【特別企画】
「ウィザードリィ #I」国内デビューから38年! 寝ても覚めてもダンジョンをさまよいレアアイテムを願ったあの興奮
2023年11月15日 00:00
モノクロのシンプルな3Dダンジョン。そこに“自分だけの迷宮”を描いて日々戦う
城から地下へと足を踏み入れれば、そこはもうモンスターの徘徊するダンジョン。特にゲーム開始直後からレベル5前後までは、敵の一撃でも簡単に死んでしまうことが多い。ゲームをクリアしようという意気込みでプレイを始めたのであれば、既にキャラクターメイキングで相当な時間を使っているはずなので、名前を付けたキャラクターたちには大いに愛着が湧いているはず。そのため、始まってすぐの地下1階といえども死んでしまったら悲しいどころの話ではなくなるが、どうしても避けられない“死”がやってくることもある。
「ウィザードリィ #I」には、死の概念は3段階で用意されていた。キャラクターのHPが0になるとDEAD(死亡)だが、この状態であれば城下町にある“カント寺院”にて、幾ばくかの寄付を行うことで蘇生する可能性がある。または、PRIESTの各種蘇生呪文を唱えても生き返るかもしれない。
しかし、これに失敗してしまうと、死体はASH(灰)になってしまうのだ。かろうじて魂は残っているため、寺院に莫大な金額を払うかPRIESTの高位蘇生魔法を使えば、もしかすると確率は低いものの復活の望みはある。
だが、ここでも失敗すればキャラクターはLOST(喪失)となり、フロッピーディスクから消去されて永遠に消えてしまう。多大なる時間をかけてキャラメイクし、必死になって育てたキャラクターに二度と会えない……そんなことになれば、誰しもが落胆する。
だからこそ、ゲーム中にはパーティの誰もが死なないよう過剰なまでに気を配り、時には素早くリセットボタンを押して死の世界からキャラクターたちを舞い戻らせるのだ。これこそが「ウィザードリィ」プレイヤーの、共通の経験ではないだろうか(笑)。
そして、ダンジョンではもう一つ目指すものがある。飽くなきまでのレベルアップと、ゲーム中に登場するアイテムのコンプリートだ。
「ウィザードリィ #I」のレベルは、いくらでも上昇する。限界を超えればバグが発生してしまうが、そこに至るまでの道のりは果てしなく遠いし、そして挑戦しがいがあった。序盤を乗り越えたパーティはマーフィーズゴーストで経験値を稼ぎ、次は地下2階のクリーピングコインを養殖し、地下4階のコントロールセンターを幾度となく襲い中堅クラスの敵を倒して経験値をものにしていく。
こうしてレベル13を越えたら、向かうは地下10階。7区画に分かれており、1区画ごとに部屋が1つ存在する。入るには扉を開けなければならないため、次の瞬間には必ずモンスターとエンカウントするようになっているのだが、出現するのは強敵ばかりだ。
そんな場所ではあるが、多少なりともレベルが上がったパーティであれば、グレーターデーモンと遭遇できれば超ラッキーといえるだろう。この敵は通常攻撃と全体攻撃呪文を詠唱する他に、麻痺や毒攻撃、さらには無限に仲間を呼ぶという行動を取る。普段通りに戦えば、全体攻撃魔法を使われ大ダメージを受けてしまうため手強い相手なのだが、出現した全グレーターデーモンの呪文をMONTINOなどで封じることができれば、なぜか後から呼んだ仲間まで魔法を使うことができなくなっているのだ。こうなればしめたもので、増えた分だけ倒し続けることで経験値が稼ぎ放題になる。これが、俗に言う“グレーターデーモンの養殖”だ。ただし、麻痺攻撃を喰らい麻痺状態のまま戦闘を終了してしまうと、経験値が入らなくて泣くハメになるので注意しよう。
そんな「ウィザードリィ #I」の戦闘システムは、ターン式のコマンドバトル。戦うならF、呪文を唱えるならSを押して魔法の名前を入力するという感じで、全員がコマンドを入力し終えると敵味方が素早い順に行動を起こしていく。
後に発売されたコンソール機版では、十字キーや方向キーとボタンという操作形態に合わせて、魔法を使う際には呪文を打ち込むのではなく選択する方式に変わった。しかし、マニュアルに「それぞれの呪文には、その呪文が何であるかを示し、使うときに必要で入力しなければならない『力ある言葉』があります。(中略)魔術師、僧侶を始めとして、魔法を使えるキャラクタはこれらの呪文を完全に身に付けるよう日頃の習練を怠ってはいけません」とあるように、呪文は文字を入力することで効果を発揮する旨が書かれているのだ。
もちろんフィクションではあるものの、「ウィザードリィ」の世界に入り浸るのであれば、やはり呪文はキーボードから入力してこそ。その動作が「呪文を詠唱している」ということであり、脳内で展開される戦闘シーンもリアルに盛り上がるというものだ。