【特別企画】

いよいよ「刀鍛冶の里編」始動! 今こそ復習しておきたい、アニメ「鬼滅の刃」のこれまで

煉獄さんに堕姫&妓夫太郎、「遊郭編」までの見どころを一気に振り返り!

【「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ】

2月3日より公開予定

 アニメ「鬼滅の刃」最新シリーズが、いよいよ再始動する。その皮切りとなるのが、2月3日より劇場上映される「『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」だ。

 「『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」では、昨年放送された「遊郭編」の第十話と第十一話と合わせて、「刀鍛冶の里編」第一話が4月予定のテレビ放送に先駆けて上映される。「刀鍛冶の里編」第一話は1時間になると予告されており、単純計算でTV放送枠2時間分の上映時間になると思われる。

 そこで本稿では、これまでのアニメ「鬼滅の刃」を振り返りつつ、「刀鍛冶の里編」への展望と期待を書いていきたい。アニメシリーズスタートとなる「竈門炭治郎 立志編」の初放送開始が2019年4月と、実に4年ほどの月日が経過している。改めて、その魅力に迫っていきたい。

「『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」
【テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 第1弾PV】

「刀鍛冶の里編」から戦いがさらに壮絶さを増す!

 上でも少し触れた通り、アニメ「鬼滅の刃」はすでに4年以上が過ぎようとしている壮大なプロジェクトになっている。原作が完結しているとはいえ、「遊郭編」は折り返し地点手前といったところ。まだ未登場のキャラクターの登場も控えているなど、まだまだ多くのファンを楽しませてくれるだろう。

 これまでのアニメ「鬼滅の刃」を時系列でまとめると、「竈門炭治郎 立志編」(全26話)のTV初放送が2019年4月。その続編は映画化され、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」として2020年10月に公開された。映画の興行収入は400億円を超え、日本歴代1位となっていることからも、その人気の凄まじさがよくわかる。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」

 「無限列車編」は、煉獄杏寿郎のオリジナルエピソードを加えたTVアニメシリーズとして再編成(全7話)されて2021年10月より放送。これに続く形で、2021年12月より「遊郭編」(全11話)が放送された。「遊郭編」の放送は2022年2月に終了し、約1年の期間を経て、映画館で「刀鍛冶の里編」がいよいよお披露目される……という流れだ。

 現在に至るまでの世の中の「鬼滅」ブームは、やはりこれらのアニメの力は大きいかと思う。もちろん原作の人気も高いのだが、そこから一気に火をつけたのは、原作のストーリーやテンポを丁寧に再構成したアニメ「鬼滅の刃」がスタートしてからだろう。特に戦闘シーンでは、アニメならではの迫力と躍動感が爆発し、そこに織り交ざるようにして、ときに笑い、ときに泣けるエピソードが切れ間なく入ってくる。そうした構成を見事に仕上げる、キャラクターたちを深く掘り下げた、声優たちの確かな演技力もアニメならでは魅力と言えるだろう。

 「刀鍛冶の里編」では、メインビジュアルに時透無一郎と甘露寺蜜璃が大きくフィーチャーされているように、2人の“柱”の活躍が待ち受けている。炭治郎たちは上弦の鬼の1人を撃破したとは言え、実力的には柱の方が断然上(その柱の宇髄天元も戦闘で満身創痍となった)。炭治郎たちがどう時透無一郎と甘露寺蜜璃と絡み、また協力しあっていくのか。そして未知なる上弦の鬼とはどんな相手なのか。最速なら、2月3日にその一端が伺い知れることと思う。

「刀鍛冶の里編」メインビジュアル

名シーン振り返り! 押さえておきたいポイントは?

 では「刀鍛冶の里編」に至るまで、炭治郎はどのような戦いを繰り広げてきたのだろうか。簡単にではあるが、今一度その歩みを振り返っておきたい。

名台詞続々! 注合会議もある「竈門炭治郎 立志編」

 まず「竈門炭治郎 立志編」で描かれたのは、竈門炭治郎がいかにして鬼との戦いに巻き込まれ、鬼に対抗する組織「鬼殺隊」の一員として活躍していくかだ。家族7人で穏やかに暮らしていた風景が、鬼によって皆殺しにされるという相当ショッキングな冒頭から、唯一息があるが鬼となった禰豆子、水柱・冨岡義勇との出会い、そして師匠となる鱗滝左近次との訓練など、一気にエピソードが進んでいく。

 「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」(冨岡義勇)、「判断が遅い」(鱗滝左近次)などの名台詞もすでにここから登場する。最初は土下座で命乞いをするしかなかった炭治郎が、大人や先輩からの真正面の説教を喰らいながら、人一倍の(常軌を逸した)勤勉さで徐々に実力をつけていく。ちなみに冨岡義勇の声優は櫻井孝宏さん、鱗滝左近次の声優は大塚芳忠さんが務めている。名台詞の数々をプロの声優のMAXの演技で堪能できるのはやはりアニメならではだ。

主人公の竈門炭治郎
鬼になってしまう炭治郎の妹、竈門禰豆子
水柱・冨岡義勇(画像は鬼滅対戦アクション「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」より)
鱗滝左近次(画像は鬼滅対戦アクション「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」より)

 そして鬼殺隊になるための最終選別とその突破以降は、命がけの鬼との戦いが続く。人をもてあそぶように屠り、どこまでも憎らしい鬼にも「人としての悲しい過去」があり、そこに炭治郎が丁寧に寄り添っていくシーンが登場するのもこの最終選別から。倒さなければならない憎き鬼、でもそれだけではない根底に流れる物悲しさが「鬼滅の刃」独特のトーンを形作っている。

 道中では雷の呼吸を扱う我妻善逸や、獣の呼吸を使う嘴平伊之助が仲間となり、特に3人組になってからはドタバタとしたギャグ要素も多く入るようになる。善逸はネガティブすぎてうるさいし、伊之助は行動も性格も猪突猛進すぎて別の意味でうるさい。炭治郎が怒るともっとうるさいという感じで、3人が行動をともにするようになってからの掛け合いは見どころのひとつだろう。

 個人的には、下野紘さんの名演技も相まって、善逸があまりに騒いでいる(特に第十四話)ので視聴中は「このアニメ大丈夫だろうか……?」と本気で心配したこともあった。が、怖がったり喜んだり、ある意味では感情を隠さない素直なキャラクターであり、本来の実力との深刻なギャップという点で非常に笑わせていただいた。そして、このドタバタを経て、クライマックスである那田蜘蛛山の戦いへと突入していく。

 那田蜘蛛山の戦いの熱さは実際に見ていただくとして、「刀鍛冶の里編」への復習としては二十二話と二十三話の「柱合会議」は必見だろう。ここでは鬼殺隊の柱が集結し、もちろん時透無一郎と甘露寺蜜璃も登場する。時透無一郎は話半分で飛んでいる鳥のことを考えているかと思えば、お館様・産屋敷耀哉の話を「さえぎるな」と炭治郎に喝を入れたりする。一方の甘露寺蜜璃は周りの柱をずっと「かっこいい」と言っていて、優しそうだが緊張感はそれほどない。ほかの柱も曲者だらけで、その底知れない感じが次の展開への期待につながる場面になっている。時透無一郎を演じる河西健吾さん、甘露寺蜜璃を演じる花澤香菜さんの演技が少しではあるが見られるので、この機会に再度チェックしておいて損はないだろう。

我妻善逸
嘴平伊之助

炎柱・煉獄杏寿郎の活躍が満載「無限列車編」

 続く「無限列車編」では、何と言っても炎柱・煉獄杏寿郎の活躍に尽きる。映画版の興行収入400億円になぞらえて「400億円の男」とも言われたことが記憶に新しいが、「無限列車編」の中心人物は間違いなく煉獄杏寿郎であり、クライマックスの上弦の参「猗窩座」との戦いはシリーズ屈指の名シーンである。

 あまり内容を書くと野暮なので多くは語らないが、「無限列車編」の最初から終わりまで、煉獄杏寿郎の一挙手一投足には目を皿にしてご注目いただきたい。

TVアニメ版の予告動画に使用されていた「無限列車編」のビジュアル

 一点だけ書くとすれば、TV放映版では第一話にオリジナルエピソードが盛り込まれている点が注目だ。この第一話では、鬼殺隊本部を立ち、無限列車に乗り込むまでの空白期間が描かれている。このエピソードでは、決戦前ではあるものの、煉獄杏寿郎のどちらかというと普段の任務での立ち居振る舞いが感じられるような趣がある。

 あまりに美味しそうな蕎麦をあまりに美味しそうに食べる煉獄さんが冒頭に登場したり、揺るぎない煉獄さんと鬼との対決だったり、過去と現在の“炎柱”がつながるシーンだったり、この1話のなかに煉獄杏寿郎の良さが存分に詰め込まれている。こちらも必見のエピソードだ。

TVアニメ「鬼滅の刃」無限列車編 第一話「炎柱・煉獄杏寿郎」より

クライマックスは2つある! 「遊郭編」

 さて、「無限列車編」での戦いが終わり、その傷も完全に癒えぬうちに次の任務が始まる。それが遊郭を舞台とした「遊郭編」だ。

 「遊郭編」での見どころも数多くある。ひとつは炭治郎、善逸、伊之助の3人組の女装姿だったり、音柱・宇髄天元に嫁が3人いることを聞いた善逸が激昂したり(うるさい)、特に序盤はギャグたっぷりで進んでいく。そこから遊郭に潜む異変が徐々に明らかになっていき、ついに上弦の陸・堕姫との戦闘が始まる。

音柱・宇髄天元
堕姫

 そこからシーズンの半分ほどを用いて描かれる堕姫、そして兄の妓夫太郎との戦いは、ド派手というにはあまりある迫力で、渾身の戦闘シーンが連続していく。片手が潰れ、体を切られて血まみれになる炭治郎、背中から鎌で一突きにされる伊之助、毒が進行し、片腕を切られる宇髄天元など、戦闘が進むたびに命が削れていくのがわかる。特にクライマックスの第十話と第十一話は過去シリーズに輪をかけて迫力が増しており、宇髄天元と妓夫太郎の決戦は思わずグッと体に力が入ってしまう。

妓夫太郎
宇髄天元と妓夫太郎の戦闘シーンはその密度がものすごい

 そして、決戦後の堕姫と妓夫太郎。この2人の関係は炭治郎と禰豆子の兄妹との対比となっており、だからこそ炭治郎は心を寄せる。堕姫は艶めかしくも恐ろしい鬼であるが、一方で兄を頼りっぱなしのわがままで無邪気な妹という側面もある。堕姫を演じた沢城みゆきさんはその振り幅を見事に演じており、特に堕姫の喚き泣くシーンなどに堕姫らしさが結集していると感じる。

 また妓夫太郎を演じた逢坂良太さんも凄みがある。妬ましさ全開のねっとりとした表現はまさに妓夫太郎だが、第十一話で妓夫太郎自身が明かす堕姫との過去と、唯一の“心残り”の吐露、そしてその後の一連のシーンは涙なくしては見られない。堕姫と妓夫太郎の素晴らしい演技、こここそが「遊郭編」最大のクライマックスと言える。「刀鍛冶の里編」は、この戦いの後から幕を開けることとなる。

 それにしても、こうして改めてアニメ「鬼滅の刃」を振り返ってみても、ここまでハードルが上がりきった状態で期待されているアニメはそうそうはないだろう。2月3日にお披露目される「刀鍛冶の里編」第一話ではどこまでエピソードが進むかはわからないが、当日は「鬼滅」ファンの大きな話題の中心となることは間違いない。まずは2月3日の上映、そして4月に待つTV放映を楽しみに待ちたい。

堕姫と妓夫太郎の思いが語られるシーンはどこまでも泣かせる