【特別企画】

アーケードゲームのサウンドと子供達の笑い声が聞こえてくる懐かしいレトロゲーセンが羽生市の街中に出現。無料開放イベント「ゲームセンターBEEP」をレポート

【第2回「ゲームセンターBEEP」】

12月10日〜11日開催

会場:MD Library

入場無料

 三月うさぎの森が運営するレトロゲーム専門店「BEEP(ビープ)」は、12月10日・11日の2日間にわたり、無料開放イベント「ゲームセンターBEEP」を開催した。

 今年9月に行なわれた同イベントの第2回となる今回も、BEEPのお膝元である埼玉県羽生市のレンタルスペースを会場とし、同社所蔵のアーケードゲームを無料開放。主に地元より訪れた来場者がゲームプレイを楽しんでいた。

「ゲームセンターBEEP」会場。懐かしいアーケードゲームを全て無料開放するイベントだ

 「ゲームセンターBEEP」の会場となったのは、前回と同じ埼玉県羽生市の「MD Library」。かつて洋品店だった建物をリノベーションした図書室の機能を持つレンタルスペースで、普段はイベントやワークスペース、教室などとして使われている。店外の幌のひさしが昭和を感じさせる雰囲気で、このイベントのために店頭に置かれた「ピカデリーサーカス」や「ジャンケンマンフィーバー」などのゲーム音が聞こえてくる様子は、何十年前の町の駄菓子屋にタイムスリップしたような気分になる。

会場となった羽生市の「MD Library」。前回と同じ会場となる
ルーレットゲーム「ピカデリーサーカス」(左)などが店頭に置かれていた。当日はメダルが用意され、無料で遊べた

 会場内にはアーケードゲームが11台、エレメカが4台、ピンボールが2台設置され、全て無料でプレイすることができた。アーケードゲームはアストロシティやエアロシティといった'90年代の汎用筐体の他に、'80年代以前の懐かしいテーブル筐体があるのもポイントだ。

会場内にはアーケードゲームが並ぶ。もちろん全てフリープレイだ
近年はほとんど見られなくなったテーブル筐体。場内のライトの反射を防ぐシェードも用意

 ちなみにこのテーブル筐体のうち2台は、アミューズメント機器などを手がける徳力精工が販売予定のレトロ調テーブル筐体「TAKUYA(タクヤ)」の試作品で、この会場でロケテストをやっていたのだそう。最初に見たときは隣にある当時モノの筐体と変わらない印象だったのだが、よく見ると画面が液晶モニターで、本体はクラシカルな風合いはあるもののとても綺麗だ。内部にはアーケード基板用のJAMMAハーネスの他にHDMI端子もあり、家庭用ゲームにも対応する筐体として現在開発が進められているそうだ。

徳力精工が開発中の汎用筐体「TAKUYA」。木目調のレトロな外観を持ちながら、高さの調整や家庭用ゲームへの対応など、機能的にも考えられている
内蔵の19インチ液晶モニターは、天板を開けることで簡単に回転ができる仕様。画面比率は4:3と昔のゲームに特化している

 プレイできたゲームは古めのタイトルが多いものの、ジャンルはバラエティに富んでいる。シューティング、アクション、パズル、対戦格闘など様々だが、来場した子供達の反応があまりよくなかったものは別のゲームに入れ替えていたそうだ。当日13時過ぎにプレイできたタイトルは以下の通り。

アーケードゲーム

「ストリートファイターIIダッシュターボ」(カプコン)
「はちゃめちゃファイター」(NMK)
「デススマイルズ」(ケイブ)
「ぷよぷよ通」(セガ)
「コットン」(セガ)
「ペンギンブラザーズ」(サブシノ)
「ファンタジーゾーン」(セガ)
「テトリス」(セガ)
「メタルスラッグ」(SNK)
「クォース」(コナミ)
「機動戦士SDガンダム サイコサラマンダーの脅威」(バンプレスト)

ピンボール

「スーパーマリオブラザーズ」(ゴットリーブ)
「ビッグショット」(ゴットリーブ)

エレメカ

「ピカデリーサーカス」(レジャック)
「ジャンケンマンフィーバー」(サンワイズ)
「ドラえもんのスロット」(サンソフト)
「ロックンロール」(こまや)

ガチャプレイでも対戦が成立する「ストリートファイターIIダッシュターボ」。写真の2人のお子さんは、技が決まるとケラケラと笑っているのが微笑ましかった
「ぷよぷよ通」も同じように友達や兄弟などので来た人達の対戦ツールとして人気
比較的最近の2007年にリリースされた難易度高めのシューティング「デススマイルズ」(右)だが、果敢に挑戦する少年の姿も。左は「はちゃめちゃファイター」
用意された踏み台にのってピンボールをプレイする子供達。皆初めて遊んだとのこと
弾いた球がレールの上を回った回数で当たりを狙うエレメカ「ロックンロール」。当たると景品がもらえたそうだがかなり難しく、筆者が見ている間は誰も成功していなかった

 当日取材に対応していただいたBEEPの丸山満氏の話によれば、前回と今回の開催で「ゼビウス」や「1942」、「R-TYPE」などのヒットタイトルは、リアルタイム世代のゲーマーには遊ばれるものの、当日の主な来場者の子供達の反応は今一つだったとのこと。

 一方で「テトリス」や「ぷよぷよ通」、「ストリートファイターIIダッシュターボ」などは常に誰かが遊んでいる不偏のタイトルだったが、不思議と人気が集まっていたのが台湾のサブシノというメーカーの「ペンギンブラザーズ」で、いわゆる固定画面のステージクリア型のアクションゲームなのだが、常に子供達が遊んでいる状態が続いていて、丸山氏も不思議がっていたが、面白いものは時代や知名度に関係なく面白いということも実感したという。

 ちなみに翌日の営業時も、いくつかを別のタイトルに入れ替えたそうだ。

「羽生の子供達には人気があるの!?」と関係者に不思議がられていた「ペンギンブラザーズ」
ゲーム機は古いものなので調子が悪くなることもあったが、丸山氏をはじめとするスタッフがすぐにメンテナンスをしていた

 今回のイベントは地域活性化に加えて、来場者の子供達にレトロゲームに興味を持ってもらうことが目的だと丸山氏は語る。将来的にはBEEPのお膝元であるこの羽生市にレトロゲームの博物館を作りたいという大きな目標もあるという。

 また、このイベントには羽生市も協力的で、市のLINEアカウントで告知されるなどして、それを見て来場したという親子連れも多かった。他にも前回に続いて来たという近所の人や、通りすがりに面白そうだから入ってみたという友達同士のグループなど、来場者のほとんどが地元の人であった。場内はゲームのサウンドと子供達の声が常に聞こえていて、遊んでいると無料で振る舞われた駄菓子の匂いが漂ってくるなど、最近ではあまりない懐かしいシチュエーションを味わうことができた。

会場のテーブルに置かれたお菓子は食べ放題だ
ファミコンやスーパーファミコン、ゲームボーイなどが用意された第2会場。「スーパーマリオ」シリーズの稼働率が高かったのはさすがだ
なんとX68000もプレイすることができた。そのかたわらに任天堂のゲーム&ウオッチ「ドンキーコング」があるギャップも楽しい
会場の裏手ではコラボした団体によるバザーやワークショップも開かれ、周囲の店舗を回るスタンプラリーも行なわれた

 「ゲームセンターBEEP」は今後3カ月程度に1回の開催を予定していて、次回は2023年春頃になる予定だとか。単純にゲームを遊ぶだけでなく、子供達がワイワイ騒ぎながらアーケードゲームを楽しむノスタルジックな空間を体感できるので、機会があればぜひ遊びに行ってみてほしい。