【特別企画】
ついにやって来た「遊戯王マスターデュエル」制限改定! 宇宙最強デッキだった彼らの行方は如何に!?
2022年5月9日 00:00
数多の環境デッキから1種類ずつ準制限カードに!さらには未来を見越したカードの存在も……?
幻影騎士団や鉄獣戦線など第一線で活躍した顔ぶれたちにも少しの影響が
次は準制限(2枚のみ使用可能)に投獄されたカード達を役割別にまとめて見ていこう。まずは「幻影騎士団ティアースケイル」、「電脳堺悟-老々」、「プランキッズ・ロック」、「魔救の探索者」、「鉄獣戦線 フラクトール」、「LL-コバルト・スパロー」の5種類だ。それぞれ幻影騎士団、電脳堺、プランキッズ、魔救、鉄獣戦線、LL型鉄獣戦線という対戦環境でよく使われるデッキタイプに投入されていたカードで、いずれも宇宙展開に重きを置いたデッキタイプとなっている。この中だと特に「鉄獣戦線 フラクトール」と「幻影騎士団ティアースケイル」はいかなる場合でも単体初動となれる最強カードの為、単純に投入できる枚数が減るのは地味に悲しい所だろう。
ただしこれもこのカード達に共通する点だが、採用枚数が3枚から2枚になった所で極端に弱くなり環境から消え去るかと言われれば全然そんな事は無いと思われる。上記で紹介したデッキは今回準制限入りをしたカード以外にも強力なテーマカードが大量に存在しており、多少安定度が下がったとしても動きのデッキとしてのゴール自体は変化しないためだ。
加えて、今回投獄されたカードはデッキからのサーチが行ないやすいカードばかりの為、実質的な投入枚数が2枚以上のパターンが殆どだろう。むしろ今までサーチカード込みで実質6枚体制等になっていた事の方がヤバかったのだ。動きの再現性や試合が長引いてリソース戦になった場合に準制限になった事が響いて来る事はあると思われるが、それでも依然として戦えるパワーは維持していると言える。
ドローソースながら準制限に指定された「雪花の光」
続いて今回唯一ドローソース魔法として準制限入りをした「雪花の光」だが、これは所謂「壊獣カグヤ」と呼ばれるデッキタイプに採用されていたカードとなる。このデッキは簡単に湧き出る強力なレベル8モンスターによるビートダウンと、そこから生み出される暴力的な強さを持ったランク8エクシーズモンスターによる1キルや妨害、そしてデッキ名にもなっている「妖精伝姫-カグヤ」と今回で準制限にぶち込まれた「雪花の光」によってリソース確保と安定感が確保されたグッドスタッフ寄りのデッキだ。
筆者は“まともに”戦うデッキの中だと今回の準制限入りカードの中ではこのカードの準制限化が1番キツイのでは無いかと考えている。このデッキタイプも「雪花の光」が準制限になった所で動きに大きな変更点があるわけでは無いが、他の準制限カード達と違いサーチ手段が無く単純に1枚分のリソース確保の手段を失うだけなのが痛い。
1枚分カードを失うだけと考える方も多いと思うが、グッドスタッフ寄りの構築である「壊獣カグヤ」は宇宙展開をして爆アドバンテージを稼ぎまくるデッキでは無い為、基本は初手に来たカード+ドローしたカードで相手のライフを削りきる事に全てが注がれる事からリソース合戦になった際の「雪花の光」は非常に貴重な存在だったのだ。
とは言えコチラのデッキもこの影響で環境で戦えないへなちょこデッキになるかと言えば全然そうではなく、あくまでも「惜しいカードを無くした……」位の感覚が妥当だと筆者は思っている。加えて今後強いレベル8モンスターが登場する度に強化されていくデッキタイプである事から将来性も確保されているため、まだまだ現役として頑張れるデッキになってくれるだろう。
猛威を振るった「D.D.ダイナマイト」も準制限に
さあ皆様お待ちかねの「D.D.ダイナマイト」のお時間です。お手軽に勝てる+最速で試合を回せる事から流行ってしまった「ダイナマイトワンキル」というデッキタイプの中心となっていたカードがついに準制限入りだ。
恐らくゲームをプレイしていたデュエリストなら知っているとは思うが一応何をしでかして準制限入りしたのかを解説すると、このデッキは“とりあえず先行を取って”「悪魔嬢リリス」や「トラップトリック」等の罠をサーチするカード使い「魔獣の大餌」1枚と「D.D.ダイナマイト」2枚をセットし、相手ターンが始まった瞬間「魔獣の大餌」でお互いのEXデッキを全て除外した後に「D.D.ダイナマイト」を2回発動して相手に何もさせずにバーンキルを行うというデッキだ。非常に手軽かつ簡単に1ターンキルが可能なデッキになっていた。
コンボに必要なカード枚数が少なくサーチ手段も豊富で、それでいて相手の先行に対して妨害ができる「手札誘発」系のカードで止まりにくい事から使用者が増え、挙句にはやる事が単純な事からBOTまで現われてしまい対戦環境を荒らし回ったある意味“最凶”のデッキと言えるだろう。
そして結論から言うとこのデッキは今回の準制限化とゲームのアップデートによって完全にお亡くなりになったと言って良い。まず主軸となる「D.D.ダイナマイト」が準制限になった事でメインのサーチ手段であった「悪魔嬢リリス」ではサーチが不確定になり、「トラップトリック」ではワンキルに必要な爆弾の数を確保できなくなったからだ。一応やろうと思えば今でもこのワンキルを成立させる事はできなくは無いが、全盛期に比べて格段に成功率は落ちてしまい、ランクマッチを勝ち上れるだけの勝率を確保できるかと言われれば疑問符が出てしまうパワーとなっている。
さらにこれが1番大きいポイントとして、ゲームのアップデートによって「対戦の切断行為」による勝敗の扱いが変わった事がトドメとなっている。以前まで「マスターデュエル」はゲーム開始前のコイントスで先行・後攻が決まった後に、試合が始まる直前で切断行為を行う事で試合自体を無効にできてしまっていた。これを利用して自分が先行を取れるまで切断を繰り返す悪質なデュエリストが生まれてしまったのだ。
そしてこのデッキタイプは当然先行を取る事が前提とされたデッキとなっており、この切断行為と合わせて勝利を積み上げる悪質デッキの極みのようなムーヴが横行してしまったのだ。今では切断行為を行なった側が敗北扱いを受ける仕様になった事でこの悪質な行為自体に意味が無くなった。先行を取れなかった場合のデメリットが余りにも大きすぎるこのデッキタイプは、ランクマッチで使用するにはギャンブル性が高すぎるため今後はネタデッキに落ち着くのでは無いかと思われる。
嘘をついてもしょうがないので正直に言うと、筆者は“個人的に”このデッキが好きでは無かったのでこの準制限化と仕様変更は部屋でタップダンスをするほど飛び跳ねて喜んだ。やってるコンボ自体は面白い発想ではあるし、それに見合ったデメリット(後攻を取った場合は泡吹いてぶっ倒れるしかない等)を背負うという点からも異常なまでの成功率と悪質確定先行ムーヴさえ無ければここまでヘイトを集めなかったとも思ってしまう。
ただこのデッキに何度も当たった際の“ゲーム体験としての面白さ”が余りにも無い事で、ゲームのマンネリ化や初心者離れが起こってしまう事を筆者はずっと懸念していた。デュエルの面白さはお互いがカードを全力で繰り出しながら少なからず駆け引きをする事だと筆者は考えているので、今回の改定と仕様変更でこのデッキタイプにもその余地が生まれた事については良かったと思ってしまう。
さて、ここで準制限入りしたカードの中に何やら現在の環境デッキに余りそぐわないカードがある事にお気づきだろうか。そう「フュージョン・デステニー」だ。このカードはデッキから「D-HERO」を墓地へ送り融合召喚を行う非常に強力なカードだが、現状の環境デッキを見るにこのカードを採用した「HERO」デッキが大活躍しているとは考えづらい。使用後かなり厳しい制約が着く事からも別のデッキで出張していたという事も無く「D-HERO」を純粋に愛しているプレーヤーからすれば謎の飛び火だと思ってしまう人も居るかもしれない。
だが安心して欲しい、これは妥当な準制限入りなのだ。何故なら未来のカードを知るOCGプレーヤー達はこのカードの準制限入りで“あのカード”が登場する事がわかっているからだ。
そして来たる5月6日、その情報が解禁される。
でっ出たぁァァァ!!!!最恐モンスター「D-HERO デストロイフェニックスガイ」だぁぁぁぁ!!!
改めて説明すると、コイツはOCGで登場した際に「フュージョン・デステニー」+優秀な「D-HERO」モンスター数体を引き連れて様々なデッキに少ないパーツで出張が行なわれ、展開中に余ったモンスター2体で「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」を召喚しその効果で「フュージョン・デステニー」を使う事であらゆるデッキで最後にポンッと出てくるイカれた最強モンスターとして歴史に名を刻んでいるのだ。
融合素材としては「D-HERO ディバインガイ」と「D-HERO ダッシュガイ」が特に優秀とされ、強力な墓地効果を持ったこの2体は次のターン以降のリソース確保にも貢献する事から無理なくどのデッキにも採用され猛威を奮った。本人の効果も気楽に打てる相手への妨害・何度も蘇る盤面維持力・地味に刺さるデバフ効果、その全ての能力が優秀であり余りにも完成された単体スペックで環境を1色に染め上げたのだ。
そして暴れに暴れた結果、OCGでは一定期間「フュージョン・デステニー」の方が何故か禁止カードになり実質弱体化するという全デュエリストが腰を抜かす事件が発生した。現在ではOCGでも「フュージョン・デステニー」は制限カードになり、出張パーツの要因となっていた「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」が禁止カードになった事でこの事変は終幕を向かえたが、この一連の騒動を知るOCGプレーヤーからすると「アナコンダが使えてフュージョン・デステニーが準制限……大丈夫か?」というのが本音なところ。
実際に使ってみると分かるが出張カードとして「D-HERO デストロイフェニックスガイ」は余りにも強く、「フュージョン・デステニー」が素引きしても強いカードである事から事故要因になる事が少ないため数多くのデッキに無理なく採用する事ができるのだ。逆に考えればフルパワーに近い「D-HERO デストロイフェニックスガイ」出張セットを使えるのは現行の「マスターデュエル」だけなので是非1度触ってみて欲しいという気持ちもある。使ってみな、(相手の盤面が)飛ぶぞ。
OCGとはかなり異なる改定に注目! 全体的に弱体化の方針が緩やかな傾向が?
今回の禁止改定で規制を受けたのは以上のカードとなるが、ここで筆者が気になったのは規制の掛け方が同時期のOCG環境とは異なるという点だ。知っての通り「遊戯王マスターデュエル」は最新のOCG環境からは少し前のカードプールで遊ぶゲームとなっているが、「マスターデュエル」環境に該当するOCG環境の頃とは全く異なる改定が今回施行された。
恐らくその要因は「シングル戦」というOCGとは違う形式での対戦がメインである事が大きな要因になっていると筆者は考えている。1回しか戦えないシングル戦ではピンポイントな対策カードはデッキに投入しづらく、選択したデッキ・テーマの地力が強く勝率に反映されるのが特徴のため、OCGとは異なり禁止改定でテーマ内のカードに制限を掛ける場合に雑に動きの中核となるカードを徹底的に潰してしまうとそのテーマの独自性やデッキパワーを完全に無くしてしまいかねないのだ。
その事を踏まえると今回の改定を受けたテーマ達は全体的に確かに多少の弱体化・安定感の欠如は被ったがテーマとしての動きは問題なく行なえるしパワーも依然として保ったままである。OCGの制限改定よりもかなり繊細にパワーバランスを保とうとするKONAMIの意思が垣間見えると言えるだろう。
さらに付け加えるとカード1枚に対する価値が現実のカードと異なるという点も要因の1つかもしれない。現実のカードの場合は実物が手元に残るためコレクターアイテムや観賞用アイテムとしての付加価値も生まれやすいが、デジタルカードゲームの場合はどうあっても“ゲームをする為の道具”以上にはなり難いのだ。
そのため制限改定で一部のテーマにデッキとして再起不能レベルの禁止制限を設けた場合、そのカードに掛けた労力や金額が丸ごと無駄になったと感じやすい思われる。ゲームに掛けた金額に対する体験を損なわない為にも「マスターデュエル」内の制限改定は今後も“テーマとしての独自性とパワー”は失わないようにOCGよりも少し緩めの改定が行なわれていくのではないかというのが筆者の予想だ。
さて長々と語ったが如何だっただろうか。初の制限改定という事もあってかなり注目度の高い内容となっているが、概ね誰も傷つかない幸せで納得できる改定だったのでは無いかと筆者は思っている。(間接的に影響を受けた「サイバーエンジェル」使いのデュエリストを除いて)
この改定が施行される5月9日は上記でも少し取り上げた通り新パックや新ストラクチャーデッキも登場し、対戦環境が劇的に変化する激動の1日になる事に違いない。今回規制を受けたデッキをリペアして挑むも良し、新パックで登場したテーマを駆使して挑むも良しと選択肢は無限にあるのでお気に入りのデッキで再びランクマッチを楽しんでいこう。
それではグッッッ爆アド!!!
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