。
まずは名前とパスワード(省略可能)を入力すると種族一覧が表示されるので、どのクラスに就かせるかを想像しながら選択。さらに、属性を“GOOD”、“NEUTRAL”、“EVIL”から選ぶと、種族ごとに決められたパラメータ一覧とともに、ボーナスポイントが表示される。これを各種パラメータに割り振っていくと、一定条件を満たすごとに就けるクラスが現れるので、それをチョイスすれば一人分のキャラメイクが終了だ。
これら組み合わせの自由度が非常に高いというのも、本作の大きな特徴だろう。例えばゲームでは、半ば常識的に「エルフはI.QやPIETYが高いからMAGEやPRIESTに」、「体力があるDWARFは戦士系で」となっているものの、その正反対でも何の問題もない(序盤に苦労するかもしれないが)。
さらには、属性ごとになれる・なれないクラスが存在するだけでなく、パーティを組む時に属性が“GOOD”と“EVIL”のキャラクターは(ちょっとしたことで回避可能ではあるが)同居できないという制限もあるのだ。
これら要素を踏まえると、キャラクターメイキングでの組み合わせ数は数え切れないほどになる。そこに、プレイヤー好みの名前を設定して育てていくのだから、愛着が湧かないわけがない。しかも、偶然にも高ボーナスポイントが出れば、基本職といわれるFIGHTER(戦士)、PRIEST(僧侶)、THIEF(盗賊)、MAGE(魔法使い)ではなく、上級職のSAMURAI(侍)やBISHOP(司教)、LORD(君主)をスタート時点のパーティに編成することも可能になるのだ。
こうしてパーティメンバーを揃えたら、装備を調えてダンジョンへと潜ることになる。ところが、最初に買える装備品はたかがしれてるだけでなく、かなりの金額を要求されてしまう。そのお店が城下町にある、RPG世界では一番有名かもしれない“ボルタックの取引所”だ。一部で“ぼったくり取引所”と呼ばれていたのは、当時の有名な話だろう。
作ったばかりのキャラクターにとっては、最低限の装備品すら高価だが、だからといってレベル1のキャラは簡単に死んでしまうので、なるべく良い装備で冒険に出してやりたい。その対策として、“キャラクターを大勢作る→パーティに入れてメインキャラに金を集める→用済みは消去!”を繰り返して所持金を増やしたプレイヤーは多いことだろう。かくいう筆者も、その一人だ。