【特別企画】
「R-TYPE」誕生から36年! その後のアーケードゲームに数多くの影響を与えた傑作を振り返る
2023年7月27日 00:00
- 【R-TYPE】
- 1987年7月 稼働
1987年7月にアーケードゲームとしてデビューし、今年で36周年を迎えたアイレムの「R-TYPE」は、それまでの作品ではあまり見られなかった新たなシステムや演出を取り入れ、後のタイトルに数々の影響を及ぼした傑作だ。本作以前のアイレム作品といえば、「ムーンパトロール」や「スパルタンX」、そして「ロードランナー」シリーズなどがあったが、どちらかというと少々地味目で、派手な印象はなかった感がある。
そんななかで登場した「R-TYPE」は、自機の前後に合体できる無敵(一部を除く)のフォース、溜め撃ちの波動砲、そして画面内に入りきらないほどの巨大な戦艦との戦いなど、それまでのアーケードゲームには見られなかった斬新さを引っさげてきたこともあり、非常に強烈な印象を当時のプレイヤーに与えた。
それでいて難易度も非常に高かったわけではなく(それなりには難しかったが)、1周目をクリアするのであれば何とかなる手応えだったということもあり、当時通っていたゲームセンターでは、稼働開始からしばらくは大勢のプレイヤーが筐体前に詰めかけたのを覚えている。ハイスコアを目指すわけではないものの、1コインクリアは達成したいと思った筆者は、しばらくは遠征していたハイスコアラーのプレイをギャラリーとして眺めつつ、攻略方法を脳内で構築していたものだ。
本稿では、そんな「R-TYPE」の36周年を記念し、本作の魅力を振り返っていく。
溜め撃ち・フォースなど斬新なパワーアップシステム!
この時代のアーケードゲームと言えば、インストラクションカードとデモ画面で得られる以上のストーリーなどは不明だったため、「R-TYPE」に関しては何やらおどろおどろしい敵を相手に戦っているのだな……ということくらいしかわからなかった。後に、ファンクラブの会報やシリーズ作品などの中で解説が行われたことで、ストーリーやバックグラウンドが明かされていくのだが、このときは翌年に発売されたX68000版のマニュアルに書かれていた物語で、その内容を軽く知った程度。ちなみに、そこには以下のように書かれていた。
“220X年、人類は神の暗黒を見た!! ”宇宙史に残る初の地球外生命との遭遇。宇宙歴220X年……数百光年の彼方の異次元空間“バイド帝国”。しかし人類がそこでみたものは憎悪と殺気がみなぎる異形生物だった。生存か絶滅か人類の存亡をかけていま、最強兵器フォースをひきつれ死闘は始まった!
プレイヤーは自機であるR-9を操作し、ショットボタンとフォース操作ボタンを使い全8ステージを戦い抜いていく。2周エンドで、16ステージをクリアするとゲームオーバーとなる。自機には、ショットボタンを押しっぱなしにすることでBEAMゲージがアップし、離した時点で溜めただけのエネルギーがショットとして放たれる“波動砲”が搭載されていた。いわゆる“溜め撃ち”攻撃だが、この当時は非常に斬新な攻撃方法で驚かされたものだ。“溜め撃ち”自体はすでに他のゲームで採用されていたものの、メジャーにしたのは間違いなく「R-TYPE」と言えるだろう。
また、この時代のアーケードゲームは連射装置が付いているということは稀で、プレイヤーが自らショットボタンを連打してプレイを進めていくという作品が多かった。1987年前半に登場した作品でも、カプコンの「1943」やナムコの「ドラゴンスピリット」、タイトーの「飛翔鮫」などが例として挙げられる。そんななかで、“連打をせずとも溜め撃ちすれば耐久力のある固い敵を倒せる”という波動砲は、非常に大きなインパクトをもたらしてくれた。
さらに驚かされたのが、ほぼ無敵の力を誇ったフォース。ボタンひとつで自機の前または後に合体や分離させることができ、一部を除いて敵弾を防ぎ耐久度の低い敵をも破壊するという、それまでは見なかったオプションの類いだった。「グラディウス」で有名になったオプションとは違って敵弾を消しまくれたり、敵に撃ち込んで弱点を攻撃するなど、それまでにはなかった用途があるというのに驚かされたものだ。しかも、自機はスピードアップと誘導ミサイルが撃てるようになる以外は強化されず、代わりにこのフォースがパワーアップしていくというのも、なかなかに新鮮さをもたらしてくれた。
これら以外のパワーアップとしては、画面内に出現するPOWアーマーを破壊すると出現する各種パワーユニットを回収することで行えるようになっている。出現する敵やステージを考慮して、どのパワーアップを選ぶかも攻略する上での重要なポイントだ。
多彩なステージと特徴あるボスが、プレイヤーを飽きさせない
前述の通り、用意されているのは8ステージで、いずれも特徴ある内容に仕上がっている。特筆すべきなのは、やはりステージ3の巨大戦艦面だろう。それまでも、巨大なボスキャラが登場していたことはあったが、1画面に収まりきれず、しかも1ステージを通して戦い続けるという仕様を採用したのは本作が初。最初に見た時には、スケールの大きさと巨体を利用した攻撃方法に本当に驚かされたものだ。同じ程度にインパクトを受けた演出は、今振り返ってもそう多くはなかったと思う。
また、ステージ7のラストではゴミが降ってくる中でボスと戦うという演出も、最初に見た時はなかなかに印象が強かった。安地(=安全地帯)を見つけるまでは、思った以上に緊張感のある戦いを強いられたが、それもまたチャレンジ精神をかき立ててくれた1要素だったと言える。
ステージも全体的に、生物的な面と機械的な面に分かれているのも特徴だ。個人的には、そこまでグロテスクな演出があるとは思っていないのだが、ステージ2のちょっとした気持ち悪さやボスのコアが開閉するエフェクトを見て当時は、なかなかに気合の入った気味悪さだなと感心していた。
今回は、そんな各ステージを紹介しつつ、この機会に「R-TYPE」をクリアしてみようという人の助けになるよう簡単な攻略法も記載してみた。ぜひ役立てて欲しい。
ステージ1
ステージ1は、崩壊したスペースコロニーが舞台。最初ということもあり難しくはなく、演出も控え目。ここで、波動砲の使い方などをマスターしておきたいところ。上下の壁に砲台が備え付けられていたり、通常弾30発分の耐久度を持つモビルスーツのようなスキャントといった敵が待ち構えている。こちらもさまざまなアイテムをゲットしてパワーアップし、先へと進んでいこう。
ステージ2
上下から敵・ガウバーが襲ってくるステージ2は、非常に不気味な印象を与える。オタマジャクシのようなウッキーや、花のように開いてゾイドを出してくるバルドルといった気味の悪い敵と戦っていかなければならない。両頭のヘビ・インスルーは不死身で、慣れるまではわかりづらい軌道で移動してくる。最後に待ち受けるのは、ボスのゴマンダーだ。
ステージ3
一画面に収まりきらない巨大戦艦と戦い続けるステージ3は、初めて見た時はそのスケールに度肝を抜かれるだろう。本作以降は、1ステージどころか1ゲームを通して同じ敵と戦うといった演出も見られるようになった。
この巨大戦艦に対して自機は、後方→下部→前方と順番に戦っていくこととなる。ステージ滞在時間はやや短いものの、最後は前方から回り込んでコアに近づく必要があるので、フォースの扱いに慣れていないと厳しい戦いになるかもしれない。
ステージ4
ステージ4では、胞子を出しながら移動する敵・スカルトロンが多数出現する。放置しておくと移動できる場所がドンドン狭くなってしまうので、早めの対処が肝心に。敵の攻撃が一瞬止んだと思って油断すると、前後からスカルトロンが出現するというシーンもあるので、少しでも気を抜くと即座にミスしてしまう。しかし、ボスのコンバイラーは簡単に倒せるので心配なし。
ステージ5
ステージ5に何匹も登場するヘビ状の敵はムーラ。ここはヤツラの巣窟になっているだけでなく、上下が見えづらいため非常に危険度が高い。ここも全体的に生物感が前面に出ているが、ムーラとボスのタコ以外は比較的機械的な印象なので、そこまで気持ち悪い感じはしない。が、ボスのベルメイトを守っている周囲のタコは、ウネウネと動いて気味悪し。
ステージ6
最初から最後まで、通路をドップが移動するステージ6。輸送通路と思しき場所を舞台に、何かを運んでいるようだ。ここは、完全にパターン化しておかないと厳しい場所なので、何度もプレイして動きを頭に叩き込もう。気味の悪い敵が出てこないのが救いか。
ステージ7
ロボットの廃棄場が舞台となるステージ7は、さまざまな場所から敵が同時に出現して攻撃を仕掛けてくる。さらに、一部の壁は爆発に当たり判定があるので、そこに触れてしまえば当然ミスに。非常にゴミゴミした印象を受けるが、襲ってくる敵の多さがさらにそのインパクトを強くしているのかもしれない。最後のシーンではゴミが降ってくるという、シューティングゲーム史上でもあまり見ないシチュエーションが待っている。
最終ステージは、バイド帝星。不気味な雰囲気の中、あちこちから出現するミックンと青い渦がR-9の行く手を阻む。最後までたどり着ければ最終ボスであるバイドが待っているのだが、肉の壁に守られて攻撃を思うように当てることができない。残された手段は、肉の壁が空いた瞬間に、これまで戦いを共にしてきたフォースを撃ち込むことのみ……。
今年も最新作が発売され、その人気は衰え知らず
その後のシューティングゲームに大きな影響を与えた「R-TYPE」の内容を、全ステージ攻略という形で紹介していった。この後「R-TYPE」の名前を冠するシリーズ作品としては、アーケードゲームとして「R-TYPE II」、「R-TYPE LEO」が登場したほか、コンソール機ではシューティングだけでなくシミュレーションゲームとしても発売されるなど、非常に高い人気を博していく。その盛り上がりは現代でも健在で、その熱はまだまだ冷めそうにない。
最新作としては現在、「R-TYPE FINAL3 EVOLVED」がプレイステーション 5用タイトルとして発売されているほか、プレイステーション 3用「R-TYPE DIMENSIONS」と、プレイステーション 4/Nintendo Switch/Steam/iOSでプレイ可能な「R-TYPE DIMENSIONS EX」には、今回取り上げた初代「R-TYPE」も収録されている。ここで解説したテクニックを試したくなった時だけでなく、現代シューティングゲームが盛り込んでいる要素の、いくつかの原点を体験したくなったという人は、ぜひ購入して遊んでみてほしい。
(C)1987 BY IREM CORP.
※上記は、当時のアーケード版に書かれていた権利表記です