【特別企画】

新たな視点から物語を楽しむことが出来る「コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ」先行プレイレビュー

随所にこだわりが見られる作品作りに、感動もひとしお……!

【コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ】

5月17日 配信予定

価格:基本無料(アイテム課金制)

 5月17日に配信予定の「コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ」(以下、「ロススト」)。本作はDMM GAMESと、開発に「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」や「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」などを手掛けてきたf4samuraiのタッグだけではなく、「コードギアス 反逆のルルーシュ」の原作サンライズもシナリオ制作、監修として加わり、新たな主人公キャラクター(男女選択可/名前変更可)がルルーシュらと共に戦いに身を投じていく姿を描く、新たな物語が紡がれる。

 本作のストーリーは、テレビアニメ1期目「コードギアス 反逆のルルーシュ」から始まり、テレビアニメ2期の「コードギアス 反逆のルルーシュR2」のラストまでは「ロススト」内で描かれるようだ。

 2018年の発表から長らくの沈黙があった本作だが、2021年12月から事前登録受付が開始され、そしてこのたび、開発中のゲームに実際に触れさせてもらうことができた。フルボイスで展開される新たなストーリーや、3Dで行なわれる「ナイトメアフレームバトルRPG」と名付けられたバトルはもちろん、新たに設けられた「主人公」というキャラクターが「コードギアス 反逆のルルーシュ」の物語にどう絡んでいくことになるのか、その一端をお届けしよう。

 なお、本作は開発中のタイトルのため、製品版とは異なる面も多々あることは、あらかじめご了承願いたい。

男性主人公

原作と同じようでいて異なるストーリーは、どんどん続きが読みたくなる

 今回の試遊でまず真っ先に驚いたのは、全編に渡ってしっかりボイスが収録されているメインストーリーだ。前述の通り、本作は「コードギアス 反逆のルルーシュ」をベースに作られている。そこに新たな要素となる主人公がどう絡んでくるかという点は非常に興味深く、一方で不安に思うファンもいるだろう。かくいう筆者も、最初は「つじつまがあわなくなるような改変をされていたらいやだな」という気持ちもあったのだが、遊び始めてすぐにそんな不安は吹き飛んだ。つまりそれくらい、ストーリー運びに違和感がない。

 序盤は物語の導入部分ということもあり、主人公の背景とルルーシュの物語が交互に描かれていく場面が多いが、徐々にふたりの物語が交わっていく。主人公の立ち位置は「ブリタニア人と日本人のハーフ」「ブリタニアを憎んでいる」「学校では真の姿を隠している」「学校ではルルーシュのクラスメイト」等、少しカレンに近いものがあるが、だからといってカレンの代替えキャラクターにはなっていない、という点も高評価だ。

 カレンの目的はあくまでアニメ版と同様で、母親のためにエリア11(日本)をもっと安心して暮らせる場所にしたいという奥底に温かい想いがあるのに対して、主人公の心はブリタニアへの復讐で冷え切っている。

 そんな主人公がルルーシュと共に戦う過程を描く物語は、「コードギアス 反逆のルルーシュ」で描かれてきたルルーシュの物語と見事なまでに融合している。本作は「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界に、本来のストーリーにはいない”主人公”――言い方は悪いがいわば”異物”が混入しているのだから、違和感を覚えて当然なのだ。だが、主人公はまるで最初から「コードギアス 反逆のルルーシュ」の物語の一員であったかのようにすら感じられるほど、自然と物語の中にいる。

 では改めて、本作の主人公についてもう少し詳細を述べよう。まずゲーム開始時に、主人公の性別と名前を決められる。男性主人公は内田雄馬さんが、女性主人公は大橋彩香さんが演じるので、好みのタイプや好きな声優といった理由で選んでも良い。

女性主人公

 また、キャラクターの性別を決めると次に名前を決められるが、デフォルトの名前があるため、デフォルト名が好みという人はそのままプレイを進めよう。男性の場合は「マリオ・ディゼル」がデフォルト名になるが、作中で名前を呼ばれる場面はないようなので、変更しても問題はない。

 前述の通りカレンと似た境遇にある主人公だが、ブリタニア人と日本人のハーフで、ブリタニアの日本侵攻時に両親を亡くしており、その後自身を引き取ってくれたブリタニア人の義母によって、ハーフであることを隠してアシュフォード学園に通い、租界で恵まれた暮らしを送っている。

 だが、どうしてもブリタニア人として生きていくと割り切れない主人公は、学校へ訪れることも稀。半ば登校拒否気味な状態の主人公は、ルルーシュとはクラスメイトであるものの、基本的に言葉を交わすこともなければ、そもそもクラスメイトからも「あんなやついたっけ?」と言われるほど、ほぼ認識されていない。そんな主人公は、ブリタニア人という立場を利用して、親をなくしたイレヴン人(日本人)の子供たちに、日々食糧などを支援している。

 もちろん、全ての孤児に支援を行なえるわけではない。主人公が助けているのは、たまたま出会ったほんの数名の孤児たちだけだ。自分がしていることなどただの偽善に過ぎないということはわかっていても、それでも手の届く範囲だけでもこうして支援を行なうことでそれなりに満たされていた主人公だが、ブリタニア軍のシンジュクゲットー掃討作戦によって大切にしてきた孤児たちが息絶えてしまう。

 ショックと怒りに溢れた主人公は、その矢先、量産型ナイトメアフレームのサザーランドを手に入れる。既に反ブリタニア武装勢力の指揮を取っていたルルーシュに従う、主人公。あふれ出すブリタニアへの復讐心から、主人公はサザーランドの性能では到底不可能とも言える動きでブリタニアのナイトメアフレームを翻弄し、ルルーシュと共に戦いに身を投じていくことになる。

 なお、このシンジュクゲットー掃討作戦は、言うまでもなくアニメの第1話となるC.C.奪還のためのものだ。そのため、主人公の物語の裏ではルルーシュの物語が進んでおり、主人公が悲劇に見舞われている中で、ルルーシュはC.C.と契約し、絶対遵守のギアスを得ている。そして腹違いの兄・クロヴィスから、ルルーシュの母であるマリアンヌ皇妃の死の真相について尋ねた後、クロヴィスを殺害。祖国ブリタニアへ反旗を翻した。

 アニメ2話分くらいの内容がギュっと詰まったストーリーはテンポが良く、主人公とルルーシュが今後どのように関わっていくのかという点でも目が離せない。本作はスマートフォンで描かれる物語のため、ワンシーンを見終えるにも丁度よい長さとなっている。

 もちろん、本作で初めて「コードギアス 反逆のルルーシュ」に触れるという人にもきちんと理解できるストーリー作りとなっている。「コードギアス 反逆のルルーシュ」はテレビアニメだけでも50話分あり、1話1話密度が高いストーリーとあってなかなか重い腰が上がらないという人もいるだろうが、「ロススト」であれば簡単にスマートフォンで”良いとこ取り”ができるのだ。ただし各人物の細かい背景などはカットされている部分も多々あるため、「ロススト」でもっと「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界に触れてみたいと思ったら、ぜひアニメ(劇場版I~IIIでも可)のほうもチェックしてほしい。

 ストーリーのベースは、立ち絵+セリフ+ボイスという構成で進んでいくシナリオだが、時にはアニメーションやCGムービーを挟むこともあり、見せ場がいちいちかっこいい。特にルルーシュのギアスの発動シーンなどは、最高にカッコいいカットシーンが挟まれる。しかも一度見たメインストーリーはいつでも振り返れるので、「この章のこのシーンが良かった!」と思ったら何度でも見返せるところも、ファンにはたまらない。

 ムービーシーンの多さには驚愕する反面、こんなに動かしていると「コードギアス 反逆のルルーシュR2」まで作り切れないのでは……、という余計な心配までしてしまう。そんなことを思ってしまうほど、よく動く。さすがに「アニメと同等」とまではいかなくても、ここぞという見せ場はしっかりアニメやムービーが作られているので、全力で期待していてほしい。

バトルは3DシミュレーションRPG

 物語をどんどん読み進めたくなるが、シナリオパートを一定のところまで進めていくとバトルパートを一定のところまで進めないと次のシナリオに進めないよう、ロックがかかる。指定されたバトルパートまでクリアすれば、また続きのシナリオが解放される……というサイクルで遊ぶようになっている。

 体感としては、大体シナリオを3話ほど読むとロックが掛かり、バトルを3つほど進めるとシナリオのロックが外れるようだ。

 バトルは、マスにナイトメアフレームを配置して、自軍の本拠地に向かって攻めてくる敵を倒していくシミュレーションに近い。タワーディフェンスにも近く、基本は自軍の陣営に一定数の敵に踏み込まれると負けとなってしまう。

 プレイ中は、時間経過で出撃コストが溜まっていく。各パイロットにはコストが設定されていて、出撃コストを消費することでパイロットを出撃できる。敵の侵攻速度や侵攻ルートに合わせて、敵を迎撃するのに適したパイロットを、適した位置に配置。自軍に敵を侵入させないように阻止して、最終的には全部の敵を殲滅すればバトルは終了する。

 逆に規定数以上の敵の侵入を許すと、負けとなってしまう。また、近接機は地面の上にしか配置できず、逆に遠隔機は高台にしか配置できないものの、近接機よりも広範囲に攻撃が可能だ(攻撃範囲は武装による)。更に、近接機は高台の敵には攻撃できないという特徴もある。高台に出現する敵は、遠隔機でしか阻めない。

自軍機を出陣させるときは、青いマスがそのナイトメアフレームを配置できる場所で、赤いマスがそのナイトメアフレームの攻撃範囲となる。この場合、ルルーシュは遠隔機に乗っているので、高台にしか配置できない。
戦うマップと敵の侵攻ルートはバトル前にわかるので、まずはこの画面で戦略をある程度考えておくことになる

 基本は固定された斜め見下ろし視点でのバトルになるが、敵将とのバトルがあるシーンではCGムービーが挿入され、カメラ演出も入った3Dでのバトルとなる。このムービーや3Dバトルは、迫力も満点。モバイルゲームとは思えないクオリティだ。

主人公VSダールトン戦
仙波VSスザク戦

 戦う仲間を集めるのは「スカウト」……いわゆるガチャ。最初に引くことができるチュートリアルスカウトでは、★4パイロットが確定で出現する。ちなみに筆者が引いたのはコーネリアだったため、ゲーム開始当初からコーネリアが自軍にいるというなんとも面白い状況になったが、当然ながらガチャで引いたキャラクターはバトルでのみ活躍させるものであり、メインストーリー上で関わるわけではない。

ガチャ要素がある。好きなキャラには存分に戦ってもらおう

 なお、キャラクターを引いて「KFM」の表示があれば、ナイトメアフレームも同時に手に入る。★1、★2のキャラクターの場合はグラスゴーなど第四世代ナイトメアフレーム、★3の場合はサザーランドなど第五世代ナイトフレーム、などといった感じ。なお★3以上はそのパイロット専用のナイトメアフレーム(コーネリアの場合、コーネリア専用機グロースター)が入手できることもある。

★3のルルーシュ(学生服ver.)を引くと……
サザーランドが手に入り
★4のコーネリアを引くと……
コーネリア専用機グロースターが手に入る

 だが、どのキャラクターをどのナイトメアフレームに乗せるかは、プレーヤーの自由。つまり、ルルーシュをコーネリア専用機グロースターに乗せても良い。ただ、各パイロットと各ナイトメアフレームにはそれぞれ特徴がある。例えば突撃タイプ、守護タイプのパイロットには近接型のナイトメアフレーム。殲滅タイプ、治癒タイプ(正式サービス時には名称が修理タイプになる)、策略タイプのパイロットには遠隔型ナイトメアフレーム……など、ある程度適正はあるが、必ずしもその通りにしたほうがいいわけではない。

 たとえばコーネリアは殲滅タイプであり、コーネリア専用機グロースターは近接型のナイトメアフレームだ。適正的には殲滅タイプは遠距離型の組み合わせをオススメされるのだが、殲滅タイプと近接型を組み合わせると、1対1での戦闘で高火力を発揮できるなどその組み合わせならではの特徴が出る。「コーネリアにはコーネリア専用機グロースターに乗ってほしい!」というこだわりを貫きつつ、その特徴に合わせた編成や戦略がプレイでは重要になる。

 ただ、一部のパイロットは近接型と遠隔型のどちらに搭乗するかで性能に差が出てくるようだ。パイロットのタイプはナイトメアフレームの上部の右上の赤いアイコンで判別できる。ここに紹介した以外のパイロットタイプも、様々登場する。

チュートリアルの通りに部隊を組むと、殲滅タイプのコーネリアには、遠隔機を勧められる。
だが当然ながらコーネリア専用機グロースターはランスなので、近接機。チュートリアルが終わって改めて見ると、少し首をかしげる感じの部隊になった。(なお、サザーランドはアサルトライフル装備のため遠隔機扱い)

 高コストであるほど強くなるのが本作の基本だが、その分コストが貯まるまでなかなか出撃させられない。その間にも敵の軍勢はどんどん迫ってくるので、ただ高コストのキャラクターだけを編成すれば良いわけではない。低コストのキャラクターもしっかり運用して、適材適所で戦略を組み立てることが大切だ。また、敵の侵攻ルートと自軍のパイロットの特性およびコストを考えなければならず、マップが進めば進むほど難易度は上がっていく。

自軍は中央に1マス。左右2ヶ所の敵出現マスから、敵がどんどん現れて中央の自軍マスへと侵攻してくる。どのように2つのルートを塞ぐかを考えなければならない。

 一方で、このようなゲーム性から「必ずしもレアリティの高いキャラクターの使い勝手が良いわけではない」ということも強く感じた。どんなにレアリティが高いキャラクターを持っていても、コストが高いものばかり揃えて出撃できなかったら意味がない。それよりもコストが低く、すぐに戦場に出せる低レアのキャラクターは非常に使い勝手が良い。だが、低レアのキャラクターでは敵機に押し負けてしまう場面も多いので、そこを強いキャラクターでカバーしていくような戦い方になりそうだ。なお高レアのキャラクターのなかには「コストが低くて強い」ものもおり、こうした中で様々な編成、戦略が考えられる。

 ちなみに筆者は守護タイプをひたすら3~4体ほど育成して、まずは数体の守護タイプを壁として配置し(何体か敵を侵入させてしまっても、最終的に勝てばOKの精神)、守護タイプが敵をせき止めている間に攻撃力がありつつ遠距離攻撃できるキャラクターを配置していく、ということが多かった。また、遠距離戦に強いルルーシュにひたすら経験値素材を捧げ続け、守護タイプが抑え込んでいる敵を一気にルルーシュに殲滅してもらうことも多々あった。こういうタイプのゲームには、明確に「正解」と呼ばれる戦略はないし、ガチャで引けるキャラクターによっても戦法は多種多様だろう。

ルルーシュのレベルが爆上がり状態になっているが、この頃、他のスタメンたちの大半はレベル15~6程度。

 戦略性が非常に高く、男女共にファンが多い「コードギアス 反逆のルルーシュ」だからこその歯ごたえあるバトルだとも言える。一方でゲームに不慣れなファンが突然プレイするにはやはり少々難しい部分も感じるので、リリースまでに難易度の搭載や、更なるバトル調整などはぜひ検討してみてほしいところだ。

各キャラクターには様々なスキルがあり、スキルをしかるべきタイミングで使うことでバトルを有利に運ぶことができる。守護タイプの仙波は自身のHPを回復できるスキルを持つので、リキャストごとに使っていきたい。
ストーリーが進むと敵の数も多くなり、戦いは厳しくなる。侵入された数が多いほどクリアランクが低くなってしまうというデメリットはあれど、プレイのし直しは何度でもできるので、Sランククリアを目指すのはもっと自軍が強化されてからでも良い。

ナイトメアフレームの開発や、ボイス、コスチュームなど様々なサブ要素も充実

 以下は今回の試遊ではほんの一部のみ遊ぶことができたり、まだ解放されていない要素の紹介なので手触りはあまりわからないが、他にどのような要素があるのか簡単に紹介しよう。

 まずは、ナイトメアフレームの強化。強化段階が進むと新たな武装を装備できたりもするようだ。また新たなナイトメアフレームの開発なども行える。ナイトメアフレームは序盤でこそあまり選択の余地がないが、どんどんパイロットとの相性なども含め重要になってくるだろうと思われるので、素材を手に入れたらナイトメア開発をどんどん行っていきたい。なお、開発時に武装を選べるナイトメアフレームもあるようだ。

今回はアサルトライフル装備のサザーランドを作ることができた。

 キャラクター詳細では、ボイスなども聞くことができる。フルボイスで描かれる本作ならではの様々なボイスを楽しんでほしい。今回、ルルーシュは学生服コスチュームのものしか入手できなかったが、コスチュームによって喋るセリフなども変わるようだ。同じキャラクターでもコスチューム違いのものを手に入れた時は、色々とチェックしてみてほしい。

 ファーストインプレッションということもあり、まだまだ今後仕様が変わっていく可能性もある中での手触り感の紹介となったが、とりあえず何はともあれメインストーリーの出来は満足の一言しかなく、いつまでもストーリーを追っていたいし、既に内容を(おおよそ)知っているのに「早く続きが読みたい」と思わせられる。今回プレイできた部分では、まだ主人公とルルーシュとの関わりは始まったばかりのところに過ぎず、OPで主人公がゼロを敵の猛攻から守るようなシーンこそあれど、そこから出てくるセリフが敬愛なのか、傾倒なのか、友情なのか、そこまでを見通すことはできなかった。

 だからこそ、この先”主人公”という新たな存在がどのような立ち位置となり、ルルーシュとどのような関わりあいをしていくのか、あくまで「コードギアス 反逆のルルーシュ」の物語を変えず、それでいて”主人公”という傍観者ではない視点から、どのように物語そのものに関わりを見せていくのかは、とても気になってしまう。

今回筆者は男性主人公を選んだので、強い復讐心に身を費やすその姿勢には主に共感を覚えたが、女性主人公だとまた違った印象を受けそうだとも感じた。

 ほんの序盤からいきなりものすごい物量で殴りにかかってきたというような作品で、筆者も少々驚いたが、その驚きは喜びからであることは間違いない。ぜひ「コードギアス 反逆のルルーシュ」ファンは、配信を楽しみに待っていてほしい。